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お城の中庭

僕は早く来た、遅刻はいけない。


しかし、1人でこの橋を渡り城の中に入るのかと思うと場違いの様で行きづらいな。


まあいい、勇気を出して行こう。


橋の真ん中で堀の水面に視線を向けると、落ちて泳げるの僕だけだよねと思う。


この世界の人が、魔物がいるかもしれない水に入り泳ぐ練習をするはずが無い。それに水着もないし泳ぐ条件が何もないよ。


あそこに見えるのはスライムかな、まだ見た事がないけどいるんだろうなキングスライム。


僕の剣の攻撃が効いたら戦ってみたいな。でも無害そうだから、かわいそうだな。


「おい、そこの君、ここで何をしている、用が無ければ帰りたまえ」


いいぞ、向こうから来てくれた。誘い込みが上手くいったな。


僕は説明するよりも招待状を取り出した。


「どうぞ」


門番さんは僕の手にしている招待状に視線を向けて驚くと、僕の顔を確認する様な表情をした。


怪しい者ではないんだけどな、出来れば来たくないんだよね。


「君が招待されてる、ユーリかな?」


「はい、ユーリです、本日のパーティに呼ばれています」


門番さんが僕をもう一度見て「招待客は庭で待つ事になっているのでそちらにご案内します」と言って歩き出した。


僕は門番さんに付いて行くと、門の所で「この人を中庭に案内するように」別の人に案内を頼んだ。


案内の人に付いて行き庭に向かう。庭ではパーティをしてる様に見えて、ここでいいんじゃないのと思う。


ここにいる人はみんな貴族なんだろうな、なるべく隅の方に移動して目立たない様にスキルを発動してテーブルと同化すれば見つからないはずだ。


「ユーリ君、久しぶりだね。君も招待されたんだね」


あれこの人はエミリー嬢のお父さんの伯爵様だよ。


「これは、伯爵様、いつもお嬢様にはお世話になっています」


お辞儀をした。スキルの発動前に見つかってしまった。


「いや、こちらこそいつも旅の時にオーク肉を頂いて喜んでいるんだよ」


まずい、今年はお土産を上げてない、それとも催促されているのか。


「気にしなくていいんだよ、毎年貰えるとは思ってないから」


催促されてるよな、そのうち持って行こう。


「あのパーティにはどんな方達が呼ばれているんですか?」


「それは、私のような伯爵はもちろん子爵までが呼ばれているよ」


それはとてもよくない事になりそうだ、スキルが発動する事がないかも。


「お教えいただき、ありがとうございます」


「お久しぶりです、ブラウニング伯爵」


何かやな予感がしてきたぞ。


僕とブラウニング伯爵が話し掛けて来た男性に視線を向けると、ハート伯爵でした。


ハート伯爵はアンバー嬢のお父さんだ。


「お久しぶりです、ハート伯爵。どうですかあの問題は解決しましたか?」


「それがなかなか難しくて困っているんだ」


いい感じに2人が話し出したので、スキルステルスを発動しようとしたら。


「ハート伯爵、ブラウニング伯爵、お久しぶりです」


「「ヨハンソン子爵、久しぶりです」」


2人の伯爵の声が揃った。


「ユーリ君も久しぶりだね、今回の旅のお土産は無かったのかい、スカーレットと妻が楽しみにしていたのに君が来ないので残念がっていたよ」


ああ、すぐに見付かってしまったよ。


「うちもそうさ、アンバーが温まるんですでしゃぶしゃぶを食べるのよと楽しみにしていたんだ。学園が始まって早々登校しなくなったと気にしていたよ」


「ハート伯爵様、ヨハンソン子爵様お久しぶりです、パーティに招待されたので早めに王都に来たんです」


僕の話を聞いて笑った後に「それはやけに早い出発だったんだね」とハート伯爵が言うと。


「しょうがないさ、王都までは何日もかかる、早めに到着していないと安心出来ないんだろう」


かばってくれるヨハンソン子爵。


「はい、それにこの招待は王家からなので、急いで来たのです。早く付けたのなら王都観光をして待てばいいだけなので」


僕は何でこの人たちと知り合いなんだ、学友のお父さんで特に何でもないのに。


「いや、皆さんお揃いですね」


「これはアダムス伯爵、お久しぶりです」


僕は新たに伯爵様が来たので、ここから移動して庭を見て回ってきますとブラウニング伯爵様に伝えて移動した。


ここは危険だ。学園の学生の親が多くいる、こちらが知らなくても平民の僕の事を話している可能性がある。


あの学園で一番異質なのは僕だから、パーティに呼ばれているのがどこまで広まっているか分からない。


そうここは、子供が僕だけだからまたもや異質な僕、まあいいかパーティが始まれば僕など相手にされない。


それに間違いなく僕は遅れて来てはいない。


庭は広いな、よく手入れのされた花壇、花の名前は分からないけど色々ある。


この花壇を見たい女性は多いのかもしれない、それほど綺麗に咲いている。


僕の見ている先に綺麗な女性がいる、花を嬉しそうに見て話しかけてる。


そこだけが違う世界のようで、ここがお城ではなく、花の咲き乱れた草原で花と話せる大人の妖精の様だ。


なかなかい感じにまとまり、お城の裏の方に向かうと以前出てきた事のある扉が見えた。


記憶が確かなら詰め所に続く通路がある。


扉が開き中から隊長が出てきた。


「ユーリ、君はそこで何をしている?」


「お久しぶりです、散歩中です」


「散歩だと何処から入って来たのだ」


「正面からですけど」


隊長は頭を傾け少し考え「もしかして招待されているのか?」と言った。


「はい招待されて始まるのを待っているところです」


「そうか褒美をもらう気になってくれたのだな」


僕も首を傾げて少し考える。この傾げた時「あれ」と隊長は考えてたんだなと自分で実証した。


褒美は貰ってるのに何言ってるんだろう。


「褒美は堀より少し離れた所にネズミの罠を置かせてもらう事だと思っていたのですが、違ったのですが?」


「そのように言われても褒美になってない、丁度いいので取りに来てくれ」


まあくれるものは貰う主義の僕は、素直に付いて行く。


お城の通路を通り詰め所の扉を開けると何人もの兵士さんがいた。


「ここで待っていてくれすぐに持ってくる」


僕は入口で隊長が褒美を持ってくるのを待った。


「君、こないだはありがとう、子供たちが助かってほっとしている。私達は半年ぐらい前に子供が誘拐される事が多くなっていて犯人を捜していたが、なかなか見つからずにいた、アジトを見つけた時には被害が多く助け出せないと思っていたが、君が子供の行先の名前を覚えていてくれたおかげで、ほとんどの子供は親御さんに返す事が出来た、ありがとう」


僕にお礼を言う、兵士さん。その声に合わせて他の兵士さんもお礼を僕に言った。


僕もお辞儀して「僕の方こそ助けて頂きありがとうございました」


そこに隊長が剣を持って来て「ありがとう、この剣をお礼に君にあげよう」と剣を渡される。


あれ、どこかで見た事ある剣だな、この名刀は凄くいい物だ。


名刀・・・・・思い出した、あの店の名刀だ。金貨20枚で買って行った人が居ると言ってたけど隊長が買ったのかな


「ありがとうございます、この剣をお受け取りいたします」


「どうだ使いこなせそうかな?」


「まだ未熟なので隊長さんから頂いた剣を一日でも早く使いこなせる様に頑張りたいと思います」


僕はこの時思う、こんな高価な物を子供にあげるとは、そして他のみんなからも騒めきみたいのが無いという事は、ここにいる皆はそれなりの身分のある貴族様かご子息なんだろう。


「それと、急ぎの用がございますので、これにてご免」


「これにてご免?」


「言い間違えました、これにて失礼します」


隊長さんは言い間違いかと納得してくれたようだ。


僕は急いで全速力で中庭に戻ると、パーティ客の最後の人らしい人が城の中に入った後を追いかける。


その人の後に付いて歩いて行くと、その人の前に何人も人が居るので安心した。


開いた扉の向こうが見えて参加客が沢山いるのに驚く、中に入ろうとすると呼び止められた。


「君、そんな物騒な物は中に持ち込めないよ」


何言ってるんだこの人は僕は丸腰だ。手には名刀を持ってるけど。


「すいません、大事な剣なので後で必ず返してください、ユーリです」


「ああ、子供は君だけだから分かるよ、私はここに居るので、帰りの際に声をかけてくれ」


いい人だ預かってくれるぞ。


「はい、帰りに声をかけさせていただきます」


お辞儀して会場に入る。皆さん僕よりも身分が上なので、ステルススキルで角を陣取る。


そこでいい事に気が付く、ステルスモード全開にする。


後ろのテーブルには飲み物が沢山置いて有るので、トレイに飲み物を10個載せて歩き出す。


ステルスモードボーイで会場のお客にどんどん配っていく。


無くなると後ろに戻り、同じ事を繰り返す。


いつしか後ろの方は配り終わり前の方にも配り始めたら、グリュックの皆がいた。


少し緊張してるのか、会話もなく前方を見ているだけ。


「どうぞお取りください、今宵はあなた方の功績のお陰でこの様なパーティを開けるのです」


ヴエルナさんは僕のトレイから飲み物を取り「ありがとう」と言って僕に気が付かない。


他のみんなも僕から飲み物を取るが分からない様だ。


すぐにトレイの上の飲み物が無くなり取りに行く。


まだ手に持ってない人を探して人の波を避けて前方に行く。


「どうぞ、お取りください」


「ありがとう。ユーリ何をしているんだ」


まずい、ステルスが切れた。


「はい、時間を持て余しており手首の運動にボーイの練習をしてました。まだ練習中なので失礼します」


エミリー嬢のお父様のブラウニング伯爵に練習中と言って離れる。


僕の名前を聞きつけた緊張してたみんなが僕の所に来る。


「ユーリ、何でここに?」ヴエルナさん


「そうよ、何でそんな格好してるの?」メグさん


「久しぶり」口数の少ないカカルさん


「ユーリ、美味しいシチューが食べたい」マッシュさん


「少しはかっこよく見えるわよ」レベッカさん


それぞれの言いたい事を言うみんな、緊張は解けたのかな。


「僕は王都に観光とお土産を買いに来たんだ。みんなはパーティに招待されたの?」


「ああ、あの件の功績が評価されたんだ」


「良かったね、あの後どうしてたの?」


「まあ色々さ、あっちに行ってクエをして、こちに行ってクエをするとかさ、ユーリの最近はどんな感じだ」


リーダーだと思えない大雑把な説明だ。


僕は考える最近はやっぱりこれだよね。


「誘拐されて、お城の親衛隊に助けられたかな」


「まあ、可愛そうに何もされなかったの?」


心配してくれるメグさん。


「食事を作らされたかな」


「俺も食いたいな」


誘拐犯になりたいのかマシュさんは。


僕はみんなが楽しそうにしてるのをいいなあと思う。


しかし忙しい僕は仕事に戻らないといけない。


「皆ごめんね、まだ飲み物を配りえ終わってないんだ行くね」


「おお、頑張れよ」


「また一緒にクエしようね」


「じゃあね」

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