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初心者投資家の失敗談(春の推理2024編)第1話

ある日、銀行口座に1000万円の入金があることに気づいた。

そして時を同じくして、1通の差出人不明の封筒が届き、中にはメッセージカードが入っていた。

「私の呪縛を解いてほしい。助けて・・・」

1000万円の入金とメッセージカードがこれから起こる事件の序章だとはこの時は思いもしなかった。

(2か月前)

俺の名前は「大和翔太」。

日々、デジタルの海を航海するITエンジニアだ。

最近、投資に興味を持ち、運用を開始してみたが、思うような成果は上がっていない。

そこで、知識を深めるために投資セミナーに参加してみた。

このセミナーでは有名な投資家の講演を聞いた後、同じく投資に興味を持つ参加者同士で意見を交わした。

さらに、アンケートに回答し銀行口座を登録すると1万円が貰えるという特典もあった。


(そして、現在)

ところが、1万円が振り込まれるはずだった口座に、なぜか1000万円もの大金が入金されていた。

最初は目を疑ったが、嬉しさよりも何かがおかしいと直感した。

また、同時期に届いたメッセージカードも気になった。

「私の呪縛を解いてほしい。助けて・・・」

無関係とは言い切れないが、悪戯の可能性が高いため、メッセージカードのことは一旦無視することとした。

取り急ぎ、セミナーの主催者に連絡を取ると、

「手違いで1000万円を振り込んでしまったようです。差額の999万円を指定の口座に返金をお願いします」とのこと。

手違いで間違うことあるか・・・?と疑問に思っているとスマホが鳴った。

セミナーで知り合った人たちから、近況を共有しようという誘いだった。

セミナーの意見交換は5人グループで行った。その時のメンバーで集まりたいという。

俺は他にも同じ状況の人がいるか確かめるべく、彼らに会うことにした。


待ち合わせは駅近くのレトロな喫茶店。

約束の時間よりも少し早く到着し、窓際の席に座った。

店内はクラシック音楽が静かに流れ、外の喧騒とは対照的に落ち着いた雰囲気が広がっていた。

俺は先日購入した経済雑誌をめくりながら、コーヒーを飲んで待つことにした。


最初に現れたのは「石崎美咲」だった。

セミナーの自己紹介では、本来廃棄される余剰食品を非営利団体や福祉施設に配給するプラットフォームを運営している女性経営者と言っていた。

歳は20代後半くらいだろうか?(女性に対して失礼だが)

俺に気づいた彼女は「久しぶり。元気?」と挨拶しながら向かいの席に座った。


少し雑談をしていると、二人目がやってきた。

「北川隆司」という名前の警察官だ。

歳は俺より少し上だろうか?(余談だが、俺は32歳だ)

組織犯罪を取り締まる部署にいるそうだ。

「こういう静かな場所はいいね。話しやすい」と言って、俺の隣に座った。


直後にサラリーマンの「高橋樹」がやってきた。

大手電機メーカに勤務し、奥さんと小さな二人の子供がいるらしい。

年齢は30代後半か。疲れが見え隠れしていて、少し老け顔に見える。。。


その後、少し遅れて大学生の「井上大地」がやってきた。

経済学部に所属しており、若いうちから投資を実践したいと考えているそうだ。

セミナーで話をしてみて、若いのに色々と考えていると俺は感心した。

昨年、成人式に参加したと言っていたから21歳あたりだろう。


全員が揃い、まずは近況について話が始まった。

会話が進み、場が和んだタイミングを見計らい、俺は突然切り出した。

「先日突然、1000万円の振り込みがあったんだ」と。

すると、井上は

「それは怪しいですね。すぐに差額の999万円を返金した方が良いのでは?」

と考えながらアドバイスをくれた。

そうなのか?と思いながら、みんなにもセミナー主催者から1000万円が振り込まれたかどうか尋ねた。

しかし、彼らの中で同じような経験をした者はいないようだ。

俺のケースが異例であることが分かり、単なる運営の手違いかと思った。


石崎は俺の話を聞いて驚き、「そんなことがあるなんて信じられないわ。でも、何かしらのトラブルの可能性もあるから、注意したほうがいいわね」と真剣な眼差しで助言をした。

高橋は「運営の手違いなら、素直に従っていいんじゃないか?」と提案した。あまり深くは考えていないようだ。

北川は「そういった場合は入金をキャンセルするべきだ。運営には再度振込みを行うよう促した方がいい。万が一不審な動きがあった場合、すぐに俺に教えて欲しい」と警察官としての見解を述べた。まとも過ぎる意見に俺は少し圧倒された。

続けて、井上は「最初に言ったとおり、僕も高橋さんと同じように運営の指示通りに差額を返金していいと思います。トラブルだとしても、大和さんには被害はないでしょうし」と淡々とアドバイスをくれた。


皆の話を聞いて、入金キャンセルするか返金するかの決断は一旦保留することとした。

もう少し考えてから決めると皆に話し、投資の近況報告の続きをすることとした。

話を聞くと、皆色々と苦労しているようだ。

女性起業家の石崎は事業の資金調達に苦労しているようだった。キャッシュを生み出す方法を色々と模索しているようだ。

警察官の北川は新NISAで成長株グロースと呼ばれる大きな成長を見込む株を購入したが、下落して焦りを感じているらしい。

サラリーマンの高橋は将来の養育費のことで、奥さんとの口論が絶えないらしい。早くマネープランを確立したいと言っている。疲れているように見えるのはこれが原因か?

大学生の井上は資金作りのバイトがうまく行っていないらしい。バイト先の人間関係もうまく構築できていないようだ。


皆で近況を話し終えた後、今後の投資戦略についても話をした。

ただ、全員素人のような集まりのため、中々良い案が出ずにこの日は解散することとなった。

しかし、この翌日に予想外の事態となることをこの時の俺は知る由もなかった。

「春の推理2024」投稿作品です。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

拙い文章のため、誤字脱字や読みにくい点、改善要望などありましたら、お気軽にご連絡ください。

次回に続きますので、引き続き楽しんでいただけると幸いです。

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