表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/6

DAY__2

「う"お"ぇえ"っ、お"え"っ……」

「ちょ、な、なに!? どうしたの……!?」



 以前はハツラツとしていた彼女、オフィーリアが道で嘔吐した。

 日が落ちかけて辺りは暗い。

 それを目撃したのは唯の一人だけ、周りには誰も居ない。

 他人と言葉も交わさなくなったオフィーリア、髪も身体も手入れしていないオフィーリア、嘔吐の匂いが己の吐き気も促す。

 無視しても良かったのではないか。


 けれど、それを目撃した今年46歳になる女性は無視できなかった。

 己の死んだ娘が生きていればオフィーリアと同い年だったからだ。

 病に抵抗できずに人間を失っていくオフィーリアを、いつからか己の娘と重ねてしまっていた。


 必死に自身の息を止め、道の端でよつん這いになり嘔吐するオフィーリアに近寄った。

 嘔吐物には大量のケルアの実。

 ケルアの実は水分を多く含む実で、乾燥させると元の水分を取り戻そうと空気中の水分を取り込んでくれる、食料保存には便利な実だ。



「あ、アナタなんでこんなもの……、あぁいけない、とにかく神殿へ連れて行かなきゃ」

「う"お"ぇ、お"え"っ」



 一体何故大量のケルアの実を食べたのかは分からない。

 未だ嘔吐するオフィーリアを必死に支え、小さな田舎町で唯一治癒魔法が使える神殿へ向かった。

 小さな田舎町に似合う小さな神殿だ。

 オフィーリアのでっぷり出ていた腹はケルアの実によるものだったのか、嘔吐によって見るからにへこんでいた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ