大改造
猫の宿に着くと。母さんとテレサさんが楽しそうに話している。
赤ちゃんは、ノエル、ソラちゃん、ルチルが抱いてた。
自己紹介が終わっている様だがテレサさんの赤ちゃんの名前を聞かないと。
「テレサさん、おめでとう。ソラちゃんの弟の名前は何ですか?」
「ユーリ、ありがとう。ハリソンよ、いい名前でしょ」
「分かり易くて良かったよ、ハリソン」
偉大な冒険家だ。我が従弟に凄い子が誕生した。
しかし、母さんとテレサさんは似ている、姉妹なのは事実だったんだな。
「ユーリが言い出したんだって、私の所に行こうって」
「産まれた赤ちゃんを見せるのと、見る事が出来るからね。姉妹が会うのもいいし、ソラちゃんと母さんも会わないとね。家族なんだから」
「そうなのよ、ユーリが言いだした時はビックリしたけど、仕事を任せられる人も来てくれたのよ。テレサにも何年も会ってないからいい機会かなと思ったのよね」
僕は挨拶もしたので、厨房の叔父さんの所にいく。
「叔父さん、おめでとう。しばらく母さんがお世話になります」
「ユーリ、ありがとう」
叔父さんは、片づけをしていたが手がとまり。
「冷えるんです改、ありがとう。色々冷やしているよ、暑い時には最高だな」
僕は忘れていた事を話す。父さんと同じ話を叔父さんにも話すと。
「そんな使い方があったのか、冷えるだけではなく冷やす事で出来る料理があるなんて考えなかったな」
「叔父さんも色々と考えるの好きでしょ、冷えるんですが有るからサラダが美味しいんだよね」
「ソラも冷えたサラダにはまってるよ」
あまり野菜の好きではないソラちゃんがサラダを食べる様になったのか。
夜はお祝いパーティだった。
料理担当は叔父さんと僕で、僕には何か新しい料理を出せとグリュックの皆に言われた。
グリュックの皆は僕の親戚が宿屋をしてるのを知っていた。
前に僕が話したと言っているので、そうなんだと思う。
僕が親戚の家に行くと言ったので『今日はユーリの親戚の宿屋で1泊するぞ~』『楽しみ、料理美味しいてユーリが言ってた』『そうか、美味しいのか』
おかず系を叔父さんに任せて、僕はサンドイッチを作る事にした。
カツサンド、たまごサンド、野菜サンド、フルーツサンド。
叔父さんは、から揚げ、ポテトフライ、サイコロステーキ、照り焼きチキン
僕と叔父さんの料理の種類は少ないが、量は一杯作った。
飲み物はアイスティー、フルーツジュース、ビール、水、どれもよく冷えている。
「何このビール、冷たくて美味しい」
最初にビールを飲んだのはメグさんだ。メグさんの言葉に反応したのが3人のおじさん達だ。そのうち、酔ったおじさんに変わるだろう。レベッカさんも「本当だ、冷たくていいわね」
「明日はこの街を出ないといけないのに、あああ~もっと早く知りたかった」
マシュさんが嘆いている。
ヴエルナさんは僕の襟掴み、いつものやつをする。
「何で早く教えないんだ、ユーリ」
「うんうん、それはうんうん」揺らされて、頷いる様な時に『うん』入れて喋る。
「何で、うんうん言っているんだよ」
「うんうん、揺らされ・うんうん・・て仕方・うんうん・・なくね。一杯・・うんうん・・揺らす・・うんうん・・だもん」
ヴエルナさんは「ああそうか、ごめん。何で教えてくれないんだ、俺達がビール好きなのは知っているだろ」
「冷える魔道具が出来たのが最近だからしょうがないよ。それに冷えたビールを飲んだのはグリュックの皆が最初だよ。まだ販売されてないよ、冷えてるビールは」
「そうなのか、俺達が一番か」
ジョキを片手にカカルさんはいい気分みたいだ。普段そんなに笑わないのに笑顔だ。
「ここしか飲めないなんて残念だわ」
メグさんも付き合いで飲んでるので、飲むのが好きなんだな。
「エルザの宿でも飲めるよ、まだ提供は初めてないけど、こっそりとカウンターで出して貰えばいいよ。オーク肉のお土産でも持って行けば出すだろうな父さんは」
「分かった、オーク肉だな。大洞窟に寄ってから帰るか」
「お勧めは、マルネ村の南の崖の下だよ」
「すぐそこか、明日はそこに行くぞ」
「あっちは盛り上がってるわね」
「そうね、ビールも出てるから、こちらはこちらで楽しみましょう」
「そうです、この美味しいパンは最高です」
ノエルは初めてのサンドイッチに感動中。
「ユーリはあれで料理とかなんだも出来るけどあまりしてくれないのよ」
「あらそうだんだ、義兄さんが美味しいの作るんだからいいじゃない姉さん」
「そうだけど、あの子の作る料理は女受けするのよ。野菜サンドにフルーツサンドはカシムでは思いつかないわ、メインの料理ばかりで他はあんまり考えたこと無いのよ」
「私は、ハンバーグが食べれて嬉しいです」
ルチルの話に頷いて「私もハンバーグは好きです」とノエル。
「私は、お父さんが作ってくれる料理なら何でも好き」
ソラちゃんの頭を撫でる叔父さん。
「ユーリ、ここがオーク王国か?」
「そうです、崖の下がオークの生息地です」
「行くぞ、危ないから離れて降りよう」
リーダーのヴエルナさんから降りる様だ。
「レベッカさんは降りれそうですか?」
「大丈夫よ、これでも冒険者なんだから」
『これでも』と自分で付けたのは自信がないけど頑張る?
ヴエルナさんは崖の下に付いたマシュさんとカカルさんは真ん中位を降りている。
「私はユーリにおんぶして貰う」
メグさんは最初から諦めたみたいだ。
「どうぞお乗りください。乗ったら直ぐに行きますので、目をつぶったら合図をお願いします」
「了解」
背中を差し出すと直ぐに飛び乗って来た。だいの大人が子供に飛び乗るとは。
「いいわよ」
「はい、降ります。」
オークを入れたリュックより楽だ、降りるのは荷物が有って簡単だから直ぐに着いた。
「着きましたよ」
降りたメグさんが「あれ、本当だ。振動とかは凄かったけど、カカル達を抜いてる」
「僕は走って降りて来たので、歩いてるカカルさん達には直ぐに追いつきましたよ」
まだふんぎりのつかないレベッカさんを下からメグさんと見上げる。
「降りてこれますかね」
「どうだろ、レベッカは体力無いからね」
「そうですよね」
カカルさん達が降りて来た。
「降りれるけど、思ったより大変だったよ。ユーリはよく走って降りれるな、俺なら滑り落ちそうだ」
「まあしょうがないよ、誰も歳には敵わないと言うからね」
「その無駄な言葉は何処から出てるんだ」
マッシュさんが何か言っているな。
「降りてこい、レベッカ~」
リーダーがお呼びだが、一歩も動いてないレベッカさん。
「ユーリ、悪いけど連れて来て来てくれないか?」
「了解」
急いで登るか。
「速いな、ユーリは」
「そうだな」
登り着いた僕にレベッカさんは「降りれません、怖いです」
「乗りますか、目をつぶってれば直ぐに着きますよ」
深々と頭を下げるレベッカさん。
「さあ乗って下さい、直ぐに着きます」
「いいわよ、目をつぶったわよ」
「行きます」
「着きました」
「え、もう着いたの」
「まだです、行きますよ」
「えええ~、きゃ~」
僕はドラドラ山で経験を積んだ、ジャンプ降りをする。荷物の方が重いので、レベッカさんだと軽すぎるな。
「さあ、着きましたよ」
「着いたの」
「はい、お疲れ様でした」
「では、行くぞ~」
ヴエルナさんを先頭にオークを倒しに突撃だ~。
リュックに挟まれた僕は、猫の宿に着いた。
グリュックの皆はオークがこんなにいるのかと感激していた。
その日に男性陣のリュックをオーク肉で一杯にしてカルテド向かった。
僕は今回の旅費を母さんが気にしない様にオーク王国とマルネ村を往復してオーク肉をギルドに買取ってもらい、マルネ村で1泊して次の日も昼過ぎまで頑張り、お土産のオーク肉を2個のリュックを一杯にして帰る事にした。
「叔父さん、手伝うから冷えるんです改に入れよう」
「そうか、鮮度が落ちなくなるんだったな。手伝ってくれ、急いでオーク肉を食べなくていいのがありがたいな」
「そうだね、美味しく食べれる期間が長くなれば悪くなって捨てる食材も減るね」
「まさか冷やす事でこんなにいい事に繋がるとは、改めてありがとう」
夕食はハンバーグ、ルチルが食べたいと言い出す。
流石だ受付のボス、オーク肉があると知ると『今日はハンバーグですか?』と聞いてる様だが、催促しているのだ。
「母さん、明日出発します、探さないで下さい」
「探せないわよ、それにユーリは部屋作りに家具とか色々作らないといけないでしょう」
「え・・・・いつからそんな話になったんですか、それはプロにも任せましょう。彼らも喜んでするでしょう」
「ほら、ユーリが作れば材料費で出来るでしょ、それに色々考えてくれるから斬新なアイデアでお願いよ」
「ユーリ、ソラも部屋が欲しいのよ、この際だから大きいのをお願いします。姉さんも頼んでくれてるんだから、それに赤ちゃん用のベットが今直ぐにいるでしょ、3人も赤ちゃんがいるんだから」
仕方ないか、妹に従兄弟の為に頑張るか。
「分かりました、急いでベットを先に作ります。それから部屋を作ります」
ベットはエルザの宿にある物と同じにした。
猫の宿が裏庭の一番奥の場所にあるので、大きな小屋を作る事にした。3部屋を作る事にした。
最初は赤ちゃんと両親が一緒に住める様な広さの部屋を作り、家具も部屋に合わせて作った。
次がソラちゃんの部屋を作る事にした。『ユーリ、私も考える』と2人でいい部屋にしようと相談しながら作った。
ソラちゃんの部屋は空色、水色にした。ベットはルチルから聞いたのか、同じデザインに決定した。
作った事があるから意外と簡単に作ることが出来た。
最後がノエルの部屋。従業員が増えるかもしれないとテレサさんが言うのでみんなと同じベットになった。予備も作れたので、猫の宿の住居スペースが完成した。
「終わった、長かった。学園を卒業してから2ヶ月位経つな。寒くなってきたな、夜はビーフシチューでも食べるか、最後のご馳走だな」
厨房の叔父さんにお願いして調理場を借りる、タレはワインを使わないで水で柔らかくしてから野菜を入れて煮込む、トマトにソースのバランス調節して塩と胡椒で整えて出来た。
「美味しい、初めてだけどよく出来たな」
「ユーリ、私にも食べさせて」
ソラちゃんからの催促で食堂に寸胴鍋を持ってくる。どうせ他の人達も来るだろうとお皿も用意する。
「私が添えるね」
「任せた」
ソラちゃんと2人で準備をする。
ルチルとノエルが一緒に来て、母さんとテレサさんも後から来た。
「ユーリ、ありがとう。あんなに綺麗に作れるなんて姉さんの言った通りだったわ」
「私の部屋も綺麗に出来た。私も考えたんだよ」
ソラちゃんは大掛かりな部屋の壁の絵を好きな動物を描いていた。
動物の絵は特徴がよく分かるので、誰が見てもその動物が分かる。
「私も気に入りました。快適なベットに机、それに部屋も広くて最高です」
「私達夫婦の部屋に、ノエルの部屋が出来たから、お客用に2部屋使えてお客を増やせるわね」
僕は頑張った。2週間も大工さんをしてしまった。効率よく出来たから短期間で出来たけど、初めて作る物が少なかったのが良かった。
「僕も便利な部屋とか色々考えられて楽しかった。明日旅に出るね、みんな探さないで下さい」
「ユーリ、元気でね。エリカとルイーナはいい子に育てるから楽しんで来なさい」
「ユーリ、必ず帰って来なさい、ここにはあなたの家族がいるのよ、ソラとハリソンがユーリを待っているわ」
「何を言ってるんですか母さんとテレサさんは直ぐに帰ってきます、鱗はうちに置いて来たのでそれが無いと何もおきません。ドラゴンに乗って帰ってきますよ。大丈夫、僕は運がいいんだから。ルチル、僕の妹をよろしく。ソラちゃん、ハリソンをよろしく。寝ます、明日早いので」
「「「「「ユーリ、おやすみ」」」」」




