雨さんの心は、いつも病まない?☔️
昔、誰かが言った『止まない雨はない。』と。
だけど、この国は例外だ。ここは雨の国、
ずっと雨が降っている。そう”1年中”ずっと。
誰かが昔、祈ったらしい。
『ずっと雨だったらいいのに』
だから、この国に”晴れ”は訪れない。
(家が軋むような暴風と、ザ-という雨の音が家の中に響く。ここは″彼女″の部屋。8畳くらいの部屋にベットと、机、本棚が置かれている。
雨のせいで年中気温は寒いため、部屋の中は
防寒性のラグが引かれており、毛布も春先に使うような少し厚めのものである。
スマホのアラ-ムが7時を示し、その喧騒で彼女は目を覚ます。)
晴無雨
「んん……ねむい…」
スマホ「ジリリリリリリリリッ!」
晴無雨「……はぁ…もう朝か…ピッ(アラ-ムを止める音)」
(彼女の名前は、晴無雨16歳。
皆からは″雨ちゃん″と呼ばれている。この国では、雨が国の象徴であるため、雨に因んだ名前を付けることが演技が良いとされており、晴とつくものは忌避されている。)
晴無雨「…学校行きたくないな…」
(まあ、当然だろう。外は″1年中″雨が降っている。雨は雨、濡れれば寒いし湿気でジメジメしている。とても寝起きで登校出来るような気分のいい天気ではない。彼女の心はいつもブルーなのだ。)
晴無雨「…着替えるか…」
(雨ちゃんは制服に着替える。制服には、″傘から水が滴り落ちるようなロゴ″が入ってる。中央には″RAINY DAYS″と企業名が書かれている。)
晴無雨「朝食どうしようかなぁ…」
(彼女はテレビを付け、キッチンに向かう。
彼女が住んでるのは、学生用のアパートで、
玄関から入って左辺りにキッチンがあり、右の奥側には折れ戸で仕切られたシャワールームがある。右の玄関近くのドアはトイレである。奥に進むと8畳のスペースがある感じだ。彼女は卵とウインナーを焼き、昨日洗米して予約しといた米をよそって簡単な朝食を作った。
ちなみに彼女は″醤油派″である。)
晴無雨「ニュース見よっと。また、洪水と土砂崩れかぁ…」
(雨の国は年中、雨が降っているため日照りや、乾燥に困ることは無い。むしろ水が多くて困らされている。いわゆる大きな木はこの国では絶滅している。地下に根を張る生態系はこの水だらけの国では淘汰されるからだ。そのため植物の大半は苔であり、雲から漏れる僅かな散乱光で光合成できる植物だけが生き残っている。幹を伸ばすタイプの植物も人間の腰くらいの大きさが最大である。中には小さな木が苔と共生してよく見る形を保ってる例や、アジサイのように円形に葉を展開した植物もある。
この国では根を張るのは″愚策″なのだ。
そのため土砂崩れが多い。植物の根によって
地盤が固定されていないため簡単に滑落する。)
晴無雨「んん、ニュースもいつも通りでつまんないなぁ…」
(貴方は雨ちゃんと違ってテレビに違和感を覚えるだろう。ニュースに″天気予報″が無いと。
雨しか降らないこの国では天気予報は無い。
″ずっと雨だから″)
晴無雨「あっ…もう7時30分じゃん!早く学校行かないと!タッタッタッタッタ!ガチャ(ドアを開ける音)」
(ファイバーグラスで作られたドアを開ける。
外は今日も雨が降っている。コンクリートと防水性の高い合成素材で作られた街が広がっている。雨という自然環境の中にありながら、自然からかけ離れた陰鬱な街並。ここが彼女の暮らす雨の国である。)




