大会
「ユーリ、起きてよ。学園に行くんでしょ」
あれ、徹夜の疲れかなシシルの声が聞こえる。
目の前に大きな山が二つ色が違う。
「お姉ちゃん、起こす時はこうするのよ」
何をする気だ。ルチルもいるのか、山は頭か・・・・松茸。
勢いよく起きたら2人の頭に当たった。
「痛い~」「何すんのよ~」
痛いのはみんな一緒なんだから、2人で頭をぐりぐりするのやめて欲しい。
「その位にしてあげてそれ以上馬鹿になったら困るわ」
昨日帰って来た。5日間オークを倒してこれだけ送れば大丈夫だとギルマスが言ったので、着いたのがギリギリ街に入れる時間だった。
ポール子息の屋敷にジェシーを預けに、オーク肉をお土産に持って行った。
そこで3年生が綱引き用の綱を作る為に大森林に行って材料の蔓を持って来た。
3年生は1.2年生には手伝わせないで自分達で綱を作った。
「私達の方が慣れてます。勉学に励んで下さい」と1.2年生の代表に言ったらしい。
ポール子息は準備は出来ていると言っていた。
「母さん、可愛い子供を馬鹿呼ばわりですか」
「えでも、赤ちゃんが生まれるし小さい方が可愛いでしょ」
「まあそうですね」
ベットの周りをいくら探してもない。
「ユーリ、何を探してるの?」
ルチルが僕が狭い部屋の中でベットの周り、ベットの下、クローゼット内と探したているを見て質問してきた。
「ここに置いて有った木箱が無いんだよ」
「捨てたわよ」
そうか、カビが生えてる松茸を母さんが捨てたのか。
「いつ捨てたの?」
お腹に手を当てて考える母さん。通信中か、次も生まれてくるのは、転生者かなそれとも普通に。
僕が生まれたのは誰かのいたずらだろう。それが一番しっくりくる。
「そうね、ユーリが旅から帰って来た次の日かな。変な匂いがすると父さんが言ったのよ、だから探したのよ。ユーリの部屋の木箱に沢山の不味い松茸が有ったのよ、ユーリは美味しいのが特別好きでしょ。だから直ぐに捨てたの、父さんも変な匂いが無くなったと喜んでいたわ」
どう偉いでしょと付け加えた母さん。
「母さん、ありがとう。あなたは女神です」
涙が出て来た。そうか、カビなかったのか。そうか良かった。カビたのを捨てるより誰かの手により無くなっていた方が諦めがつく。それも母さんは食べる機会を僕に与えてくれなかった。完璧だ、救いの女神だ。元気が出て来た、奴らの腹を満たそう、僕の腹の代わりに。
「そうね、私はいつもいいお母さんで女神なのよ。いい子に育ったわね、育て方が良かったのかしら」
「母さん、腹ペコ姉妹にハンバーグを時期にオーク肉が届きます。母さんも僕の妹の為に栄養を付けて下さい。学園に行ってきます」
「姉さん、ユーリは何で泣いてたの?」
「ルチル、謎は謎のままよ、あれがユーリなの。それに面白いでしょ、次に何を言うか」
「はぁ~分かりません」
「ルチル、あの子は昔から変な子なのよ。そうね例えると面白くないのに笑ってるのよ。頷いて分かっているな流石。昔からの口癖なのよ」
こんないい日はない。オークに悪い事をしたな、もう少し手加減しても良かった。
今日は綱引き大会初日だ。
会場に沢山の学生が体操着に着替えている。
貴族様の体操着は、センスのない僕が言えた事ではないが普通だ。
ズボン?と服?前からよくあれで授業に着ていたと平民の普段着かな、生地が伸びないので短い服の人は少し屈むと背中が見える。男女同じなので全員が前かがみをすると全員の背中が少し見える。
平民の僕は後ろなので後ろから見ている。
制服の方がいいデザインなのに、それにカッコいい特に女子生徒の服が、高校の時にお洒落な服が買いたいが男物にそんな物はなかった。
学園の女子生徒の制服は最高だ、胸の部分が2個ボタンが付いていてそこを隠すように生地が止めてある。
着てみたいと思ったが、女性の服。あの服はカッコいい貴族様なら二枚目が着るとカッコいいだろう。
ゆったりした着こなしでいいデザインなのに、体操着はダサイ。
「まあいいか、僕は僕の仕事をコネコネコネコネコネコネコネコ」
僕の横には、弟子のみなさんがコネコネしている。
僕がコネコネは声を出してしてと言ったら「コネ」しか言わなかった。
この連中は短い単語しか話してくれない。
ルールは知らないが、5人で1チームで対戦相手も入れれば10人で綱引きをする。
3ヵ所で行われている綱引き。30人が会場で頑張っている。
客席でハンバーグの準備をしながら観戦している。
終わった生徒からハンバーグを取りに来る?お昼とかは関係ないらしい。
生徒会長の説明は忙しいぞ、誰かの陰謀だと言っていた。
会長は大会が始まると役目を終えて自分も大会に参加しに行った。
この大会に僕の代わりに出ているのが、魔女こと魔装の先生だ。
「先生、この大会は何時までするんですか?手が疲れてきました」
「終わるまで」
最後の綱引きの日がきた。今日でコネコネが終わると思うと、とても嬉しい。
毎日優勝チームがいるが、絶えずハンバーグを取りに来るので、優勝チームを決めてる意味が分からない。ただ魔法軍団のみんなが目立たないのがおかしい。あれほどオーク肉を愛しているのに他の人と同じ位しか食べてない。
「ユーリ様、ありがとうございます。温まるんですは最高です」
「そうでうか、ハンバーグ載せますね」
「はい~」
僕のあげた、温まるんですを持ってお礼にみんなが来た。いい子達だ。
下級生と話す機会はほぼ無いので新鮮だ。
魔法軍団に嫌いな食べ物をみじん切りにしていれたのに、交換してハンバーグを食べていた。
「優勝チームのみなさん会場に集まってください。5チームいるはずです」
毎日優勝チームを決めてるから今日のチームを入れて5チームあるよな。
「ユーリも会場に来て下さい」
呼ばれた。なんだろう。
「ではユーリに勝ったチームの優勝です。さあどのチームが優勝できるのか?優勝チームが無いの最後の5試合が始めります」
なるほど、僕と全力で戦いたいと、受けよう僕がどれだけ鍛えてきたのか思い知らせてやる。
「ユーリ、重りを外してくれ」
「分かりました、全力で戦います」
「全てユーリの負けでした」
「そうか、僕は軽いから力だけでは勝てないのか」
重りを外させた意味が今分かった。
ハンバーグを配りに戻るか。
「優勝した25人には、ユーリの1日料理権を差し上げます。おめでとうございます」
「やりましたね、エミリー様」
「はい、ハンバーグが食べれます。美味しいタレで」
「私も嬉しいです、やはりタレが命と言いますからハンバーグは」
「僕も、塩と胡椒より、あのタレで食べた方が美味しいと思います。エミリー様」
あれ、このお話は何処から来て僕はどうなるの?25人が優勝ておかしいでしょうが、
「いや、いい戦いでした。ハンバーグ1個を余分に食べれるのは25人でした」
この大会の裏に誰かの陰謀が、みんなが美味しい思いをして、僕だけ辛い思いをしている様なおかしな大会だな。考えてはいけない時には何も考えず従おう。
「先生達も食べたいと言っていたハンバーグが食べれて良かったですね」
「美味しかったです。卒業までに綱引き大会がまたあると嬉しいですね」
珍しく長く話す学園長。全員に騙されたいたのか、1.2年生は恐らく関係ない。
まあしょうがない、貴族様達には逆らえない。
1日貴族の屋敷で料理しないといけないのか~。
学園長が余計な事を言ったな。
僕は勘違いをしていた。
ラウンジで使われる料理権だった。
オーク肉は学園にあるので、僕はタレを作って持って来たが、ハンバーグを食べたのは魔法軍団だけで、他の人はしゃぶしゃぶだった。
学園長に呼び出されて「あげる」と渡されたのが女子の制服。
「なぜ僕にこれを?」
「欲しいと言ってた。褒めてくれた」
僕は考えてる事を話してる事が多いのか。
「着て来てもいい。許可します」
「ありがとうございます」
ルチルにあげよう、試しに着た後に。
学園の授業は貴族専用のままで、みんな頑張っていた。それを見て僕は綱引き大会は遊びたかっただけだと気付いた。冬の休み明けから頑張つているので、勉強に身が入らないは口実だった。
学園長のはからいで魔法の授業を出る事を許された僕は、1年生の生徒に交じって受ける事に。
最初の頃はユーリ様と呼ばれていたが、授業を何回か出るとハンバーグ様と呼ばれていた。
学園から帰ると役所のヤーシャさんが着ていて、王都ローランドから呼び出しがあり直ぐに向かう様に言われた。
「ジェシー、これが君との最後の旅になる、のんびり行こうか」
ガーランドを朝に出発して、今はお昼頃だろう。
直ぐに着いてしまうだろうが、気分はのんびりとした旅をしている気分だ。
ローランドに呼ばれた理由は知らされていない。
ヤーシャさんに聞いてみたら、それが普通なのよと言われた。
そうだな、口外されるのを防ぐには、直接話す方がいい。間に入る人の数が多ければ情報が洩れる可能性も高くなる。
夕方には着いた僕は、侯爵様の屋敷でジェシーに美味しい草と水を用意していたら、ラキトさんが「侯爵様がお城でお待ちです」と言付けを伝えられた。
国王様の執務室なのか、王座見たいのがあるが部屋はそんなに広くないが王座の間と比べて。
見た事がないが、何百人も入れて扉から赤い絨毯が真っ直ぐに敷かれていて数段の階段の後に王座がある。その部屋と比べれば小さい部屋だここは、広さが決まっている場所で例えるとバスケットボールの1面位だ。
誰もいないので「国王様、力及ばず戻る事しか出来ませんでした。預けて頂いた三十万の兵は壊滅しました。これより単身で時間を稼ぎます、どうか転移の魔法で後方の姫城に」
「ユーリ、楽しそうなところ悪いが、国王様もいらっしゃるので、そのへんで終わってくれ」
国王様は無事か、ならいい。
片膝を付いて「お久しぶりです国王様に両殿下。急ぎはせ参じました」
両殿下が「へえ~、ユーリて言うのか」
いい人だが、前回お会いした時に名前を聞かれないから、尋問とかに向いてた人だとは思っていた。
僕が名前を聞かないのは、覚えられないからだ。同類じゃないよな。
「ユーリ、我が息子より聞いた。魔道具に必要な図面をもたらしてくれた事に感謝する。よって本日よりユーリ準男爵とする」
話が変な方向に向かいました。国王様は僕に死ねと言っている」
「素晴らしいぞ、ユーリ。君にふさわしい、おめでとう」
「すいません、辞退します。功績を認められるのは、教えてくれた方。もし僕にも功績があると認めて頂けるなら、違う事。僕が喜ぶ事にして下しさい」
「無礼だぞ、父上たる国王様の決定に従わないとは」
「殿下、そもそも準男爵の身分では僕が死んでしまうのです。貴族の世界に馴染めないのです。無礼な事をしてそれで終わりです。準男爵は国王様に仕えるこその身分です。お役に立てる前に処分される事でしょう。分かって下さい、僕は平民なんです」
「我が間違えていたようだな、では何か望みはないか、出来る事なら叶えよう」
皆さんが僕を見ている。僕の希望は決まっている。
「魔道具の製作の依頼がしたいです。もしよろしければ僕の考えた事が出来るか試してみたいです」
兄殿下が「それは秘密が知りたいと、言っているのかな?」
誤解されると困るので丁寧に説明をしないと。
「秘密は知りたいと思いますが、そこの秘密は秘密でいいので、工房で今回の冷たい効果が起きる魔防具の完成品の依頼又はご一緒に僕のアイデアの実現の協力をお願いしたいです。これが僕に合った褒美です」
国王様と侯爵様が相談している、そこに両殿下も加わる。
何か頷き合っているけど決まったのかな。
「ユーリ、望みを叶えよう。秘密の部分は教えることは出来ないが、ユーリのアイデアで魔道具を作る事を許可する。シューゲル侯爵、城の許可書をユーリに」
「かしこまりました」
国王様との面会が終わり、数日の間は侯爵様のお屋敷にお世話になる事になった。
滞在のお断わりをしたが「ユーリは、何処かに行きそうなので、ここに滞在しなさい」と言われた。
いくら何でも、かき氷が食べれるかもしれないのにここを離れるわけにはいかない。
何故か僕に合わせて王都に滞在すると決めたらしい。




