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ネクラ少年とハツラツ少女の異世界滞在記~キャンバス外伝・勇者の章~  作者: ぶーたん


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第11話:災いの勇者

ユウは不敵な笑みを浮かべ、周囲に従わせた数人の女生徒を侍らせながら、一点を凝視していた。 その視線の先には、魔力を封じる鎖で拘束された女生徒の姿がある。


「いい加減、俺の能力に服従してくれないか? もう三日も飲まず食わずだ。いつまでその意地が持つかな」


「ふざけないで……。こんなことして、ただで済むと思わないことね」


女生徒は震える声ながらも、強く言い返した。その瞳にはまだ、抗いの火が灯っている。


「立場がわかってないな。俺はお前をいつでも殺せるし、生かすこともできる。……いいか、これは実験なんだ。これまでコントロールできなかった俺の『魅了』は、今や『洗脳』へと進化した。トリガーは俺の『匂い』だ。俺の匂いを嗅いだ者に種を植え付け、好きなタイミングで狂い咲かせることができる」


ユウは彼女の顎を乱暴に掴み、顔を近づけた。


「だが、お前のような冒険者はたまに弾く。魔力の使い方の違いか、あるいは総量の差か……。それが判明すれば、お前をたっぷり『可愛がって』やるよ」


「あんた、まともな死に方しないわよ。いつか本物の冒険者が、あんたを地獄へ引きずり下ろすわ」


「それは楽しみだ。その強い冒険者ごと、俺の駒にしてやるよ」


ユウは冷笑を浮かべると、傍らの女生徒から液体が入った瓶を受け取った。蓋を開けるなり、拘束された彼女の頭から無慈悲にぶちまける。


「これは毒だが、魔力で中和し続ければ死ぬことはない。……もっとも、魔力が底をつけば話は別だがな。このまま干からびるのを待つとしよう」


女は最初は激しく悶えていたが、魔力が枯渇するにつれ、抵抗の力は失われていった。やがて、その瞳からハイライトが消え、虚ろな色が広がる。


「おい。俺の言葉がわかるか」


「……はい、ユウ様。私はあなたの下僕です。何なりとお申し付けください」


ユウの狂ったような笑い声が地下室に響いた。魔力による抵抗の閾値しきいちを確信した彼は、次の段階へと駒を進めることに決めた。


「よし。こいつを風呂に入れて磨き上げろ。今夜はこいつで遊んでから寝るとする」


洗脳された女生徒たちは、機械的な動作でユウの命令に従った。


翌日:蹂躙のパレード

翌日、ユウは数百人の生徒がひしめき合う学園の中央講堂に現れた。 周囲には、昨晩「処理」を終えた女生徒たち。その異様な光景に生徒たちはざわつくが、ユウは構わず懐から魔道具の香炉を取り出した。


「おい、お前ら。もっと近くに来て、俺の素晴らしさを肌で感じろ」


香炉から放たれたのは、どろりとした濃厚な芳香だ。それは意志を持つ触手のように広がり、生徒たちの鼻腔へと侵入していく。


「な、なんだこの匂い……心地よくて、頭が……」


逃げようとした男子生徒が、吸い込んだ瞬間にその場へ膝をつく。ユウは壇上からその様子を愉悦に浸りながら見下ろしていた。


「抗うな。吸い込め。俺の魔力が混じったこの『種』が、お前らの脳を支配する。今はまだ心地よい匂いだろうが、俺が指一つ鳴らせば、お前らは俺の靴を舐める犬に変わるんだ」


一人の冒険者志望の男が剣に手をかけたが、匂いを吸った瞬間、腕から力が抜け、視線が虚ろに泳ぐ。


「いい気分だろう? 冒険者だろうが何だろうが関係ない。俺の前では平等に家畜だ」


ユウは、陶酔しきった表情でひれ伏す生徒たちの頭を、道端の石ころをどけるように踏みつけながら、悠然と歩みを進めていった。



夜、暗く濃い空に月が冷たく輝く頃。 ユウが洗脳した生徒たちを引き連れ、学園を去ろうとしたその時、行く手を遮る影があった。


「どこへ行く? そんな生徒たちを連れて」


フィオナが、苦渋に満ちた表情で立っていた。


「なんだ、フィオナか。俺はこの学園を捨てる。さらなる目的のためにな」


「お前さん、目が完全に濁りおったな。『勇者は災いを呼ぶ』というが、自ら災厄そのものになると言うのか?」


「そうだ。俺はこの世界の魔王になる。そうすれば、あのヒカリだって俺の元へ来るだろう? 思い知らせてやるんだ」


フィオナは震える手で大杖を振りかざした。上空の暗雲に、激しい雷光が渦巻き始める。


「ユウ……。ここで止めてやるわ。それがヒカリのため、そしてわしの償いじゃ!」


フィオナが杖を振り下ろすと、夜の闇を焼き払うような特大の雷撃がユウへと直撃した。 凄まじい衝撃波が学園を揺らし、噴煙が立ち込める。


「はあ……はあ……。これで、どうじゃ……。わしの全魔力を注いだ一撃。骨も残るまい……」


しかし、煙の先から聞こえてきたのは、皮肉げな笑い声だった。


「……この程度か? 魔法なんて、この程度の『人数』がいれば防げるんだな」


霧が晴れると、ユウは無傷で立っていた。 その周囲には、魔法障壁を強制的に展開させられ、焦げ付いた肉の盾となった数人の生徒たちが転がっている。


「な……なんということを……!」


フィオナは絶望に顔を歪ませ、再び魔法を放とうとするが、魔力は一滴も残っていない。ただ立っているのがやっとの惨状だ。


「終わりだ、フィオナ」


ユウが冷淡に手をかざすと、複数の火球が生成された。 逃げる力もない老婆へ、容赦のない火柱が降り注ぐ。


激しい炎が止んだ後、大雨が降り始めた。 黒焦げになり泥の中に伏したフィオナを、ユウは無感情に見下ろす。


「この状態でもまだ息があるのか。しぶといな。……まあいい、追手が来る前に去るとするか」


こうしてユウは、数百人の生徒を「戦利品」として引き連れ、闇夜の向こうへと姿を消した。

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