表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/10

南海邂逅

全8話+エピローグ完結済みです。毎日19時頃に更新予定です。

あらすじや各話のタイトルや文章の精査にAIの力を借りています。

昭和十七年、1月。夕暮れのソロモン諸島の水平線は、吸い込まれるような濃い紫色をしていた。


「…異常なし。これより帰投する」


真壁順一上飛曹は、愛機『零式艦上戦闘機』の狭いコクピットの中から、南洋の夕暮れの美しさに感嘆のため息をもらしていた。


「戦争中とは思えないな…」


だが、その平穏は、唐突に響いた「鐘の音」によって引き裂かれた。


ゴーン ゴーン と


戦闘機のエンジン音をかき消すほど澄んだ、教会の礼拝を告げるような鐘の音。


「……なんだ? 幻聴か?」


高度三〇〇〇。周囲に雲はない。だが、右翼側の虚空から、陽炎のような歪みが生じた。

そこから現れたのは、真壁が知る「飛行機」の概念を根底から覆す異形だった。

全体に真鍮のような鈍い光沢を放ち、リベットの代わりに複雑なエッチングが施された重厚な装甲。プロペラはなく、機体後部のノズルからは煤けた黒煙ではなく、白く輝く「蒸気」が噴き出している。


「敵機ッ! どこの国の……!」


真壁は瞬時に操縦桿を倒し、旋回に入った。だが、敵機は信じられない挙動を見せた。


機体がガシャリと音を立てて折れ曲がり、翼が背中に畳まれる。現れたのは、巨大な腕と脚を持つ、金属の騎士だった。


敵機の手には、巨大な騎士のランスを思わせる長銃身の火器が握られていた。


「……馬鹿な、あれで飛んでいるのか!?」


真壁が叫んだ瞬間、敵機の槍の先端から、青白い雷光が放たれた。

「――っ!」


回避が間に合わない。愛機の左翼が、紙細工のように焼き切られた。機体が激しくスピンを始め、真壁の視界が赤く染まっていく。


墜落していく視界の端で、敵機の胸部に浮かび上がる黄金の文字が見えた。


『A-L-O-N-D-I-G-H-T』


古代ケルトの呪文のような、あるいは何かの銘のような光。それが真壁の見た、最後の景色だった。

次に真壁が目を開けたのは、白い天井の下だった。

消毒薬の匂い。遠くで聞こえる波の音。

横須賀海軍病院の特等室

「……気がついたか、真壁上飛曹」

重厚な声に顔を向けると、そこには軍服を乱れなく着こなした男が立っていた。

連合艦隊司令長官、山本五十六。


「長官……自分は、何を……」


「落ち着け。君がラバウル沖で撃墜されてから、既に二週間が経過している。救助されたのは奇跡だ」

山本は窓の外へ視線を逸らしたまま言った。


「――英国が、禁を犯した」


「禁?」


「魔導だ。あれは、科学の皮を被った呪いの塊だよ」


真壁は言葉を失った。荒唐無稽だ。だが、あの金属の騎士を前にした恐怖は、確かに現実だった。


山本は真壁の枕元に、一枚の辞令を置いた。


「真壁 君を、秘匿部隊『蓮華』へ転属させる。そこには、我が国が総力を挙げて建造した、新型の秘匿兵器がある」


「秘匿…兵器…」


「君の任務は、とっとと身体を治して、新型機への機種転換を済まし、英国の騎士達ジョンブルを御仏の力を借りて殲滅することだ」


真壁の胸に、あの「鐘の音」への激しい憤りと、得体の知れない高揚感が突き上げた。


「……了解しました。この命、捧げます」


一週間後。

真壁を乗せた潜水艦は、海図にない孤島、蓮華島へと辿り着いた。


上陸した真壁を待っていたのは、潮風に混じる、線香の香りと機械油の匂い。


「あんたが、空飛ぶ騎士を見たって噂の搭乗員かい?」

現れたのは、鼻に横一文字の傷を持つ、白髪混じりの男だった。部隊長であり整備班長の加納源技術中佐

皆は敬愛を込めて「源さん」と呼んでいるらしい

その背後から、墨色の衣をまとった一人の少女が歩み寄る。

剃髪はしていないが、その立ち居振る舞いは紛れもなく修行を積んだ尼僧のそれだった。


「初めまして、真壁さん、私は妙蓮と申します。あなたの機体の、魂を調える者です、以後お見知り置きを」


彼女が指し示した鍾乳洞の奥。

そこには、銀色に輝く巨大な「仏」が立っていた。

配管の一本一本に梵字が刻まれ、中央に鎮座する巨大なマニ車が、静かに霊気を放っている。


「これが…新型機?」


真壁は、己の運命がこの鉄の御仏と共にあることを確信した。

だが、その第一歩は、想像を絶する過酷な運命の始まりに過ぎなかった。

後書きという名の言い訳

始まりが、どう考えてもマ◯ロス0ですね。

はい、大好きなんで、すんませんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ