出来るかな!?
刀造りは大変なのです。
「ワタシが欲しいのは、ワタシの体格に合った太刀…普通に見たら小太刀くらいの刀と、このくらいの大きさの両端が尖った棒よ?」
「棒は解ったが…たち?こだち?聞かねぇなぁ…ん?…まさかソレは、刀とか云う反りのある片刄の剣の事か!?」
「そだよ?」
「こりゃまた難しい注文だな…」
「ムリ?」
「イヤ…昔師匠が作ったのを見てたから何とかなると思うが…、まず手を見せてくれ。」
手?何だろ?言われるまま両手を出した。
ムニムニムニムニ…おっさんはワタシの手を、にぎにぎしまくる…余す所なく…
「はいどぉぞ!!」
ミリーさんがおっさんに冷たい飲み物を出し、ついでにワタシ達にも出してくれた。
「よし!!イメージは出来た。ちょっと手の長さ測らせてくれ。」
言ってロープを持って来て、脇から手首まで測り結び目を作る、ソコから指先までの長さを測り結び目を作る。何だろ?
「こんなモンか…さて、先ずは素材だが…希望はあるか?」
「素材…鋼かな?しなやかで頑丈なのが良いから!!」
「しなやかで頑丈ねぇ…おっ!!打って付けのモンがあるぞ!!」
おっさんは奥に行き赤い塊を持って来た。
コレは!?まさか!?
「コイツはヒヒイロノカネって云うらしいが良く解らん金属だ。この状態でも簡単に加工出来る程なんだが、焼きを入れたら色が無くなり見事な白銀になるんだが、少し赤みが残ると、刃こぼれも無く、丈夫で、靭性を持つ、お前さんの注文通りに仕上がるだろぉ!!」
伝説サラっと来たぁ!!ナニナニ!?この鍛冶屋!!
だが!!喜ぶのは禁物!!さっきまで煽りまくってたんだから、いきなり態度変えたら不自然だ!!
「何か面白そぉな金属ね、ソレでやってみてくれる?」
「おぉ、任しとけ!!五日くらいしたら、大まかな形になるだろ、柄や鍔とかの部品作成はその後になるから、その時にまた来てくれ。」
「解った、五日後ね?」
「明日から制作に入るからな、今日は仕上がった剣を届けるからよ。」
「ぢゃぁまた来るね…手付け金として…置いてくわ。」
ワタシは銀貨で百枚程置いて行こぉとした。
「おいおい、この量は手付けとは言わねぇぞ!?」
「足りない?」
「半分で充分だ!!」
「なら預かっといて!!」
言ってワタシ達は出て行った。
鍛冶屋を出て暫くして、
「彩奈ちゃん何者!?あの親父さんを手玉に取るとか…」
「あんな怒ってたあの親父さんが最後には嬉々として依頼を受けるとか聞いた事無いんだけど?」
エレーナさんとキャシーさんが聞いて来た。
「あぁ云う職人さんは下手に出ると手抜き仕事になりかねないから挑発すると、コッチを見返す気になって実力以上の結果を出すんだって、おじぃちゃんに聞いたんだ、多分満足するモノを用意してくれると思うなぁ!!」
なんかみんなに呆れた表情をされた…なんでだろ?
不意に頭を撫でられた。
「彩奈ちゃんて、見た目と違ってしっかり者なんだね。あんな大量の手付け金とかも…」
「多少多めに出しとくと、やる気に繋がって良い仕事になるんだってぱぱも言ってたもん。」
「おじぃちゃんにぱぱかぁ…その辺は甘えん坊さんなんだね。」
アイリーさんの弾ける笑顔が眩し過ぎる!!
ワタシはノンケだけどアイリーさんになら…
そんな気にさせられる。
そのままベンチのある所にみんなで座る。
「なぁ、さっきの注文のぼーしゅりけんって何だ?」
エレーナさんが、ぶっきらぼうに聞いて来た。
「棒手裏剣は…投げて使う武器で、相手に刺すんだよ!!アイリーさん達を助けた時は待ち合わせが無くて、拝借したナイフを代用したけどね。」
「あぁ、アレは凄かったね!!ひゅって飛んで来てグサって刺さって…」
興奮してるのか、擬音だらけでアホな仔の会話になってる…知的なアイリーさんらしく無い…
「へぇ!!そんな変わった技術も持ってたのかぁ!!」
「何か私等のが足手纏いになるかも…」
キャシーさんエレーナさんが嘆き出す。
多分その通りだけど…一人でってよりは楽になる。肉の壁として!!イヤイヤ!!寂しく無いってだけでも役に立つ!!
「そんな事無いですよ!!非力なワタシと違い、エレーナさんは力も強そぉだし、回復も出来るし、キャシーさんの弓や魔法にはかなりの利点がありますから!!ワタシなんて戦闘になったら接近戦しか出来ませんし。対人しか学んで無いですから、知識や経験で大きく劣ります。ワタシの方が足手纏いになりますよ?」
ワタシに無い、相手の長所のみを持ち上げて利用しなくては!!
「ソレもそぉか!!お互いに長所を生かして短所を補い合えばかなり戦術も広がるな!!」
「そぉだな!!遠距離の私に中距離のエレーナに近距離の彩奈ちゃんかぁ…バランス良いかもな!!」
二人共乗り気だ。まんまとハマりやがった。
鍛冶屋のおっさんに使った【怒車の術】と同じ【五車の術】の一つ、コレぞ【喜車の術】!!
コレぞ忍者の末裔の娘の話術のジツリキですよ!!えっへん!!
話が纏まり「また明日」と二人と別れアイリーさんと家路に着いた。
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