ここに有りましたか
「嬉しいな従妹か、それも可愛いぞ。テレサさんが叔母さんか、母さんが2人いるみたいだな」
僕は軽やかにオークを倒す。うれしいと切れがいい様に感じるな。
「親戚ならもう少し顔を出さないといけないな」
オークが6体位だと余裕があるな。
五右衛門みたいにバサバサ出来れば解体しなくてもよさそうなのに、あのレベルは人間に出来る事なのか。
まあ出来なくてもいいか、解体するのはオークだけだし。
ミスリルの剣には慣れたきたな、この上の剣はなんて名前なんだろう。材料の名前なのかな。
中学の時に読んだ本に書いてあったけど、あれは架空の材料なのかな、確かアから始まる名前とヒから始まる名前の鉱物?があったよな。
おじいさんは言いました。分からないなら知ってる人に聞きなさいと。
武器屋に鍛冶屋があるではないか、今度聞いてみよう。
オーク肉はリュックに詰めた、オークを探そう。
新しく編み出した奥義は僕を危険な目に合わせた、奥義バク転斬りはオークの突進に負けて僕が吹き飛ばされて痛かった。オークの両腕を少し切っただけで、バク転の勢いのがあるから回転が続いたな、危なかったな。
そろそろ奥義は卒業かも知れない。有効な奥義は沢山あるが魔物が多いと効果が全然ないものが多い。
全ての奥義を封印して基本に戻ろう、基本は大事。
魔物相手なら避けて攻撃するだけで勝てそうな気がする。
下手な奥義よりも落ちてる物を投げた方が隙が出来て戦い易いな、まあ、落ちている物が当たって痛い位じゃないと隙は出来ないけど。
それよりも、バンドの重さを重くするか。
基本方針は決まった。
オークに集中だ。
「おじさん、オーク肉はどう?」
「最高だよ、同僚も毎日食べれて俺太ったかなと言ってたよ」
そんなに食べてるのか、毎日上げているけど、太るほどなのか。
おじさんは見た目は変わってないな。
「それじゃまた明日」
「おう、いつもありがとう」
僕はおじさんが帰って行くのを見送った。
「ユーリ君は優しいよな俺達全員にくれるんだから」
「違いますよ。知り合いの人にあげるついでにあげてるだけです」
「そんなもんかね」
「僕も行きますね、見張り頑張って下さい。夜はまだ寒いから」
「ありがとう、よく休めよ」
「ありがとう」
お土産を持って来た僕は、村の入口で本日の見張りの人にオーク肉を渡し会話を楽しんだ、その後は疲れたので宿で休む事にした。
この頃は、1日置きに崖の下で夜を過ごしている。
滝の裏の洞窟でも安全に眠れているので、オークと戦う時間が増えている。
疲れたな、しかしオークが多すぎる様な気がするな。
見付けるのにあまり時間が掛かっていないようだな、毎日倒しているのに変だな。
考えても分からないな、寝よう疲れを取って明日もオー・・・・・・。
ギルドの裏の倉庫でオーク肉を買い取りして貰った後に、討伐依頼を報告しているとギルマスがこちらに来た。
掲示板の前に移動するとギルマスも付いて来た。
「何か用なの?」
「いや、気になる事があるんだが、ユーリはいつまでいるんだ」
何で僕の予定を聞くのかな。
「まだ当分この村にいるけどどうしてですか?」
「聞き間違いならいいのだが、確か滞在期間は短いと言っていたが、だいぶ経つけど大丈夫なのか?」
僕は考える、従妹に会いに来たわけではないな、叔母さんに会いに来たのでもない、オークを倒しに来た。それは合ってるな、よく思い出すのだ。楽しすぎて何かを忘れてる様な気がする。
ああ~、侯爵様と約束してたんだ。ここに来てから何日経つんだ。
「ギルマス、僕がいつ来たか分かりますか?」
「ちょっと待ってくれ・・・・・・君、ユーリが最初にオーク肉を売りに来た日から今日で何日目か調べてくれ」
ギルマスが職員のお姉さんに聞いてくれた。そんな仕事をしているのか、凄い・・・・・・面倒で飽きそうな仕事だな。
「今日で13日目ですね」
ギルマスが僕に向いて「13日目だと」と教えてくれた。うん、聞こえているんだけど、親切だな。
「よかった、まだ余裕だ。でも急ごう。お世話になりました、僕はローランドに向かいます。さようなら」
よく覚えてないけど、大丈夫だよね。
「ああ、また来てくれよ、ありがとう」
僕は急いで崖下の大樽からリュックにオーク肉を詰める。
ここにもお世話になったな、さあ帰ろう。
急いで崖を登って、崖の上から崖下に視線を向けた。
「遺跡がここからは見えないな、最深部はどうなってるのかな、いつか行ってみるかな」
気になるけど、行かないと。さあ行くか、ジェシーも走りたいだろう。
「おじさん、これ最後のオーク肉、これからローランドに行くんだ、今までありがとう。急がないといけないので大樽を片づけといて下さい」
「分かったよ、ありがとう」
僕は急いで宿に戻ると、少ない荷物をリュックに詰めると1階に下りて宿屋のおじさんに挨拶をした。
「おじさん、今までありがとうこれからローランドに向かいます」
「そうか、帰る日が来たんだな。気を付けていけよ」
僕はジェシーが走り出した時に『また来るね~』と言った。
見張りのおじさんも『待ってるぞ~』と言った
僕の乗るジェシーは東に向かって街道を走ってくれている。
まさか従妹に叔母さんに会うとは、それも存在を知らなかった事に驚いた。いや、知らせられていない事に驚いたんだな。
テレサさんが気が付かなければ、知らないまま何年も付き合っていそうだった。
そして、ギルマスが気が付いてくれなければローランドに帰る事も忘れていた。
オーク肉の入ったリュックを背負っている僕を乗せているジェシーは、ローランドを目指して走ってくれている。
僕は頭の中で地図を描く、この世界の人の住んでる街や村などそんなに離れていない。
徒歩で考えると凄く遠く感じる。もしかしたら僕の知っている今の地域の何倍、何十倍もこの世界は大きくて誰も行った事のない所があるのかもしれない。
コロンブスさんは言いました、陸を探せと。
「ジェシー東に向かうのだそして南、近くてごめんよ。いつか君がもう走れませんとお願いするぐらい走らせてやるぞ、まだ冒険は始まっていない」
「ジェシー、今のどうかっこよく言えてたかな、台詞は大事だよね。いいのがあるぞ、ジェシー王都ローランドに向かうのだ、姫が待っているぞ。これもいいな」
僕はジェシーが頑張ってくれてるので台詞の練習をしている。
年寄りの姫とかいたら笑えるな。会う人が、えええ~姫ですかと驚く。その~今おいくつ・・・・・・女性には聞いてはいけないのだ、そのに姫に目を付けられたら、首と体が離れてしますかも。
もう、ローランドに向かう南の街道の分岐が見えてきた。
「ジェシー、君は本当に速いよ、リュックの重量が増えても大丈夫なんだね、王都ではのんびりしていいからね」
分岐した街道から巨大な王都が見る。
ここで冗談で言いたいのが『攻め込むぞ』なのだが、やっぱり首と体が離れる事になるので言えない。
少し傾斜で王都の方が低いので街の中が見える。
ほんとに大きい、ここで前世の僕の方角感覚が凄いのを思い出した、学校から友達の家まで行けたのだ。
学校が世田谷区で友達の家が杉並区、誰でも大体の方角が分かるはずだが、友達の家と2本違う道を進んでいて、あれこの辺だったよなと気が付き周りを少し探すと友達の家を見つけた。
電車で行ったことはあったが、駅と友達の家までの道しか知らないので、学校からだと家の方が近くて、それも学校からだと北の方向、北海道の方向だな、駅からだと東の方向に友達の家だ。
標識なども無い道で向かったから余計に凄いと思う。まあ、自転車だから裏道の様なところしか通らないけど。
ママチャリは最高の乗り物だった。
だから王都でも迷子の心配はするけど直ぐに覚える?だいたい分かるしあっているかなと。
それに分からない所を進んで、分かる道に出ると嬉しい。
門が見えてきた。王都は面白い所には見えないが、東京みたいになんでもあるんだろうな。
ああ、ドラゴンの情報なら王都だと思っていたのにマルネ村に行ってしまった。それに名刀巡りをしてないよ。
学園はいつまで休んでいいんだろう、帰りに観光しても・・・・。
「ユーリ、待っていたぞ。街でも観光してたのか?」
あれ僕、何か言って旅に出なかったかな・・・・・覚えてない。
「侯爵様にお世話になるので、この屋敷に侯爵様が到着するまでマルネ村でオーク肉を売りさばいてオーク肉をお土産に持ってこようと旅に出てました」
「そのリュックの中全部がオーク肉なのか?」
「そうです、お世話になります」
「私の知るところによると、ユーリは料理が上手で国王様に献上してもいいほどだと、それで今夜は」
侯爵様は嬉しそうに言いました。
「ユーリに調理を任せたい、妻と娘の分もよろしく頼む」
会話の間に咳払いが入りました、そして続きをお話になりました。
グリュックの誰かが言ってなかったか、国王様に献上できるとか。
燃えてきた、そこまで言うのならこの前世で料理の本をパラパラと速読した実力を見せよう。
「分かりました、そこまで期待していただけるなら、お風呂に入り旅の垢を落として清潔になり、侯爵様たちが食べた事のない料理を作ります」
僕は頷いて目をキラりとした。そう見えるよね。
「よし、期待しているぞ。ラキト風呂の用意をしろ」
侯爵様は頷いてラキトさんに頼んでくれた。
あ・・・・・・風呂て言ったけどあるんだ。嬉しいな、とろけるまでお湯に浸かってやる。
僕のリュックを下働きの人が持って行ってくれた。
ラキトさんが僕をお風呂まで案内してくれた。
初めてのお風呂、扉を開け中に入ると靴を脱ぐ所が両サイドにあり、どちらからでも脱衣所に行ける、僕はそこで全ての衣類を脱いで籠に入れ、風呂に向かう。
入口と同じで脱衣所の中央から出ると両サイドからお風呂場に行ける。
シャワーが無いので桶でお湯を汲む。お湯が出て来る所が洗い場になっていてそこに一旦お湯がたまるようになっている。溢れたお湯が浴槽に流れていく。
流れるお湯の量が少ないので溜まったお湯を5回ぐらい桶で汲むと待たないといけない。
「凄いぞ暖かい、お鍋のお湯ぐらいしか沸かしたことが無いけど、お鍋何杯分だよ」
いやお風呂だから、鍋で考えるのはよそう。
「石鹸も、いい匂いがするぞ。初めてがこんな広くて豪華な風呂なんて幸せだ。侯爵家最高」
「おっほん」脱衣所にこのお屋敷の人がいたのか。静かにしよう。
広いので泳ぎたくなるがのんびり浸かろう。
「ああいい湯だ、お風呂好きにはたまりませんな」
「料理の事を考えないと」
お風呂とは不思議な空間だ、何故か独り言を言ってしまう。
公爵様の家族みんなが食べれてとても美味しい物、シチューはだめだ、いつも食べてる。
食べた事のない料理・・・・・ナイフとホークで食べる物だよな、自分が食べたい物ならもんじゃ。
映画を見ながらよく食べたな、ソースがあるから食べれるよな。
「ユーリ様、そろそろ出ていただいて料理の準備をしてください」
もうお風呂から出る時間がきてしまった、料理の時間だ。子供が食べたい1番美味しい物を作るか。
腕を曲げて触ってみる。
「あれ、前より筋肉がついてきたかな、僕の腕の筋肉を見ろ」
「まだですか?」
「今出ます」
いい風呂だった、二度と入れない豪華な風呂を見渡す。もう少しだめかな。
そうだ、お風呂に入ると美味しい食事、お風呂に入ると美味しい食事、これを侯爵様が習慣にしてくれれば食事を作るたびにお風呂が入れるかも・・・・
服を着替え廊下に出ると5人の男性がいる。
「あの、どうされたんですか?」
「お風呂の掃除に来ました」
なに毎回掃除してるのかな・・・大変だ。
「いいお風呂でした、ありがとうございます」
「いえいえ、喜んでいただきありがとうございます。こちらの物が厨房まで案内します」
これを一流と言うのだろ、真似できないレベルだ。
「案内お願いします」
「こちらです」
僕はこのキリッとした青年に付いて行く。
「質問してもいいですか?」
「どうぞ」
「ドラゴンに関する情報を知りませんか?」
「さあ、私どもに分かる事ではありません」
「そうですか、この王都なら誰かドラゴンの事をお知りの方がいるかもと思いまして」
「とても難しい事ですね。伝説のドラゴンと言われてるぐらいなので知る人が居るかどうか」
「ありがとうございます」
案内の人が止まり「いえ、こちらの扉の中が厨房です」とお辞儀していなくなった。




