お見送り!?
さて、頑張って証拠を捏造して下さいね!!
「おねぇちゃん、お母様は大丈夫なのでしょぉか?」
ワタシがぱぱの執務室から出た所で、今にも泣きそぉなアヤカとアヤネとアイリスちゃんに出迎えられたキキョーちゃんはアイリスちゃんの肩の上だ。
「多分…大丈夫…なんかすんごいやる気になってるんだよね…空元気ぢゃ無きゃ良いんだけど…ぱぱに任せるのが一番かもね。」
「そぉなのですね…でも、お婆様とお祖父様が…そぉ考えると…」
アヤカの目から涙が!?この気丈な妹が!?
ワタシは堪らずアヤカを抱き締めた。ワタシよりちょっぴり大きな妹だけど、ワタシは胸に抱き頭を撫でて落ち着かせる。そして自分達の部屋に移動して、アヤネはまだ良く解って無いし、アイリスちゃんとキキョーちゃんは…悪いけど部外者だから良いとしても、アヤカは…
「ワタシはなんか嫌われてるなぁって感じだけど、その背景が背景だったから仕方無いけど…」
「私もまさかおねぇちゃんがあんなになるとか思ってもいませんでした…」
と、話していたら、
こんこんこん
と、扉がノックされた。
「はい、どなたですか?」
ワタシは応え、扉の前で臨戦態勢を取る。
「カノンです。」
って…声もカノンさんだ。
「どぉぞ。」
ワタシは招き入れた。
「失礼します。」
うん、本物のカノンさんだね。
「カノンさんどぉしたの?」
「アヤナ殿下、私達の仇を取ってくれてありがとう御座います。」
ってワタシに傅かないで!!ん?仇?
「えっ?ソレは前に…」
「いいえ、直接の事は前にも有りましたけど、その…原因になった組織の事です。」
「あぁ…猛超犯党や北犯党の事?」
「はい。」
「う〜ん…実際全部たまたまだったからね…感謝しなくても良いと思うけど…」
「しかし…感謝だけは伝えさせて下さい。」
「わ…解ったわ。でもね…」
ワタシはアヤカとアヤネをチラっと見遣る。
「あ…」
カノンさんも気付いたみたいに立ち上がり、一礼をして部屋を出て行った。
嬉しいのは解るけど、一応メイドさんなんだからさ…
「ごめんね。」
「いいえ、カノンさんの立場なら居ても立っても居られなかったのでしょぉ…一緒に助かったのは四名でしたかしら?」
「うん…」
「その元締めでもあったのです。私へのお気遣いは…」
全部は言わせたく無い。可愛い妹を苦しめやがって…くそあのジジババめ!!おぢさまとオタオイ公爵にやられやがれ!!
「アヤカ、遠慮はしなくて良いんだよ。」
「おねぇちゃん…」
ソレから泣き疲れるまで泣いてアヤカはそのまま眠りに落ちた。
催眠の術でジジババを嫌いって植え付けても良かったかも…
あとでぱぱに相談してみよぉかな。
アヤネはホントにワケが解って無いから、
「なんでお姉様は泣いてたの?」
って…説明出来ねぇ…
アイリスちゃんとキキョーちゃんはそんなアヤネの気を逸らそぉとしてくれててホント有難い。
「なんでだろぉね?ワタシにも解んないや。ほら、アヤカ寝ちゃったし、ワタシ達は遊ぼっか?」
「うん!!」
「はい。」
アヤネとアイリスちゃんは元気に返事をするけど…
「その遊びって…」
ってキキョーちゃんにはバレてるね。
「ままには内緒だよ。」
ワタシは右手の人差し指を口に当て、シーのポーズを取り、悪戯っぽく笑った。
ソレから王族用の庭で、今日の遊びはかくれんぼ。
上手く気配を殺せるかな?
うん、アイリスちゃんはなかなかやるわね。一瞬ぢゃ解らないか…アヤネは…なんでかなぁ…文字通りの頭隠して尻隠さず…隠れ切れて無いぢゃんかぁ!!子供だから仕方ないか…
「はい、アヤネ見ぃ付けた!!」
「はにゃ!?なんで解ったの!?」
「可愛いお尻が出てるもの。ちゃんと全身隠さなきゃ。」
「はぁい…」
少ししょげてて可愛いなぁ!!もぉ!!ってそれよりアイリスちゃんはドコだ?
その時、木の枝が微妙な揺れを見せた。アヤネはそっちに目をやるけど…実体は…
「アイリスちゃん見ぃ付けた!!」
「あちゃぁ、おねぇちゃんには通じなかったかぁ…」
「えっ!?ウソなんでそんな所に!?」
アイリスちゃんは枝が揺れた木の隣の木の根本に居たんだよね。
「なかなか上手くやってたけど、枝を揺らしたのはダメだったわね。アレで注意を引き付けて逃げるつもりだったんだろぉけど、微妙に気配が漏れたわよ?」
「そっかぁ…」
「でも、普通の人達にはすんごい有効だよ。」
「うん!!」
「ぢゃぁ次は二人が探す番だよ。」
そぉ言ってワタシは二人の近くの植え込みに潜んだ。
「「…にじゅうぅ!!」」
二人はキョロキョロしてワタシを探し始めた。少しでも遠く、隠れ易い場所と考えたのか、ワタシの傍を通り過ぎて遠ざかる。ま、こんなすぐそばに居たとか考えないよね。
ワタシは石を拾い明後日の方向に投げ、また身を潜めた。
小さな音がして、アヤネとアイリスちゃんはそっちに駆け出した。いや、なんで二人共抜き足が完璧なんだ!?完全に足音もしないんだけど…
その時、
「アヤナ殿下!!ホフマン殿達が発たれますので、御見送りをお願いします!!」
って宰相さんが呼びに来た。
「はぁい!!」
ワタシは立ち上がり宰相さんの足元から立ち上がった。
「のわっ!?アヤナ殿下!?えっ!?何処から…!?」
「ずっとココに居ましたよ?」
「や、全く気付きませんでした…」
「気付かれない様にしてましたから。」
と、話してたらアヤネとアイリスちゃんが走って戻って来た。
「おねぇたんココにずっと居たの?」
「全く解らなかったわよ…」
「えっへん!!」
ワタシはドヤ顔で二人に応えた。
そして、お城の入り口前で、ホフマンさん達十名を送り出す。乗り物は…ハルノちゃん謹製の自動車だ。ある程度魔法を使える人なら十二時間くらいは余裕で運転出来る代物で、速さも馬車なんか比べ物にならない!!
「では行ってまいります。」
「はい、お気を付けて、“しっかり”としたい仕事を期待致します。」
「はい。“しっかり”仕事をして参ります。」
ワタシの言った“しっかり”の意味はしっかり伝わったみたいで良かったよ。
[回転するだけの魔具]の回転する音だけを立てて自動車は走り出した。
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