おじいさんですか
「今度こそ会いに行けるぞ、待っていろ」
集落に泊り朝早くに出発した。少年が手を出すので。
「泊めてくれたお礼だ、干し肉好きなんだろ」
「ありがとう、味はまあまあ」
宿代に10日分の干し肉をあげた。
やる気が出た僕は、今は5合目ぐらいだ。
「バキューン、バキューン、バキューン」
やる気が出れば練習にもやる気が出る。
「バキューン、バキューン、バキューン」
やる気があっても魔法は使えない。
「どんどん登ってやる。バキューン、バキューン、バキューン」
「ふう、ここまで来た、8合目。おお~、集落の人が手を振ってくれている」
こちらも大岩で飛び跳ねて手を振る。みんな目がいいな。
「今夜はここで寝よう。明日は日が昇ったら直ぐに行くぞ」
干し肉をかじり、革袋を出して水を飲む。沢の小川で汲んだ水はそれほど美味しく感じなくなった。湧き水が美味しすぎるのだ。
食事が終わったので寝る事にした。
「グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~」
耳を両手で塞ぎ我慢する。
「グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~、グゴ~グゴ~」
ドラゴンが居るのは分かった。しかしいびきが凄い。
我慢、我慢、我慢、がま・・・・・・・・
「昨日はあまり眠れなかったな、あと少しでドラゴンに会える、会える~」
「歌ってはいけない、危険だ。着いた時にドラゴンが耳を塞いでいたらどうすればいいんだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・ドラゴンに耳はあるのか?
憶えてない、ドラゴンを見ると次は地面を見ないといけないから。
無くてもいいか、聞こえてるんだからどこかに有るはずだ。
山頂に登り着いた「そこに山があるからだ~」
「なんじゃ、うるさいのじゃ」
じゃ、うるさいのじゃ。お年寄りのドラゴンだな。
「すいません、山頂に着いたら叫ぶと決めていたので」
「そうなのじゃ、しょうがないのじゃ」
僕の立っている山頂から反対側にドラゴンが入れるよりも広い円の形をした窪みにドラゴンが居る。
簡単に言えば大きなタライの中に居るドラゴンだ。
「始めまして、僕はユーリです。あなたに会いに来ました、そちらに行ってもいいですか?」
「いいのじゃ、来るのじゃ」
この位ならと飛び降りる。
「我はドラドラじゃ、遥か昔に人間の友に名前を付けられたんじゃ」
やはり人間とドラゴンは友達。
「その、どのぐらい前から生きてるんですか?」
「忘れたのじゃ、長生きなのじゃ。我は最古のドラゴンのドラドラじゃ、何しに来たのじゃ」
シュラさんよりも大きいな。あと最古の雰囲気は出ているな。
では、恒例の周りを見てと、沢山落ちてます。
僕へのお土産が沢山あります、牙のかけらもあるぞ。
「はい、友達になって欲しいと思いまして、会いに来ました」
「そうなのじゃ、友達なのじゃ」
じゃが付いてると会話が分かりづらいぞ。
「なって頂けますか?ラム酒を持・・・・・・」
あげたんだあの人たちに何か可哀そうになったし、あんなに楽しそうだったからドラゴンへのお土産をあげてしまった。
「我は酒が嫌いじゃ、湧き水が好きなのじゃ」
湧き水そんなのあそこの集落にあるのしか知らないよ。そこら辺に無いの。
周りを見て湧き水を探すが無い。
ラム酒はあげて、湧き水は近くに無い。
「あ~~~~~、あります。ここに」
鞄からラム酒の瓶を出す。女性が『ラム酒が飲めないのなら代わりに湧き水を入れておくぞ』
彼女は女神だったのか。流石だ「あそこ」の人達。
鞄から瓶を出して匂いを嗅ぐ、無臭だ。
「ここに湧き水があります、飲んで下さい」
ドラドラさんは舌を出して真ん中に湧き水を入れると上手い具合にこぼれない様に真ん中を窪ませて湧き水を飲んだ。
口の中に持って行かなくても飲めるドラドラさん、シュラさんは瓶を咥えてる様に見える飲み方。
三本を飲んだドラドラさんはもう友達だ。
「美味しいのじゃ、湧き水は美味しいのじゃ。友達なのじゃ」
僕は鞄の中を整理するのに荷物を地面に出す。
毛布、使うか分からない温まるんです、洋服、後は干し肉。干し肉は食べきれるかな。
「その丸い形の物は何じゃ?」
丸い形だと温まるんですかな。
「これですか、温まるんですで鍋の魔道具です」
「魔道具なんじゃ、どんな事が出来るのじゃ」
やっぱり言葉が変だけど聞き流そう。
「食べ物を温める鍋です、焼く事も出来ます」
「面白い使い方を思いついたのじゃ、偉いのじゃ」
あれ、魔道具を知っている。
「ドラドラさんは魔道具を知ってるんですか?」
「我が教えたんじゃ、遥か昔じゃ」
あれ、今凄い事を聞いたぞ。ドラドラさんが教えてそれの応用で温まるんですが出来た。
魔道具の秘密見つけたぞ。
「それでドラドラさんは、他にも魔道具に使えそうな知識はありませんか?」
ドラドラさんは考えてるのか眉間にしわが増えてる。目のまぶたが下がってる。この表情は深く考えてる時の人間と同じだ。
「忘れたのじゃ、光る図面は書いたのじゃ、それと温かくなる図面じゃ、水をくみ上げる図面じゃ、他は思い出せんのじゃ。ユーリじゃ、欲しいのはあるのじゃ」
最後は僕に何か欲しい物を言えでいいのかな。難しいのじゃ、じゃを付けるの苦労してるのじゃ。
ふざけてはいけない。ドラドラさんが聞いてくれてるんだから真面目に考えよう。
空飛ぶジュータンは魔法、どこでもドアは空間魔法?この世界に欲しい物が1つあった。
氷魔法が使えるポール子息を鍛えてかき氷を食べたいと思ってけど、凍らせられるけど口に入れて大丈夫か確認が出来なかった。氷の魔法が凍った後にどうなっているか口に入れて安全か、触るのも危なそう。
削った後にどうなるか、確認するのに安全に出来るか分からないのでやめた。
「冷たくなる様な魔道具、温まるの逆の現象が起きる物が欲しいです」
「冷たくなるじゃ、温まるの逆じゃ・・・・・あるのじゃ、思い出したのじゃ」
「本当ですか、それ教えて下さい。何でもします」
ついにきたよ、かき氷だ。シロップを考えないと、え~と。
「山芋が食べたいのじゃ」
レモンは作れるのか?メロン、イチゴ、サイダー、後なんだろうマンゴか。
でもシロップの作り方は知らない。食べれないのか、そのまま果物の汁を掛けるとどうなんだ。
オレンジが食べたいな。魔道具は誰が作れるんだ。工房で作って貰ったけど、あの時は作れますよと言われたけど、図面から作ったのか、図面の後の何か出来ている物を組み込んで作ったのか。
魔道具は国王様の権限?その可能性の方が高い。
街の工房で図面があって作れれば、もっと魔道具が出回っている。
ああ、ライトの魔道具もどこかに売ってるんだ。
それがあれば松明が要らない様になる。お金持ちしか買えないけど。
「教えて下さい。お願いします」
「山芋が食べたいのじゃ」
魔道具と山芋・・・・何の関係があるんだ。
「ドラドラさんはドラゴンのなので食べたりはしませんよね」
「食べなくてもいいのじゃ、山芋は食べたいのじゃ」
なるほど、山芋が食べたいのか、何処にあるんだろう。
「最近、食べてる人を見た・・様な・・何もないので山芋をかじってる人の・・・話」
よく考えろ、答えはそこまで・・・・・・
「あそこの人達だ、あの人たち薄めたラム酒を飲みながら、かじってた。ドラドラさん山芋を持って来れば、冷たくなる図面くれますか?」
「いいのじゃ、書くのはユーリなのじゃ」
「どうしてですか?」
ドラドラさん大きい手を見せて「ペンが持てなののじゃ、地面に書くのじゃ、写すのじゃ」
なるほど持てないし、手の大きさのペンと紙は作れない。
ペンと紙が無い、街に戻って買って来るしかない。
街までは走っていいかな、休みが終わってしまう。
「山芋を持ってきます。ペンと紙も持ってきます」
「山芋を持って来るんじゃ、行って来るんじゃ」
おお、一番今のじゃがしっくりくる。
「行くぞ~」
駆け降りる斜面、ジャンプして降りても大丈夫、集中だ。スノボ、スキーより遅い、危ないのは地面に着地する時だけ。蹴りを木に入れて吸収、地面よりはいい。名刀お姉さんもいつでも使える。方向を変えるのに木に攻撃。
「やっぱり、本気でしないと成長しないな。山を速く降りる練習でもするかな。少し危険だけどドキドキする」
降り立った地面そこは緩やかな麓、沢を横に街道を目指す。
更に重くした各バンドも良い感じだ、触れて寒いお腹の改良をしたいな。
メルーンの街道に出た。3日歩き1日で50キロも歩ければいい方だろう。
装備などの荷物が有るから更に短い距離しか歩けない。
江戸時代の人が1日に90キロも歩けたはずがない。そこに休憩と荷物、整備されてない道、靴、条件が悪いのに何故90キロも1日に歩けたと言ってるんだ。何か急ぎの用が無ければそんなに頑張れない。
この世界の人は1日25キロ歩ければいい方だ。
僕の計算だと夜までに街に着く。ついでに体力作りに「バキューン、バキューン、バキューン」
本当なのかな走ってる時に声を出すと体力が付くのは。
「バキューン、バキューン、バキューン」
「バキューン、バキューン、バキューン」
「バキューン、バキューン、バキューン」
「バキューン、バキューン、バキューン」
やめよう、体力が付くか分からないが、疲れは付く?
「疲れがたまる~」
「街だ~、予想より速い」
見えてきた街、街道横の農家のおじさんが「お~い、毎日捕れてるぞ。次の作物が楽しみだ~」
このパターンは会話しないといけない田舎あるあるだ。
「そんなに捕れてるなら、追加料金だ~」
「そんな金あるか~」
「そうか~、残念~」
「ありがとうな~」
「仕事だからね~、他の依頼をお待ちしてます。冒険ギルドより~。バイバイ~」
「おお、またな~」
田舎あるあるは大変だ、走る速度が速いので早く話さないといけない、考えてはいけないのだ。




