おばぁちゃん!?
害獣は農家さん共通の悩みですね。
三十分程歩くと小麦畑が見えて来ました!!
おぉ〜!!かなり広いなぁ…ココに出るヤツかぁ…どんな害獣なんだろ?
「こんにちはぁ〜!!」
挨拶大事!!超大事!!
「はぁい。」
出て来たのはお年寄り…おばぁちゃんだ。
「どなたかな?」
「あ、あの…害獣が出てお困りと聞いたんで来てみたんですが…」
「おぉおぉ、そぉかいそぉかい…このおババを狩りに来たんぢゃな?」
どゆこと?おばぁちゃんが害獣?
「おばぁちゃんが害獣なの?」
「そぉ言ったぢゃろ?」
「どぉ云う事?」
「ほっほっほ…解らんか?ここの連中はもぉ、このおババが喰ったんぢゃ。」
なるほど…ボケてるのか…どんなボケ方してんのよ!?
ココに来るまで誰も見なかった…今は昼前…おウチから煙は出て無い、人の気配もおばぁちゃん以外に無い…
「他に人は居ないの?」
「全員食べたと言ったろ?」
「そんなの信じられないんだけど…」
「そぉかそぉか…お嬢ちゃんは魔人は初めて見るか?」
「魔人?」
「このおババみたいなヤツぢゃよ!!」
一気に殺気があふれた!?
包丁!?やばっ!!
キン!!
乾いた音が響いて、ワタシは弾き飛ばされた!!
ずざぁ…!!
なんとか体勢を整えて着地出来た。左手で茜ちゃんを抜いて包丁は防げたけど…なんなんだこのおばぁちゃんは!?
あ…目が黄色い…なんなのこの状況!?
「おばぁちゃん、何するのよ!?」
「なんぢゃ?お嬢ちゃんを喰いたかっただけぢゃよ?」
「喰いたかったって…?」
「この身体も飽きての、新しい身体が欲しくなったんぢゃ。」
「飽きた?新しい身体?」
「なんぢゃ?ホントにおババの…魔人の事知らんのか?」
「うん、知らない。」
「そぉかそぉか、なら知らぬままに死にな!!」
うわっ!?おばぁちゃんのクセにめっちゃ速いよ!?
包丁での突きを躱し、転がる。
「ほっ!?今のも躱すかい?中々どぉして、強い娘が来たんぢゃな。」
おばぁちゃんはワタシに歩いて近付いて来た。
「ハンターならそこそこ以上とは思っとったが、ココまでとはのぉ…何人かで来て、一番強いのをと思っとったが…」
今度は連続で斬りかかって来た!?
「ちっ!!」
キンキンキンキン!!
今度は茜ちゃんを抜いて弾いた。おばぁちゃんとは思えない速さと重さだ…
「最初の一発もソレで防いだんぢゃな?」
「そぉだよ。」
「中々の業物なんぢゃろ?そぉでなきゃ剣ごと斬れてたハズぢゃからな…今も傷一つ付いとらん…」
おばぁちゃんはワタシの動きを見逃すまいとじっくり見てくる…
やっぱ普通ぢゃ無いよね?ワタシを弾き飛ばす膂力やさっきみたいな速さ…普通のおばぁちゃんには無いハズだし…
どぉする!?身の危険だからっておばぁちゃんを斬る?ダメだよね?でも…そぉしないとワタシが死ぬかも…
しゅん…!!
んな!?ワタシは咄嗟に右に避けた…左頬がチクリと痛む…
「ほっ!?今のも躱せるのかい!?やっぱり次の身体はお前さんが良いのぉ…」
ヤバいヤバいヤバい!!このおばぁちゃんまぢでヤバいよ!?
背中向けたらそのままヤられるよ!!
仕方無い…全力でヤるしか無いよね…
ワタシは右手だけで茜ちゃんを構え、左手に棒手裏剣を取る。気付かれて無いとは思うけど…
少しずつ間を詰めて行く…
二人の間が三間くらいに詰まった時、ワタシから仕掛けた!!
先ずは棒手裏剣!!左手に取った二本を目を狙って飛ばす!!
「ひょほっ!?」
おばぁちゃんは目を見張りながら包丁で弾く。
アレが見えてるのか!?見えてても反射神経スゴいな!!しかし、ワタシは一気に斬りかかる!!大振りはしない、小さく打って撹乱…
「はぁ〜!!」
出来ねぇ!!
キンキンキンキンキンキンキンキン!!
かなり余裕で防がれる!?
「ほっほっほ、なかなか楽しませてくれるのぉ。」
でも反撃出来るモンでも無いみたいだけど…これぢゃ体力が保たないよ…
「ふぅふぅふぅ…」
息があがる…おばぁちゃんはニコニコ平気っぽい…
「そろそろ終わりかの?」
「そぉ見える?」
「ふむ、身体があったまってコレからが本番かの?」
「解ってるぢゃ無い!!」
「しかし、その程度だといくら頑張ってもこのおババには届かんぞい?」
「普通にやったらね…なら普通にやらなきゃ良いんだよ。」
「ほぉほぉ、どんな面白いモノを見せてくれるよかの?」
「そぉね…こんなのはどぉ?」
言ってワタシはいきなり宿地の連続で左右に移動しながらおばぁちゃんに近付く。
「おひょ!?コレはコレは、どぉなっとるのぢゃ!?三人?いや四人か?」
「ワタシは一人だよ!!」
ワタシは茜ちゃんを縦、横、斜め、に振る。そして突く!!弾くか!?
「ひょほほほほ…幻影の剣戟に惑わされて斬られるのは…かひゅっ!?」
おばぁちゃんの胸に赤い刀が横向きに生える。その時には、ワタシの幻影は消えている。
宿地による高速移動と目の錯覚を利用した分身の術だ!!
コレでダメなら打つ手がない事も無いけどジリ貧だったよ…
ワタシは茜ちゃんを横に振り抜きおばぁちゃんに致命傷を与える。
流石にコレは足にも心臓にも堪える…ワタシは立ってるのもキツくなり膝を着く。
「ひょほほほほ…面白い業ぢゃったよ…しかし、このおババを死なせる事だけは叶わぬよ。」
ちっ…このおばぁちゃん…やっぱ普通ぢゃ無い!!生き物なら今ので心臓も潰れて斬られて肺も斬れて…くそ!!幽霊とかか!?
今の状態ぢゃ防御もまともに出来ないよ!?
ぱぱぁ!!助けてよぉ〜!!
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