赤ずきんは奥手なオオカミ(人狼)から襲われたい
個人的好みをギュギュギュッと詰めました。
R15は念のためです。
※『ノベルアップ』『カクヨム』にも掲載中です。
私は目がいい。
なので見えてしまうのだ。
ここ一年間ずっと私につきまとっている人狼が。
「今日もいる」
向かいの山、木立の影に隠れるでもなく。
チラチラチラチラ、人狼って野生動物じゃないのかな?
こちらが人間だから気づかないって思ってる?
恋する乙女をなめないでほしい。
襲いに来るならさっさと来い!
****
「おばあちゃん、今日も人狼がいたよ」
「おやおや、リリィは可愛いから気をつけないとダメだよ?」
「うん」
「嫁に欲しいなら、欲しいってきちんと頭を下げて人の村に来なくちゃ駄目。そもそも挨拶にも来れないような気の小さい人狼にうちの可愛い孫は絶対にやらないんだからね」
そう言っておばあちゃんは愛用の猟銃に手を伸ばし、黙々と整備を始めた。
おばあちゃんはこの森最強のハンター。おばあちゃんの許しがなけりゃ私の結婚は相手が誰だろうと絶対に成立しない。でも、裏返せばきちんと挨拶に来られる人狼であれば嫁にやっても構わないともとれる遠回しなコメントとも言う。
豪快でかっこ良く、孫に甘いおばあちゃんは私の自慢だ。
ここは童話の森。
人間の他に妖精や精霊、ドラゴンなんかも棲んでいるので人狼はわりとメジャーな存在。異種族間結婚だって珍しくはない。どこかの国ではこの森をモデルにしたお話が作られているとかいないとか。
私はリリィ。14歳、人間。
小麦色の髪をゆるくまとめた2本のおさげに空色の瞳。赤いフード付きのケープがトレードマークの元気で明るい女の子。
最近の悩みはもうすぐ誕生日が来て成人を迎えること。
年頃の乙女の願いといえば思い当たっていただけるとは思うのだけれど、お察しの通り生涯の伴侶の件だ。
(はあ…、嫌だな)
成人を目前にして、両親や家族、村のみんなも私の婚姻のことばかり話す。小さな村でろくに娯楽もないものだから、こういうときは村人の好奇心を一身に受けてしまうんだよね。
私の村には同じくらいの子供がほかにいないので、今すぐ結婚を言い渡されることは無いと思うのだけれど、誰かが持ってきたどこかよその村からの縁談が突然舞い込んでもおかしくない。
(きちんと恋もしたことないのに)
贅沢な悩みだって分かってる。
恋物語のように大恋愛ができるなんて思っていないし、この村で恋愛結婚をした夫婦なんて数えるほどしかいないのも承知の上だ。
でも、ちょっとくらい夢を見たっていいじゃない。
あの私につきまとっている人狼は、もしかしたら私に恋い焦がれているのじゃないか~とか。種族の壁を気にして遠くから見守ってるんじゃないか、とか。
ずっと遠巻きにしているから正確には分からないけれど、長身ですらりとした手足、腰まである灰色の長い髪。顔の造形までは正直分からないけれどたぶんイケメンだと思う!
人間の雌は15歳になったら成人とみなされて縁談が舞い込むんだけれど、あの人狼はそのことをちゃんと分かっているんだろうか…。
イライラする。
おそらくだけれど、一年くらい前から彼は私の側にいる。
彼が現れてからこの近辺の森には野生の狼を見かけなくなった。ずっと つきまとわれても嫌な感じがしないのは、たぶん向こうは私を守ってくれているつもりなのだと思う。
正直今のままでもありがたいことなのかもしれない。
でも、それとこれとはまた別だ。
まだあの人狼の顔もきちんと拝んでいないんだもの。今のままじゃ、私のことを好きなのかどうかすら分からない。出会い以前! この関係が恋に発展するかしないかそれ以前の問題だ。
うちは代々優秀な猟師の家系なんだから、そっちが来ないなら、こっちから行ってやる。
アグレッシブな赤ずきんをなめないでよね。
****
「そこの灰色狼!!! 鉛玉ぶっ放されたくなければ今すぐここへ来て名乗りを上げろ!!」
私は自前のライフルを肩にかつぎ、向かいの山肌でうろうろしていた例の人狼に狙いをつけて恫喝した。
私の大声に驚いた小鳥たちが一斉に飛び立ち、げろ、げろ、っろ…と語尾が山々にこだまする。
…聞こえたかな。
恫喝に驚いた彼は一瞬で森の茂みに消えたけれど、向こうは人狼だもの、さすがに内容は聞き取れただろうし、これくらいの距離なんてことなく来れるでしょ。
ぶっちゃけ距離がありすぎて全然銃の射程では無いんだけれど、さっきのアレはただの脅しだし。
さて来るか、来ないか。
来なかったら私たちの関係はこれでおしまい。来たら続きを考えよう。
****
「あの…さっきの…」
来た。
がさりと茂みをかき分けて彼はおずおずと姿を現した。慌てていたのか、長い髪に葉っぱが絡まってるのが少し可愛い。
八の字に下がった眉が弱々しくはあるけれど文句なしのイケメンが登場した。やったあ!!
「私はリリィあなたは?」
「あの、僕はジャック」
気の弱そうな人狼は初めてそう名乗った。
…なるほど、ジャックね。
「あの、僕は君に危害を加えるつもりはないので、撃たないでほしい、です」
「知ってるわ」
「だから、あの…え?」
ジャックと名乗った人狼はポカンとした顔をしている。
ごめんね、それは君を呼び出すただの口実だったの。見た目の年齢は私より2、3歳くらい年上に見える若い雄のようだし、人間は嘘をつくんだと今後は学んでほしいかな。
「あなたが私に危害を加える気がないこと、むしろ遠巻きに守ろうとしてくれていることは知ってたわ。もちろん銃で撃ったりしないから安心して」
「あ、…うん。そうなんだ、ありがとう」
じゃあなんで?みたいにジャックがこちらの様子をうかがってくる。
ライフルの刺激が強すぎたか。そこまで怯えないでほしい。
「それにね、こっちは一年前から君のことに気づいてたんだから。いつ挨拶に顔を出すのかと思って待っていたのに、なかなか姿を表さないからしびれを切らして声を掛けたのよ」
「え、え、え、そうだったの?」
人間なのにすごいね、とか称賛をいただくのだけれど、そんなことは今どうでもいいの。私が知りたいのはただ一つ。
「ねえ、何で私のことを守ってくれるの?」
恋慕か、親愛か。はたまたただの好奇心だったりするかもしれない。
まずはそこのところをはっきりさせたい!
ラブなの? ライクなの? 私のここからの行動はそれで決まると言っても過言でないない。
「それは…、その、君の事が好きだから」
奥手な人狼はもじもじしながらもそう口にした。
私は大きく息を吐いた。
(良し!)
「言質取ったわ」
よし、今からジャックを好きになると決めた。
まだよくお互いのことを知らないかもしれないけど、そんなのは後付けでいいや。今この場から逃げられた方が困るもの。
「よし、いいわ。じゃあ恋人にしてあげる! あなた…ジャック!」
「ええ!? はい!」
突然の展開についていけないのかジャックは目を回しかけている。人狼ってこんなに軟弱そうでもやっていけるのかしら???
「この森最強のハンターである私のおばあさまに挨拶する勇気、ある?」
「えええ?」
「ちなみにおばあさまの許可が下りなくちゃ、お付き合いの話は無しよ」
事実だ。
ここは山間の小さな村、貴族階級みたいな権力は無い。一応村長はいるけれども実力社会。私のおばあさまの発言力が一番高いんだ。
「お付き合い? 僕を恋人にしてくれるの?」
「そうよ、あとお嫁さんにもなってあげる」
「本当!?」
恋人=そのまま結婚だ。嘘じゃない。
「僕、リリィのことがとても好きだから、リリィのおばあさまはちょっと怖いけれどきちんと挨拶にいけます」
ジャックは自信なさげだがきっぱりと返事をした。うん、及第点。
人狼ってもっと荒々しくて怖い生き物かと思ってたけれど全然そうじゃないのね。個人差かもしれないけれど。
「よろしい、じゃあ今から行きましょ」
「今から!?」
「善は急げって言うじゃない」
私はぐいと距離を詰めるとがっしりとジャックの手首をつかんだ。
逃がすものか。
人狼の身体能力が人間を遥かに超えているのは知っているけれど、ジャックはたぶん…私の事を振り払ったりしない。
「早すぎない!? 僕たち今さっき会ったばかりなのに!」
「早くない、私は一年待ったんだもの遅いくらいよ」
ホントそう。
初めて彼を見掛けて1カ月くらい疑心暗鬼で。
それから半年くらいそわそわして。
残りの期間はまだ出向いてこないのかとイライラしてた。
「それに結婚とかも、本当にいいの? 僕たち…その、初対面なのに…」
「初めてじゃないわ!!」
ジャックの言葉に我慢の糸がぷちんと切れた。
私の大声に驚いたジャックが口をつぐむ。
ああもうバカ!! そののんきな顔に腹が立つ! 私がいったいどれだけ待ったと思っているのか!
「だってあなたは、私の『クロ』じゃない! 分からないとでも思ってたの!?」
「!!」
「3年前に突然姿を消して…! ずっと探してたんだから!!」
****
5年前に私は黒い子犬を拾った。
その時はそれが人狼の子供だなんて知らなかったけれど。
「突然いなくなって、私がどれだけ心配したか!! 姿を見掛けて、どれだけ安心したか!!」
あ、だめだ。当時の事を思い出したら泣けてきた。
「リリィ…気づいてた…」
ジャックは感動しているのか、私の手を握り締めて嬉しそうに笑う。
目なんかキラキラさせちゃって憎らしい!
「ジャックのバカ!! 私のことが好きなら、なんですぐに会いに来ないのよ!!」
私はジャックの手を握り締めてその場で泣いた。
私は直ぐにでも会いたかったのに。
ジャックは私に会いたくないのかとか少しだけ思っちゃったじゃない。
黒い子犬が大人になったら灰色になっただけじゃない!
私たちは一年間、朝も昼も夜も兄弟みたいにずっと一緒に過ごしてた。
とてもとても仲が良かったのだ。
突然いなくなってしまったクロを探して、私は森に分け入っては狩猟の腕を上げていった。おかげでハンターとしてはもうじき免許皆伝だ。
なんで分からないと思うのよ。
数年会わなくて、姿が変わっても『もしかして?』って思うでしょう! 恋人として新たにお付き合いするのなら、本当は黙っていても良かったんだけど、だめだこの能天気さじゃ、溜め込んだら私が爆発する。
「リリィ、ごめん! ごめんね!!」
おいおいと泣く私をジャックが慌ててなだめる。
数分でも間近で見て確信した。
まばたきの仕方も耳の動きも、尻尾の揺らし方も昔と全然変わってないよ。
愛しい愛しい、私の大好きなクロだ。
「一年間もぐずぐずして!! ジャックのばか!!」
ほんと、人間なめすぎ!!
私はもうこの森のハンターなんだから!
****
「お久しぶりですおばあさま」
「おやクロかい、懐かしいね」
おばあさまの小屋へジャックを連れて行くと、即座にクロだと見抜かれた。
ジャックに至っては緊張の極致といったところ。
まあこれは仕方ないね。ジャックが悪いんだから。私はフォローしない。
というか、流石はおばあさま。
私が人狼=クロと気付いたくらいなんだから、おばあさまが気付かないはずなかった。というか、そもそも子犬の頃から人狼だとバレていたのかもしれない。
「あの、あのっ、ご挨拶が遅くなって本当にすみません。僕はリリィのことがとても好きなので交際の許可をいただきにきました」
「ほうほう…」
ジャックの申し出に相づちを打っていたおばあさまは、突然つむじ風のようにジャックを蹴倒し、喉元に猟銃を突き付けた。
「孫を泣かせたね?」
「は、はい! 泣かせてしまいました!! すみません!」
「正直だね、いい子だ」
「はい! 全部僕が悪いので!」
さすが森一番のハンター、洞察力も半端ない。私ちゃんと顔を洗ってきたのに、泣いたのもバレましたね、秒で。
ジャックは一ミリも逆らわず、仰向けで腹をさらしている。
おばあさまには完全降伏だ。
「……」
いやでも待って。ジャックも緊張しているけれど、私も同じくらい緊張している。
なに今の動き。
全然見えなかったんですけど!! 目がいいのが自慢だったのに、おばあさまの動き、全く見えなかった!! 地味にショック!!
いまだ静かに揺れる揺り椅子がいっそ怖い。さっきまであそこにいたのに、予備動作も反動もなくあんな風に飛び掛かれるものなの!?
私、これでも一人前のハンターになったつもりだったけど、おばあさまの域になるには全然まだまだでした。反省。
「どうして遅くなった?」
「はい! ええと、こんなに姿が変わってしまって、覚えていてくれるか不安だったのと…、あの、リリィがまだ大人の雌じゃなかったので、まだ早いかな、と思ってました。すみません!」
「なっ!!」
何言ってんの! こいつ!!
「ふうむ、嘘は言ってないようだね」
「おばあさま!?」
いや、ちょっと待って今、すっごくプレイベートな問題をつつかれたんですけど!?
その辺流しちゃうの?? てか分かっちゃうの!? おばあさまはともかくジャック!?!?
「よくお聞き、ジャック」
「はい」
「人間の雄はね、繁殖できない雌でも普通に奪っていくものなんだよ」
「…えっ!!」
「あんたはギリギリ間に合ったかもしれないけどね、あと数ヶ月遅かったらリリィは人間の男のモノになっていたんだからね」
「!!!」
ジャックの雰囲気が一瞬で戦う雄のそれに変化した。
「…それは、本当に、教えていただいてありがとうございます。全て僕が未熟なせいでした。心の底から反省します」
おばあさまの眼光を真正面から受け止めて、にらみ合う二人。
ハラハラするぅ…。
「…ふん、まあいいさ」
納得したのか、おばあさまは踏み倒したジャックの胸から足をどけた。
おばあさまが怒りを解いたことで、部屋を支配していたプレッシャーが一気に消えてなくなる。
「…よかった」
私は大きく息をついた。
おばあさまが許してくれたのであればもう安心だ。
「リリィ、あんたはそれでいいんだね?」
「はい」
「こんなに大事なことを勢いで決めて大丈夫かい? 後からほかにもっといい男がいたのに、とか後悔するかもしれないよ?」
「しないわ! 知らない男をゼロから好きになるより、ジャックならもう既に100倍好きだもの」
おばあ様が私の目をじっと見る。
「今ならまだ『戻れる』よ?」
「いいの! もう決めたの! 私はジャックとつがいになるって」
大丈夫!私の決意は固いのだ。
今度はおばあさまが大きくため息をついた。
「まあ、頑固なところはお互い様だからねえ…」
ちなみにジャックは私とおばあさまの会話を正座で聞いている。さっきまでのピリッとした空気は微塵もない。ほんと聞き分けのいい犬だ。
飼い主の躾がいいのだろう。私の事だけど!
「じゃあ、さっさとガブっとやっちまいな」
「ええ!?」
おばあさまの提案に、ジャックが飛び上がって驚いた。
「そうね!」
私は胸元の紐をほどくと首から肩までを露わにする。
「リリィ!?」
わたわたと慌てるのは雄一匹のみ。
人狼と人との異種族婚姻は「明確な意志をもって相手に複数回、噛みつくこと」と言われている。普通は数回、数週間掛けて人から人狼に変化していくらしい。
「いつかはやるんだから今でも良いじゃない」
「それはそうだけど…」
そんなに驚くこと? さっきまでの私達の行動が全然身についてなくない? ハンターは仕留めと決めたら逃がさないのよ?
「さ、ガブっとやっちゃって」
「でも、こんなに細い首なのにっ!?」
なんであんたが泣きそうになってんのよ。痛いのは私の方でしょうに。
ジャックは私の首を支えるように手を伸ばしては、悲壮な顔をして震えている。さすが一年間ぐずぐずしてただけあるなぁ。
(おばあさまの気が変わらない内に早く)
ジャックにだけ聞こえるように小さな声でささやくと灰色の耳がピクリと跳ねた。
「うん…じゃあ、ごめんね」
その一言で覚悟を決めたのか、おもむろに肌に牙を立てると…。
がぶり。
そうそう、一気に…!!
「っ痛ーーーー!!!」
「ギャン!!」
バチコーン! という暴力の音と同時に響き渡る悲鳴。
想像以上の痛さに思わず私はジャックの顎を肩でカチ上げ、そのまま頬を張った。
張り飛ばされたジャックがごろごろと床を転がっていく。
ごめんねジャック! 思わず手が出た!!
だって思ったより痛かったんだもん!
「あれ?」
張り飛ばしたはずの手に、見慣れぬ鋭い爪。
おっとなにこれリアルアイアンクロー?
「え、嘘…早すぎる」
土間に尻もちをつき、張られた頬を押さえながらジャックは呆然と私を見た。
ふわふわ、ふわふわ。
視界の端に現れる白いしっぽ。
トレードマークの赤ずきんを跳ねのけて大きくて真っ白な三角な耳。
鏡を探してのぞき込むと、そこには可愛らしい人狼の雌がいた。
「え! かわいい!」
「うん、とてもかわいいよ…」
「さすが私の孫」
困惑する雄と、満足そうな顔の雌たち。
通常一週間は掛けて行われる人狼の婚姻が一瞬で成立した。
「痛た…」
「あ!ごめん!」
興奮が覚めると途端に肩の傷が痛みだした。
「ごめんね、リリィ」
そう言ってジャックが私の傷口を舐める。
くすぐったい。
衛生的にどうなのって思うけれど、きっとこれが人狼流の作法なんだろう。
「三日三晩はって思ってたけど、なんだい早かったね」
そう言っておばあさまは笑った。
私、これで完全に『人狼』になりました!
必要だったのは本当に本当に、たった最後の一押しだけだったの。
「あんたは覚えてないかもしれないけれど、子犬の時に何回か私の事咬んだことあったんだからね」
「えええ、そうだった?? ごめん! リリィ!!」
ジャックは自分の意思では無かったのかもしれないけれど、人狼の花嫁になるのに十分な下地は残していたのだ。
私の視力が抜群にいいのもそのせい。
中途半端に人狼の能力が備わっていたけれど、嗅覚とかは発達してなかったのでジャック=クロだとは確信が持てなかったのだ。
でもハンターとしてはとっても役に立ったけど。
「いいのいいの、でもこれでジャックとお揃いね」
そう言って私はふわふわな手触りの大好きなわんこの首に腕を回して抱きしめた。
大きく息を吸えば、ぽかぽかした日向のニオイに混ざって甘い甘い恋のニオイがする。
人狼になってから初めて分かったんだけど、嗅覚から感じる『情報』がとにかく凄い。
「…ジャックったら私の事、こんなに好きだったのね」
「うん! それはもう!」
【言葉でなんて言い表せないくらいに大好き】
本当、くらくらするくらいに甘い。
ついさっき人生を決意した私の恋心なんかより何倍も何百倍も強い気持ち。
人狼はこんな風にニオイで気持ちを伝えあうのかしら。
ジャックは口下手なのかな、って思ってたけどニオイで雄弁に語ってくれる。
【世界で一番リリィが好き。一生大事にする】
私も人狼の能力の発動が視角じゃなくて嗅覚が目覚めていたら、すぐに分かったのにね。
「私もジャックの事が大好き」
こんなにたくさん私の事を好きでいてくれてありがとう。
大丈夫。
私、絶対しあわせになる。
めでたしめでたし。
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