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変わり者認定?

「美しい女主人と変わり者のメイドがいる、ときいた。変わり者と言えば、おまえくらいだろう?」


 ちょちょちょちょっと……。


 あのベレー帽の男、ぶっ飛ばしてやりたいわ。


 元夫のセシリオのことは、事あるごとに頭の中で何千回とぶん殴ったりぶち殺したりしている。


 あいつも同様にぶちのめしてやりたいわ。


 もちろん、気の弱すぎるわたしにそんな野蛮きわまりない行為が出来るわけがない。


 書くことは出来ても、である。


 現実には、行為どころか怖すぎて口をきくことすら出来ない。


「ちょっと、いまのどういうこと?変わり者って、他のレディのことを言っているのよね?」


 もしかしたら、心の声が漏れたかもしれないわ。


 その心の声をきいたのね。狩猟用の帽子をかぶっている三人が、おたがいに顔を見合わせた。


「バカなことを。そんな男みたいな姿なりでそこら中を走り回っている変わり者の女は、この大陸中のどこを探してもここにしかいない」


 ベレー帽の男はそう断言し、よりにもよってわたしを指さしてきた。


「違いない」

「ああ、たしかにそうだ」

「ほんとほんと」


 他の三人が揃って同意する。


 ショックだわ。とてもショックだし、傷ついたわ。


「くだらんやり取りはごめんだ。女、男を知っているはずだ」

「男?どの男のことを言っているの?抽象的すぎるわ。だって、男なんてわんさといるでしょう。すくなくとも、いまわたしの目のまえに四頭・・いるし」

「なんだと、女っ!」

「やめろ。女のペースにのるんじゃない」


 四頭と言ってわざと怒らせようとしたのに、ベレー帽のせいでうまくいかなかったわ。


 作中のようにうまくいかないものね。


「もういい。おまえの家にいることはわかっているんだ。家に案内してもらうだけだ」

「イヤよ」


 ベレー帽の男に、すっきりきっぱりくっきり拒否した。


「だったら、体にきくまでだ」


 狩猟用の帽子をかぶっている一人が、いやらしい笑みを浮かべて脅してきた。


「いやらしいことをするつもりなのね」


「黒バラの葬送」シリーズでは、レディを脅したりすかしたりするシーンの多くが、悪者や悪漢にあんなことやこんなことをされ、心身ともに傷を負ってしまう。


「いやらしすぎるわ。どうせ、あんなことやこんなことをするつもりなんでしょう?」


 腰に手を当て、鼻を鳴らしてズバリ当ててみせた。


「なんだって?」


 馬上、四人は当惑の表情で顔を見合わせている。


「おれたちがおまえをどうするって?」


 狩猟用の帽子の一人が尋ねてきた。


「だから、十五歳以下のお子様は読んではいけないようなことよ」

「十五歳以下のお子様は読んではいけないようなこと?」


 四人がいっせいに叫んだ。


 え?わたしたち、何かかみ合っていないわよね。


「期待させてしまって悪いが、そういうことならおれたちの方から断らせてくれ」

「はいいいいいいい?」


 ベレー帽の男は、何を言っているの?


「殴る、蹴る、張り倒す、小突く、突き落とす、ぶちのめす。方法はまだまだあるが、おれたちのしたいことの中に性的な内容はいっさいない。正直なところ、勘弁してもらいたいよ。まぁおまえの美人の女主人だったら、よろこんでさせてもらうがな」

「めちゃくちゃむかつくんですけど」


 ベレー帽の男の理不尽なまでの持論に、控えめな気持ちを吐露してしまった。


 すると、四人はいっせいに大笑いしはじめた。


 わたし、何か面白いことを言ったかしら?


「というわけで……」

「どういうわけよ、このすっとこどっこい」


 ベレー帽の男が笑いながら言いかけたので、思わずツッコんでしまった。


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