ナンパお断り!?
とりあえず…イタオオを目指してます。
翌朝、ワタシはすこぶる驚いていた。筋肉痛を覚悟していたんだけど…まったくその兆候が無く、それどころか普段より身体が軽く感じていたからだ。
「なんで!?」
「彩奈ちゃんどしたの?」
キキョーちゃんも起きてたらしくワタシの疑問に問いかけて来た。
「いやね…筋肉痛がまったく無くて…」
「あぁ〜…彩奈ちゃんは何度か水をかぶって湯船に入ってをくりかえしたでしょ?」
「うん…」
「その効果ぢゃ無いの?あと、自分で揉み解してたし、お風呂で効果倍増だし、柔軟もしっかりしてるからね。」
「そっかぁ…アレが良かったのかぁ…」
無意識にしてた事が功を奏したってのは有難いね。コレなら今日一日走っても平気かな?
妹二人を叩き起こす。
「ほらほらアヤカ!!起きて。アイリスちゃんも!!」
ぱんぱんぱん!!
柏手を打ちながら二人に声をかけ、身体を揺すると、
「ん…んん〜…」
「ふにゅ〜…」
うん、夢心地なんだね?いいわよ?そっちがその気なら…
「とりゃぁ〜!!」
ワタシはアヤカにフライングボディプレスをかましてカウントを始める!!
「わん…つぅ…すり…」
「きゃぁ〜!!」
カウント二、九六…一番お客さんが沸くタイミングでアヤカは起きてくれた!!流石ワタシの妹だ!!ちゃんと解ってるなぁ…
「おはよ!!」
「お…おはようございます…って、なんて云う起こし方を!?アヤネと変わらないでは無いですか!!」
「えっ!?だって…揺すって起こしても気持ち良さそぉにぐっすりだったからイラっとして…」
「そぉだったのですか?それは…すみません。」
「良いのよ、まだ一人居るんだから…そぉだ!!アヤカがおねぇちゃんらしく起こしてあげたら?」
「私がですか!?私がこの天使の寝顔をなんとかするのですか!?」
「そぉだよ?」
「やってみます…」
決意して、アヤカはアイリスちゃんを起こしにかかる!!
揺すって、大声を出して、ほっぺをぷにぷにして、ちうして…色々していたけど、やっぱり起きないか…
最終作戦、布団剥がしの刑でやっとアイリスちゃんは起きた。
「ん〜あとちょっとぉ…」
完全に寝ぼけてるね…
「そのあとちょっとが命取りなんだよ!!」
と、久々のベッドから引きずり出す。
「う〜…おねぇちゃんは甘えん坊なのに厳しいですぅ…」
って反撃されちゃった…甘えん坊とか関係無いでしょ!?
「はいはい、起きたらお着替えして、顔洗って、歯磨きしてから朝ごはん食べるよ!!」
あれ?コレって…
「おねぇちゃんがまるでおかぁさんみたいですぅ…」
って、寝呆けながらおかぁさん扱いされちゃぅた…
朝ご飯はこっちぢゃ普通のパンとお魚さんのスープと、お漬物っぽい何かだ。うん、ワタシのお腹には丁度良いかもね。
朝食後、宿の女将さんにお礼を言って外に出ると…馬車乗り場が有った!!久々の馬車旅も良いかな?ワタシは御者さんに聞いてみた。
「あの…イタオオまでとか出てますか?」
「イタオオかい?ソレならこの馬車の目的地から出てるよ。イサキで乗り継ぎだよ。」
「ありがとう。」
って、アヤカと相談する。
「馬車も良いかも知れませんわね。お姉様も走り通しですし…」
「サンセー!!」
「ウチもキツいから…」
って事で、御者さんに、
「三人と一匹お願いします!!」
「あいよ、銀貨で三枚だよ。」
「はぁい!!」
思ったより安いな…って感じながら銀貨を渡した。
そして待つ事三十分くらい、
「イサキ行き、出発するよぉ〜!!」
って御者さんが叫ぶとわらわらと人が集まり、ワタシ達を含めて十人程が馬車に乗った。三人組と二人組が二組…全員ハンターさんみたいだね。
全員が乗ったら馬車は出発した。
「私、乗合馬車は初めての経験です!!なんだかワクワクします。」
「私も初めてです!!お姉様と一緒ですよ!!」
と、妹達ははしゃいでるけど、目の前の青年三人組に目を付けられてるっぽい…
「ねぇねぇキミ達もハンターなのかい?」
ほら来た。
「ワタシはね、この二人は…身分は明かせないけどお偉いさんの御息女よ。」
「へぇ…そぉなんだ。」
「女の子ばっかぢゃ何かと物騒だろ?どぉだ?護衛としてオレ達を雇ってみないか?」
「そぉそぉ、おっかない魔獣とか出るから雇ってて損は無いぜ?」
何やらイヤらしい笑みを浮かべて…ナンパが始まったってトコかな?
ま、美少女三人組だから当然だね。
「ワタシが護衛として付いてるから心配無いわ。」
「いやいや、お嬢ちゃんがどれだけの実力者かは知らねぇけど、イノシシの魔獣とかも出るんだぞ!?対処出来るつもりなのかい?」
イノシシさんかぁ…
「イノシシさん!?わぁ!!ホントですか!?」
「ん?あぁ…珍しくも無いなぁ…」
「あれ美味しいんだよねぇ…出て来ないかなぁ!!」
もぉ、ワタシのお口はイノシシさんしか受け付けないイノシシさんモードになってた。
「よし!!イノシシが出たらオレ達でやっつけてやるよ!!」
うん、かなり息巻いてやる気満々っぽいけど…彼等の持ってる武器は…ナイフ、弓…ボウガン?に粗末な槍と細い剣…やり様に因っては大丈夫だろぉけど…
「ま、期待はしないわ。」
「んな!?」
「おいおい…オレ達はあの血祭りにも勝った事もあるんだぞ!?」
「そぉそぉ、知ってるか!?あの八つ裂きの娘なんだぞ!?ソレに勝った事もあるんだからな!!」
えっ!?ワタシに勝ったの!?負けた憶えはパパ以外には無いんだけど…
「ふぅん、血祭りが居るのはケタタ地方のノコヤミでしょ?あんな遠くまで行ったの?」
「ん?あぁ…オレ達はユガナから来てるんだ。」
「ノコヤミの隣なんだ。」
「だからノコヤミの組合に顔を出す事も有るんだよ。」
「ソレであの血祭りとも面識があるんだぁ…」
と、彼等の事は解ったけど…見憶え無いし…交流とかほとんど無かったけどなぁ…
「お姉様のお知り合いでしたの?」
「いや…ワタシは知らないよ?ユガナで知ってるのはユマさん、ゴンゲンさんノガナさんの三人だけだし…」
「何!?あの三人と知り合いなのか!?」
ん?なんだ!?有名人だったの!?
「ユマさん達って有名人だったの!?」
「有名人かどぉかは知らないけど…ユガナぢゃ一番のハンターチームだぞ!!」
「あ〜…そぉなんだ…うん、そこそこ強かったからなぁ…」
「そこそこなんですか?」
「三人でギィシャさんの稽古相手になるくらいには…」
「ソレはかなり強いですよ!!」
アヤカの質問に答えたらアイリスちゃんが驚いている。
そりゃそぉか、アイリスちゃんはどんなに頑張ってもギィシャさんに手を出して貰えないくらいだもんねぇ…
「ん?ギィシャって誰だい?」
「ハンターをしながら、乗合馬車の御者が本業って人ですよ。」
「へぇ…そ…そんな人も居るんだな…」
「まぁ、あの血祭りに勝った様な人は知らないと思いますけどね…」
とのワタシの一言に、
「あ…あぁ…大概の乗合馬車にはハンターが乗る事が多いから、気にした事とか無かったなぁ…」
って、声を振るわせて答える…名前が解らない男の子。
ソレに追い討ちをかける様にアヤカが、
「ところで…皆さんは血祭りに勝ったと仰っていますが、嘘ですよね?」
「んな!?なんだと!?」
「ソレは本当だぞ!!」
「なにで勝たれたのですか?」
「そ…そりゃぁ模擬戦で…」
「そんな嘘を云わないで下さいまし。」
「なんだと!?オレ達が嘘吐きだってぇのか!?」
「はい。その血祭りに勝ったのはいつの話ですか?」
「さ…三ヶ月くらい前だ!!」
「その頃ですと、私達もノコヤミに居ましたが、貴方方は見かけませんでしたよ?血祭りが負けたなんて話も聞きませんでしたし…」
「んだとぉ!?ふざけんな!!」
と、男が怒鳴り出した。
丁度その時、ワタシは感じてしまった。キキョーちゃんも感じているみたいだ。
「御者さん!!停めて下さい!!前方に魔獣です!!」
ワタシは咄嗟に叫んだ。
ソレに合わせて御者さんが馬車を停めてくれた。
「お嬢ちゃん、本当かい?」
「はい、四百バランくらい向こうです。」
「ほぉ…そんな向こうの方が見えるのかい?」
「見えないけど解ります!!」
「どんな種類かは解るかい?」
「そこまでは…」
「そぉだ!!おねぇちゃん!!あの血祭りに勝ったこの人達なら大丈夫なのでは無いですか!?」
アイリスちゃんに話を振られた三人は、
「んな!?」
「えっ!?」
「ちょっ!?」
なんて慌てながらオタオタしている。
同乗者の二人組二組は…かなり強い人達だよね?
傷も多いけど、しっかり手入れされた武具を見る限り…
「あの三人は腰抜けさんで魔獣狩りに行きたくないらしいですけど、貴方方はどぉします?」
「中々面白そぉな展開するだな。」
「行ってみるか?」
「お嬢ちゃん、魔獣が居るのは本当か?」
「えぇ、お馬さんも気付いたみたいですから。」
黙ってた方の二人は何も言わずに馬車を降りた。
「しょうがねぇな…」
と、こっちの二人組も馬車を降りる。当然ワタシ達も降りて、前方に走り出した。
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