政治思想の分類
現在、様々な思想が世に出回っている。私はそれらの思想を、何を最も重視するかに焦点を置いて大きく六つに分類してみた。
今日では、様々な政治思想を持つ人がいる。その政治思想のうち主流なものについて説明していこう。
功利主義について
功利主義とは、すべての人々(ないしは国民)の幸福の総量が最大化されるように政府は行動するべきだ、という主張である。ちなみに、すべての人々(ないしは国民)の幸福の総量が最大化されるようにするために政府は人々(ないしは国民)の自由と権利を最大化するべきだ、という主張も功利主義に属するものだ。功利主義の強みは、客観的に議論をすることができるという点である。(なお、すべての功利主義者が客観的に議論をしているとは限らない。)
例 ジェレミ・ベンサム ジョン・スチュアート・ミル アダム・スミス ジョン・メイナード・ケインズ ミルトン・フリードマン
自由主義について
自由主義とは、人は生まれながらにして権利(自然権)を有していて、その権利(自然権)は政府や他人が侵してはならないものである、という主張である。自由主義においては権利は“守られないといけないものだから”守られるものであって、何らかの他の理由のために守られるものではない。また、多くの人の権利を守るために少数の人の権利を侵害するのは自由主義的には“良い選択”とは言えない。自由主義の強みは、自由主義的な議論はどのような文化的背景を持つ地域でも成立しうる(つまり自由主義的な議論は普遍的なものとなりうる)という点である。
例 ジョン・ロック イマヌエル・カント ジャン・ジャック・ルソー ジョン・ロールズ ロバート・ノージック
保守自由主義について
保守自由主義とは、近代の自由民主主義を作ったものとして従来から続いてきた慣習的な法律や制度を重視して、さらに慣習的な法律や制度を理性と合理性に基づき急激に改革することを拒否する主張である。
例 エドマンド・バーク フリードリッヒ・ハイエク
社会保守主義について
社会保守主義とは、伝統的な価値観や宗教観を重視し、伝統的、あるいは宗教的な行動を奨励ないし命令し、社会の伝統的、あるいは宗教的な秩序を維持する政府の役割を支持する主張である。社会保守主義の強みはその地域の伝統や宗教を主張に反映することができる点である。
共同体主義について
共同体主義とは、コミュニティ(共同体)の価値およびコミュニティ(共同体)の道徳観を重視する政治思想である。ただし、コミュニティ(共同体)の価値を重視するとは言っても、コミュニティ(共同体)に個人を隷属させようとするほど過激な主張ではなく、具体的な主張は自由民主主義の枠内に収まるものばかりである。共同体主義の強みは一般的な道徳観を主張に反映することができる点である。
例 マイケル・サンデル マイケル・ウォルツァー
社会主義について
社会主義とは、経済的にも政治的にも平等な社会を目指す運動である。(なお、ここで語る平等とは結果の平等のことであってそれ以外の平等のことではない。)社会主義の強みは社会の経済格差の拡大という問題を取り扱うことができるという点である。
この六つの思想のどれにも属さない思想もあるかもしれないが、すべての思想をあげているときりがないのでこの六つの思想のみをあげさせてもらった。