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実話です

お昼には小屋が建っていた。


川のから少し離れた場所で作業を始めると、男子生徒は新しい事がしたくなったのか、小屋を建てる作業を手伝いだした。


新しい事を覚えるのが早い、慣れてくると2人組になって片方が支えて作業したり、2人で持ち上げて他の2人に渡したりとどんどん連携がとれていく。


「そっち持ってくれ」


「分かった」


「お~い、上げてくれ」


「了解」


「僕が支えるから、先に上って」


「ありがとう」


声も出ているので大工さんだ。


出来た小屋をみて。


「本当に出来たわね」


「まあ、意外と頑丈ですわね」


「中に入れば風も来ませんね」


「屋根があるので雨に濡れないな」


「木の家か、初めて見たよ」


一通り見終わったら、みんなお昼を食べに戻った。


干し肉をかじり、この作業いつまで続くんだと考える。やる気になっている男子が「俺の秘密基地も作る」と言ったのを聞いた。


8人位いたかもしれない。当然作るだろうから、僕の担当は木こりだ。


細い木なので倒すのは簡単だが使う本数が多い。出来た小屋の近くには丸太が沢山置かれている。


あれで8人分あるんだろうか、最初に小屋の建て方を教えてから任せたので何本で小屋が出来たのか推理できない。


みんなが飽きるまで木こりになっていよう。


ただロープがとんでもない事になっている。永遠と作り続ける令嬢達、編み物でもないのに夢中になり河原がロープ工場兼ロープ置き場になっている。


森の中は蔓が無くなり綺麗になるだろうが、このまま続ける訳にはいかないほど出来ている。





「どうです、2人で乗れますのでのんびり足を振って重心移動をして下さい」


危なくない様に4本のロープを使ったブランコを大きい木に作った。


8か所に2人乗りのブランコを作り、今は説明している。


「まあ、気持ちいいですね。すう~とします」


「私も、すう~としてます」


「あまりこぐと危ないです、ロープが止まるまで手を放さないで下さい。落ちたら危険なので」


説明と注意事項を話し終えたので作業に戻りかけたら。


「ユーリ、1人乗りを作って下さい」


振り返るとアジス嬢がとても綺麗な笑顔でさあ作ってと鋭い目をしていた。目も顔に合わせてと思う。


「何処がいいですか、1人乗りだと周りに何もない様な所でないと危ないです」


「危ないの?」


「はい、スピードが出るのと大きく振れるので広い所がいいです」


アジス嬢は何処がいいか探していて「川に近い所がいいわ」


川の周りを見て、川の上流が見えて危なくない所にブランコを作った。


ここなら景色も良いだろう。


「では、行きますね」


「ありがとう、ユーリ」





キャンプファイヤーが気に入ったみたいだ。暖かそうに燃えている周りに生徒たちがいる。


誰かが怖い話をしていて、次お前なと次々に話していく男子生徒。


大岩にいるのでここからだとあまり聞こえてこない。


「ユーリ、君も怖い話をしてくれないか、君なら何かありそうだ」


僕の番がきてしまった。怖い話は大好きだ、検証動画もすべて見た。彼は神だった。


僕に彼の様な話が出来るだろうか。


「指名して頂いたので、僕も何か話しますね」


直ぐに話を始める。


「その家には5人の家族がいました。両親と3人兄弟の5人です」


周りを見て続ける。


「その家は入口の前に階段があり、階段の横に廊下が合って1階の空き部屋、両親の部屋、食事をする部屋、台所がありました。2階は広い子供部屋と物置がありました」


周りを見ると結構な数の生徒が集まっていた。


「5人家族は仲が良く、笑い声の絶えない家族でした。みんなが寝静まった後に赤ちゃんの泣き声が聞こえてきたんです。家族は驚いて家中を探しましたが何処にもいません」


「外からオギャー、オギャーと泣き声が、父親が外に出ると泣き声の正体は猫でした」


「何だ猫か」「ついに出たのかと」「少し怖くなってきましたわ」


良い雰囲気になってきた。


「その猫は誰かに飼われていたのか、首輪にネコと書いてありました」


「おいおい、猫にネコて名前つけるか」


鋭いツコミをされたがまだ話は続く。


「家族は飼い猫が家に居ついてしまったが、帰ろうとしないのでそのまま飼う事にしました」


「終わりか、少し怖くなったな」


「まだ続きますよ」


「あ、ごめん」


みんなが笑いだす。


「新しい家族が増えた5人は時折、空き部屋のドアをネコがカリカリと爪を立てて引っかいているのを見かけるようになりました。ある夏の夜から長男の男の子が夜泣きをする様になりました。男の子は8歳、夜泣きをする様な歳ではありません。両親はすぐに泣かなくなるだろうとその男の子を寝かしつけるだけで何もしませんでした。両親は弟たちがよく寝ているので男の子がただ夜泣きをしているだけだと思っていました。」


周りはシーンとしている、話の続きを待っている。


「夜泣きは続きました。昼間はネコがカリカリしている。母親が料理をしながら男の子に何で夜泣くのと初めて理由を聞きました。男の子は話し出しました。僕がトイレに起きて階段を降りたら女の人が歩いていたんだ、女の人は白い洋服を着ていて台所の方に行ったんだ。僕はトイレに急いで行きたいので台所にはいかなかったんだ。女の人が気になったけど眠いからベットに戻って寝たんだ。次の日の夜に女の人の泣く声が聞こえて空き部屋に行ったんだけど誰もいなかったんだ。次の日の夜は目が覚めて目を開けると女の人が僕を見ていたんだ。それから毎日、僕の寝ているベットに僕を見に来るようになったんだ。僕は怖かったけど目が合うと動けなかった。僕の家には女の人が居るんだ。母親は男の子が夢を見て怖がっているんだと思い父親にその事を話しました。父親もそうか怖い夢を見てるんだなとその日は子供部屋で寝ました。子供達は気持ち良さそうにすやすやと寝ているので安心しました。その夜は男の子も起きる事なく静かに寝ていました。翌日、昨日は静かに寝ていたよと母親に話しました。もう怖い夢は見ないといいわねと母親は思いました。でも、夜になると男の子は泣き両親の部屋に行って一緒に寝ました。父親は少し変だと思う様になって、みんなが寝ている夜の見張りをする事にしました。階段で座って見張る父親に白い物が見えて台所に行きましたが、何もありません。次の日の夜、見張りの父親が階段で寝てしまうと男の子の泣き声が聞こえてきました。急いで子供部屋に入ると白い服の女性が男の子を見下ろしていて、怖がって泣いてる男の子の目が父親をみたら、女性が父親を見て「治して」と言って父親の方に向かって来ました。驚いた父親はその場から動く事が出来ずに女性が近づいて来るのを見ていて目の前に来た女性がそのまま体をすり抜けて行きました。起きた事に驚いていた父親でしたが、急いで女性の後を追いました。


階段の前で下の階の空き部屋のドアを開けないで女性は消えました。父親が空き部屋に入っても誰もいませんでした。家族はその家から引っ越して行きました。家族はその家の前に住んでた家族に病気の女性がいてその人が亡くなったのを隣の家の人に聞きました。あの家は今では空き家で、夜な夜な女性が「治して」と言いながら歩いてる。女性の飼っていた猫の名前はネコ」


話し終わって周りを見ると令嬢達は隣の令嬢と抱き合っていた。


この話の女性は病気が治らなくて自殺した話なんだよね。まあ僕の兄が見たみたいなんだよね、僕は見てないんだよな。父さんと兄さん見れていいよな。見れてたら幽霊を3回見た事になるのに。


「見ろユーリ、鳥肌が立っている。すごく怖かったぞ」


カタル子息は嬉しそうだ、本当に怖かったのだろうか。


僕の番が終わったので大岩に戻る。


小屋の出来た数が6軒、令嬢達が独占してみんなで寝た様だ。



怖い話は実話にかなわないよな、嘘の話が多くてつまらなくしてしまったメディア。


作り話を再現動画にする映像会社、会社自体が作ってそうだけどどうなんだろう。


夜は楽しかったな。


疲れていないが、元気が更に出た僕は今日も木こり、良い感じで毎日筋トレ中だ。


細い木を見つければそこに行き木を倒す。今では余分な枝を切ってくれる男児生徒もいるので丸太が増えていく。女子学生たちは遊んだりロープを作ったりと楽しそうだ。


小屋もどんどん出来ている。


スコット子息、ポー子息、フレディ子息の3人がツリーハウスを作ると計画しているそうだ。


それならともう少し太い木を切り倒す。


大岩に戻って周りを見る。この頃の習慣、小屋が増えている。


そして使いきれないロープ、あれで遊ぶかな。


干し肉をかじり、もしできれば面白いかも。


「ユーリ、また何か企んでいるのかい?」


カタル子息は僕の横に座り話し出す。


「出来るか分かりませんが、試したい事が出来ました」


僕はカタル子息に説明してお任せする事にした。



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