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匠がベットを作る

休み初日はのんびりと大工さんをする予定だ。


「ルチルが来て3年、育ちに育ったルチルはシシルと寝れなくなった。しょうがないので姉を追い出しその部屋を独占して王女になった。その宿の老夫婦にご飯を作らせ・・・・痛い、2発もゲンコツするなんて」


後ろを向くと母さんとシシルがその後ろにルチルがいる。犯人は2人だ。


「何か用かな?」


「色々な物語に私達を登場させないでよ、それも老夫婦なんて」


「そうですルチルは私を追い出しません」


「まあいいじゃない。今ベット作るから、邪魔なので出て下さい」


僕はシシルの部屋を改造中だ。もう広く出来ないので便利な様に出来ないか考えながら作っている。


「今日中には作ってよね、私達が寝る所が他にないから」


「分かりました、お仕事していてよ。寝るまでに完成させとくから」


シシルの部屋は僕の部屋の約2倍あるけど、2人だと狭く感じるはずだ。


それを匠の僕が住みやすくする為に考えてる。


完成するまで2人は出入り禁止にした。


気が散るし邪魔になるからだ。


「最初に一番大事なベットを作ろう」


最初に完成図を書く。それから1個1個のベットに家具の完成図に図面。


ベットのサイズを決めて材料を切っていく。


2人のベットは同じ物を作る。材料は2倍切る事になる。


色々なサイズの木を切る。最初に切ってどんどん組み立てていけばそんなに手間は掛からない。


2人のベットの材料が切れたので組み立てていく。


「ここは頑丈にしないとな、4本の柱に寝る所の横の柱を平行になってる、止めるか」


平行は瓶に水を入れ空気を少し入れて横にして確認する。


平行を気にしながら長い柱、短い柱を止めた。


「良い感じだ、ベットの床板を敷いていくか、頑丈に出来てるな」


側面の板の角を面取り加工する。ここは手がよく触る所になるので丁寧に仕上げる。忘れていた柱の部分にも面取り加工する。


忘れないうちに、手だ触れそうなところは面取り加工をこれで本当に組み立てるだけになった。


側面を取り付けていく。内側の板も付けてベットは完成した。


出来てるベットを見て「1個目だった」


2個目のベットは要領が分かっているので、直ぐに出来た。


「ユーリ、少し見せてよ」


うるさい輩が来たが「いま裸で作業中なんだよ、明日にしてよ」


静まり返るドアの向こう、厨房だから父さんは無言だ。


「変な事してるんじゃないでしょうね」


「変な事してても、してなくても開けませんよ」


「お姉ちゃん、諦めようおじさんに迷惑だよ」


「そうね、夜までに作ってよね」


2人は仕事に戻った。


「さて、家具か材料は切れてるから面取り加工だ」


角は丸く先端の外側はアールにする。


タンスは箱を作って中に板を敷いた。引き出しを作れば完成だ。


同じのが2個だから箱を先に作るか。


色とか塗れたらいいけどペンキはないからな。


綺麗にカンナをかけて見た目は完成。


引き出しは6個だ。あの2人そんなに荷物あったか。大は小を兼ねるからいいか。


これが一番作るの楽だな。同じの6個は直ぐに出来た。


出来たタンスを配置する。それらしくなってきた。


次は何て名前か分からないが女の人が化粧する台?


少し机風にするか、この世界に化粧品がある分からないが他の用途にも使える様にするほうがいいだろう。


机兼化粧台に変更。


「図面の作成だ、小さい引き出しに本棚風の棚、忘れるところだった椅子だ」


まずいぞ、楽しいので余分な物まで考えてします。


朝から何も食べてない、ドアに耳を当てて厨房の音を聞く。


忙しそうだ、もう夕方かも知れない。


「親方急いでくれ、後は小物だ」


「図面作成中だ、焦らせるなここでしくじると台無しだ」


「台無し、机無し」


これでもうし少し頑張れる、終われば何か食える。


図面が出来て板を切る。ちゃんと2倍切って、面取りだ。


机は引き出しの部分に手こずった、底板を平行に付けるのに苦労した。


引き出しと棚を作る。小物は材料が短いので、コロコロとその場で転がして作れる。


椅子は後にして机兼化粧台を配置する。


椅子はないが、今のところ完璧だ。


椅子は背もたれが長いのにした疲れて座った時に長いと楽だからだ。


終わった。自分の物なら面取りもカンナも使わずそのままだった。


綺麗に仕上げる方が大変だった。


2人の荷物を運ぼうその後、夜ご飯だ。


「父さん美味しい野菜スープをお願いボールで」


「ああ、大き目の皿に盛って置くよ」


父さんは僕の冗談を聞き流すのが得意だ。


部屋から荷物を運んで酒場で夜ご飯を食べる。


「大工さんは大変だ、毎日こんな事をしてるのか」


「あらユーリ、出来たの?」


母さんはビールを持っいるのでそのままお客の元に。


戻って来た母さんに「出来たよ」と言って野菜スープを食べる。


シシルは僕がいるので完成したと思っているだろうが今は仕事中だ。


ここから見える宿の受付のルチルは、そろそろ上がる時間だ。


明日は、シュラさんの所にラム酒を届けに行く。


母さんからお金を借りた、出世払いだ。


クエを受けて行こう、少しはお金になるはずだ。





僕の部屋のドアを叩く音が聞こえる。


「もう明日にしてよ」


「ユーリ、朝よ」


「じゃ後5分寝かしてよ」


「おば様呼ぶわよ」


なぜそこに母さんが出てくるんだ。


起きよう静かになるはずない。


ドアを開けて厨房に入るとシシルがいた。


「ルチルが降りられないのよ」


何を言ってるんだ。シシルについてシシルの部屋に入るとベットの上のルチルが降りれない様だ。


ああ、階段を付けようと思っていたが忘れてた。


「ルチル、背中に乗ってくれ。おんぶしてから降ろすから」


「お願い、早くして」


僕はベットに背中を向けてルチルをおんぶして降ろす。


「ごめん、階段付けるの忘れてた。直ぐに付けるから仕事に行って」


「ユーリ、ありがとう。これなら2人で使えるは、でもこれ変わってるわね。ベットの下にタンスに机があるなんて」


「これなら、ベットに家具を2人分置けるからね、階段は忘れたけど付ければ快適に使えるはずだよ」


「ユーリ、ありがとう。自分用のタンスなんて初めて、机もあるし凄いね」


「気に入ってくれたかい、階段を付けとくから」


僕は2人が出ていくと壁に片してあった階段の板を付ける。


材料は切って有ったけど机と椅子を配置した時に片付けた。それで忘れた。




「ガラガラ~、ガラガラ~」


「ユーリ、疲れたふりするのやめてよ。ラム酒が不味くなるわ」


「ガラガラ~、ガラガラ~、僕は疲れてます」


「何がして欲しいのよ、言いなさいよ」


本当に不味くなったんだろうか。


「僕は、他の大陸に行きたいんだけ飛んで行きたいなあと思うんだけどどうかな」


「それは無理よ、人に見られるし他の大陸だと討伐されてしまうわよ」


美味しそうにラム酒を飲んでるシュラさんが無理だと言っている。


「そうだよね、討伐されたら美味しい肉が食べれるよね」


「食べれないわよ、ここから出ないから」


「まあ、ダメもとで聞いてみただけだから、旅に出たらここには来れなくなるな」


「そうね、寂しくなるわね」


ラム酒が飲めないのが寂しいのか。


「送ってください、シュラさん」


「あそこにあるの、持って行かなくていいの?」


ああ、荷車か面倒だから捨てて行こう。弁償決定だ。


「邪魔じゃなければ置いといてよ」


「いいわよ、さあ行きますよ。乗ってユーリ」


大樽を6個持って来た。中身は当然ラム酒だ。





「すいません、邪魔なので捨ててきました」


肉屋のおじさんに謝る。


「おいおい、そこは嘘でも壊れましただろうが」


「ん、結果は同じ」


「嘘も方便と親に教わらなかったのか」


「僕無駄な努力はしません。このオーク肉でお許しを」


差し出したオーク肉に手が伸びて引ったくられる。


「まあ、素直なのは良い事だ」


「嘘ついたら許してくれた?」


おじさんはオーク肉をしまっている。


「まあ、そうだな。お得意様だからな許したかもしれないな。返さないぞ」


「うん、貸してくれてありがとう」


「おお、いいってことよ」



今年の旅はオーク肉をお土産に出来そうも無いので大洞窟のオーク肉をみんなの家に置いて来た。


リカちゃんの家にも置いて来た。その頃忙しいけどやりがいがあると言っていた。それに親子で出来る仕事なので一緒にいる時間が増えて嬉しいと。


合宿後の休みは終わった。


冬の休み前の学園はみんな冬の社交界の事で忙しそうだ。


学園を卒業すれば貴族になる事の最低条件はクリアした事になる。


貴族の子供としての最初の務めが学園に入学して卒業する事、ほとんどの者が家を継がないだろう。


ポール子息は騎士団志望だ。3人の令嬢はどうするのかな、家で花嫁修行でもするのだろうか。


僕が何処に旅に行くかは言ってない。ただ、お土産を期待された「オーク肉は旅に出る前にくれたのだからお土産とは言いませんよ、ユーリ」と3人の令嬢に言われた。


「学園最後の休みだ、頑張る様に」


今の説明でみんなには分かるのだろう。そして、休みだ。


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