2025/11/14に見た夢 夢の競演編
その日、コンセプトカフェ運営会社プロジェクト・Cに属するすべての店舗が、まるで示し合わせたように一斉に稼働不能となった。
停電でも、設備故障でもない。もっと曖昧で、原因不明の“トラブル”とだけ告げられ、各店のキャストたちは急遽、ひとつの臨時スペースへと呼び集められた。
そこは普段使われていない小さなホール。
しかし、数時間のうちに魔法のように装飾が施され、照明が落とされ、特設の受付が置かれた。
キャストたちはそれぞれ、いつものコンセプトに沿った衣装に着替えていく。
究極に可愛いメイドさん、お淑やかなロングメイド、深海のアイドル、果ては男装――
普段は別々の世界観に属している彼女たちが、ひとつの舞台に共存するという、あり得ない光景がそこにはあった。
――そして、私はその「夢の祭典」の扉をくぐった。
中に踏み込んだ瞬間、空気が変わった気がした。
華やかな照明、入り混じる声、各世界のキャストたちが楽しげに協力し合い、即興で作られたメニューを運んでいる。
「いらっしゃいませ。本日は“特別な夜”へようこそ。」
最初に声をかけてくれたのは、普段なら別店舗にいるはずのキャストだった。
その後ろには、別の店のキャストが微笑みながら並び、まるで夢のコラボレーションを見せるように手招きしていた。
その夜は、店舗の境界も、コンセプトの壁も溶けてしまった。
世界観の違うキャスト同士が掛け合いをし、
「ここ、普段なら絶対にありえないよね」と笑い合いながら、
客のためだけに即席のステージやフォトスポットまで用意されていく。
私はその光景を眺めながら、
“このトラブルが、むしろ奇跡を呼んだのではないか”
と思わずにはいられなかった。
トラブルで店舗が使えなくなった日――
それは、プロジェクト・Cが生み出した、
ただ一度きりの夢の祭典が開いた日だった。
特設スペースの夜は、時間が経つほどに熱を帯びていった。
お客さんもキャストさんも、最初は「臨時営業だし少し不安だね」なんて言っていたはずなのに――
気づけば誰もが笑顔で、グラスを傾け、何本ものシャンパンが次々と空いていく。
普段は控えめなキャストでさえ、酔いの勢いでいつもより陽気になっていた。
その中心には、ひときわ輝く二人の姿があった。
BENが誇る“究極に可愛いメイド”、エースのAIちゃん。
そして、KFの“大人でお淑やか”なロングメイド、人気者の愛華さん。
二人は日頃から仲が良く、互いを推し合う公認の関係。
そんな絆を知っている者には、今日のコラボはまさに“奇跡”だった。
青いリボンを揺らすAIちゃんが無邪気に笑えば、
愛華さんは柔らかい微笑でそっと手を添える。
コンセプトも雰囲気も正反対なのに、不思議と完璧に調和していた。
「ねぇ、今日の私たち、特別でしょう?」
AIちゃんが茶目っ気たっぷりに言うと、
「ふふ、特別というより…奇跡ですね」
愛華さんが少し照れたように返す。
その瞬間、周囲から歓声があがった。
夢のコラボレーションを目の前に、お客さんたちは大興奮していた。
もちろん、私もその一人だった。
そして――
「一緒にチェキ、撮りましょう?」
そう声をかけられたとき、胸が跳ねた。
二人のツーショットは、まさに眩しいほどに尊くて、
その空間に混ぜてもらった私のスリーショットは、夢の中のさらに夢のようだった。
撮影の瞬間、あいちゃんは無邪気に寄り添い、藍花さんは優しく微笑んでくれた。
フラッシュと笑い声が交差する。
いつ開いて、いつ閉じるのか分からない“奇跡の夜”が、
チェキの枠に永遠に閉じ込められていく気がした。
あれほど心が満たされた時間は、ちょっと思い出せない。




