冒頭
こちら連載版です。
暗い展開しかありませんがご了承ください。
その巫女は、歴代の巫女たちと比べると、どうしてもパッとしない印象を受けた。
決して弱いわけではない。それは巫女になったことからも明らかである。
ちなみに、歴代の巫女の中には、修行をサボり過ぎてその辺にいた木っ端妖怪に殺される・・・・
というドジを踏んだ巫女もいたが(その巫女も素質自体は優秀であった)
そのような背景諸々を加味しても、その巫女はどうも劣って見えるような感じがした。
この巫女を選んだのは幻想郷の賢者、八雲紫。
彼女は巫女を慈しむような眼で見ながら、選んだ理由をこう語る。
「強すぎる力というのは代償が必要よ。そこに安寧はないわ。
確かに今までは必要だった。でも、これからはどうかしら。
・・・見てみたかったの。
逆に力を犠牲にしたとき、その先に何があるかをね」
一人の幻想郷の賢者と一人の紅白の巫女が夢見る赤い夢
その先に広がるのは生か、死か・・・
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第1部 始まりは終わり
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朝、あまりの肌寒さに巫女は目を覚ました。
夏も中盤に入ろうかという時期、風が吹くと凍えそうなくらいの寒さである。
季節外れというには異常なほどの寒さであった。
顔を洗おうと井戸から水を汲んだものの、こちらも冷たすぎる。
異常である以上である。 巫女の手はかじかみそうになっていた。
・・・とりあえず、冷え切った体を温めるために、体を動かそう。
巫女は箒を持って、参道へと向かった。
寒さに混じって感じる嫌な予感
それは次のことを示していたのかもしれない
鳥居の真下、丁度そこに八雲紫の惨殺死体が倒れていたのだから・・・
「・・・」
○%×$☆♭!#▲三代目博麗の巫女である博麗透香はショックのあまり、その場に茫然と立ち尽くしていた。
身体中ありとあらゆる部分が切り刻まれ、顔も原型がわからなくなるほどに潰されている。
だが、血にまみれたり、破けたりしているものの、身に着けているものやわずかに残された身体の部分など、部分部分で紫と判別することができるようになっていた。
まるでわかる人にはわかるように・・・
その事実を直に突きつけるように不気味に残されていたのだ
これを直に突きつけられた透香は、目の前の事実を受け入れることができず、
ただ立ち尽くすことしかできなかった。