標的はおぢさま!?
こっちは思惑通りかな?
「貴方達は私に恥をかかせたいんですか!?」
少女はワタシを庇うよぉな立ち位置を取る。
「姫!!危険です!!そんな得体の知れない者に背を向けるなど!!」
「貴方達の云う通りの者でしたら既に私に害が及んでいますわ!!」
「しかしですね…」
「あ〜もぉ、良いからワタシ仕事に戻りたいんだけど?」
何か身内で言い争うのでワタシはクマさんを魔法の袋に入れながら言う。
「こんな幼い少女が一人でハンターなど出来るワケが無いではないですか!!」
ふむ、一理あるな。でも現実だ。
「ソレが出来る数少ない方なのでしょう?簡単な事です。」
正解だよ。でもね…
「まさか助けたのに、悪者扱いされて嫌な気分なんだよ?この娘は現状を理解しているのに、貴方達はどぉあってもワタシを悪者にしたいのよね?なんでかなぁ?」
ワタシは少女の頭を撫でつつ護衛さん達を睨む。
「貴様!!我等を愚弄するか!?」
「愚か者を愚弄するのは当然でしょ?」
「言わせておけば!!」
今にも斬りかかりそぉな剣幕だ。
なんだろ?違和感が拭えない…
「コレでは計画が…」
護衛さんの一人が呟いた。ワタシの耳を侮るな!!聞こえたぞ?計画?何の?
「もぉ良い!!こんな小娘に構うな!!」
さっき投げたヤツが目醒め少女を、抱き上げる。
「離しなさい!!」
「うるせぇ!!この小娘が!!」
なんだ!?この展開は!?
「何をしているんだ!?」
「ソコの小娘に暗殺された事にすれば丸く収まるだろぉが!!」
何を言ってる?
「コイツの首を持って行けばどぉとでも言い訳は立つ!!」
護衛達は顔を見合わせている。
なるほど。
クマさんに長モノを使っていなかったのは、クマさんに馬車を襲わせる予定だったのか…でも、コイツ等アホだね…
取り敢えず少女を助けるか…
ワタシはさっき投げたヤツに向かって、太腿に装備してるホルダーから、一本の棒手裏剣を取り投げる!!
「うぎゃぁ!!」
狙い通り左目に刺さる。
落ちる少女を抱き止める。
「危ないから下がってて!!」
言って目を押さえてるヤツを蹴り飛ばし、喉元にスティレットを刺す。
断末魔も上げず黙る。
刺さってる棒手裏剣を引き抜く。
「アンタ等アホ?誰に頼まれたか知らないけど…護衛対象を護り切れない無能に今後仕事があるとでも思うの?」
「知った事か!!二人共殺せぇ!!」
五人の護衛が剣をワタシに向けてかかって来る。
最初の一人はスティレットで剣の軌道を変え、力を下に向け、体勢が壊れ頭が下がった所でコメカミに肘を叩き込む。倒れ込むのに合わせて首を踏み折る。
そこにまた剣が横薙ぎに振われる。ソレを地に伏せ躱し、前転で起きあがり踵を鼻っ柱に叩き込むが、いかんせん、重さ不足だ…
当たったって程度だが、さっきの棒手裏剣を投げ自分の体勢を整え、顎を蹴る。そのまま倒れてくれた。らっきぃ!!
って思ってたら槍が来た!?
クマさんの時は使って無かったのに!!
真っ直ぐ突かれたから何とか躱せたが…どぉしよぉ…三方を囲まれた。
攻撃するにも微妙な距離だ…
正面から槍が横薙ぎに振われる、ソレを後ろに躱し左後ろに居たヤツに向かう。
スティレットを捨て、左に下げてる刀を引き抜き慌てる護衛の腕を斬り落とす。
「うがぁ〜!!」
大声を上げ膝を着く、ソコに顔を膝蹴りをしつつ刀の柄頭で脳天を叩く。[顎門]と云う技だ。
コイツはコレで無力化した。
残り二人。
ワタシも少し息が上がる。
剣が上から降って来る。
ソレを左に躱し刀を振り抜き首を落とす。
残りは槍のみ。
「ちっ!!」
舌打ちをして、馬車の方に走り出す。
馬車を追い抜いた所で首が飛ぶ。
御者席からレイピアだっけ?細い剣が伸びている。
「たく…どいつもこいつも頼りにならん…
せっかくノコヤミのあの邪魔な男爵をどぉにかする機会だったのになぁ…」
何だと!?あのおぢさまの敵か!?
「領主のおぢさまを落とし入れたかったの?」
「そぉだけど?」
「おぢさまの敵か…殺す。」
なんか自然とスイッチが切り替わった。
じりじりと御者との距離を縮める。
御者が動いた!!
んな!?なんにゅう速さ!?躱すだけで精一杯!!躱した自分を褒めたいくらいだ!!
「ほぉ…今のを避けますか…名乗っておきましょうか…」
「イヤ要らないから…」
言い様に左の太腿の棒手裏剣を投げて…間を詰める。
キンキンキン!!
三合程打ち合い離れる。
なかなかに強い。このまま打ち合うのは得策では無いなぁ…
そっとバッグからピンポン玉位の玉を取り出すと少女を背に庇う位置に着く。
かなり焦って来てる。
御者との間にスティレットを確認!!
玉を投げて走る!!玉が御者の足元に…ボフっ!!ケムリが上がる!!ワタシはスティレットを御者に向け蹴やる!!
キン!!
御者がスティレットを弾く!!
ソコに一瞬の隙が生じた!!
今度は左で棒手裏剣を投げて、弾かせる。
御者の意識を上に向けさせ…
「なっ!?どこだ!?」
足から滑り込み、蟹挟みでうつ伏せに倒してそのまま背中から心臓に刀を突き刺す。
「ぐはっ!?」
一瞬何が起きたか解らない感じだっただろぉが、死の淵で理解しやがれ!!
「な…なんと卑怯な…」
「その通りだけど、アンタみたいなクズには言われたく無いわね。」
なんとか死体を量産して難を逃れた。
「ケガは無い!?」
少女に向けて声を掛ける。
「貴女こそ大丈夫ですか!?」
元気らしい。
ワタシは起き上がり、少女の下へ行く。
血生臭い殺し合いを間近で見たんだ、精神的に来ると思う。
「暫く向こう向いててくれるかな?」
「何故ですか?」
「死体は見たく無いでしょ?」
「あ…」
彼女は素直に後ろを向いた。
ワタシはクマさんを入れた魔法の袋に死体を詰めた。生き残りは二人、五体満足なヤツを縛り上げ起こす。
「はが!?」
顎がどぉにかなっているのだろぉ、まともに喋れない。
腕を斬ったヤツを起こしもう一人に見える様にする。そして…
「情報源は一人居れば充分よね?」
満面の笑みで首を刎ねる。
五体満足な護衛は水溜りを作る。
全ての死体を詰め終わり、少女に声を掛ける。
「終わったわよ。」
少女は此方を向きワタシに、抱き付き泣き出した。
返り血に濡れたワタシだが、今ばかりは彼女が泣き止むまで抱き締めた。
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