再会、そして
やがてライブが終わり、照明が明るくなると、観客たちのざわめきが広がった。ステージを見つめながら、俺はその音に酔いしれていたが、次の瞬間、視界の隅で知っている顔が見えた気がした。
誰だ、とそちらに顔を向けると福田の顔が見えた。
福田がそこにいる? そんなはずはない。あいつがこんなところに来るはずがない。何かの間違いだと思ったが、目を凝らすと、確かに彼が出口に向かって歩いているのが見えた。
俺は動けなくなった。彼がいるなんて、信じられなかった。だって、福田はこんなライブハウスには絶対来ない。彼が好むのはもっと落ち着いた場所で、こういう騒がしい空間とは真逆のタイプだ。それに、俺がここにいることすら知ってるわけがない。だから、何かが変だ。
でも、気づいたら足が動いていた。意識が薄れていく中で、俺は自然とその後を追い始めていた。
福田が扉を開け、外に出たところで一度立ち止まり、煙草を取り出す。俺はその後ろにピタリと付いていった。音もなく歩く彼の背中を見ながら、心の中で次々と疑問が湧いてきた。どうして福田がこんなところに? 今までの彼なら絶対にあり得ない。
彼が煙草を吸いながら、ふと上を見上げる。その視線は空に向けられ、何かを考えているようだった。俺はその隙に少しだけ距離を縮める。けれど、福田はまったく振り向かない。
何かがおかしい。こんな風に、彼を追いかけることになるなんて、俺自身も信じられなかった。だって、俺はもう死んでいるんだ。それなのに、どうして福田がこんな場所に来ているのか、気になって仕方がない。彼の目的がわからない。何があったのか、知りたくてたまらなかった。
福田が歩き始めると、俺もまたその足音を追いかける。どこに行くつもりなのか、何をしているのか。どんな理由でここに来たのか、何もわからないまま、ただ無意識のうちに足を進めていた。
そのまま、福田の後をついていく。どこに行くのか、何が起こるのか、そんなことすら考えずに、ただただ彼に従って歩き続けることが、今は唯一の自分の使命のように感じられた。