暗殺者さんですか!?
事件てなんだ!?
がきん!!
ほぼ気配も殺気も無く凶刃が陛下さんに振り下ろされる!!
ワタシがソレを防いだんだよ!!褒めて褒めて!!…ってそんな余裕無いから!!
ワタシは警戒からずっと見えない様に、茜ちゃんを忍ばせてたんだけど…
「挨拶も無しに斬りかかって来るのが暗殺者さんの礼儀だとは知ってたけど…」
「………」
暗殺者さんは何も話さない。
「陛下さんはもぉ戻って!!ワタシ達の事は気にしないで!!早く!!」
陛下さんは状況把握に真剣になってあわあわしている。
「ぷっ!!」
きんきんきん!!
含み針!?毒は無いハズだけど…確実に陛下さんを狙ってたよね!?
「陛下さんを狙って…みんな!!陛下さんを逃して!!アヤカを守って!!魔法は無意味!!全部避けられると思って!!」
みんなは無言で陣形を作った…
「数日前、殺気ダダ漏れさせてた人だよね?まさかこんなトコで会うとは思わなかったよ…」
ワタシが睨み付け、牽制し、陛下さんが逃げるまでの時間稼ぎをする。
「ぶひひぃ〜ん!!」
陛下さんが馬車に乗り込み街に逃げ帰ってから…
ききききききん!!
ワタシと暗殺者さんは何合と斬り結び合う。
「ちょっと!!皆さん見てるだけなのですか!?」
アヤカの檄が飛ぶが、
「姫、横槍は不可能だ。アヤナ姫の邪魔になる…」
「ソレに、目で追うのがやっとですよ。」
「アヤナ姫が押さえてくれてるからこっちに気を回せない…そんな感じなんですよ…」
後ろから話し声が聞こえるけど…確かにコレは凌ぐだけで手一杯なんだよね…しかもこのイヤらしい技…知らなかったら一発で…ここぉ!!
相手の打ち終わりを狙い澄まし!!金的!!
右足を軸に左に回転して躱され、そのまま剣が首を薙ぎに来る。
ぎきぃ〜ん!!
何とか茜ちゃんで防ぐ。あっぶねぇ…まさか金的を[回斬転]で返して来るとか…でも…あの金的を躱しての切り返し…まさかね…
「貴方が何故陛下さんを狙うのか教えて欲しいんだけど?」
「………」
やっぱり答えてくれないか…
「カオナガって町はなんで襲ったの?」
「………」
「貴方が人間側の人だったらあの陛下さんは狙わない方が良いわよ?あの陛下さんが納めてる限りは平和だと思うから…」
「………」
ちん…
暗殺者さんは納刀し、姿と気配を消した…
「もぉ良いわよ…完全に消えたから。」
ワタシ達に見付かって以降気配は消してなかった…殺気すら出してなかった…いや、陛下さんに斬りかかった時だけは殺気を消しきれて無かったな…
いや…あんな使い手が殺気を漏らす事は無いだろぉ…って事は…解ん無い人だなぁ…
「お姉様?本当に大丈夫ですか?」
アヤカに声をかけられて、ワタシも茜ちゃんを鞘に納め、
「大丈夫だよ。」
「いえ、お姉様にお怪我は御座いませんか?」
「あら?ワタシの心配もしてくれるの?」
「たった一人の姉ですもの!!出来れば危険な事はして欲しく無いのです!!」
って…目に涙を溜めるのは反則だよ!!
ワタシは堪らずアヤカを抱き寄せた。
「おねぇちゃんはね、妹を守る事が出来て安心してるんだよ。命に変えても守りたいんだから。」
「イヤだ!!私のおねぇちゃんに死んで欲しくないよ!!さっきの戦いも死んでても不思議ぢゃなかったモン!!」
ありゃりゃ?言葉遣いが…ソレだけ真剣なんだね。
「大丈夫だよ。ワタシはちょっとやそっとぢゃ死なないから。ね?安心して。」
「はい…」
アヤカの流す大粒の涙を綺麗なハンカチで拭いてあげる。
「アイリスちゃん、バルコーさん、ギィシャさん、さっきの動きはどれだけ見えてましたか?」
ワタシの問いに二人は考えて、
「細かな所は全く見えてませんでしたよ。」
「オレもだな…あの戦闘に入るのは自殺と変わらんと感じる程だった…」
「私は何が何やら…」
やっぱりか…相手が強かっただけに本気で動いたからなぁ…
仕方無いか…
「帰ったらお城の練兵場で歩き方の特訓だよ!!」
「歩き方ですか?」
「そぉ、最低限…コレくらいは出来る様になって貰うわ。」
と、抜き足をしてミルキーさんの後ろに回っておっぱいを…
「やっぱりもぎ取りたい…」
「きゃん!?姫様!?えっ!?なんで!?ってもがないで下さい!!」
って慌て方が可愛いぢゃんか!?
「お姉様!!お手伝い致します!!」
「ぢゃぁ…オレも…」
って、誘蛾灯に引き寄せられる虫みたいに…ここはあのお笑い芸人さんのネタを…
「どぉぞどぉぞ!!」
「差し出さないで下さい!!」
叱られた…解せぬ。ってどこの古武術使いだ!!修学旅行で行方不明とかアホなおにぃちゃんだよ…
「姫様、お戯れはその辺で、ギィシャ殿もするなら二人きりの時にして下さい。」
「二人きりとかなりませんから!!」
うわぁ…ミルキーさん必死だなぁ…
「ま、おふざけはこの辺にして…ね?緊張解れたでしょ?」
「あ…確かに…その為の行動だったんだ!!流石おねぇちゃん!!」
と、アイリスちゃんに褒められてえっへんってした。
「それにしても…その格好と靴で良くアレ程…」
って…そこですか!?
「お姉様はジウリア卿の所でメイド長さんに厳しく教育を受けましたもの。」
「ちょっ!?バラさないでよ!!」
ワタシの顔は多分真っ赤っかだと思う。みんなはワタシの慌て様に大爆笑だった。
明日の夜にお手紙貰ったら帰るだけなんだけど…あの暗殺者さん…どぉ動くかなぁ?
ワタシ達は手頃な洞穴を見付けて今夜はソコで過ごす事にした…
だって雨が降り出したんだもん…
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