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オークの解体

「ウゲ・・・・」


「大丈夫、ユーリ」


俺を気遣ってくれるけど、レベッカさんは近づいて来ない。


少し離れた場所で、カカルさんがオークの解体を今もしている。


「戦闘は出来たけど、解体はダメだったか」


少し笑い声が入ってますよ、カカルさん。


俺は何とか持ち直した、でも解体している方向は見ない。


「解体を見るのが初めてだったんですよ。どうしてダメなんですかね」


「さあな、俺には分からん」


「俺も分からん」


「私は、少しわかるわ」


「まあ、ダメな人もいるさ、初めて見たけど」


グリュックの皆は首を傾げて気持ち悪くなるのが不思議そうだ、この世界の人は精神的に強い?のかな。


カカルさんとマシュさんが俺に見えない様に通路の隅にオークだった物を片づけてくれる。


そして、解体が終わって俺の横に大量のオーク肉が置かれた。


この形ならもう俺の知っているただのお肉だ。食材用のヴエルナさんのリュックに詰めていく。


オークは全部で十七体いた。皆は「そんなにいたんだ」と同じ感想をもらしていた。


全てを解体して肉を持って行けないので、ここでレベッカさんが魔法で焼却にした。


「ああ、勿体ないな、オーク肉」


火の温度が高いのか煙も思ったより全然でない。天井が高いから大丈夫でしょと言っていた。


まだ野営にはずいぶん早いはずだと判断したので、先に進む事になった。


いつもの様に俺は最後尾を歩いている。


今日の野営地点まで十回以上も戦闘したが、現れる敵の数が少なくて時間を掛けずに戦闘が終わった。


最後尾から戦闘の様子を見ていて、終わると皆に近づいて必要部位をリュックに入れる、戦闘と移動を繰り返した。




昨日の様な広い場所で今日も野営だ。


楕円形の広い場所は敵が沢山いたりボス等の敵が待ち構えているのはゲームの世界だけなのか、ここでは広い場所でも関係ない様だ。


天井が高いので火を使って肉を焼く事にした。


水は貴重なので、飲み水かスープにして使う、シチューだど水分が減ってしまう。


「大量の肉があるのにシチューは食べれないのか、シチューが食いて~」


マシュさんが叫んでいるのをスルーする、水は貴重なのだ。


「ユーリの家は、オーク肉の料理はメニューにないのか?」


「ないよ、だからオーク肉が食べれる事も知らなかったし、食べた事もないんだ」


「美味しいぞ、オーク肉は」


「オーク肉は高価だ」


マシュさんは食べ物の事だとよく話す、オーク肉が高価だと言ったのはカカルさんだ、口数は少ないけど、大事な事を教えてくれる。今はオーク肉が高価な事を呟いてくれた。


「それじゃ、今日のメニューはオーク肉の野菜炒めとオークの肉焼きでいいかな?」


「いいぞ、オーク肉と付いただけで上手そうだな」


顔が喜びであふれるマシュさん、シチューじゃないけどいいのかな。


ヴエルナさんが帰って来た。


俺が拠点の周りに張ったロープの仕掛けをこの先の通路に仕掛けて来てくれた。後ろに仕掛けてくれたのがカカルさんだ。


「いや~、あれなら音が鳴って魔物が来た事が分かるな」


「そうだな、時間の猶予が出来るのがありがたい」


自分の敷物の上に座ったヴエルナさんに、オーク肉の野菜炒めの皿を渡した。よし、オーク肉のサイコロステーキを焼き始めるぞ。


他の皆は野菜炒めを食べ終わっているから、待たせていた事になる。


これからもオーク肉が手に入りそうなのでケチらずどんどん焼いていく。


出来上がったコロコロ肉を食べお終わったお皿に載せていく。予備のお皿がないから使い回しだ。


「どうぞ」


焼く前にコロコロ肉にしてあるので、火が通り易くてすぐに焼ける、誰でも簡単に焼けるのがサイコロステーキの良いところだ、ステーキとして焼いてからサイコロの様に切って食べる方法もあるけど最初から小さく切った。


「うめえ~、今回の依頼は美味しい物が食べれるな、美味し物が食べれる依頼ばかりだといいのにな」


何か、変なことを口走っているマシュさんの食べる早さは変わらない。


「このコロコロがいいな、食いやすい」


「ヴエルナさんは歯が悪いんだ」


「違う~、切らないですむからだ」


「俺は大きいままの中が赤い肉が食いてぇ」


カカルさんはステーキのレアが食べたいようだ、赤い色からピンク色に焼けた肉の事だよな。


オーク肉の食べ放題が終わった、最初の見張りはレベッカさん、メグさんがする事になった。


グリュックでは女性が大事にされている、最初の見張りなら起きてる人達が多いから負担が少なくていいので決定した。


「みんな、寝ていいわよ。レベッカと頑張るから」


「おやすみ」


疲れているであろう俺も配慮されてマシュさんと最後になった。


男性の見張りの順番はくじだった。3分の1の確率で、運が良かったのがマシュさんだ。、今から寝て最後なら、長い時間寝れるからだ。ヴエルナさん達は寝て起きて見張りをして、見張りが終わると朝まで寝る、くじでハズレたので仕方ない。くじは簡単な、長い棒を引いた人が勝ちだ。


ロープは活躍して音を鳴らす、ヴエルナさんとカカルさんの見張りの時に2回もオークが現れた。


2回の戦闘は2体だったので、起こされる事なく2人が倒したそうだ、音のお陰で様子をすぐに見に行けたので、その場で倒したらしい、俺は寝ていて、仕掛けの音も戦闘の音にも気が付かなかった。





何日この洞窟にいるのか分からなくなってきていた。外の様子が様子が・・・・・・昼間と夜になっている事がここだと何も分からない。


段々、最奥て本当にあるの?いつまで洞窟にいるの?と皆が思うようになってきていた。


戦闘には参加してないので暇だった。


これは体力作りだとメグさんのリュックも持つ事にした。


「自分で持つから良いわよ」


「ダメです、重さが足りないのとバランスが悪いから」


後ろから見ると、リュックに足が生えて移動してるように見えるらしい。


レベッカさんが後ろから見て笑った。




今は皆が戦闘しているのを遠くから見ている、最後の1体になったので、皆の所に行こう。


「おつかれさま」


「おう」


「しかしオーク、コボルト、ゴブリンには慣れたな」


「こんなに連戦すれば流石に慣れるよな」


「でも、誰かは未だに解体に慣れないけどね、ふふ」


メグさんが俺を見て笑う。


そう、あれからも解体を見ると気持ちが悪くなる、慣れないな~。


「しかし、誰だよ近くて手頃な洞窟があるからこの依頼にしようと言い出したのは」


「えっと、誰だったかしら」


皆の視線がカカルさんに集まる。


「俺か、俺が悪いのか、決めたのはヴエルナだぞ」


皆の会話を聞きながら、倒れているコボルトの横を通って、この先の通路を見に行く。


いつもの楕円形の入り口のところで周りを確認するとこの先の広い場所は天井も高くて奥行きもありそうな感じだ。今までと何か違うような、不思議な雰囲気があるような。


「ねえ皆、前の方の雰囲気が違うよ」


誰も聞いてくれないし、俺も方を見てもくれない。まだ依頼の事を話しているのかな。


「あのさ~この先凄く広いところがあるよ」


またも誰も聞いていない


しょうがないな、ここで待とう。薄暗くて、よく見えないけど、危険だからこれ以上は進まないでまとう。


ここに来てからどのくらい経ったのかな。最初の七日ぐらいは数えてたんだよね。何日洞窟の中にいたか、後で母さんに話そうと思っいたんだけど・・・・・・全然分からなくなったな。


忙しい時もあって、段々何日目か分からなくなったんだよね。それに寝た回数が夜と同じ回数とは限らないんだよな。


「ドスン、ドスン」


おお、何か聞こえる。凄い地響きだ、この洞窟の奥からみたいだったけど、ここは火山?


まさかね、今まで暑いとか空気が乾燥してるとか感じなかったよな。


「おい、どこから聞こえた」


「この先か?」


「地面揺れたよね」


依頼の話しが終わったのかな、皆がこっちに向かってくるぞ。


地面が揺れるって凄いよな。何処かの国の子供達がジャンプして揺れるか試したニュースを見た事があるな。


皆が俺のいるところに集まって来た。


「ユーリ、何かしたのか?」


「何もしないよ、ただ~、この先の雰囲気が違うんだよね」


俺の言葉に皆がこの先に顔を向けた。


「何か大きい魔物でもいそうだ」


「いやな雰囲気~」


「誰か見て来い」


「私はほら後方から魔法を放つ担当だから」


作戦会議か、誰が見に行くか決めるんだな。


「私も後方から援護するからカカル行きなよ」


あれ、皆、行くたくない?。


「いや、ここはリーダーのヴエルナに譲るよ」


「ああ、そうかよ、行けばいいんだろ」


なんでなげやり、面白そうなのに、定番のボスなんて居ないよ。


「何か居るぞ」


いるのか、もう見に行ってもいいのかな?俺も見たい。


「白い山が動いてる」


マシュさんが「山は動かないぞ~」とヴエルナさんにツッコミを入れた。


「それも大きい」


大きくて白くて動く?


何かに気付いて戻ってくるヴエルナさんが、忍び足だ。


忍び足のヴエルナさんが皆のところに戻って来た。


すぐそこだから、気になる人は2.3歩歩いて中を覗き込んだ。ヴエルナさん以外の俺を含めた全員が静かに中を覗きに行く。


「おい、やめろ起きたらどうするんだ」怒鳴っているが小声のヴエルナさんが俺の洋服を引っ張る。


白い生き物の体が心臓の動きの様に膨らんで縮むを繰り返している。


「スピー、スピー」


白い生き物の寝息なのかな。


「だから覗くな」


大声になるヴエルナさん。


「誰かいるの?」


白い生き物から聞こえてくる。


「ねえそこに居るんでしょ、私にはわかるのよ」


人間の言葉を話しこちらに白い生き物が顔を向けた。


「竜」俺は中国4千年の歴史のある国の生き物を連想した。


「ドラゴンだ」


誰かがドラゴンと言った。

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