準備は忙しい
授業は気が抜けている様になってしまっていた。
3年生は自分の進むこれからの問題に取り組んでいた。
みんなは一所懸命だが一番やる気が無いのが僕だ。
全世界の人が僕に同情するだろう。
貴族のためだけの授業が多くなった。
社交だ。社交は大事だが平民の僕には理解できないし、平民が進む先では無い事だ。
貴族同士の呼び方、態度、挨拶、手紙のやり取り、他にも沢山ある。
貴族の呼び方で、僕は国王様と殿下が分かればいいと思った。
それ以外は、閣下とか公とかそれらしいのを付けとけばいいのだ、平民は会う事も無いから教えて貰っても忘れる。
それなら僕流ヨイショ、ほめる、おだてるが出来ればいいのだろう。そこに下心はいれてはいけない。
これで完璧だ、僕なら・・・・・
色々な対処法を教えてくれるが、使う相手のいない僕には参考にならない。
先生も僕が聞いてなくてもいいと思っているはずだ。
贈り物はどうすると僕が聞かれたので「門番が一番安全です、逃げれるし」と答えた。
「まあ、面白い答えではありますが、ユーリの様にみなさんは速く走れません。違う方法がいいでしょう」
なるほど、上手くまとめましたね。先生。
なるべく貴族と関わらない様にしている僕とみんなでは、違いすぎるので授業を聞いても参考にならない。
アポなしで突然現れる僕に準備の二文字が無い。
つまんない授業が続いたある日、とんでもない事をしたいとある生徒が言い出した。
生徒会長だ、そんなのいないけど。全校生徒を代表してと言っているので生徒会長と呼ぶ事にした。
「全校生徒を代表してお願いがあります」
生徒会長の横に僕も同伴させられている。
学園長はいつも通りだ。
「どんな」
「ユーリが教えてくれた綱引き大会を学園の生徒全員でしたいです。勿論生徒全員の意見です。3年生は卒業まで後3ヵ月ですがここで大会を行なって、授業に身が入る様にしたいのです」
「やりましょう」
「ありがとうございます」
「後は任せます」
学園長は自室に入って行った。
僕は何のためにここに居るんだ。
「ユーリ、話は決まった。ハンバーグは任せた」
僕は今までの流れから、ハンバーグの事が何故出て来たのか分からなかった。
「その~、ハンバーグと綱引き大会が何か関係があるんですか?」
「分からないのか、綱引き大会で勝った者が1個余分に食べれる大会が綱引き大会だろ、自分で教えといて忘れたのか」
今の話だと綱引き大会はハンバーグを食べれる大会で、優勝者チーム?グループ?が1個余分。ここが大事だ。1個余分、全員が何個か食べれる、そこに1個余分に食べれるのが綱引き大会。
綱引き大会とハンバーグを別に考えて欲しいが、開催が決まってからのルール?の変更は出来ないよな。
ワザとなのか、勘違いなのか今は大事ではない。大量のオーク肉が必要でその用意を僕がしなければいけない事になっている。
社交の授業に平民が貴族様に断る方法を入れて欲しい。僕以外は聞かないけど。
学園長に説明したら「行って来たら」で終わり。
オーク王国に行く事が決定した。綱引き大会は僕の準備が出来たら行われる事になった。
開催は5日間に決められた。何故綱引きが5日間もあるのかと生徒会長に聞いたら、先生が5日位のんびりしたいと言って決まったそうだ。
誰に開催期間を相談したのか聞いたら、秘密だと言われた。
生徒会長に僕からのお願いをした。在校生で温まるんですを持ってない生徒がいた場合に購入するか情報を密かに集めて欲しいと。
ハンバーグを全校生徒分は焼けないので全校生徒に温まるんですを購入をお勧めして貰う事にした。
買えない人がいた場合にこないだの様な事がない様にするためだ。
買えないのなら、あげるしかないと腹をくくり、頑張る事にした。
今はスキル探偵で聞き耳で会話を聞いている。
「どうかな、君は温まるんですを持っている。無ければ買う予定はあるかな?」
「買います、聞いてみたら便利そうだし、ハンバーグを食べたいので」
あれが貴族の情報収集なのか、本人に聞いているだけだ。手間が掛からないので聞いた方が早いのは分かる。これなら情報も確かなものになるだろう。
もう任せよう、大事なスキルが見破られない様に。
「おい平民、何をしてるんだ」
「はい、貴族の情報収集能力の観察レーポート中です」
ここは誤魔かさないで本当の事を言う。
「スコット子息はどうされたんです?」
「僕はカタル様に頼まれた、温まるんですの調査をしていた」
「生徒会長のお手伝いをスコット子息がされてるんですか?」
「生徒会長は分からないが、カタル様のお手伝いをしている。貴族は利害が一致すれば協力するのが当たり前だ」
利害が一致か、難しい言葉を知ってるんだな。そうか、僕はみんなより言葉を覚えるのが遅かった。書きと読みだ。話すは出来たな~・・・・・・赤ちゃんでも話すは出来るか。
2人に任せた情報で18個の温まるんですが、必要になった。
僕は今後の事も考えて温まるんですを30個と温まるんです改を10個注文した。
残高が少なくなったがしょうがない。お金は使う為にあるんだから。
旅に出た。学園長の一言で「早く食べたい」。早く開催したいと言い間違いだと思っている。
「そうか、学園でそんな事情で奢っていたのか。大変だな~」
こないだのお金が無くなりそうだ、どこに使ったかの説明をしたいた。
「それで、今度もみんなに食べさせる為に来たのか、頑張るなユーリは」
「頑張っているか、断れないのかのどちらかでしょう。僕にも分かりません」
「無理するなよ、ユーリが危険になってもここからだとわからないからな」
「ありがとう、ギルマスに話してくる」
「ギルマス、忙しくなりますよ」
「ユーリ、学園はどうした?」
「このミッションを遂行しないとおそらく退学になります」
「そうか、残念だな」
ギルマスが、歩いてどこかに行く様なので。
「残念だ、僕が退学でギルマスはクビの後に良くて山の上で隠居生活か、クビで島流しかな~。選べるといですね」
こちらに帰って来てきて襟を掴む、僕の胸に額を付けて「島はどこにあるんだ」
「仕事しますか?」
「する」
遊びが終わってので、作戦の説明をした。
「今度は学園に送ればいいのか、こないだより輸送料が浮くな。ふふふ、今年は、利益が凄い事になる。臨時で皆に金一封でも出すか、いいなこの流れが年末まで続かないかな」
1人で呟いていたギルマスをそのままに、リュックを買いにいく。
「下さい、10個です。カードです」
「君か、在庫入れといたよ。今取ってくる」
1個しかないはず、他を探さないと。この村に扱ってる店がないかも。
ボラジュに戻ればあるな、大きい街だ。必ずある。
「商品とカード。また在庫入れないとよく売れるな」
渡されたカードと商品のリュックが10個?
「あの在庫1個にするかて言っていませんでしたか?」
「そうだけど、リュックは悪くならないから」
悪くはならないな。そのおかげで買えた。流石プロだ。
「ふ、オーク王国。貴族の子供が約200人もお腹を空かして待っている。それも5日間も。綱を引くとハンバーグが釣れる新しい遊びを覚えたんだ。許してやってくれ。温まるんですが売れて母さんも安心して子育てができる。名前を付けさせて貰えないが、生まれてくるんだぞ、嬉しい」
雰囲気が出たので崖を滑り落ちる。
「ドラドラ山で修行して来た、踵滑りが役に立つ。右と左のどちらに行こうかな、左にしとこう」
崖の下に着いた時、ある悲しみが。ドラドラ山、オークがいる森。山と森、松茸。
僕の部屋の木箱にはカビの生えた松茸が有るはずだ。
今からでは間に合わない、この悲しみをぶつけよう。みんなもお腹を空かしているし。
「ギルマス、どんどん送ってくれてますか?」
「いいぞ、利益が出てる」
ダメだ、今は利益の事しか考えれないようだ。
「すいません、ここにオーク肉入リュック置いときます。すぐに来ますので出しといて下さい」
「分かりました、ありがとうございます」
ギルマスの代りに作業のしているおじさんが返事をする。
市場の露店に急いで来た。
「おばさん、松茸ありませんか?」
「誰も買わないから、仕入れないよ。それに季節が秋だから冬には市場には無いよ。大きい街でもおそらく、扱ってないと思うよ」
「ありがとう」
もうない、秋まで食べれない。売ってないから買えない。生えてる所も知らない。
最後の希望がカビだらけか~。
カビを取ったら食べれるかな、どうなんだ。
確認する為にも早く帰ろう。
「ごめんなさい~。急いでます。時間がありません」
謝りながら倒す。一撃必殺しか、今の僕には出来ない。オークを次々に倒して解体。
2日目の夕方、今日の最後にするつもりだ。
「ギルマス、今日はこれで終わりです」
「ユーリ、気にするな。今から行って来てもいいぞ」
どこに行くんだ、僕?宿屋に帰るだけなのに。
「行って来てもいいぞは、どこの事?」
「崖下だよ。忘れていた。俺はギルマスだ」
ここは返事しないと話さないパターンか。
「そうだね、ギルマスだね」
大きく頷いて「ギルマスには緊急事態の時の権利がある。夜間の出入りを許可を出そう。嬉しいだろユーリ」
「別に明日頑張ればいいから、そんなに急いでないし」
ガッチリ肩に手をかけて、肩を組まれた。
「貴族の子供達が、お腹を空かしているぞ、可哀想に今頃お腹に手を当ててハンバーグが食べたいと泣いている」
「貴族の子供だから、まあ少し待ちましょう。いつか届きますよと言います。ハンバーグも調理長の方が美味しいですわよと言います。断言できる」
ギルマスは頭を振って「200人以上の貴族の子供達に恨まれたくないだろ、ユーリ。それに、その子供達が大人になった時、ハンバーグの事で何をされるか分からないだろ」
判断力のなくなった、ギルマスが可愛そうだった。
「分かりました、行きますよ。ライトありますか?」
「あるよ」
「ええ~何でライトがあるんだ、そこは高くてないでしょ」
「なあユーリ、今明るいのはライトが有るから、夜ギルドがやってるのはライトが有るから」
「何でそんな重要な事を今更教えるかな~」
「ユーリ、あそこに付いてるのは」「ライト」「あの奥の方に付いてるのは」「ライト」「受付の上に付いてるのは」「ライト」
「それで安いのライトは?」
「さあ、備品だからな、ギルドと役所は壊れても交換だからな。売ってるかも分からん」
「もういいよ、1個かしてよ。松明より便利だ」
何処かに売っているはずだ、今度探そう。
「疲れた、徹夜で戦うの久しぶりだ。もう歳かな眠くなってきた」
オーク王国でフラフラしながら戦っている。いつもの元気な動きが出来ない。それでも何とかなっているのは、名刀お姉さんのお陰だ。
「これをギルドに置いたら寝よう、限界だ」
読書の秋




