表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
妖精姫は深夜に眠る  作者: 波久音子
2.眠り続ける少女
18/45

3


 生徒会室に女子生徒が尋ねてきたのは、その翌日のことだ。


 エトルカと名乗ったその子は一年生という話だった。


「……大丈夫?」


 彼女の顔を見て真っ先にユーリが言ったのは、そんなセリフだった。


 無理もない。

 なんたって、エトルカはまだ幼さを残した容貌に似合わない、大きなクマを作っていたのだから。


 髪も一応櫛は通してあるものの、ボロボロになっているし、制服のシャツもよれている。


「は、はい。大丈夫、です……」


 ユーリの問いにそう返したエトルカの顔色は青白く、説得力がない。


「とりあえず座ったら? お茶淹れるから」


 私が口を挟むと、それもそうね、とユーリが彼女にソファをすすめた。


 さて、こっちはお茶の準備……と。


 茶葉をスプーンですくい、ポットの中に落とし、蓋をする。

 あとは合言葉……『リーヴォ』。


 唱えている間に、背後では話が進んでいた。


「今日はどうしたの? 私たちになにか相談事かしら」


 エトルカは口を開いては閉じて、を繰り返していたが、やがて一つ息を吐いた。


「その……信じられない話なんです。でも、先輩は不思議なことも解決してくれるって聞いたから……!」


 ん……?


「……誰がそんなことを?」


 私が思わず口を挟むと、


「ソニアちゃんです。クラブハウスの件でお世話になったって……」


 ソ、ソニア……!


 別に私たちは探偵でも、便利屋でもないんだけどなぁ……。


「まあ、ソニアにはまた言っておくとして……その様子からすると、深刻な事態のようね」


 エトルカが小さくうなずく。


「誰にも相談できなくて……私、どうしたら……!」

「大丈夫よ、私たちが力になるわ」


 頭を抱えてしまったエトルカの肩をユーリがぽんと叩く。


 まだ何も概要を聞いていないのに安請け合いを……と思うが、同時に妙な説得力も感じてしまった。

 うーん……妖精姫のオーラは半端じゃない。


 ちょうどこちらの用意もできた。

 爽やかなハーブの香りが漂うティーカップを彼女の前に置く。


 匂いにつられるように、視線が上を向いた。


「まずはお茶でも飲んで落ち着いて。……事情を話してくれるかしら?」


 一口紅茶を啜ったエトルカは、ようやく少しだけ張りつめていた表情を緩めた。


 彼女は時折言葉を探すように止まりながらも、話し始めた。


「先日の休息日の後から、同室の子が目を覚まさないんです」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ