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オーク肉の多量注文

「暇なギルマスいませんか・・・・痛」


ゲンコツがきた。


「もう何で最後まで言わせてくれないのさ、これからだったのに」


「そうか、では続きをどうぞ」


物分かりがいいギルマスだ、出世するだろう。ギルマスの上があれば。


「では最初から、暇なギルマスいませんか~、お仕事の時間ですよ~。お願いがあります~。こんな感じになる予定だった」


「それでお願いとはなんだ」


「品物を大量に運んでほしいんだ。それもどんどん次から次へと絶え間なく」


「そんなに何を送るんだ、それと何処に送るんだ?」


「オーク肉をメルーンのギルドまで送って下さい」


「え、何でそんな事を、ここで売ってくれないのか?」


僕は考えるこの作戦に足りないのはお金だと。


僕が載せたオーク肉を確認してくれている人にカードを渡して入金もして貰う。


「売りますけど、それは輸送費を払う為でそれ以外は送って欲しいんです」


「いいのか、輸送費は意外と高いぞ」


僕は知っているのだ、運んだ方が安いのは、まあ誰でも分かるか。


商人は原価に輸送のコストこれが必要経費だ。そこに利益を乗せて売る。


僕の場合に掛かるのは輸送のコストの輸送費だ。


「それで優秀なギルマスに輸送費1回分とオーク肉がどれだけ運べるかを任せたいと思います。簡単に言うとギルドで全てして、売らないといけないオークの数を教えてね。その都度」


「分かった、計算は簡単だ。輸送費が足りなくてもどんどん送ろう、足りなくなった時に何体売ればいいか伝えよう」


「僕はどんどん持って来るから後は優秀なギルマスに任せます。では、また来ます」


「無理するなよ、ありがとうな」





干し肉屋さんおばさんに「荷車を貸して下さい特別に大きいのを」


干し肉をかじりながらお願いする。朝ご飯だ。ご飯はないけど、朝ご飯。


「いいけど、あれになるよ。大きくて滅多に使わないから好きに使いなよ」


お礼を言って荷車を引く。「リュックが一杯載るな」





「おじさん、ここに荷車置いといていいかな?」


「ああ、邪魔にならないからいいぞ」


鞄を受け取り崖下に走つて向かう。


「そうか、重りなしで久しぶりに走るな。ジェシーと競争出来るかな。無理か、もっと速いもんなジェシーは」


倒してある1体を解体して鞄に詰めてリュックを装備する。リュック挟まれた子供状態になり、あれもう1個持てそうだと気が付く。


「3個持てる、疲れそうだけど4個はどうだ。持てる、疲れたら前のリュックに助けて貰おう」


走って荷車の所に向かう。走りづらいけど我慢だ距離は短い。


「ぶは」


ぶた?


「ユーリ、その状態は挟まれたてからつぶされる瞬間みたいだぞ」


『ぶは』は、おじさんか。


リュックを荷車に載せながら「いや、持てるとは思わなかったよ、走りづらいけど」


「既に、人類ではないなユーリ。しかし腕の筋肉はそんなに付いてないのになぜ持てるんだ」


「さあどうしてなんだろう、ムキムキにはなりたくないけど、弱弱しく見えそうだよね」


おじさん達に鞄を渡していく。


「そうなんだよな、ユーリは強そうに見えないんだよ。戦えば勝てそうに見えるな」


会話もそこそこに走り出す、後2個ある。


戻って来て会話の続きをする。


「今度戦ってみる、おじさん」


「足も速くて強い奴と戦うなんて出来るか」


「そうだね、足の速いのは厄介だね。それじゃギルドに行ってくる」


「おお、毎度ありがとう」


荷車を引いてギルドに向かう。「軽い」




「ギルマス、お願いします」


「おう、忙しくなるな」


リュックを降ろしてオーク肉を出していく。面倒だ。


「後は任せました」


「おい、リュック」


「オーク肉を出したら置いといて下さい~」


荷車を引いてリュックを買いに行く。





「おじさんリュックを12個下さい」


「2個?」


「12個」


「聞き間違えではないのか、待ってくれ裏の倉庫から出してくる。在庫がはけて助かるな~」


あれは僕に言っているんだろうか、最後は独り言だよな。


「何に使うんだいこんなに?」


「予備かな、それとも効率をよくする為かな。そんな感じ」


「分からんが、在庫いれるか」


おじさんの手を取って「もう買わないからほどほどに」


「そうか、1個だけにしとくか」


支払いを済ませて、荷車を所定の位置に置く。


門の所に戻って。


「行ってくる」


「疲れたら休めよ」


「ありがとう」




「詰め終わった、10個分のリュックが一杯だから、今までに倒したのが90体ぐらいなのかな」


空を見て「まだお昼すぎだよね、朝早く起きすぎたのかな」


考えるのはやめた崖の上に運ぼう。


「危ない、4個は無理だ登るのに時間が掛りすぎる」


持てるけど体積があるから無理。登りきれたけど危険だ2度としない。


2個に戻し上に運ぶ、全部上げたら荷車に載せに行く。





「ギルマス、ここに置いときます。空いたリュックは?」


「ここにある、一杯送れそうだな」


「まだまだこれからですよ」


「意外と儲かっているぞ。ボラジュにもお願いしたから好きなだけ送れるぞ」


とても素晴らしい笑顔のギルマス。よくよく考えると、ギルマスはたいして働てない事に気づく。


まあいいだろう、ここは寂れた村のギルマスだ大したことは出来ないだろう。


「おい、悪口を独り言で言うな、聞こえてるぞ」


耳の横で怒鳴るギルマスに「も少し働きなさい」と告げて、荷車を引いて逃げる。


「荷車を引いてて何で速いんだ、はあ~」


声が聞こえたので振り返る、追いかけて来ていたのか。


「逃げ足は速いのだ、特に子供はアハハ!」




村に入れなくなるまでに4回も出来た。


お昼から頑張った。


この作戦の凄いのは倒すのが楽。この作戦の次に凄いのが解体の上達が凄い。


高級食材だが、自分で倒したのであまり気にしないでどんどん解体出来る。


これがお肉屋さんだと食べれるところを残さずに解体するはずだけど、僕は急いでるしオークは沢山いるので、少しの無駄はしょうがない。


ベットの上でこの作戦のおこぼれを我が母に上げてはどうかと考える。


あの家には両親と姉妹がいる。あの姉妹は朝からハンバーグを食べれるツワモノだ。まだ子供だからいくらでも食べれるのだろう。それならリカちゃんも食べ盛りだ、10歳にはなってるはずだ。


荷馬車2台分を余分に倒そう・・・オークも減って・・・・




滝から見て右側の森のオークをだいぶ倒した。


今は左側でオークから逃げている。ついて来れる魔物がいないがこれは作戦だ。


峠道で長い隊列にする作戦、確か名前があったはずだ。


ここで足を止めて振り返る。


「良かった、振り切ってしまったのかと思った。足音が聞こえなくなったから」


「あれ、魔物の体力はどうなってるんだ。疲れているのか?」


走ってこちらに来るが最初の時よりも遅い、見るからに遅い。


名刀お姉さんを両手で持つ。


「両手剣なのに片手で使っていた。練習しないと」


体全体を使う感じだ。両手なので動きが制限される。


もっと強い魔物なら両手の一撃がいいな、オークは名刀お姉さんの切れ味がいいから戦闘してるというよりも倒している作業をしている様だ。


「来なさい時間がありません」女の子ふうのセリフで気分転換。


「さあ、名刀お姉さんをくらいなさい」


あまりにもお疲れのオークに気分転換では我慢が出来なくなってきたので、走ってオークの方に。


どんどん倒して「女言葉はやめよう、難しい」


「だいぶ倒したな、しかしオーク討伐がこんなに大変だとは思わなかった。研究者はいないのかな、この増え方は異常だ。それともプレゼントか、でも倒しに来ないと誰も貰えない」


独り言を呟き、オーク肉を詰めていく。




「ギルマス、不在か、表に回るか」


表に回ろうと建物を出ようとしたら、ギルマスが疲れた様な顔で僕を見ている。


やってしまってのか横領。こんなにオーク肉があればいつかしてしまうのではないかと心配していた。


「気にしなくていいですよ、魔が差すと聞いた事のある事です。どんなに貧しくても横領はいけません」


凄い勢いで来るギルマス。


「痛い、痛い、ぐりぐりはやめて禿げるから。それでどうしたの?」


「オーク肉があまりにもボラジュの前の街道を通るから、ボラジュでも欲しいという方が現れたんだ」


何故、オーク肉が通っているのが、分かるんだ。馬車の中に有るのに。


「売るだけなんだから、儲けになるでしょ」


ギルマスの背中をバンバン叩いて「よかったね」と言った。


ギルマスはまだ浮かない顔で「大量なんだよ、注文が」


そういえばカルテドでも昔オーク肉をどこぞの人達が役所に運んでいたな。皆は元気かな。


何処に居るのかな空を見て、上には行ってないよねと考えてると。


「俺の話を聞いているのかユーリ」


「聞いてますよ、大量なんでしょ好きなだけ持って行きなよ。それでいつまでに欲しいの?」


ギルマスは後ろを向いて「明日」


「明日か、明日の夜?」


ギルマスが離れていく「昼」


「それでどの位、欲しいのそこが重要だよ」


「300体分だ」


上を見る今お昼、明日のお昼。24時間で300体、あれ余裕だよね。


「それなら、今日中に送ろう。頑張れば夜には街の前に着けるはずだよ」


「しかし、そんなにオークが居るはずもない」


言わないといけない時が来た。


「ギルマス、オークは今までここに持って来た数と同じ位はいるよ」


「え、おいおい聞いてないぞ、そんなにいたら危ないし報告しないと・・・・もう報告はいいか、ユーリ全力で頼む、冗談はへこむのでこの300体が終わってからにしてくれ」


「それは出来ない、僕はどんな時も全力だ、冗談だけ我慢すると戦闘力も落ちるんだ。これ本当だから」


「ユーリお願いだ、冗談も言っていいからすぐに向かってくれ」


渡されたリュックを持って走り出す「ギルマスも来る」と言ってみた


「俺は引退したんだよ」


「じゃあね、すぐ来るよ」





「ユーリ、早いな。どうしてそんなに早いんだ」


ギルマスはまだオーク肉を荷馬車に載せていた。


「解体するだけだったから、急いで戻って来た」


「その崖下で戦闘をするよな?」


聞かれてる様なので答える。


「戦闘しますね」


「その1回の戦闘か、いやここに持って上がって来た後に倒しに行くよな?」


「はい、行きますね」


「その時何体ぐらい倒しているんだ」


僕は泳いだ後に20体は倒してるよなと考え、大体5回同じ事をしているから。


「100体ぐらい倒してるのかな、半分解体して持って来て、また解体して持って来る。今が2回目を持って来た事になる」


「どうしてそんなに倒せるんだ。おかしいだろ」


「そこは企業秘密です。それよりもどんどん準備して下さい。僕行きます」


「気を付けろよ、疲れたら休め、食事もちゃんとな」





長かった戦闘、行き来した崖。オークには悪い事をしてしまった7日間が終わり、トボトボとボラジュに歩く。


「疲れたな、解体出来なかった時が懐かしい。あの殺戮はもうしたくないな、冒険者のやる事ではないよな」


元気をだそう休みは始まったばかりだ、お取り合えず可愛い従妹のソラちゃんが喜ぶ位のお土産は持って来た。それに一遍に倒したと思えば少しは心が嬉しくなる。一遍はいい言葉だ。


「また君か、遠くからリュックが来るからもしやと思ったよ。それでオークは倒せたのか、今年はオークが多いと報告が上がっている」


「多かったです、親戚にお土産を持ってこれるぐらいは居ましたよ」


「そうか、無事で何よりだな。入っていいよ」


見張りのおじさんにギルドカードを返してもらい猫の宿にオーク肉を持って行く。


受付にいるノエルさんに挨拶を「始めまして、ユーリです。叔母がお世話になり、この度おめでたで凄く迷惑を掛ける予定で、迷惑です。最後まで言えた」


振り返っても誰もいない。


「ええっと、前に会ってるわよね。ノエルよ」


「どう呼びますか、ノエルの姐さん、ノエル、ノエルさん、お姉さん。この4択でお願いします」


「ノエルでいいわよ、よろしく。」


「よろしく。1泊しますのでこの荷物を運んでください。厨房まで」


ノエルは僕の事をよく見る。


どうだ挟まれた子供は。


「え~とほら、近いから私が後ろから押すわよ」


本当に押してくれるノエルに「ありがとう、もういいです」


「そう、私戻るわね」


「叔父さん、久しぶりです。お土産をここに置いとくのでお願いします」


「おう、ありがとう」


叔父さん慣れてきたな僕に。お土産には慣れない叔父さん。「こんなに食えるのか」と聞こえる。

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