泊まることが出来ました
「掃除終わりました、品出しを手伝いますか?」
「そうね、お願い」
ニーナさんのお屋敷に泊めてもらい、久しぶりにベットで寝た。朝起きるとシーラさんは出航の用意で港に向かった後だった。僕は、ニーナさんが起きる前だと思い屋敷の人にお礼を伝えてくださいと言って市場に向かった。冷えるんですのお礼に銅貨1枚を貰えて、ギルドカードが作れるようになった。
昨日使わなかった小銅貨2枚が有るので、今は銅貨1枚と小銅貨4枚になった。
「ありがとうございます、また明日きます」
品出しの終わった僕は俺を言って、ギルドに向かう事にした。もうお金はあるのだ。
「そうね、お願いよ」
「ギルドカードの登録をお願いします」
「ついにお金が貯まったのね、名前はユーリね」
冷えるんですのお礼が貰えて良かったな。
「はい、出来ました。説明は聞きたいかな」
簡単に作れるんだな、お姉さんが僕の方に向いて、ギルドの説明はどうするか聞いて来た。
「大丈夫です、カードのランクまでしか依頼は受けれない、銀行口座が使える。街の出入りにギルドカードを見せる。このぐらいですよね」
「そうね、後は無くさない。手数料をいただけるかしら」
心に響くな、無くさないか、あれは無くした事になるんだよな。
「どうぞ、手続きありがとう」
支払いを済ませたので・・・・・・掲示板の前に行こう。
冒険者がテーブルを囲んで何か会話している。他にも立ち話をしてる人がいる。
依頼は沢山あって魔物の種類も沢山有る。知らない魔物の方が多い。
討伐依頼を見ると名刀お姉さんを思い出してしまう。
あの寒い海の底で輝く名刀お姉さんが、僕を待っている。
素材集めか、何処に生えてるのか分からないと受けても集めらえない。
登録が出来たので依頼を受けようと思ったけど、先に何か食べてからじっくりとどの依頼にするか決めよう、よし、行き慣れた市場に行くぞ。
「痛・・・・・・」
誰かにぶつかられた、足元に野菜?・・・落とし物だ。
ならば、ふまれる前に拾わないと。
「え、・・・」
落ちている野菜を拾うと、誰かの手に掴まれた。
「君、盗みは良くないよ」
顔を上げると街の中を警備している騎士団の男性だった。見るからに街の人や冒険者などの服装と違って、防具も高そうで打撃を防ぎそうだ。
「僕は何もしてませんが」
「君の足元に落ちていた野菜が証拠だ」
お城の中の狭い部屋で取り調べされてる。
ドラマの取調室よりも広いけど、ここも異世界の取調室なんだろうな。
「何処に住んでいるのか?」
「何処かの空き地です」
騎士のおじさんは頭をぽりぽりして「真面目に答えてね」と僕を睨む。
「真面目に空き地が寝床です」
「そう、じゃ両親は何処に住んでるの?」
「海の向こうの東の大陸です」
「東の大陸ね~」
僕を見る目に睨みを更に加えている。
何か対抗できるものはないかと考えるが、顔芸は出来ない。
この部屋には、テーブルと椅子しかなくて狭い部屋なのにドアが2個付いている。
「それじゃ何しに海を渡って来たのかな?」
ドラゴンの事は秘密だよな。
「秘密です」
「秘密ね」
「野菜はどうして盗ったのかな」
「盗っていませんけど、食べ物なら食べる為以外にはないですよね」
「嘘はいけないよ」
「嘘はついても意味はありません、証拠があるのだから」
「はあ~」
「苦い野菜は子供は皆嫌いだからです、証拠です」
「いや、みんなが嫌いだと断言できない」
「では、付いて来て下さい」
僕はドアを開けて騎士団室に入る。
「おい、勝手に出るな」
「ここに居る皆さんが子供の時に苦い野菜は好きでしたか、はい、そこの人答えて下さい」
僕に指さされた人は「嫌いでした」と答えてくれた。
「面倒なので、嫌いだった人は手をあげて下さい」
なんと、ここにいる全員が手を上げている、やっぱり子供のうちは味覚が発達していないから嫌いなんだな。
「証拠です」
「しかし、野菜が落ちていたぞ」
「大人になって、苦い食べ物も美味しいと思う様になった人は手をあげて下さい」
また全員が手を上げてくれた。ふむ、何で全員なんだ、今でも嫌いな人が数人はいる筈なのに。
「ほら、大人の犯行です」
「もういいよ、帰って」
「それはダメです」
「は~」
「身の潔白がはれる迄、牢屋に泊ります。証拠を集めて来て下さい、僕の為に」
「いや、もういいから」
このおじさんは僕の気持ちが分からないらしい。
「ここにいる皆さんは、あなたが面倒で僕を返したと上司に伝えるでしょう。僕なら伝えます。面白いから。どうしますか潔白を証明するまで牢屋に入れとくか、面倒で僕を解放するか、選んで下さい」
おじさんは考えながら周りを見る。
「面倒だがこれも仕事だ、潔白が証明されるまで牢屋に入れといてくれ」
誰かに頼んだみたいだ。
僕の希望の牢屋でお泊が決まった。
念願の牢屋に入る事が出来た。
「思ったより汚くないな、匂いは臭いけど」
悪い事をする人が少ないのか、6人位は入れる牢屋に1人だ。
木のベット兼椅子に横になっている僕、ここは、空き地よりは寒くない。
まだ寝る時間には早いので周りから話し声が聞こえる。
暇つぶしを少ししてみるかな。
牢屋の鉄格子を持って。
「俺は無実なんだ、隣の牢屋のおじさんが犯人だ。奴は悪い奴だ」
「うるせいぞ、クソガキが」
「今クソガキと言ったおじさんが犯人だ。奴を捕まえてくれ」
「君、みんな捕まってるよ」
「そんな~、それなら真犯人はこの中に居る。誰ですか野菜を落として逃げたのは」
「今どき、野菜を盗む馬鹿はいないよ」
「そうだな、俺なら焼いた肉の方がいいな」
「俺は果物だな」
「いや、お菓子もいいかも」
「俺はお金だな」
「みなさん悪い人なんですね」
「「「うるせい、寝ろ新入り」」」
「飽きたので、寝ます」
悪いおじさん達と会話が出来たけど、これ以上する事が無い・・・・・・寝てしまおう、眠くないけど寝よう。
「どうする、出場するかね」
僕の牢屋の前に騎士のおじさんが、見た事ないおじさんだ。
今はコロシアムの出場のお誘いを受けている。
何でも軽犯罪の場合は奴隷になるか、コロシアムの選手として5戦すれば無罪放免らしい。相手は魔物なので勝たないと次の戦いに進めない。1回だけ棄権する事が出来るので4回勝てば無罪が確定する。
「武器とかは貸してくれるんですか?」
「ああ、武器はこちたらで用意する」
「なら出ます、無実を証明するために」
「・・・・ああ、そうだね。では、付いて来なさい」
牢屋から出た僕を待っていたのは、荷台が牢屋のような鉄の柵の籠だった。コロシアムに出ると決めた人が中に入って、コロシアムまで送られて行くみたいだ。
「おじさんも出るの?」
「俺は強いからな、前にもコロシアムで戦った」
「魔物は何がいるの?」
「その時によって違う」
外から見えない様にホロが被せてあるので外の様子は分からない。
揺れが変わったので街を出たみたいだ。
「コロシアムは街から近いですか?」
「隣と言ってもいいくらいの所にある、お堀を挟んだ横だ」
それなら隣だな。
部屋からおじさんは居なくなった。今回の出場者は4人で僕は最後に呼ばれる。
ここからでも声援が聞こえてくる。凄い数の人がいるのが声援で分かる。
待合室はカギが掛かっているので、逃げられない様になっている。
「ガチャー」
鍵の開けられる音がしてコロシアムの人が呼びに来た。
「君の番だ、控室は個人用になっていて武器はその中にある。中に入るのは君だけで、外からカギを掛ける。4勝すれば出れるが、勝つと控室に戻り次に呼ばれるまで待機だ。呼び出しはコロシアムの広場の方から呼ばれる」
おじさんに付いて行くと細い通路の先にドアがあった。
「ここが控室だ、中に入っら好きな武器を選んで待つように」
僕が中に入るとガチャと音がした、鍵が閉められた様だ。
「おお、武器が色々あるな。どれにしようかな」
短い剣、長い剣、両手、片手、棍棒、槍、ハンマーの大きいの。剣の種類が一番多い。
盾もあるから武器2個もありなのかな、短い剣と長い剣で二刀流だ。
「凄い、映画とかで見たのと同じだ、何で円筒の形なんだ。人も一杯いる。ここから見える所でお金を出している人がいる・・・・・賭けているのか、場内に看板を持っている人がいる」
僕の後ろにも看板の人がいるので、聞いてみた。
「それ、賭けだよね。僕は何倍なの」
大声を出して聞いてみたら「君が勝っ方に1.1倍で魔物が勝つ方が1000倍だよ、ほら裏に1000て書いてあるだろ」
おお、反対側には1000て書いてある、字の色も赤と黒で赤色の1.1が僕か。
教えてくれた看板君は客席の中を手の板の数字が見える様に止まっては回転している。
ラウンド嬢ならぬ配当ボーイだ。
近くの客席のおじさんに声をかける。
「おじさん、おじさん」
「俺か何だ?」
「賭けは始まる前までに賭けないとダメなの?」
「二回目の鐘が締め切りだがいつなるか分からない、魔物を見たらすぐに賭ける」
「ありがとう」
おじさんは手を振って「頑張れよ、最初の戦いは誰もかけないけどな」と言った。
配当が1.1倍だと絶対に勝てる魔物だよな。元締めはあの街の貴族様だよな。
ここから見える所に貴族様専用だよなあそこ。あそこの人達、元気かな。
僕の依頼を受けてくれている人がいるといいな。儲けも出るしそんなに悪い仕事ではないけど山を登るのが大変だよな。
鐘が鳴らされた1回だ・・・・魔物の入場だ。
見えにくいけどピョンピョン跳ねている・・・・スライムだ。
「お前馬鹿か、1回戦に全額賭けるなんてもし負けたらどうするんだ」
「今までに負けた奴を見た事がない」
「倍率が低いからうまみが無いんだよ。それに子供だぞ、何で大人の時に賭けない」
「いや、誰も負けないか確認していたら、最後の1回戦まで負けないから子供でも勝てると思って」
「中にはお前みたいのがいるかもしれないが、全額は無いぞ、賭けても大銅貨1枚位までだ」
「いいじゃないか、スライムに負ける奴はいない」
可愛いな、伝説のキングスライムに変身だ。
「メタルスライムでもいいな、経験値が多いんだろ、もしやキングメタルスライムに変身も出来るのかな」
鐘が2回なったけど、まだ始めではない様だ。
「君次の鐘で戦闘開始だ」
「はい、分かりました」
僕をコロシアムの広場に呼んだおじさんが横に来ていた。
「鐘1回鳴ると魔物の入場、2回目が賭けの終了、3回目が戦闘の開始だ。次からは俺は来ないから3回目の鐘が鳴るまで鉄の柵から出るなよ」
なるほど、今はお試しなのでここに居るけど、次の魔物から柵の中で待機か。
「それと段々強くなるから、最後まで棄権の権利は取っておくのがいいぞ、最後まで頑張れ」
おじさんはそれだけ言うと柵の向こうのドアから中に入って行った。
久しぶりの剣なので素振りをする。
「最後はどんな魔物かなドラゴンだと嬉しいな。会いに行く手間が省ける」
娯楽なのかな賭け事が、ここに居る人はギャンブル依存症だろうな。
「カ~ン」
鐘が鳴ったぞ、スライムよ変身しろ。
目の前のスライムを指でツンツンする。
「お前は何も物だ、素直に話せば許してやるぞ。変身しても許します」
3体のスライムは攻撃してこない。
「仕方ないな、負けました。棄権します」
僕は大声で棄権を告げた。
「カ~ン」
場内がお客が騒ぎ出した。まあ仕方ないか・・・・しかし無害の魔物はやめて欲しいよね。時間の無駄だよ。
お客もこの後からが本番のギャンブルだろうに、井上五右衛門ならつまらん物は切らんだよ。
「控室に戻らないといけないんだな。他の人の2回戦とか僕達は見れないのかな」
ここから見える所にいる人が泣いてる。スライムに賭けて大儲けか、流石だ僕の作戦を見抜くとは。
「次は勝つからね、気を付けてよ」
僕の声、届いたかな。




