旅の帰路
西の魔女の森で浮かれていたけれど現実を思い出してオークを沢山倒す事にした。
休み前に僕のお金は無くなったので、今回の旅は強くて報酬の良いクエを沢山受けるつもりが、報酬がそんなに良くないのに時間だけはかかるので効率が悪かった。
この西の魔女の森に来た当初はお金の事を忘れていたが、思い出してからは効率よく倒して売りに行く事しか考えられなくなっていた。
西の魔女の森はとても広いけど何もなかった。
オークが生息している以外は、謎の惑わせる何かしかない。
そろそろ休みが終わる頃だそろそろ帰らないといけない。
後2、3日で帰ろうかと考えたら、ある事に気がつく、西の魔女の森の中心に行ってない事を。
中心部分はどうせ何もないと考えて確認をしなかったんだ。
10メートル四方が惑わす入口の様になっていて、まあ10メートルだと何もないと決めつけていた。
この10㎡が入口より複雑になっているが真っ直ぐ進んでも何もなかった。
複雑な10㎡をくまなく歩く事にすると中心から3メートル位の所に墓石があった。
四角の辺の中心から反対の辺に向かって歩いて8メートル所に墓石がある事になる。
中心に何かあると思ったが、そこから3メートル離れた所にあった。
墓石にはリリカ・クライスここに眠る、友レッドドラゴンと過ごした地に。
僕は、墓石の前に跪いて「そんな、発見していれば新たな冒険が始まったのに」と叫んだ。
くまなく西の魔女の森を回ったがドラゴンの居そうなところはなかった。
「ハァ~、ドラゴンに会いたかった」
墓石を手でなぞると何か不思議な感じがする。
安らぎだろうか、心が落ち着く。
さあ、落ち着いたぞ。レッドドラゴンが何処かにいる、今は分からないが。
オークを狩るぞ~。
「二刀流奥義二段突き、奥義気合斬り、奥義薙ぎ払い」
「奥義連続突き、回転斬り、奥義連続斬り」
連続奥義にオークはなすすべもなく倒されていく。
そろそろ新奥義を考えないといけない。更に上を目指そう。
「新奥義修羅斬り」
今できる最高の技が出来た。今はこれ以上の技を考え出せない。
僕は、新奥義修羅斬りを会得した。
オークを解体して荷車に載せアーネストに戻る。
「ジェシーの面倒を見てくれてありがとう」
僕は宿屋のレックスさんに今までのお礼を言って歩き出す。
「いいってことよ、安い料金だなと思ったがほとんど泊ってないもんな」
「また来ます、さようなら」
「また来いよ、ユーリ」
「行ってしまうのか、寂しいな」
「また来るよ、ジルトさんお元気で」
「気を付けて帰れよ、ユーリ」
「ありがとう」
ジェシーに乗り最後に握手する。
「しかし、本当に平民なのか。馬持ってる平民なんかいないぞ」
「いいじゃない、ジェシーが居れば旅が楽なんだから、ではまたね」
「美味しいシチューありがとうな」
最初はゆっくりと走り、ジェシーが慣れてきたら速い速度で走って貰う。
今回の旅はクエを少ししか受けなかった、強い魔物が多いと聞いていたが、西の魔女の森に籠ってしまった。
ジェシーともあまり一緒にいる事が出来なかった。誰かにジェシーを任せないといけないがどうすればいいのか分からない。
馬を買ってくれた母さんに頼むのは筋違いだから、ポール子息に聞いてみるのもいいかもと思っている。
「ジェシー、まだ先は長いんだから全力で走らなくていいんだよ」
僕はジェシーに話しかけて撫でる。
王都に続く街道を北に進む、旅商人に会うとレッドドラゴンの事を聞いてみたが分からないと言われる。
ホワイトドラゴンのシュラさん、アサルト村の北東の峠近くの地下洞窟にブラックドラゴン、この2体は今も生きているドラゴンだ。
ドラゴンの寿命は誰にも分かっていない、なのでレッドドラゴンも必ずどこかに居ると思う。
今度シュラさんにブラックドラゴンが近くにいる事を教えよう。
北がローランド、南がアーネスト、東がキッカ村の分岐路に着いた。
ローランドには行ったけど夜だったし南門からすぐの所の薬屋さんに行ってすぐにアーネストに戻ったから、王都がどんな所か全く分からなかった。
いつか行く機会があるかも知れないな。ガーランドで1泊しよう。
あれジェシー、あなたの速度がおかしいですよ。
帰りが異常に早いんですけど、行きは約五日かかったのに、今の移動速度だと3日半位で着きそうだぞ。
ジェシーも成長してるのかもしれないな。
「流石だジェシー、ガーランドに着いたらゆっくり休むんだぞ」
街道を東に進んで夕暮れになり、野営する。
ジェシーが休みやすい所を探し、手綱を結び付ける。
休みが明けると武術大会だ。今のクラスだと選ばれる事はないと思うが、両手にミスリル剣を持った二刀流が出来たらいいな。
さあ寝よう、まだまだ冒険は続く。
「母さんただいま、お土産のオーク肉」
「おかえりユーリ、珍しく早く帰って来たのね」
「ジェシーが凄く速く走ってくれたんだよ」
母さんにオーク肉を渡して、すぐに出かける。
「何処に行くのよユーリ」
「森に薪拾いだよ、リカちゃん家に行ったら薪が無くなってたんだよ」
「そう、家にもお願いね」
「分かったよ」
小さい樽を背中に背負い通路を走る。
ゴブリンにコボルトには目もくれずに奥を目指す。
「走るのが更に速くなったな」
ここまで何回も魔物に遭遇したが振り切って来た。
奥義突撃斬りが有効だが、戦闘はしないでシュラさんの所に向かう。
「見えてきた、ここまで来ると魔物は襲ってこないな」
シュラさんが寝ているな。
ふむ、鱗でも探すかな。
シュラさんの周りを歩き回り鱗を3枚見つけた。
流石にシュラさんの体の下に入り込む事は出来ないので起きて貰う事に。
「シュラさん、こんにちは、ラム酒ですよ」
僕の言葉に目を開けて起きだすシュラさん。
「あらユーリ、来てくれたのね」
僕は背中から小樽降ろして差し出す。
「今日は小さい樽を持って来たよ」
「まあ、瓶より多く飲めそうね」
早速飲みだすシュラさんはプハ~と息を吐いて美味しそうに飲んでいる。
「シュラさん、ブラックドラゴンを発見したんだ」
「そうなの、ブラック君ね。元気にしてた?」
「見かけただけで話してないんだ」
「何処に居るのかしら、ここから近いのかしら」
「凄く近いかもここから南西の峠近くなんだよ」
「あら、そんなに近いんだ、会いに行こうかしら」
「やめた方がいいかも、近くに村があるから飛んでるの見られるかもしれないよ」
「まあ残念だわ、同族に会える機会は少ないのに」
僕は、レットドラゴンの事を聞いてみる。
「シュラさん、レッドドラゴンに会った事はありますか?」
「あるわよ、まだ生まれたばかりの時に、でもどれくらい前に会ったかは覚えてないな」
ずいぶん昔の事なんだな。
「レッドドラゴンはまだ生きてると思いますか?」
ラム酒を飲むのをやめて考えてる?
「私達ドラゴンは死なないとされてるわね、外敵にやられなければ永遠の命だと伝えられてるのよ」
外敵て人間なんだろな。
「何処に居るかわからないよね?」
「レッドちゃんは火山が好きだから、その辺に居るんじゃないの」
この近くに火山はないな、西の魔女の森付近にはあるのかな。
「今度、火山がある所を調べて行ってきますよ」
「そうなの、会えるといいわね」
あまり興味が無いのかな。
「ここで1泊してもいいですか?」
「いいわよ、のんびりしていってね」
僕は安全なシュラさんの所で野宿する事にして、オークを狩る事にした。
ポール子息のお父さんのマーティス・ラッド男爵にジェシーの事を頼んでみたら、家で預かるよと気軽に言われてしまい、それならともっとオーク肉を上げようと思い、ポール子息にリュックを追加で借りてきた。
シュラさんの所から走って2個目の分岐に来た。1個目は地底湖に繋がっているが、魔物が居そうにない。
この分岐で入口方向でない方を選ぶ。
「ゴブリンか、奥義をくらえ。回転斬り~、奥義連続斬り~、奥義は楽しいのだが無駄な動きが多いな」
奥義をやめてゴブリンの動きに集中する。
二刀流で左を防御にするのは動きの速い敵にも有効だ。
ゴブリン4体を倒し更に先に進む。今度はオークが5体。
素早い動きから両手の剣を肩の前後の動きに合わせて連続で攻撃する。
通路が広いので二刀流でも大丈夫だ。
5体の解体も手慣れて来たので早く終わり、リュックに詰める。
後4体分は入るのでオークを探して先に進む。
なかなかいないなオーク、5体のオークを倒してから6戦闘するもオークに遭遇できていない。
「あれ、なんか広い所に出たぞ。奥にオークがいる」
僕に気がついていないオークは壁を叩いてる?
なにかキラキラしてるけど松明の光に反射してる。
「ウォ~」
あ、近づきすぎた。もろに攻撃を受けたがとっさに剣で受けれた。
「危なかった、凄い誘い込みだな。騙されたよ」
自分から近づいたのにオークを相手に言い訳をする。
奥義を使うまでもなくオークを倒す。
「何が光ってたのかな、なんだ金か、僕の松明が無ければ光ってる様に見えなかったのか、しかし初めて見たな」
お土産に持って帰るか。
「や~、えい、ぐりぐり、ドスン、シャカシャカ、金が取れたけど、初代の剣先が~」
がっかりだよ、剣が~。
足どり重くシュラさんの所に帰って来たが歩きがトボトボだよ。
「ハァ~、ハァ~」首もガクガクする。
「あらどうしたの、ユーリ?」
「見てよ、剣の先が潰れたんだ」
「もう使えないわね」
シュラさんにダメ押しされた。自分でもダメだと思ってたけど。
「もう寝るよ、僕。起こさないでよ」
「好きなだけ寝なさいよ」
トボトボと岩場に行く。ここならシュラさんの寝相が悪くてもつぶされる事はないだろう。
短い二刀流だったよ。




