初心者投資家の失敗談(春の推理2024編)第2話
俺の名前は「大和翔太」。
ある日、俺の銀行口座に1000万円が振り込まれた。
この日を境に、不可解な出来事に巻き込まれていく。
翌朝、俺はコーヒーを淹れながらテレビをつけた。
そこには驚きのニュースが映っていた。
なんと、先日開催された投資セミナーの主催者の一人が特殊詐欺の容疑で逮捕されたというのだ。
しかも、詐欺で得た金銭はまだ見つかっておらず、捜査が続いているとのことだった。
このニュースを見た瞬間、俺の心臓は一瞬止まったかのように感じた。
俺の口座に振り込まれた1000万円がこの事件と関係しているかもしれない、
捜査が進むと俺も疑われるかもしれないという恐怖が一気に湧き上がった。
その時、スマホが鳴った。警察官の北川からだった。
「ニュースを見たか?昨日の君の話を詳しく聞きたい。昨日の喫茶店で再度話をできないか?」
俺はすぐに会いたいと伝え、午前中に会う約束を取り付けた。
不安な気持ちを抑えながら、喫茶店に向かった。
時間より早く着いたが、すでに北川は着席しており、神妙な面持ちで俺を待っていた。
「おぉ!待っていたよ。今朝のニュースの件、君にも捜査に協力してほしい。君の知っていることを教えてほしい。」
俺に気づいた北川は言った。
俺は着席するとすぐに知っていることを話した。
と言っても、ほとんど何も分からなかった。ただ、セミナーに参加し、後日1000万円が振り込まれていた、という事実を淡々と伝えた。
「そうか・・・高額金額を振り込む場合は金融機関の確認が必要だから、俺は金融機関を当たることにしよう。何かあったら連絡してほしい。」
特に有益な情報を共有できなかったが、北川に促されるまま、その場を解散しようとした。
すると解散する直前、石崎からグループチャットがあった。
「テレビ見た?セミナーの主催者が犯罪者だったそうよ。
私たち、巻き込まれたのかしら。。。また集まって話さない?」
この連絡を受け、北川も集まることに同意していた。俺も反対する理由はなかった。
即座に集まることとなり、俺は気を紛らわせるために喫茶店で物思いにふけっていた。
時間になり、昨日のメンバーがまた集まった。
昨日以上に緊張感が漂っていた。
北川が「心配だと思うが、安心してほしい。警察が必ず守る。だから、捜査に協力してほしい」と開口一番切り出した。
すると、高橋が「私は何としても家族を守りたいです。そのために全面的に捜査に協力します」と北川に同調した。
続けて石崎は不安そうに言った。「正直、私たちの情報が既に流出されている可能性もあるわ。犯人グループを全員逮捕しても個人情報の悪用を止めるのは難しいんじゃないかしら。」
それを聞いて井上は怯えながら「僕はまだ学生です。今後、就職活動も控えているので、事件への関与を疑われて今後に悪影響が生じないか心配です」
それらの意見に対して、北川はみんなを安心させるように「言う通り、影響を完全に防ぐことは難しいかもしれない。ただ、犯人グループと関係者を追えば、悪影響は止められるだろう。」と言った。
俺は北川に乗っかる形で、「俺たちのためにも捜査に協力して、犯人グループの逮捕をいち早く実現しよう」と声を張り上げた。
静かな喫茶店の店内で、俺の声が響き、少し恥ずかしかった。
それでも、高橋と井上は不安を払拭できないらしく、かなり不安な顔をしていることが印象に残った。
その後、全員に対して北川が質問していった。セミナーをどこで知ったか、セミナーの主催者との関係性、セミナー後の連絡の有無など、色々と聞かれた。
一通り聞き取りが終わった後、北川は何かを感じたのか、真剣な眼差しで皆に言った。
「捜査に協力してくれて、ありがとう。また何かあれば連絡してほしい。これ以上の被害を出さないよう、犯人グループの逮捕に尽力する!」と
不安はぬぐい切れないが、皆と共有したことで少し心が軽くなった気がした。
ただ、昨日からのやり取りの中で何となく小さな違和感を覚えていた。それが具体的に何なのかは分からないが。
その後の数週間、穏やかな日々を送っていたが、ある日突然北川から連絡があった。
まさか、この事件が予想外の結末を迎えることを俺は全く想像できなかった。
「春の推理2024」投稿作品の2話目です。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
拙い文章ですが、ご意見やアドバイス、感想などありましたら、お気軽にご連絡ください。
次回に続きますので、引き続き楽しんでいただけると幸いです。