なんか褒められた!?
領主よ御覚悟を!!
領主の覚悟を聞き、これ以上の気遣いは失礼になると思い、ワタシも意を決し話し出した。
「御子息はハンターをされているとか?」
「如何にも。世間を見て、民と触れ合い、民の気持ちを知り、民の為に成るであろう政策で民が苦しむ時も有る事を知り、断腸の思いで、推し進めなければ成らない事もある。只人として生きる事でソレを知って貰う為だ。」
「その思いは愚息殿には届いておりませんが?」
「何だと!?」
「此方のアイリーさんは、ハンター組合の支部長さんの御息女、そのアイリーさんが嫌がっているのに伽を強要したり…まぁまだソレはなされて無い様ですが、あまつさえ、つい先日まで悪漢共に攫われ、行方不明にになっていたのにソレも知らず、助けるどころか無関心、久々に見かけたからとその様な愚行に走り、民を家畜だと言い放つ始末。ワタシも性奴隷にと言われましたが…まぁ良いでしょう。そんな行方不明になってたアイリーさんを心配する素振りも無く…となれば悪漢共と繋がっていて…と考えたくもなります。
ワタシの出身地には『親は子の鏡、子は親の鏡』と云う言葉がありますし、『勇将の下に弱卒無し』ともあります。子は親を見習う、兵は将を見習う、そんな意味合いの言葉です。ソレに照らせば、領主様の、人となりは推して知るべしなのですが…如何ですか?」
ココまで聞き、顔を真っ赤に、怒りに震えて居るが、ソレでも平静を取り戻し、
「支部長殿に御足労願え。話の続きはソレからだ!!」
言い放ちワタシ達の前から姿を消した。
「ちょっとぉ!!彩奈ちゃん!!何考えてるのよぁ!?領主様を挑発って!?」
ワタシの肩を持ってガクガク揺さぶる。
「ホントの事を言っただけですよぉ〜」
「それにしても言い方ってあるでしょぉ!!」
「だからあぁ言ったんですよぉ〜」
ワタシの震える声に揺さぶるのを止めてくれて少し考える。
「何かの作戦が!?」
「案の定カトシおじ様が呼ばれましたら、多分おじ様を伴ってコッチに来ますよ。のんびり待ちましょぉ。」
「ぢゃぁ、少しだけ落ち着くわ。」
「そぉそぉ、焦っても良い事無いですよ、って言うか…あのおぢさま恐かったよぉ!!」
やべ…緊張の糸が解れて泣き出しちゃった。またアイリーさんの胸を借りた。
泣き止んで落ち着いた頃、おじ様を伴い
領主様が牢に来た。
バカ息子も一緒だ。
後は兵士さん…あの隊長さんだ。
「さて、先程の続きだが…トモタ殿に問う、アイリー殿が人攫いにあっていた事相違無いか?」
いきなり話を振られ慄くおじ様、がんばれぇ!!
「はい、間違い御座いません。」
「捜索や衛士への届けは?」
「衛士隊にも勿論届けはしていました。」
「衛士隊はソレをどぉ扱った?」
隊長さんもおっかなびっくりで応える。
「他にも複数名の女性の行方不明がありまして、関連性やその前後の聞き込み等を致しておりました。」
「何故、人攫いと気付かなかった?」
「ソコも視野には入っておりましたが、中々捜査も進まず…」
「何故捜査が進まなんだ?」
「上からの命令です…余りソコに人員を割くなと…」
「その事件が私の耳に入っていたらばソレは無いのだが…その上を呼べ!!」
「はっ!!」
隊長さんは返事をしてすぐに出て行った。
「さて、支部長。その事件は誰が解決させた?」
「はい、ソコに居ます、桐生彩奈殿に御座います。」
「ふむ、して犯人は?」
「八人全部死体で衛士隊が持ち帰りました。その八人に与した四名も桐生彩奈殿により捕縛されております。」
「では、桐生彩奈よ、何故お前に助ける事が出来た?」
ワタシは迷子から組合での立ち回りまでを語った。
聞く側からしたら荒唐無稽だよねぇ…
「デタラメを云うな小娘が!!おおかた貴様が仕組んだ事だろぉが!!貴様の様な小娘に何が出来る!?その死んだ八人も貴様が用意した奴隷か何かだろぉ!!即刻我等を謀った罪でその首刎ねてやる!!」
コイツ…ホントのばかだ…
ワタシは怒りを通り越して呆れた。
「何か反論はあるか?」
「流石にココまでの言い掛かりは予想しておりませんでした。呆れ果ててその気力も御座いませんが、全てそのばかの言い掛かりに御座います。」
「誰がバカだ!?おい!!早くコイツの首を刎ねろ!!」
喚いて兵士さんに命令するが、この場の命令権は領主のおぢさまが持ってるんだぞ?
「少し黙れ!!」
ほら、流石におぢさまに叱られた。
「今、其方が言った内容が正しければ、此奴を叩きのめして逃げるくらいは出来るのでは無いか?」
「ソレは可能ですが、ソレをしたらワタシは犯罪者になる可能性を考えました。」
「ふむ、しからば何故今ソコに入っているのだ?」
「さて、ワタシにも一向に解りかねます。何処かのばかのアイリーさんへの執拗な着き纏いを隠蔽する為とかでしょうか?」
「言わせておけば…このぉ!!」
遂にキレたばかは近くにあっ槍をワタシに向けて突き出した!!
ソレをワタシは上に逸らし…伸び切ったところで掴み取り手元に手繰る。
槍を取られたばかは…
「貴様!!ソレは反逆行為だ!!領主に、反意有りと見做して、即刻処刑だ!!」
いやぁ…わめくわめく。
うわっ!?おぢさまの目が…コワいなぁ…
ばごっ!!
溜まりかねたおぢさまの裏拳がクリーンヒット!!ばかは吹っ飛び気絶する。
既にアイリーさんは状況に置いてけぼりだし、おじ様もすこし焦ってる。
おぢさまはワタシを見て、
「かなり肝の座ったお嬢さんだな。」
ニヤリとワタシを見遣る。
「さて、コレで静かに話せるな。
その業前何処で身に付けた?」
「祖父と父に産まれた頃より。」
「その両人は健在か?」
さて…この後は身元調査かな?
どぉ考えてもココは日本ぢゃ無いし…正直に話すか。
「迷子になるまでは元気でした。」
「会ってみたいのだが?」
「ワタシの実家に行けば可能でしょぉ…」
「実家は?」
やっぱり…
「恐らくは解らないと思いますが、日本国、三重県津市にございます。」
「なるほど、嘘は無い様だが、国名も地域も聞いた事が無いな…」
その後暫く考えて、
「あい解った!!貴殿等は無罪放免!!代わりにソコで伸びているバカ息子を不敬罪で牢にぶち込め!!」
ソレから牢での入れ替えがあり、隊長さんの上司が来た。
「お呼びにより参上いたしました!!」
領主のおぢさまに敬礼で挨拶した。
「お主に聞きたい事があったのだが…何故行方不明の捜索の人員を減らした?」
冷や汗を流し牢の中を見遣りながら…
「そ…ソレは…御子息が、アイリーと云う女の洗脳が済み自分のモノになるまでは待つ様にと…」
と白状した。
「戯けが!!」
ごしゃ!!
骨が砕ける音がして顔面が凹んでる!?
どんな拳ですか!?
「このアホも牢に入れろ!!」
コワっ!?思わずチビるトコだったよ…
「桐生彩奈殿、アイリー殿、ワシの不明にて迷惑を掛けた事謝罪致す。」
ワタシ達に深々と頭を下げて謝罪するおぢさま。ステキな大人だ。
「ソレから…件の事件が明白になったら大々的に公表し、褒賞も出すからその気でいてくれ。」
「お断りします。」
頭を下げて即答する。
「何故だ!?」
「平穏に過ごしたいからです。」
今度は目を見てシッカリと答えた。
少し考え、おぢさまは、
「なら仕方ない、名は公表しないが事件解決は公表しなくてはならん。褒賞は支部長に預けるが、構わんか?」
これ以上の、固辞は失礼かな?
「ソレならば…」
「良し!!決まりだ。支部長よしなにな。」
「はっ。」
こぉしてワタシ達の牢暮らしは数時間で終わった。
ワタシもアイリーさんもヘトヘトになったのは云うまでも無い。
しかし予想の斜め上の落ちが付いたなぁ…
予想だと、アイリーさんとワタシは無罪、ばかは叱られる程度と思ってたんだが…
何か設定上で質問等ありましたら感想欄にお願いします。
質問はユーザー名を伏せて後書きでお応えします。
何故、彩奈の出身地が三重県なのか!?
忍者と云えば伊賀、甲賀が有名ですから…
なら三重県だな!!と…
何故、津市だ?
伊賀や甲賀だとまんま過ぎるし…許可取りとかメンドいだろぉと思ったから!!
なので、架空の忍者の末裔にしました。




