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みんなと大洞窟

進級試験が始まった。


この試験に合格しないと2年生にはなれない。


試験に実技はないので、1年生は基礎知識が試験範囲になる。


過去に誰も落ちた事がない進級試験、僕も教材を読み漁りどこが出るんだと考えたが、普通に授業を聞いていれば分かる事しか習ってない。


実技の試験がない理由は、個人差がありすぎるので合格ラインをどこに設ければいいのか分からない事、基礎の実技さえ出来ればいい。それに魔法と剣術のどちらかは出来るはずだから。


この学園に実技の試験がない。どの学年にも。


進級試験が終わり、今年も落第者が出なかった。




「では、みなさん、明後日の朝に西の橋を渡った所が集合場所です」


「はい、楽しみです」


「遅れては行けませんよ、ユーリ」


「分かってます、時間までには行きます」


「おいユーリ、君は約束の時間の前に来ることは出来ないのか」


「そうですわね、ユーリが今までに約束の時間の前に来た事はありません」


「まあみなさん、ユーリもこの大事なイベントに遅れてくる事はないはずです」


「約束の時間の前に来るようにします」


エミリー嬢の屋敷で大洞窟の計画を相談して、明後日にカルテドの西の橋に集合になった。


伯爵様もいたが、僕達の話には入らず聞いているだけだった。


エミリー嬢以外のみんなが屋敷の前で伯爵様とエミリー嬢に今日の訪問のお礼を言って馬車で帰って行った。


もちろん僕は歩きだが、門までポール子息の馬車に乗せて貰ったが、そこで別れた。




僕が西の橋に着いたのは約束の時間より少し早かった。


いつもなら、僕より先に着いてるはずのみんながいない。


豪華で大きい馬車が近くに停まってるだけで、誰もいない。


門の方を見ても街に入る人が並んでいるだけで、こちらに向かってくる馬車はいない。


「早く来すぎたのかな」


「何を言ってるのです、ユーリ」


振り返るとエミリー嬢が立っていた。


あれさっきまで居なかったけどどこから来たんだ。


エミリー嬢の後ろの豪華な馬車から他のみんなが降りてくる。


なるほど、馬車にエミリー嬢も乗っていたのか。


「ユーリ、やっぱりあなたが最後ね」


「そうですわね」


「君は女性より先に来る事を心がけないとな」


ダメな僕ですいません。心の中で謝る。


「さあ、みなさん、馬車に乗ってください。ユーリあなたも」


「え、馬車に乗るんですか?」


「そうです、お父様が、魔物が出ない街道だけでも馬車で行きなさいと言ってくださったのです」


それもそうか、馬車の方が疲れないし大洞窟に向かう脇道までの街道なら魔物は出ないから乗って行った方がいいな。


「伯爵様は優しいですね」


「お父様は優しいですよ、さあ行きますよ」




「馬車はここまでですね、みなさん忘れ物はないですか?」


僕は、他のみんなを見る。ポール子息は自分の荷物を持っているが、令嬢のみなさんは小さい手荷物持っているが荷物が少ない。


僕の前に3個のリュックがくくり付けられた背負子が置かれている。


僕は自分の荷物も背負子にくくり付けて、背負うと。


「はい、ありません」


「さあ、みなさん気を引き締めて行きましょう」


エミリー嬢の号令のもと大洞窟に向けて歩き出す。


グリュックの皆とここから大洞窟までは約半日かかった。


今からだと夜ぐらいに着く計算になる。


「今日は体か軽いですわね」


「私もです、学園に入学してから体力がつきましたわ」


魔物に遭遇しないので、ピクニックに来た感じになっている。


お昼を簡単に済ませて大洞窟を目指す。


「オークはこの辺には出ないのか、ユーリ」


「今まで何回か来ましたが大洞窟の周りでは魔物がいないようなんです。だからオークも大洞窟に入らないといないかもしれません」


大洞窟が見えて来るとみんなの歩く速度が速くなり、僕が考えた予定より早く着く。


最初に来た時の場所に着くと野宿の準備をする。


エミリー嬢に火を付けて貰う。


「ついに私達だけの冒険が始まりましたわ、明日には恐ろしい魔物との戦闘がありますから今日はぐっすり眠って疲れをとりましょう」


「はい、エミリー嬢」


「馬車で来れたのであまり疲れなくて済みましたね」


「エミリー嬢のお陰です」


うんうん頷くみなさんに僕は見張りはどうするのか聞いた。


「見張りはどうしますか?」


エミリー嬢は「どうしましょ~」と小声をだして考え込む。


「アンバー様とスカーレット様が最初に見張りをするのはどうかしら?」


「はい、私は構いませんが、スカーレット様はよろしいですか?」


「はい、私も構いませんが、エミリー様は誰と見張りをされますの」


「そうね、ポール様と見張りをしましょう。最後の見張りには、ユーリが一人でして頂けないでしょうか?」


「分かりました」




エミリー嬢とポール子息が寝た後、鍋に水を入れる為に川に行き釜戸に載せて、見張りをしているアンバー嬢に大洞窟の中の様子を見て来ると告げてきた。


オークを倒し、解体をする。


明日の朝食用のオーク肉は手に入れた。


戦闘しないで全力で走れば、一日もかからずシュラさんの所に行けるだろうが、みんなもいるしのんびり行こう。


すぐにみんなのいる場所に戻ると二人は何か話していたが、僕が近づいて来ると話をやめて、目をこすりながらスカーレット嬢が話し出す。


「私達の見張りの時間はまだ終わりませんの?」


「僕はこれから朝食のシチューを煮込むので、お二人は寝てもいいですよ。代わりに見張りをしますから」


「まあ、よろしいのですか。昨日の夜は興奮して眠れませんでした。アンバー様も同じだと今話しておりました」


「そうですか、その様な事情があるのでしたらお休みになってください」


「ありがとう、では休ませて頂きます」


見張りを僕に任せて二人はお休みになった。


オーク肉に下味を付けて鍋で弱火で煮込む、肉が柔らかくなってきたので味を調えて火から離す。


見張りの交代の時間になったので二人を起こして僕は寝た。




ポール子息が喜んだ朝食が終わり、大洞窟に向かう。


松明を持ったエミリー嬢の横を僕が歩いて、後ろにアンバー嬢とスカーレット嬢が並んで付いてくる、最後尾にポール子息。


「大洞窟の通路は広いですわね、これなら大型の魔物が居てもおかしくありませんわね」


「そうなんですが、コボルト、ゴブリン、オークしか見た事がないんですよ」


シュラさんの所に何回も行っているので、シュラさんまでの通路に魔物がいない。


分岐の矢印に従って進んできたが矢印がない方に魔物を発見したので戦闘する事になった。


魔法部隊が横に並んで一斉に攻撃魔法を撃つ、以前よりも攻撃力の上がった攻撃に魔物が倒されていく。


ゴブリンが2体なので4人の魔法が的確にダメージを与える。魔物が近くに来たら僕が間に入る予定だが、大丈夫の様だ。


「倒しましたわ、では矢印の方に行きましょう」


僕達は、魔物を発見すれば倒していき元の道に戻るを繰り返していた。


シュラさんに繋がる通路では今のところ魔物は出ていない。


「ポール子息、後ろは大丈夫ですか?」


「時折周りを確認しているが物音さえしない」


「引き続き警戒をよろしくお願いします」


アンバー嬢にスカーレット嬢も慣れて来たのか話しながら付いてくる。


広い場所に出たのでお昼にする。


「朝食の残りがあるのでここで食べましょう」


僕は、みんなにシチューとパンを渡す。


「この先にもオークが居ればまた美味しいシチューが食べられますわね」


魔物のオークはもはや食べ物扱いされてるな。


「ユーリがお土産にオーク肉をくれたのでお父様とお母様は大変喜んでいたんですよ」


「まあ、スカーレット様のところもそうでしたの、我が家でも両親が喜んでましたわ」


「僕のところも同じです、ユーリに感謝しているよ」


お昼を食べて先に進む。最初に大洞窟に来た時の事を思い出す。


あの時は魔物の数が多くて苦労した。ベテランの皆がいたのに20日ぐらいかかった。


最初は拠点に戻って来ていたから効率が悪かった。


それに分岐も沢山あり不安にもなっていた。


永遠と続く通路に終わりがあるのかと、今は道も分かるし、魔物の数も減って、シュラさんの所に行くのに大した時間もかからずに行けそうだ。




大洞窟に入ってから3日が過ぎた。


分岐で見つけた魔物を倒したその先にも魔物の気配があるとその魔物も倒した。


僕は、戦闘に参加してない。みんなが戦闘に慣れて来たので出番が無いのだ。


先頭は相変わらず僕とエミリー嬢で、大きい広場に出た、魔物の数が10体ぐらいいる。


「みんな通路に戻ってください、僕がコボルトの足止めをしますから、通路に戻れたら声をかけてください」


「分かりました、みんな行くわよ」


「ポール子息は通路に戻ったら来た方から魔物が来ないか確認した下さい」


「了解、無茶するなよ」


みんなが僕の指示に従って走り出す。


僕は、ここは通さないぞ見たいな感じで手を広げて回転して牽制をする。


「通路の後ろに魔物はいない」


ポール子息が確認してくれた。


「私達も通路に着いたわよ、次はどうするの?」


僕は、敵の横に移動して皆に攻撃の指示を出す。


「僕に付いて来てない魔物を先に攻撃してください」


みんなは、横に一列に並び魔法の攻撃を開始する。


僕は、牽制しながら魔法で魔物が倒れていくのを見る。みんなに近づく魔物がいないか絶えず確認していたが、みんなに余裕が出来て来たので。


「僕の周りの魔物にも攻撃をお願いします」


「「「「了解」」」」


僕が牽制してる間に次々と魔物が倒されていく。最後の一体も魔法の攻撃に任せる。


「全て倒しましたわね」


みんなは少し疲れたのか息が荒い。


「お水でも飲んで休憩でもしませんか?」


僕は水をカップに入れてみんなに渡す。


最後に自分の分を入れて飲む。


「いい感じでしたわ、魔法は距離を取るのが大事ですね」


「距離を取るのに体力が必要ですね」


「ユーリは、攻撃しませんの?」


僕は、頭を手でかいて。


「僕は、みなさんが、戦いやすい様に牽制とかしてればいいと思ってます。みなさんの魔法が実戦の方が学園の的に当ててるより経験になると思うんで、剣よりも魔法の方が戦い方があると思うんです」


「私達は経験が積めて嬉しいですが、よろしいのですか?」


「経験を積んで魔物の対処方が分かる様になれば安全性が上がるのでゆくゆくは僕も助かるんです」


「そうですね、みんなで強くなれば強い魔物が現れても対処出来るかもしれませんね」



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