第五話 陸海軍大臣会談
2人の大臣の会談内容です。
帝都の国会議事堂の右に、議事堂とは別の会議場が存在する。
1939年12月に完成した『帝都特別会議場』と言う。
完成して間もなく2年に成るこの会議場の、9番会議室(15名用)において会談をしている2人(数名の護衛付き)がいた。
1人はゆったりとした体型に岩手なまりのある喋り方をしており、もう1人は特徴的な丸眼鏡と髪の少ない頭が印象的である。
前者は大日本帝國海軍大臣の米内 光政大将、後者は大日本帝國陸軍大将の東條 英樹大将である。
米内「この度は、我が海軍の作戦に賛同頂き、先ずは礼を言わせて下さい。」
米内が頭を下げる。
東條「よして下さい、米内殿。アメリカと戦うには、陸軍だの海軍だの言っている場合ではありません。寧ろ、我々が無事に目的地に到着出来るのも海軍のお陰であります。礼を言うのは私のほうです。」
この2人がした事を簡単に説明する。
米内は、山本総理と共同で『真・八八艦隊』と『独立機動艦隊』の設立に尽力した人物である。
東條は、第二次ノモンハン事変前に戦車を中核とした『第一機甲師団』を設立させた人物である。
東條「所で、各艦隊は今どの辺りに?」
米内「真・八八艦隊と第一独立機動艦隊は『大熊作戦〜牙〜』を開始しており、第二独立機動艦隊は単冠湾において出撃準備を整えており、明日にも出撃可能と思われます。」
東條「ミッドウェーに近づいて欺瞞させる訳ですか。」
米内「はい、第三独立機動艦隊は呉軍港で最終整備を行っており、第四独立機動艦隊は亜細亜連合艦隊に参加、南洋諸島のグアムへ向けて進撃中です。この2つの艦隊は『大熊作戦〜鉤爪〜』を元に行動しております。」
東條「二方向同時に攻め入る、どちらも真の目的では無いが太平洋艦隊を誘きだすには十分ですな。」
米内「そうです。そして第五独立機動艦隊は『大熊作戦〜月の輪〜』通り、台北軍港に停泊しております。」
東條「そして、一番肝心なのが・・・」
米内「第六独立機動艦隊と言う事です。」
米内が頷きながら言った。
米内「現在、単冠湾へ向けて出撃中です。作戦名『冠作戦』です。」
東條「これで、アメリカ国内で厭戦気分を誘えれば良いのですが・・・」
米内「上手く行くことを祈りましょう。」
東條「ですな。これからもよろしくお願いします。」
米内「此方こそ、よろしくお願いします。」
2人は力強い握手を交わした。
しかしそれは、長い戦争の始まりでもあった。
次回はいよいよ作戦開始です。