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ゴブリンと無詠唱

何事もなく朝を迎えた僕達は、更に南西の進む。


昨日と同じでスコット子息が先頭で僕が最後尾。


アリシア嬢が遅れだしてきたので僕は、荷物を持つことを申し出る。


「アリシア嬢、宜しければ荷物を持ちますけどどうしますか?」


「まあ、持っていただけるのですか?」


「はい、去年は3名の令嬢が居ましたので3名分持ちましたが、アリシア嬢の荷物だけなら軽い物です」


「ありがとうございます」


僕が荷物を持つと楽になったのかシャシカ嬢の横に並んで歩き始める。


スコット子息が木に隠れてる?こちらからは丸見えだが、木の向こうに魔物がいるのか木に隠れる様にして前方を見ている。そこに後続の僕達が追いつく。


小声で「遅いぞ、ゴブリンが10体以上いる」とスコット子息が言う。


ゴブリンか、皆は戦い慣れてきたが魔物が2体までしか遭遇してきてない。


「どうしますか?」


ジェイク子息が不安げな顔でスコット子息に聞く。


「お前ならどうする、平民」


この様にたまに聞かれるのでそれに答えている。


僕は考える。自分だけなら色々な戦い方がある、ここは木が多いので囲まれる心配はない。


ここは皆の成長のために色々試してもいいかもしれない。


「それなら、先ず魔法攻撃を詠唱なしでしましょう。上手く行けば数体倒せるのと、こちらの場所が特定されません。もし特定されても僕も入れて3人の剣士が居るので2人に魔物が行かない様にする。スコット子息とシャシカ嬢は最大2体までを同時に相手にする。もし今言った状態以外になったら撤退か、僕の所に来るかするしかありません」


「平民お前は余裕なんだな・・」


「みなさんよりも経験してるだけです。ジェイク子息とアリシア令嬢は詠唱なしで魔法が撃てますか?」


「やってみた事が無いです」


「僕もない」


僕は、ゴブリンの方を見て気がついてないか確認するとここから少し離れようと言った。


「どうしたのだ?」


小声で話さなくてもいいぐらいの距離まで来ると僕が提案する。


「ここで無詠唱の練習をしましょう、声に出さないで手の上に小さな火をイメージしてください。河原で練習してた時の火を考える。その火は消える事なく手の上で燃えている」


僕の話を聞きながら無詠唱の練習を始めてすぐにアリシア嬢の手の上に火が、すぐに消えたが。


「凄いです、無詠唱で出来ました」


みんなが「「「「おめでとう」」」」と言って喜び合う。


「おい、僕はどうすればいいんだよ」


「同じ様にすればいいのですが、風魔法なので下にある草を斬ってみるのもいいかもしれませんね」


スコット子息とシャシカ嬢には悪いが少し2人に練習の時間を割いて無詠唱を覚えて貰う。


2人は効果の少ない魔法で練習している。


「おい、なんで魔法の事に詳しいのだ?」


スコット子息にいきなり質問されてビックリしたが答えた。


「僕は魔法が全然ダメなので、基本的な事から応用まで学園の教材を何度も読んだからです」


「そうか・・・・」


アリシア嬢は、無詠唱で火を出す事が出来る様になったので嬉しそうだ。


時折「うふふ、うふふ」と聞こえてくる。


ジェイク子息も何とかイメージを上手い事出来たと喜んでいる。


「あの、私には何かアドバイスは無いのでしょうか?」


あれ、シャシカ嬢がアドバイス?僕なりでいいのかな。


「その、僕は基本の剣術とか分からないんで、応用みたいので宜しければお教えできるかと」


シャシカ令嬢が大げさに喜んで僕に近づく。


「僕が教えられるのが、魔物と戦うコツと心構えです。魔物は僕達人間よりも本能で動いてます。そこを利用するんですが、フェイントが一番有効です。突進してきた魔物を避けて攻撃するだけでもいいです。自分を狙わせて避ける、避けた動作から攻撃です」


スコット子息も聞きに来た。


「では、お手本をお見せします、スコット子息お手伝いしてください、お願いします」


「わかった、どうすればいいんだ」


「簡単です手を剣に見立てて上段から僕の頭を叩いて下さい」


言われた通りに僕の頭を叩く。行動が早いぞ。


「今僕は避けませんでしたが、次は避けて攻撃したいと思いますが、スコット子息は攻撃の後、少しだけ止まって下さい」


もう一度、スコット子息が攻撃してきてそれを避けて喉元に攻撃して止める。


「今の動作は、スコット子息に頭を差し出しましたが、当たる前に避けて攻撃を続けてしまいました。魔物なら今の動作と同じことがおきます。しかし人間なら避けられた後に隙を作りたくないので間を取ったり、続けて攻撃してきます。魔物も避けられれば攻撃してくるでしょうが人間は避けられたらと考えて行動します。避けられた後の動作に差が有るんです」


「なるほど、魔物はバカだと言いたいのだなお前は」


「そこまでは思いませんが、考えて行動すれば魔物は意外と戦い易いんです」


「攻撃を避けて攻撃をする、それでいいんですね」


「そうなんですが、そこに魔物なら次のこう動くと考え、魔物の行動を予測して自分の思ったとおりに誘導するともっと楽に戦えます」


僕達が魔物と戦う時のコツ等を話している時も魔法のイメージの膨らまして考えてる2人は何故かニヤニヤしている。


「なぜあの2人は、ニヤニヤしているのだ」


「魔法のイメージが上手く言ってるのではないでしょうか、少し不気味ですけれどね」


いいよな、魔法のイメージの練習は出来ても魔法が撃てないから練習の成果が分からない。


「それでは、そろそろゴブリンと戦おう。それでどう戦うつもりなんだ、平民」


「まず魔法をどんどん撃って下さい、もし場所が特定されたらシャシカ嬢とスコット子息が間に入り先ほどの魔物の本能を利用した攻撃をして下さい。魔法で仲間に誤射しなければどんどん撃ちましょう。以上です」


「おい、それのどこが作戦なんだ」


「これは、対魔物との基本的戦術です。勝てる見込みの時はこの戦い方でいいと思います」


「それで、平民はどう動くのだ?」


「僕は基本何もしません、危ない人の援護にまわります」


スコット子息を先頭にゴブリンの所に戻る。


無詠唱の魔法をゴブリンに次々と放つ、飛んでくる方向が分かり、走って来た所に2人が進み出て攻撃をする。


シャシカ嬢とスコット子息は気が付かれる前に攻撃が出来たので何体か倒す事に成功するも、気付かれて残りのゴブリンが一斉に押し寄せてくる。


僕は横からゴブリンに石を当て2人に向かうゴブリンの数を減らす。減ったゴブリンに魔法がどんどん飛んで行き、ゴブリンが2人に向かうが、スコット子息とシャシカ嬢が間に入り攻撃する。


僕は向かって来たゴブリンから逃げていて、みんなが倒し終わるとそのゴブリンを擦り付けて離れて行く。


「おい、お前は倒さないのか?」


「みんなの連携が上手くいってるのでお任せします」


僕はジェイク子息とアリシア嬢の後ろに戻り周りを確認する。


他に魔物はいないな。


戦闘が終わり、スコット子息が休憩を提案した。


みんなは喜んで「「「はい」」」と言った。


僕はみんなが休んでいる間にその辺を走る。


木を蹴りその反動中に剣を振り落ちる時も次の動作に移れるように着地する。


この練習を何回もして動きの確認をする。


「動きのコツはつかめてきたが、動きの遅い大きい魔物にしか試せないな」


次に避けて攻撃をするイメージをして、そのとおりに動けるか動きを確認する。


剣の練習を終えてみんなのところに戻る。


みんなはお昼はどうするかと話していた。


「ゴブリンやコボルトを食べたい奴はいないだろうから、木の実とか野生の果物を探すか」


シャシカ令嬢が魔法で仕留めてよと鳥を指差す。


「無理よ飛んでいる鳥になんか当たらないわ」


アリシア嬢が、シャシカ嬢の鳥を捕ってよに答える。


スコット子息が僕を見る。


何か言えと言う事なのかな。


「ジェイク子息に鳥を落としてもらいましょう」


「え、僕には無理だよ」


「魔法の授業で広範囲に影響を与えるように練習しています、それをあの鳥の周りに展開すれば恐らく鳥は落ちてくると思われます。試してください」


困り顔のジェイク子息は僕にどうすれいいのと聞いてきた。


「まずは標的に風を当てるイメージを、当てることが出来たら今度は、標的の周りに風をおこすイメージを、それも出来たら標的の周りを広く影響しているイメージをすれば鳥は落ちると思います」


「風を当てるイメージで、次が標的の周りに風があるイメージ、それを更に広げたイメージ」


僕の言った事を自分のイメージに代えるジェイク子息。


ジェイク子息は嬉しそうに「出来るかも知れません」と言って鳥の周りに風のイメージをする。


みんなの見守るなか、ジェイク子息の風魔法が鳥の周りに展開してるのが見える。


鳥が落ちてきたので、僕は急いで走り出す。


鳥が体勢を取り戻して空中で羽ばたこうとした時には僕はジャンプして鳥を捕まえる。


「おお~」


「ええ~」


驚いた声が聞こえてくる。


「ジェイク子息上手く魔法が展開できましたね」


「ありがとう、まさか出来るとは思わなかったよ」


「今更なんですが、攻撃魔法でなくてよかったです」


「あ・・・・」


一番に気が付いたアリシア嬢。


「大事なところをなぜ言わなかった」


スコット子息が指摘する。


「忘れてました・・・」


そうなのだ攻撃魔法だとミンチになっていた。


「すいません」


捕まえた鳥をスコット子息に差し出すが受け取らない?


「おい、平民、貴族の子供が解体が出来ると思ってるのか」


「ああ、そうですよね。では僕がしますが、どちらですればいいですか?」


「ここですればいいだろう」


やはり、この世界の人は解体に抵抗がないんだな。


普通気持ち悪くなるでしょうが、なんで女子も大丈夫なんだよ。


すばやく解体して、焼き鳥にする事になった。


ここで活躍したのが、火の魔法をイメージで使える様になり、焚き火が簡単に出来る様になったアリシア嬢だ。


「凄いです、まさか火をおこさないですむなんて」


大喜びのアリシア嬢は、丸焼きにしますかと聞いてきて、スコット子息に止められた。


簡単な串を作り焼いていく、いい匂いがしてきて僕は「どうぞ」とジェイク子息に焼き鳥を渡す。


「美味しい、みんなも食べなよ」


ジェイク子息の言葉にみんなは「はい」と言って食べ始める。


「去年は木の実ばかり食べてましたのよ」


「私もです」


僕のチームはオークを探し回って、オーク肉のシチューを食べてたな。


あの人達はオーク肉以外は食べませんと言って本当に実行してたな。


なんでこの合宿は、現地で食料を調達しなければいけないんだ。


どう考えても変だぞ、貴族の子供達が6日間も自分で食料を調達するなんて、調達が出来ないチームがありそうだけど。


そもそも全力で走れば森の最奥からでも2時間ぐらいで街につけそうなんだよね。


クレイマーみたいになってきたぞ。考えるのをよそう。


他に大事なことがある、リストバンドを作ってもらってるんだ。


この頃、剣の重さに慣れてしまったので更なる負荷が欲しいと考えたら、先人の知恵のリストバンドを着ければいいと思ったんだ。


そして無ければ作ればいい、工房にお願いしたんだ。


学園の休みまでに出来ると言われた。

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