day__2
「黒田さん。彼女の、遺体の中から変わったものが出てきました。シリカゲルだそうです」
「シリカゲルぅ? なんでまたそんなもん……遺体の腐敗でも防ぎたかったのか?」
「そうかもしれません」と部下の男。
解剖の結果、胃の中には大量のシリカゲルが出てきた。
あの不自然に膨らんだ腹は全てシリカゲルだと言う。
胃の内部に張り付いており、全て除去するのに手間が掛かったそうだ。
それと心臓がえぐり取られていた。
えぐり方は全くの素人で、医学には精通していない者の犯行だということと、膣には乾いた精液が付着していたことから、犯人は男で、遺体と性行為をしていたのではないかと部下の男は黒田に伝えた。
そして死亡から、約1年以上は経過していることも。
付着した精液から考えるに、幾度となく死体と性行を繰り返していたことも。
「はっ、胸糞悪い事件だな」
「全くです……、可哀想に……」
考えたくもないが常軌を逸した犯行だ。
そもそも誰かを殺す事自体正常ではないのに、更には身体をバラバラにし、死んだ人間と性行為をするなど。
彼女に対して執着があった男だろうか。
それを知るにはまだ手かがりが少ない。