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2年生と魔道具

2年生になった最初のお昼、2年生のラウンジは1年生の時と同じ作りで、同じ場所にいるみたいだ。


自分のテーブルの席に座り重箱を開ける。今日はサンドイッチにサラダだ。


仲の良い者同士でチームになれたのか、2年生最初のお昼からテーブルを寄せている人たちがいる。


寄せ合ってる所に他のメンバーも加わって、5人でテーブルを寄せる様になっていった。


去年のポール子息がきっかけになった時の様に、今みんながチームでテーブルを寄せ合っている。


僕を除いて。


僕のチームも4人はテーブルを寄せている。


僕は迷った。合流した方がいいのか、このままの方がいいのか。


まあ、ひとりで食べよう。魔法の授業の時を思い出すと、仲良くなるみたいな事は起きない様な気がする。


合宿が少し困りそうだ、チームで行動するので無視ならいいが、変に絡まれたりしたら面倒だ。


2か月も先の事は考えてもしょうがない。


それよりも模擬戦が問題だな。


今のところ、何も情報がないので何処で行われるか、どんなふうに行われるのか分からない。


男女のリーダーを決めるそうだが、先生が数名の候補を選んで投票か、クラスの生徒からの推薦で投票かどちらかな、他にも立候補で投票もあるか。


模擬戦のリーダーは大変そうだ。


久しぶりにひとりの食事はいろいろ考えながら食べれていいものだ。


後日、エミリー嬢に一緒に食事をしないかと誘われたがお断りした。


面倒な事になる様な行動はなるべく避けよう。


それに一緒に食べる人にも迷惑がかかると困る。




剣術の授業で、僕とジェイク子息は対戦中だ。


「避けるな、当たれ」


僕は、ジェイク子息の攻撃を避け続けている。


力強く剣を振っているが力任せの攻撃は見極めが簡単で、避けて反撃をし易い。


しかし、どうすればいいのだ戦闘で避けずに当たれとは不思議な言葉だ。


面倒になってきた、毎回こんなのが続くと思うと同じレベル位の人と戦いたいと思う。


もっと剣の稽古をしろと言いたい。


「それまで」


先生が僕たち二人の打ち合いを止める。


「ジェイク君、もう少し肩の力を抜いて攻撃した後に基本の構えに戻る様に心がけてください」


何も言われないので、お辞儀して見学の輪に戻る。


「シャシカ君とアリシア君、始め」


アリシア嬢は剣はあまり稽古してないのか動きが鈍い、それに対してシャシカ嬢の動きはいい。


戦闘を開始してから3分ぐらい経つとアリシア嬢が疲れてその場に座る。


「はい、それまで」


「アリシア君は体力をもっとつけるように、シャシカ君は動きはいいので、攻撃した後に態勢が前のめりになりすぎてます、もう少し後ろに体重が残る様な姿勢にしてください」


これでチームの実技の授業は終わった。始めにスコット子息とジェイク子息で対戦していた。


二人は相手に手加減してる様な戦いを続けていたが先生が終わりを告げて、僕とジェイク子息の対戦になった。



「今日はクラス対抗の模擬戦のリーダーを決める。なりたい者いるか?」


立候補すれば誰でもなれるのか、やりたい人が2人もいた。


前の方の席のカタル・グリー、前の入口の所の席のアジス・フローレンスの2人が立候補した。


「カタル・グリー、アジス・フローレンス」


呼ばれた二人が、先生のもとに行く。


「この二人に協力して模擬戦を頑張ってくれ」


先生の説明はいつも短い。


「カタルです。今から模擬戦の説明をします。クラスを二つに分けて、他のクラスと戦います。銅Aと銅Bに分かれたチームが、他のクラスのAかBのどちらかと戦います。銅Aは4か月で他のクラスの全てのチームと戦いをします。同じ様に銅Bも4か月で他のクラスの全てチームと戦います。学園は1年のうち8か月あるので2回で合計8回の模擬戦をする事になります。月末の2日間に執り行われます。僕からは以上です」


「アジスです。他に分かっている事は、魔道具付きの防具を全員が使用します。この防具は試作品らしくて、その性能はまだわかっていませんが、防御力が高くある一定の攻撃を受けると光だす様です。その光った装備をしている人は死亡扱いになるので、戦闘から離脱しなければなりません。終了時間に何人残っているかが勝敗になります。私の情報では今の事しかわかっていません」


二人が話した情報は、どこから仕入れて来たの。


他の人も知ってたのかな。


「チーム分けは10日ぐらい下さい。僕とアジス様で決めます」


「先生、今ので合ってますか?」


「二人の説明どおりです。みなさん頑張って下さい」





魔道具の授業だ。


「みんなは、ギルドカードが魔道具だと知ってましたか」


魔道具が身近にないと思ってたら、ギルドカードが魔道具だった。


「ギルドカードは銀行の利用が出来ます。入金、出金する際にカードリーダーの上に載せると残高が分かる仕組みになってます。その状態の時に数字を書くとその数字が記憶されます。カードリーダーが無いと記憶されている文字や数字などは見えません。カードリーダーも魔道具です」


「魔道具は魔力を供給する事で使えます。予め魔力を貯めてある魔道具と使う度に魔力が必要な魔道具があります。銀行の利用には職員の人の魔力で行われています。予め貯めてある物の代表作はライトです。ライトは貯めてある魔力が無くなると点かなくなりますが、再び魔力を貯めれば使えます」


「今の説明で分かったと思いますが、貯めてある魔道具は魔力のない人でも使えます」


「以上が魔道具の基本です」


魔道具の説明を聞いてて、この授業は僕以外の人は受けなくてもいいんじゃないのかなと思う。


みんなの家には、ライトもそうだが他の魔道具も沢山ありそうだ。


みんなは、最初から知ってるよみたいな感じで、つまらなそうに授業を聞いている。




僕は、魔道具の存在を知って、ある物を探したがなかった。


貴族街と言われている通りにあるお店に来ている。


ここは、魔道具の制作を依頼できる工房付きのお店で、新しい物でも作ってくれる。


「出来てますか?」


「はい、出来てます。こちらがご依頼のお品です。全部で10個あります。それとこちらが商品の説明書と特許用の明細書になります」


「何回でも使えるんですよね?」


「はい、故障などがなければライトの様に何回でも使えますが、耐久性が5~10年ぐらいが目安だと思ってください」


「ありがとうございました。またよろしくお願いします」


「こちらこそ、ありがとうございます」


女性の販売員にお礼を言って、商人ギルドに行く。




初めて来るけれど冒険ギルドと違って内装が綺麗だ。


壁は色が淡い青色で受付も新品みたいに使われてない様に見える綺麗さがある。


冒険ギルドの職員は冒険者みたいな服装で、商人ギルドの職員は、服屋さんの販売員が着てそうなデザインの良い服を着ている。


ギルド全体が綺麗にされている。


女性の職員さんにお願いする。


「すいません、商品の特許明細書です。登録お願いします。」


「は~い、書類の確認しますので少々お待ちください」


「はい、お願いします」


母さんに特許の申請の仕方を聞いて良かった。母さんは何も知らなかったので、書類の用意に時間がかかって困ったらしい。何が必要でどうすればいいのか、聞いても理解するのに時間がかかったらしい。


母さんに聞いたお陰で、全てを用意する事が出来て申請をすればいいだけになった。


「お待たせしました。書類に不備はありませんでした。登録者の名前はユーリ様でいいですか?それと商品名が登録できますけど登録しますか?」


商品名か、魔法鍋はダメだな。何かいい感じに聞こえる様な言葉は・・・よしこれにしよう。


「登録者はユーリで、商品名は(温まるんです)でお願いします」


「え~と、商品名が(温まるんです)でいいんですね」


「はい、お願いします」


「では、登録完了しました」


「支払いは、ギルドカードでお願いします」


僕は、カードで支払う為に職員に渡した。


「登録ありがとうございます。カードお返しします。またのご利用お待ちしております」


登録が終わった。


これでいつでも温められる。




「母さん、ただいま」


「お帰り、登録は出来たの?」


「うん、母さんに教えて貰ったとおりに、工房で書いて貰って商人ギルドで登録してきた」


母さんが、手を出して僕の温まるんですを渡しなさいと催促される。


「僕のだからね、少し貸すだけだよ」


「分かってるわよ、ユーリが言ってた便利魔道具か試したいだけよ」


「それじゃ、厨房で使おうよ。スープの残りがあるでしょ」


厨房にいる父さんも興味があるのかこちらに来る。


「父さん残り物のスープをこの中にいれて」


「おう、分かった」


父さんが、スープを入れて上からのぞき込む。


「本当にこれで温まるのか?」


「もちろんだよ、父さんも見てて」


「早くしてよ」


いつの間にかシシルも来ていて母さんの横からのぞき込む。


「このつまみを回すと温める温度調節が出来るんだ。最初に一番強くして、このボタンを押すと温めだすんだ」


「つまみを回してボタンを押すだけ、簡単なのね」


温めるんですの上から覗いていたらもうグツグツと音がしてきたのでボタンを押して止める。


「温まるの早いわね、凄く便利だけど、見た目がこれだけど高価な物なのよね」


母さんが温度を確かめる為に指をちょこんと入れて戻す。小声で「もう熱い」と。


「まあ、見た目がこれだけど、魔道具だからしょうがないよ」


「でも、売りに出すんでしょ。皮むき器みたいに」


「そうだよ、今回も母さんに任せるから適当に頑張ってよ」


「言葉遣いが違うけどまあいいか、頑張ってみるわ」


母さんに任せとけば大丈夫だ、この家で一番しっかりしてるから。


「どうせ貴族しか、買えないんだから高い値段設定にしないと」


既に貴族からお金を巻き上げる事しか考えてないな母さんは。


「自分の部屋に温まるんですを置いて来るね」


「ああユーリ、シシルをここに本採用するわよ。シシルから申し出があったのよ」


嬉しそうに頷くシシル。


ここがそんなに気に入ったのか、いや母さんを気に入ってるからかもしれないな。仲いいもんな二人は。


これて就職先が決まったて事だよな。就職祝いしないといけないな。


「この温まるんですをシシルにあげよう。本採用おめでとう」


「ユーリ、ありがとう。でも悪いわ、そんな高価な物」


「気にしなくていいよ、10個作ったから。もうお金はかかりません」


「でも、私が貰っても使い道がないよ」


そうか、シシルは基本ここで食事してるから要らないのか。


「それなら、実家にあげればいいよ。シシルより使い道があるかも知れないよ」


「そうかも知れないわね、ありがとう、ユーリ」


みんなの仕事が終わった後に、美味しいビーフシチューでシシルの就職祝いをした。


しかし、父さんに怒られた。なんで今までビーフシチューの作り方を教えなかったんだと。


教えてなかったの忘れていた。


後日、シシルを連れて洋服屋さんにお祝いの服を買いに行った。どれにしようかと迷っていた3着をプレゼントした。





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