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生徒会室に女子生徒が尋ねてきたのは、その翌日のことだ。
エトルカと名乗ったその子は一年生という話だった。
「……大丈夫?」
彼女の顔を見て真っ先にユーリが言ったのは、そんなセリフだった。
無理もない。
なんたって、エトルカはまだ幼さを残した容貌に似合わない、大きなクマを作っていたのだから。
髪も一応櫛は通してあるものの、ボロボロになっているし、制服のシャツもよれている。
「は、はい。大丈夫、です……」
ユーリの問いにそう返したエトルカの顔色は青白く、説得力がない。
「とりあえず座ったら? お茶淹れるから」
私が口を挟むと、それもそうね、とユーリが彼女にソファをすすめた。
さて、こっちはお茶の準備……と。
茶葉をスプーンですくい、ポットの中に落とし、蓋をする。
あとは合言葉……『リーヴォ』。
唱えている間に、背後では話が進んでいた。
「今日はどうしたの? 私たちになにか相談事かしら」
エトルカは口を開いては閉じて、を繰り返していたが、やがて一つ息を吐いた。
「その……信じられない話なんです。でも、先輩は不思議なことも解決してくれるって聞いたから……!」
ん……?
「……誰がそんなことを?」
私が思わず口を挟むと、
「ソニアちゃんです。クラブハウスの件でお世話になったって……」
ソ、ソニア……!
別に私たちは探偵でも、便利屋でもないんだけどなぁ……。
「まあ、ソニアにはまた言っておくとして……その様子からすると、深刻な事態のようね」
エトルカが小さくうなずく。
「誰にも相談できなくて……私、どうしたら……!」
「大丈夫よ、私たちが力になるわ」
頭を抱えてしまったエトルカの肩をユーリがぽんと叩く。
まだ何も概要を聞いていないのに安請け合いを……と思うが、同時に妙な説得力も感じてしまった。
うーん……妖精姫のオーラは半端じゃない。
ちょうどこちらの用意もできた。
爽やかなハーブの香りが漂うティーカップを彼女の前に置く。
匂いにつられるように、視線が上を向いた。
「まずはお茶でも飲んで落ち着いて。……事情を話してくれるかしら?」
一口紅茶を啜ったエトルカは、ようやく少しだけ張りつめていた表情を緩めた。
彼女は時折言葉を探すように止まりながらも、話し始めた。
「先日の休息日の後から、同室の子が目を覚まさないんです」




