普通だよね!?
普通なワケ無いよね?
ざっざっざっざっざっ…
一人の男が歩いて来ているんだけど…熊さんの首持ってるし…
只者ぢゃ無いのは見る前から解ってたけど…気配が…あのおばぁちゃんにそっくりなんだよね…下手したらあのおばぁちゃんより強くない?
勘弁してよ。こんなトコで魔人とか…
「アナタ達はどのくらい強いの?」
ワタシは三人組に問いかけた。
「三人でもバルコーさんに敵わないくらいだよ。」
「だったら馬を連れて退がってて!!邪魔だから。」
「おいおい、邪魔って…」
「死にたいなら止めないけど、見捨てるわよ。アナタ達に構ってて死にたく無いからね。」
「ぢゃぁ、お嬢ちゃんはどぉなんだよ!?」
三人組の問いに答えたのは御者さんだった。
「彼女は君達三人を瞬きする間に五回ずつ殺せるくらいには強いよ。オレでもでも二回くらいなら楽勝でイケるよ?」
「なにぃ!?」
「止めておけ、ホントに死ぬぞ。」
バルコーさんの一言に三人は押し黙る。
「二人だけでイケそぉ?」
「悔しいけどムリですね。」
「アレをヤれるのはバケモノだけだな…」
「だったら最初から全力かな…」
コッチの作戦ぢゃ無い作戦は決まったけど…
「ねぇ、熊さん、ヤっちゃったの?」
「そぉだね。肩慣らしにもならなかったけどね。」
「普通は逃げなきゃならない対象なんだけどねぇ…流石だね。」
「お褒めに預かり光栄だね。」
話しながらワタシ達は距離を詰めて行く。
「ワタシ達の獲物だったんだけどね。」
「そりゃぁ、横取りして悪かったね。残ってるのは首だけなんだけど…要る?」
「いや、食べても良いわよ、待っててあげる。」
「そりゃ有難い。」
がぶっ!!ゴリゴリ、ガリガリ、じゅるじゅる、ごっくん…
「いやいや、こっちの生き物はやっぱりなかなか美味しいね。キミとか小ぶりだけど味は…期待出来そぉだな…」
「あら?ワタシを食べたいの?お仲間はワタシが屠ったけど?」
「どんなヤツだい?」
「おばぁちゃんだったかな?」
「アルマ婆か?」
「さぁ?名前は聞いてないよ。」
「そぉかそぉか…でも、多分そぉだろな…昔ならいざ知らず、今ならボクのが強いから気を付けてね?」
「ワタシをいたぶるの?」
「まさか、いたぶっては味が損われる、苦しまず、一撃で…」
ワタシに向けて刃が…伸びた!?
それを驚きを隠しながら…右にほんの少しだけ躱した。なんか魔人て短気なんだね…
「危ないなぁ…こんなモノ持ってるとか…コレくれないかなぁ?」
ワタシは魔人の持つ剣?を指差して聞いた。
「ダメですよ。どぉしてもと言うならボクの死体から奪いなよ?」
「えぇ!?それってめっちゃ苦労しそぉなんですけど?」
「その程度で済めばぁ!?」
ワタシは抜き足で一気に近付き、居合いに乗せて、飛剣、真空斬を放った。後ろに躱しても真空斬が追う様にしてたんだけど…イナバウアーか!?
そのまま後ろに回転して完全に避けてみせた。やっぱムリかぁ…
「コワいお嬢さんだね。一撃が躱されてもその後まで見据えた必殺の一撃かぁ…しかも、近付くのが目の前に来るまで解らなかったよ…」
「あら?アナタこ伸びる剣よりは普通でしょ?」
「然り然り、しかし、この二人よりは普通からかけ離れてますよね?」
がききん!!
魔人の左右から御者さんとバルコーさんが斬りかかっているけど、余裕で止められてる。
しゃっ!!
腹と喉に棒手裏剣が刺さる!!
「そぉかなぁ?ワタシも充分普通だよぉ〜?」
「こんな飛び道具…普通に持ち歩くかなぁ?」
んな!?なんとも無いだと!?痩せ我慢…ぢゃないみたいだよね?
「あら?痛く無いの?」
「こんな普通の武器ぢゃね。」
御者さんとバルコーさんの攻撃は止まないけど、殆ど意に介してない…
まさかとは思うけど…あの口振りからして…
「何か特別な武器ぢゃ無いと避けるまでも無いって事?」
「そぉだよ?後は魔法かな?キミの風の魔法はその中でも厄介極まり無いよ…」
「警戒するのはワタシだけなの?」
「そぉ聞こえなかった?」
二人の攻撃を捌きながらも余裕で答えている。ソレが命取りだよ!!
ワタシは正面から居合いを縦に、下から上に、飛剣、真空斬を纏わせ放つ。剣を躱しても、真空斬は躱せないよ!!
「そぉ聞こえたから聞いたのよ!!」
ワタシの居合いを後ろに退がり躱し、真空斬は右に避ける。にゃろ、なんとかしなきゃあの面白剣が手に入らない!!
御者さんとバルコーさんはワタシの少し後ろに来る。
「ありゃぁ、やっぱ普通ぢゃねぇなぁ…」
「普通の武具ぢゃ擦り傷一つ着きませんねぇ。」
「やっぱりアレを狩れるのはワタシだけみたいね…」
「その剣か?」
「鍛冶師さんの話だと、神剣や霊剣や聖剣の類になったみたいだってさ。」
「そりゃすげぇな…」
「その鍛冶師、紹介して欲しいですが、今はこっちですね。」
「二人共魔法は?」
「使えるってくらいだな…」
「私も一つ二つくらいなら…」
「剣に魔法を纏わせられる?」
「ぶっつけ本番だな…」
「出来るか解りませんよ?」
「出来なかったら身体に魔力を纏わせての肉弾戦よ?」
「頑張ります。」
ワタシの言葉に御者さんが顔を引き締めた。
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