剣とボウガン
俺は食後に少しでいいので剣で打ち合うのを見せて下さいと頼んだ。
マシュさんとカカルさんは久しぶりだねと言って見せてくれた。
それと、打ち合いの中で相手を斬るとすると、どんな動きになるのかを一人でして貰った。
だいたいの動きが分かった。
皆が洞窟に向かったので、川に食器を洗いに向かう。
川の周辺で水浴びがしやすい所の地面に木を打ち込み赤のリボンを結ぶ、目印だ。
目印を中心にして離れた木にロープを結んで張って行く、拠点の様にした。これで魔物が河原の砂利が無い場所から来ても音で分かる。河原には砂利があるので音が鳴るので何もしなくてもいい。
「ああ、そうか、俺が水浴びする前にロープの仕掛けをすれば良かったんだ」
暗くなってから入る事も考えて、リボンを帰りの道の木の枝に結んだ、拠点まで戻って来れる様にする為の目印だ。夜道とかだと目印が必要だ。
松明が有っても方向が分からなければ戻れない。
暇だと色々と考える事が出来るが、出来る事はそんなにない。
拠点に戻り、先ほどの打ち合いの動きを思い出して真似る。それぼど難しくないが無駄な動きが多い事に気が付いた。
本気の打ち合いならそこから最良な流れを考えられるが、今の打ち合いの無駄を省いてもマシュさん達の本気にかなう気がしない。
体の動きはの感覚は、自分が思ってる事が出来るかで決まる。その上に修練による上達がある。
動きを考えその動きを出来る様にしていくのに必要なのが、体力作りだ。
次に剣の先だけを使い草を斬る練習をする。剣の長さになれるためだ。
意外と面白くて近くの草をだいぶ刈ってしまった。
空を見てそろそろ夕食の時間かなあと思ったので、素振りをやめて食事の用意だ、そろそろ持って来た食材が悪くなりそうだと判断したので、残っている肉を使い切る事にした。
「皆で腹痛になると困るな、薬もないし、使い切ろう。シチューと野菜スープでいいよな」
シチューにはお肉を多めに入れて、野菜スープに少しだけ肉を入れる。街から持って来た肉はこれで使い終わった。
「水浴びして来るわね」
夕飯の前にメグさんとレベッカさんが水浴びする為に川に行くらしいので、川の近くに仕掛けた事を説明しないと。
「ここから河原に出ると木にリボンが結いてあります、そこに行くて前でロープが張ってあるので越えて行って下さい、魔物が来た時に音がなる様になっています、リボンのある所が仕掛けの中心です、後、ロープが張ってある事を忘れないで下さい」
「そうね、引っ掛かった時に魔物と遭遇したくないわよね。リボンが目印なのね、分かったわ」
メグさん達が川に向かった少し後にヴエルナさん達が帰って来た。
「どうだ、魔物は出たか?」
リーダーのヴエルナさんが拠点近くで魔物に遭遇したか聞いてきた。
「何も出ませんでした、動物も見かけません」
「動物は本能で危ない所には現れないから、見かけないのはあたり前だぞ」
「とくに魔物がいる洞窟の周りに近づくはずがない」
「洞窟の中はどんな感じなんですか?」
「入口の近くには何もいなかっが、少し奥に進むにつれて魔物が多くなってきたな」
「今のところは、順調に進んでいけている」
水浴びを終えたメグさん達の声が聞こえて来た。
「さっぱりした、あんた達も浴びて来たら」
「僕は昼間浴びたからヴエルナさん達行って来たら、戻って来たら夕食が食べれる様に準備しときます」
「そうだな行こう」
レベッカさん達はさっぱりしてのんびりしたいのだろう、敷物の上で横になった。
シチューを釜戸に掛けて温める、パンを人数分に切った。パンも今日で終わる。
レベッカさん達を見て、あれ?寒い冬は野宿はどうするのかなと思った。暖かくするために毛皮とかの防寒対策したら荷物が多くなりすぎないかな、この世界の冒険者の荷物事情はどうなっているのかな、長旅だとやっぱり荷物は多くなるんだよな、そうなると冒険者よりも登山家に見えそうだな。
「さっぱりした、腹減ったぞ」
カカルさんの声が聞こえてきた。他の二人も一緒の様だ。
「レベッカさん、メグさん、起きて下さい。夕食ですよ」
「寝ちゃってたわね」
「戦闘が多くなってきているからね」
疲れている二人が起きたので、皆に夕食を配っていく。
「どうぞ」
「「「「「「いただきます」」」」」」
皆の頂きますが、揃っているよ。
「やっぱり美味しいね」
「肉とパン、そろそろ危ないから使い切りました」
「そうか、ありがとう」
「美味しい、食事が~」
マシュさんがため息を付いて嘆く、そこまで残念がらなくてもいいのに。
メグさんに戦闘の事を聞いてみるかな。
「メグさんの弓は洞窟の中でも活躍するの?」
「するわよ、ちゃんと皆の位置、通路の地形を見て効果的にピユン、ピュンしてるんだから」
俺は洞窟の中だと見づらくて魔物に当て辛いと思って聞いたんだけど、頬を膨らましているメグさんは、まあ、俺の言い方が悪かったのだろう。
「弓もいいよね、獲物を狩るみたいでさ~」
「子供はみんな飛び道具が好きだよね」
「特に男の子がね」
飛び道具の嫌いな男の子がいる筈がない。
「俺は最初から剣しか興味なかったな」
「「俺も」」
男性陣は皆、最初から剣なのか。弓だと矢がいるから面倒とかあるのかもな。
矢は回収するんだろうな、前世で見た海外映画で矢を自作しているの見てカッコいいと思ったけど、今は拾うの大変なんじゃないかと思う。
「メグさん、ボウガンは持ってるの?」
「ボウガンて何、それ武器なの?」
やってしまった。この世界にボウガンはないのか。
「ユーリ、ボウガンてなんだ?」
まずい本当にみんな知らないのか。
「知らないならいいんだ忘れてよ」
「ずるい、気になるよ~」
しょうがない、俺の失敗だ。
「メグさんは弓の弦の予備を持っていますか?」
「持ってるけど・・」
「それを貸して下さい、明日皆が洞窟に行ってる間にボウガンに似た物を作っておきます」
「はい、どうぞ」
明日の暇つぶしが今決定したぞ。
「ありがとう、上手く作れるか分からなけど楽しみにしといて」
「出来たら見せてね」
食事が終わり今日は俺の見張りの番だ。俺は見張りを申し出た。
拠点で過ごしているので、疲れないから見張りを代わり、皆には寝て貰う事にした。
朝ご飯が終わると皆は洞窟に向かった。
俺は洗い物が終わると、見張りをしている間に考えたボウガンを作る材料を探し回る。
「自然の材料で自作が出来るのが嬉しいな」
材料は木だけで出来るので、適した形の木の枝を探す。
皆に分かればいいので、簡単な作りで作る事にした。
ナイフで穴を4か所開けるのに苦労したが、穴けさえ出来れば俺の考えた作りなら出来たも同然で後は上手く飛ぶように微調整しながら組み立てる。
持ちやすさも材料選びの際に確認したので良い感じに出来た。
矢は枝の先端を少し削っただけの簡単な物にした。
「ボウガンが、完成したぞ、試し撃ちしよう」
よく飛んだが軌道はよく分からないのが、これでいいのだ、自作で試しに作ってみただけだから。
お昼はパンも肉も無いので干し肉に野菜スープだけになる。
冒険者の定番の干し肉だから皆は気にしないだろうと思っていたら。
「肉入りのシチューが食いてえ」
「何だこの違いは」
文句がありました、マシュさんはいつも通りだ、ヴエルナさんは干し肉とシチューを比べているな。違う料理を比べても仕方ないのに。
「ボウガンが出来たよ、威力は試作品だからないけどね」
ボウガンを皆に見せる。
「これがボウガンか」
「やっぱり見た事ない武器だね」
「武器に見えるけど弓があればいいんじゃないのか」
「そうだね、でも武器にはそれぞれの良さがあるんだよ」
俺は何も知らないが知ったかぶりに説明を続ける。
「このボウガンは、あらかじめ矢をセットしておいて、狙いを付けて撃つだけなので弓よりも熟練度が無くても誰でも使えるんだよ」
「簡単に使える武器か」
メグさんが手に取って色々見る。
「試しに撃ってみれば」
レベッカさんがメグさんに試し撃ちを勧めた。
誤射に備えてメグさんの後ろに、俺は矢のセットの仕方と撃ち方を教えて後ろに下がる。
「撃つ時に狙いを定めて下さい、弓と感覚は違うかもしれませんが狙い撃ちするのに変わりませんから」
「わかったわ、撃つよ」
メグさんはボウガンを構え撃つ、矢は木刺さらないで落ちた。
メグさんは拾ってきた矢をボウガンにセットして、もう一度狙いを付けて撃つ。
「凄いよこれ、弓より優れてるかわ分からないけどセットしてあれば弓より早く狙いを付けて撃てるわ」
「俺も撃ちたい」
この後、皆がボウガンを撃ってみた。意外と便利だが俺は剣だとヴエルナさんは言って、皆と洞窟に
向かった。
剣の素振りをしているとロープに付けた木の音がする。急いで木の上に登るとイノシシ?が走っていなくなった。
「ビックリしたな~、魔物かと思ったよ」
木の上で遠くを見ると鳥が飛んでるのが見える。
「焼き鳥食いたいな。鳥は弓で狩るのかな」
「川の魚は食べれるのかな、毒とか・・・・」
この世界の街の外の世界を何も知らない。街の中は平和で外と比べると安全の差が凄く違う。
グリュックの皆は頼もしくて強い。俺もいつかあんな感じになれるのかな。
落とした剣を拾い魔物がいるつもりで剣の素振りする。うん良い感じだ。
素振りの練習が終わると、汗をかいたので川で水浴びをする事にした。水浴びをしていると小魚が泳いでいた。
?????魚の魔物はいるのかな。
魚の魔物がいるのか分からないけど、水浴びが終わったので拠点に戻る事にした。
「ただいま、疲れた。何かあったか?」
リーダーのヴエルナさんが拠点で何かあったのか聞いてきた。
「何もないよ」
「私達水浴びしてくるわね」
「わかった、気を付けろよ」
焚火の周りの敷物の上に横になりのんびりする男性陣。
メグさん達が川から帰って来るとヴエルナさん達も水浴びに向かった。
水浴びをすれば横になるメグさん達。
皆が揃ったので、食事の時間だ。
「ユーリ、思いのほか洞窟の中が広くて、ここに戻って来るのに時間がかかる。そうなる行くのにも時間がかかる様になる。ここまでわかるか?」
ヴエルナさんは、皆が食べ始めると洞窟の中での事を話しだした。
僕は頷いて「はい、行きと帰りに時間が掛かりすぎる」
「そうだ、帰りに皆で話したんだが、俺達は明日からここに帰って来ない。効率が悪くなってきたからだ」
「僕はどうすればいいんですか?」
「そこで、俺達と洞窟に来るか、ここに残るかなんだが、俺達と一緒に来た方が安全かもしれないと思っている。今までは安全だったが、ユーリの安全を考えると、ここに残るより付いて来た方がいい思う」
「よく考えてユーリ、皆はあなたがここに残して行くのが心配なの」
レベッカさんが胸の前で手を組んで懇願こんがんしている。
俺は皆の考えている事が理解出来たので。
「わかりました。皆と洞窟の中に行きます。迷惑かけない様にするので、よろしくお願いします」
「よかった、いつも心配してたのよ」
メグさんが今まで心配してくれていたようだ。
「昨日、ユーリが見張りしてくれたから、今日は俺たちがするから、ぐっすり休んでくれ」
「わかりました、荷物は全部持って行きますか?」
「荷物は全て持って行くから、皆、忘れ物がないように靭尾しといてくれ」
「は~い」
「はい」
話がまとまったので、食事が終わると自分の荷物を詰めだした皆、俺は道具と食器をリュックに詰め込む。
俺は皆に川に行ってくると言って革袋に軽減リュックを持って行く。
何日洞窟にいるのかわからないので水を汲みに来た。
汲み終わると拠点に戻り、荷物を整理して寝る事にした。
「明日は洞窟か、冒険みたいだな」