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猿の内政官の思い出話

作者: 橋本洋一

猿の内政官の外伝ではありません。

ご容赦ください。

 はじめに、このエッセイは『猿の内政官 ~天下統一のお助けのお助け~』という作品の思い出話となっている。https://ncode.syosetu.com/n8210fk/


 思い出話というより言い訳のような乱文駄文になってしまうと思う。誰に向けて書いたわけでもなく、自分のために書いたというわけでもなく、ただ吐き出したかったから書いただけだ。


 またこの文章のジャンルを歴史ではなくエッセイにしたのは、適していると思ったからだ。自分の思ったことを思ったままに書きなぐりたいと思ったからだ。


 さらに言えば、猿の内政官を読んだことのない人には分からないと思う。

 だから未読の人はこの文章から離れたほうがいい。

 それと作者による作品の裏話なんて読みたくないという人も離れることをおすすめする。


 それと、猿の内政官の読者さんも不快になるところが、この文章にあるかもしれない。

 とても申し訳ないと思う。できる限りそういったことは書かないつもりだが、あったとしたら感想欄で指摘してほしい。


 前置きが長くなってしまった。それではそろそろ始めようと思う。

 本題に入ろう。



◆◇◆◇



 書くきっかけになったのは、とある小説で作家になろうとしていたけど、それに限界を感じて悩んでいたときだった。

 僕自身、その作品は面白いと思うけど、世間のニーズや商業的に求められていなかった。それは独り善がりで自分の書きたいものを書いているのと同じだった。


 それで、当時も今も信頼している人に相談してもらった。その人は僕に、文言は違うかもしれないけど、自分が書きたいものを書いたほうがいいと言ってくれた。


 それからは早かった。僕は既存の主人公には『プラス』な人しかいないなと常々思っていた。努力ができて、友情を育めて、勝利を収められて、そして才能がある。


 だから僕の主人公は『ただ優しい』だけの『何もない少年』にしようと思った。そうしてできたのが猿の内政官の主人公、雲之介だった。


 名前の由来は作中でも書いたけど、秀吉――猿を助ける者だから、西遊記の金斗雲から取った。さらに言えば雲之介の父親関連の伏線として、名前に『蜘蛛の巣』を入れたかった。結局、父親のところで明かすことはできなかったけど、一応伏線は貼っておきたかった。


 猿の内政官を書いていて気づいたけど『何もない』というのは『マイナス』なんかじゃなかった。


 もちろん『プラス』ではなかったけど、善悪で言えば善だった。ま、優しいだけの主人公なのだから当たり前だった。でも才能のない『ゼロ』だった雲之介が、努力できて、友情を育めて、勝利を収めたのは感慨深かった。


 思えば雲之介には苦労をかけたと思う。コンセプトが猛将や剣豪といった『目に見えた力』ではなく、軍師と言った『分かりやすい知』でもなく、地味な内政官だったから。


 だからこそ、他の部分で頑張ってもらう必要があった。時には傷ついたし、悲しんだだろう。僕が試練を与え続けたからだけど。


 僕自身、書いていてつらかったことがある。特に雲之介の妻関連はつらかった。それでも書き続けた。途中でやめるのは雲之介や読者さんに申し訳なかったから。それは一種の義務感になっていたけど、居心地の良い重荷だった。まるで祖母を背負ったときと同じだった。


 ここで告白しよう。僕は最初の四話を一気に書き上げた後の展開は詳しく決めていなかった。僕の頭には『雲之介の出生の秘密』と『漠然とした雲之介の最期』しかなかった。さらに言えば、雲之介は中国の大返しで最期を遂げる予定だった。


 一応、連載を続けていく中で、雲之介を救う伏線は貼ってあったのだけど、まさかそれを使うとは思わなかった。ここが僕の甘いところである。キャラが勝手に動いたのは事実だけど、雲之介の感情移入したのも事実である。自分の分身とまでは言わないけど、それに近しい存在だったのかもしれない。


 だから猿の内政官がああいう結末になったのは、僕のとって自然なことである。いや、不自然だったのを元の形に戻したというのが正しいのかもしれない。あの結末が気に入らない人も大勢いると思うけど、それでも僕は自分が持っていた力を全て注いだ。それだけは自信をもって言える。


 僕は猿の内政官が一つの作品として好きだけど、書籍化できるかどうかと問われたら、素直に頷くことはできない。多くの読者さんに支えられた作品だけど、商業的に成功できるかと考えたら、微妙だと思う。今のトレンドではないし、つらい描写も多い。でも僕は猿の内政官が好きだ。


 約80万字の物語を好き勝手に書けて、それなりの評価をもらえたのは、幸福なことだと思う。続編を書いてほしいという声も頂いた。雲之介の人生に涙を流してくれた人もいてくれたようだった。


 改めて感謝しかない。猿の内政官の読者さんにも、書くきっかけになってくれた恩人にも。多くの人に支えられて最後まで書けたことは嬉しかった。


 しかし反省するところもある。僕は気をつけているのだが、誤字や脱字が多い。特に助詞の使い方が上手ではない。すぐに間違えてしまう。本当に申し訳ないと思う。


 これまでいろんな物語を書いてきたけど、猿の内政官は特別で、主人公の雲之介も特別だった。僕の力量不足で書籍化できなかったのは、とても残念だった。



◆◇◆◇



 僕は今、別の作品を書いているけど、猿の内政官の続編も同時に考えている。

 おそらくその続編で本当に猿の内政官は終了するだろう。

 十二月の末か来年の一月には公開したい。


 最後まで読んで下さってありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 続編! 楽しみにしてます! [一言] 『居心地の良い重荷だった。まるで祖母を背負ったときと同じだった。』 この言い回しめっちゃ泣けるんですけど!
[良い点] 続編お待ちしてます!!内政の極意書がどう使われていくのか実は気にしてました。
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