逃げられた!?
さてさて何があるのか…
二組の合同結婚披露パーティーは恙無く進み、色んな人との挨拶がメンドくさいくらいだ。
男爵と一緒に来た美少女、話題にならないハズは無い。が、ワタシが注目してるのは違和感だった。
誰にあるとか、そんなのは解らないけど、何かイヤな雰囲気が感じられる。
ソレが解らないってのがすごく気持ち悪い。
丁度お昼と云う事もあり、料理はほぼほぼ無くなって来ていた。
ワタシも舌鼓を打ちつつ、おぢさまの行動にも気を配る。おねぇたんにも食べさせたいなぁ…
「しかし、領主様の御息女か?スゴい美少女だな。」
「彼女を見れただけでも来た甲斐があった。」
「しかし、新婦さん達も綺麗だぞ?」
「あの美少女と新婦達は知り合いみたいだったな?」
「どんな関係なんだ?」
等々、多くの声は聞こえるが不審なモノは…
ワタシは振り返った。何かおかしい。
ワタシの動きに不信感を持ったのかおぢさまが話かけて来た。
「何かあったのか?」
「気のせいなら良いけど…なんか良くない雰囲気が…」
「なに!?私には解らんが…」
「ワタシも意識しなきゃ解らない程度なんですから。だからあんまり気を張らない方が良いですよ?警戒されますから。」
「そぉか…ならそぉしよう。」
「ありがとうございます。」
ソレから暫くパーティーは進み、ワタシは新婦二人と談笑していた。
初めて会った時、お仕事中、なんでか血祭りなんかの話題も…ソレは止めて欲しかった…ワタシがむくれると二人はイーコイーコしてくる。周りからも温かい目が向けられているが、ほとんどがほんわかした感じだ。
パーティーも終わりに近付き、新郎新婦からの御礼の話が始まった時事件は起きた。
弓矢だ!!いや、ボーガンか!?
ワタシは急ぎ四人の前に出て、最近使える様になった風の盾[風楯]を使った。
周りも、主役四人も呆気に取られていたけど、ワタシは察知した。見えた!!
何だアイツは!?逃がさないよ!!ハイヒール特訓がこんな所で役立つとか…なんか複雑だなぁ…
アイツも失敗するとは思わなかったのか唖然としている。
ワタシは走った勢いそのままに飛び蹴りを喰らわした!!
「うりゃぁ!!」
どすっ!!
「確保!!」
ワタシが叫ぶと係員さん?達がわらわらと出て来て、ボーガンを持つ残物を取り押さえた。
ついでにワタシも…なんでだよ!?
って、係員さんの一人がボーガン男にナイフを刺そうとした!?
口封じか!?
ワタシは係員っぽいヤツを蹴飛ばし、口封じを阻止した。
「その娘から手を離せ!!彼女は新婦達の親友のハンターだ。怪しい者では無い!!」
「しかし…式場での魔法使用や仲間に対する暴行です!!」
「貴様、私に恥をかかせたいのか?」
おぢさまの剣幕に係員達が少し引いた、ソレを見逃さず、係員っぽいヤツは逃げようとしている!!
「離して下さい!!逃げちゃいます!!」
ワタシが叫ぶも係員さん達は離してくれず、係員っぽいヤツには逃げられた…クソっ!!無関係な係員さんに怪我をさせるワケにもいかないから仕方ないんだけど…
「おぢさま、ごめんなさい。重要人物を取り逃しました…」
「今回は仕方ない。一般人が邪魔をしたのだからな…」
おぢさまは係員さん達を睨み付けていた。
係員さん達が固まって居る間に、係員っぽいヤツも逃げようとしていた!!
「逃がさないで!!」
ワタシの叫びも虚しく係員さん達は動かない。
しかし、ボーガン男は取り押さえられた。
動いたのは二人…エレーナさんとキャシーさんだ!!
ボーガン男も強かったが、エレーナさんとキャシーさんのコンビプレイには歯が立たなかったらしく、殴り飛ばされていた。
「貴方達は何を考えているのですか!?暗殺者に味方して人畜無害な女の子を大人数で取り押さえ、あまつさえ暗殺者が逃げる為の手助けをするなど言語道断ですよ!!しかも、その相手が男爵閣下のお連れ様で私達の親友ですよ?貴方方も暗殺者の仲間なんですか!?」
キャシーさんの怒声が響き渡る。
新郎二人も駆け付け、ワタシを解放する様に係員さん達に言って居るが聞き入れられない。
緊急措置だが、大勢の人が集まる場所での魔法の使用は厳罰なのだそぉだ。
そぉこぉしてる内に兵士さん達が駆け付けて、ボーガン男とワタシが連行される。
「タキリーさん、アキユワさん、エレーナさん、キャシーさん結婚披露パーティーをこんな感じにさせてごめんなさい。
おぢさま、おぢさまに恥をかかせてごめんなさい。」
ワタシは頭を下げて関係者に謝罪した。
アキユワさんはワタシの前に膝を着き、
「貴女が頭を下げる必要は有りません、私達を守って下さったのですから、あの係員に扮した男を取り逃したのは、貴女では無いのですし、胸を張って下さい。」
うわっ!?何だこのイケメンは!?キャシーさんもこんな優良物件に惚れられるとか…
「アヤナさん、私もアキユワと一緒で感謝こそすれ、非難は無いですよ。ここのアホな係員もあのボーガン男や逃げた男の仲間として厳罰を進言しておきます。」
キリリとした表情からは覚悟と信念が伺い知れる。
「アヤナ、この件は国も動くハズだ、お前が止めても私は動くからな。」
おぢさまは何をやらかす気だ!?
「アヤナ、私達を助けてくれてありがとうな。」
「アヤナちゃん少しの間だけ我慢しててね。」
エレーナさんとキャシーさんに抱き締められる。
「あの、男爵閣下、この娘さんは何をして取り押さえられていたのですか!?」
兵士さんがおぢさまに尋ねた。
「私の跡取りの結婚披露パーティーで暗殺者が出て、魔法を使っての暗殺の阻止と、暗殺者の一人を取り押さえた。そしてもう一人の暗殺者を撃退したが、彼女を取り押さえた者達の妨害で、一人は取り逃し、一人は新婦二人に取り押さえられた。
コレが簡単な事の顛末だ。
この件で彼女に何か有ったらお前達の首が物理的に飛ぶ事を念頭に動く事をオススメする。」
「そんな事があったのですね?」
「女王陛下に誓って嘘偽りは無い。」
「そうですか…こちらのお嬢様に落ち度は無い様なので、今回は大きな罪には問われないと思いますが…」
「いや、罪にも問われない、そうなるハズだ。」
「私にはその権限は無いので、何とも言えませんが、最大限の便宜は図らせて頂きます。」
「ソレと、レイフン商会を調べる事をお勧めしよう。」
「畏まりました。」
「お嬢さん、少し我慢してくれ。」
そぉしてワタシは兵士さんに連れられて、人生二度目の牢屋に入るのかな?
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