お土産と準備
次に小物などが売っているお店に入ってみる。
ローランドは建物の壁も綺麗だが内装も凝っている。
武器屋も綺麗だったがこのお店も綺麗だ、薄い緑が綺麗に塗れている。
「いらっしゃいませ」
「どうも」
どんな小物があるのかな、女性用のブラシ、髪留め、りぼん、小物は女性用が多いな。
ホークとナイフ、ハサミ、100均と違っていい物だな。
調理道具も売ってる・・・皮むき器があるぞ。母さん王都で売ってますよ。
・・・・・・温まるんですが売り切れ。
凄いぞ母さん、王都で売り切れだぞ。
「そちらは、売り切れなんです。予約も一杯で入荷次第無くなってしまうんです」
「そうなんですか、ちなみにどんな人が買って行きますか?」
「何とも言えませんが、幅広い層に売れてます」
僕は店内を見回して売り子さんにお願いする。
「女性用のブラシと鏡のセットを色違いで用意してほしいのですが、値が張ってもいいのでお洒落な物が欲しいんです」
「そうですね、今ある物だと洒落よりも機能性が高い物になりますのでお取り寄せになりますが宜しいですか?」
「予算は2セット合わせて銀貨4枚でどうですか?」
「1セット銀貨2枚もかかりませんけど宜しいのですか?」
「はい、カードで支払います」
僕はカードを売り子さんに渡す。
「少々お待ちください」
これで、僕達のお土産は買った。忘れがちだが、父さんにも調味料でも買って行こう。
母さん達のお菓子は、帰りまでに何かいい物を探そう。
「お支払いありがとうございます」
「僕は、ユーリ。月末までにお願いします」
「ご準備してお待ちしております。ありがとうございました」
買い物が終わった。ギルドにクエを確認に行こう。
もう遅いけどあそこは夜遅くまでやっている。
「カラーン、カラーン」
なんと王都のギルドにはベルが付いてる。小物屋さんには付いてなかった。
「あら、君どうしたのこんな時間に」
「遅くにすいません、僕はギルドに登録してる初級冒険者なんです。王都に来るのも2回目で、前回は王都に1時間もいなかったんです。今回は長くいるので王都ではどんなクエがあるのか早く知りたかったんです」
「そうなの、あまり遅くならないようにね」
ギルドの職員さんは何処かに行った。
では、掲示板に・・・・討伐クエが無い。
ここの兵士の皆さんはとても優秀なんだな。魔物の討伐クエが1個も無いとは、朝も無いのかな。
魔物の討伐クエはないけど、ネズミの討伐クエは沢山ある。何枚あるんだよ。
1枚取ってみた、同じ所にまだ張られてる。同じ所からもう一枚はがす?おかしい目の錯覚なのかな、それともいたずら、2枚取ったがまだある、その1枚をめくってみる。うん、最初の1枚を入れると5枚が同じ場所にある事になる。
全部で1.2・・・・・・・・・・13ヵ所にネズミ討伐クエが貼ってあり、その下にも4枚位貼ってある。
???????
「すいません、おばさん」
女性職員が来て怒り出す。
「まだ私はおばさんではありません、29歳です」
「僕のお母さんは27歳です」
「それでもおばさんではありません」
「ギルドのお姉さん質問があります」
「何かしら~」
まだ怒ってますね。
「このネズミの討伐クエの張り紙が何枚もあるんですけど、どうしてですか?」
「子供には分かりませんか?」
まだ怒ってます。
「はい、出来れば説明をお願いします」
「ネズミの討伐が終わらないから、何枚も出してるのよ」
そんなにいるのか。
「それで何軒の農家から依頼が来てるんですか?」
お姉さんは「そうね~」と言って掲示板の張り紙の数を数える。
「見た感じだと、13枚×5枚位で合計65軒の農家から依頼がきてるわね。もしかしたら張り出してないのも沢山あるかも知れないわね」
「それはどうしてですか?」
「張るのが面倒だから」
・・・・・張ってないネズミ討伐クエが他にもあるのか。
ネズミ1匹で小銅貨3枚・・・3枚、あの街の1.5倍の報酬だ。
「あの、こちらの冒険ギルドでは受けれるクエの上限はあるんですか?」
「ないわよ、好きなだけ受けれるわよ」
取り敢えずお金持ちを目指してみようかな。買い物をしてお金もだいぶ使ってしまったから。
「え~と、ネズミの討伐クエを全部受けます」
「聞き間違えかしら、全部と聞こえたんだけど」
「はい、全部受けます」
お姉さんが何言ってるのこの子と思っているだろう。
お姉さんが帰ってもいいわよと言い出したので。
「ギルドカードです。受理してください」
「分かりました、いい!時間がかかってもやり遂げてよ、私がギルマスに怒られるんだから」
「はい、頑張ります」
ネズミ討伐クエは83個の依頼があった。
ギルドの女性職員さんにここから近い木工工房と鍛冶工房を何軒も聞いた。
「ユーリ君、そろそろ起きてくれないか」
「もう少し、後5分でいいですから」
僕は眠い、昨日の夜にギルドを出てネズミ討伐の道具と材料を依頼してきた。
依頼の時に作って貰う物を作って見せて、同じ物を作って下さいとお願いして回った。
何軒も説明と作り方を教えて夜遅くなった。
出来た物と材料を持って門から街の外に出た。
門から一番近い畑の持ち主の所に行って、依頼を受けた事とどこでもいいので寝させて下さいお願いした。
朝起きてなかったら、起こしてくださいと頼んでおいた。
「ほら、朝飯に芋を茹でたから一緒に食べよう」
朝飯が食べれるなら起きよう。
「起こしてくれてありがとう、お芋美味しいです」
「食べてから言ってくれよ」
「食べる前から分かってたんです」
「そうか、食べたら準備するんだろ」
「はい、急がないと他の畑の人も困ってるはずですから」
芋を美味しく頂き、お礼を言って立ち上がる。
「そんなに簡単なのか?」
「はい、同じ物を作って効果が確認されてるんです」
「期待してるよ」
おじさんと畑の四隅に大樽を置いて仕掛けを施す。
僕は慣れているので直ぐに終わった。
「明日になればネズミが捕れていると思います。僕は他の畑にも同じ物を仕掛けに行きます」
「ありがとう、明日が楽しみだ」
あれを見た事あれば楽しみだとは言えない。
僕は、次の畑に向かうのに走って行った。
何個か畑に設置出来たが、夜頼む時に僕が作った物、確認の為に職人さんが作った物が無くなったので、街の工房に取りに行く。
「すいません、出来てますか」
「おお、君か、まだ全然できてないよ」
「出来てるのだけ貰って行きます、全てが揃わなくてもいいのでまた取りに来ます。ありがとうございます」
「こちらこそ、ありがとう。頑張って作り続けるよ」
「お願いします」
僕は出来てる材料を持って次の工房に向かう。
「すいません、出来てるだけ貰いに来ました」
「出来たのは、カウンターの横に置いてあるから持って行ってくれ」
「ありがとうございます、後もよろしくお願いします」
「わかった、頑張るよ」
材料屋さんに取りに行く。
「こんにちは、材料入ってますか?」
「頼まれた量が量だけにまだ半分しか納品されてないよ」
「急な注文で受けてくれてありがとうございます、特別急いではいないんですが、早い方が先方も喜ぶので」
「少しは作れてるのか?」
「昨日頂いた分で4か所の畑に設置出来ました」
「仕事が早いな」
「一日遅れれば被害が出ますから、作物の為に少しでも早く設置したいですね」
「そうだな、作物の安定供給が出来ればこちらも助かるからな」
「では、何個かの材料が揃ったので行きます。よろしくお願いします」
「ああ、明日ぐらいにはほぼ納品が終わるはずだから来れたら来いよ」
「すぐに来ます」
僕は材料が揃ったので、設置した畑の隣に向かう。
僕は、設置した畑の隣の畑の持ち主の家に来ている。
「ドンドン」入口のドアを2回叩いて「すいません、いらっしゃいますか?」
家の中から男性が顔を出して「何かな?」
「僕は冒険ギルドのネズミ討伐クエを受けたユーリです」
「やっと来てくれたのか、お願いしたのに随分経ってしまったから、もう受けて貰えないと思っていたよ」
「そうですよね、同じクエがあんなに有ったらなかなか順番が来ないですよ」
おじさんは家から出て来て歩きながら話す。
「ここから、あそこの?大樽が置いて有る所?だな、俺の畑だ。ここから、今度は目印が分からないか、分岐まで歩こう」
みんな同じ見た目なのだ分岐まで歩かないと自分の畑の区切りが分かりづらい。
「ここだ、ここからさっき所までが俺の畑だ」
「みなさん柵とか付けてない人が多いんですね」
僕は周りを見て畑の分岐が分かりやすい様になってないと言った。
「この辺は野生の動物も魔物もいないから柵を作ってないんだ、区切りが分かる様にしている者もいるけど俺は面倒でしてない」
「では、おじさんの畑の四隅に大樽を置かせて貰います。それがネズミ捕りになります。これから準備して完了したら説明しますね」
「時間はどの位かかるんだ」
「すぐに終わります。終わったら知らせに行きますので家で待っていてください」
「わかった、宜しく」
おじさんが家の方に歩き出すと急いで準備する。
四隅なので30分ぐらいかかり、設置が終わったので説明をする。
「樽のこの部分位まで水を入れて、餌を塗るのとぶら下げるのをすれば終わりです」
「これで本当にネズミが捕れるのか?」
「明日になれば沢山捕れてますよ。僕は次の農家に行きます、お疲れ様でした」
「お疲れ~」




