お酒好きのシュラさんと血液
シュラさんの前にたたずむ僕達、寝ているシュラさん。
困ったわねと小声で言い、ヴエルナさんに聞くメグさん。
「ねえ、ヴエルナ寝てる時はどうすればいいの?」
僕は、皆が困っているなかで、動き出す目的のために。
鱗、鱗、牙、鱗、牙、鱗を拾った。
鞄に詰め込み皆を見るとどうするかまだ話してる。
「僕帰るね、さようなら」
帰りはシュラさん送って貰うつもりだったが、寝てるならしょうがない。
「待ちなさい」
襟をつかまれて、振り返ると何故か皆が僕を見ていて、襟をつかんでいるレベッカさんが待ちなさいと。
「ほら、僕急いでるので帰らないといけないんですよ」
「私達も急いでるのよ、話したでしょ」
「そうだぞ、ここは皆の力を合わせてシュラさんを起こそうな」
僕も手伝わないといけないのか。
「シュラさん、お酒持ってきましたよ。ドラゴンはお酒が好きだと聞いた事があるので」
「まあユーリ、お酒をお持ちなの、さあ早く頂戴」
もう起きてますよ皆。
「えっと、私達は持って来てないけど、ユーリは持って来たの?」
「はい、シュラさんに帰り送って貰おうかと思ってお土産を。ラム酒でいいでしょうか」
「まあラム酒、大好きなの美味しいのよね」
実はラム酒を持って来たのは、ラム酒と鱗の交換をお願いするためだ。
人間の価値ではドラゴンの鱗の方が高価だが、シュラさんにはもしかしたらお酒の方が価値が高いかもと思って持って来た。
持ってきたラム酒を口の所に持って行く。
僕はいい気分になっているシュラさんに頼むなら今だと皆に合図する。
リーダーのヴエルナさんが話し出す。
「あの、シュラさん、僕達はそのお願いがあって来ました。竜薬を作るのにドラゴンの血液を分けてほしいのです」
「それは嫌、痛いし傷が治らなかったらどうするよ」
「そこをなんとかお願いします。何でもしますから、何か欲しい物はありませんか?」
「そおね~、さっき飲んだラム酒がいいわね。美味しいし、自分では作れないから、でも先にくれないと嫌よ」
「急いでるんです、後払いでお願いします」
「嫌よ」
「お願いします」
「嫌よ」
このまま続くのは、困るな。
「シュラさん、ラム酒を樽で持って来てくれるはずです、ヴエルナさん達なら必ず約束は守ってくれるはずです」
僕の言葉の樽に反応する、皆は「樽か~」と呟く。
「樽で飲めるのね、いいわね。・・・早く持って来てよね」
「分かりました。僕達の要件が済んだらすぐ持ってきます」
交渉が終わり、血液を貰える事になる。
「準備はいいかしら、すぐにするわよ」
ヴエルナさんは瓶の容器を取り出してお願いしますと、手をシュラさんが刺して血が出そうなところに持っていく。
僕は急いでラム酒の瓶を水で洗い中の水滴が無くなる様に手を回転させる。グルグル~。
「行くわよ」
「はい」
僕も急いでヴエルナさんの横に並ぶ。こんなチャンスは逃したら、おじいちゃんに怒られる。
チャンスは逃すな2度とくると思うな。いい言葉だ。
シュラさんが自分の手に反対の手の爪で刺す。
手慣れてるのか、ドラゴンの血が流れ出てくる。
ヴエルナさんの瓶に血が貯まる。僕も続いてラム酒の瓶を傷口に添えて血を入れる。
コルクを少し切って差し込む。これで完璧だ。
「ありがとうございます、助かりました」
僕もお礼を言う。
「ありがとう、シュラさん。お礼にラム酒飲みますか?」
僕の言葉に皆が?????
「ユーリ、ラム酒持っているの?」
シュラさんが僕に聞いてきたので答えます。
「はい、先ほどの1本はシュラさんに起きて貰う為にあげた物ですが、もう1本持っていたので何かのお礼にと、取っておいたのです」
「あのユーリ、なんでヴエルナが困っているのに出してくれなかったの」
レベッカさんがどうしてなのと、問いつめて聞いて来ます。
「シュラさんがラム酒を好きならもっと飲めるように、ヴエルナさんが交渉しているのに邪魔しない様に、それにクエの遂行で僕が口出しする事ではないと思ったからです。それにあんなに大きいシュラさんが僕の持っている1本のラム酒で満足しないと思ったんです」
僕の説明に皆もそうかもと。
「後、これ言っていいのかわからないけれど、言っていいですかヴエルナさん?」
「ああ、聞かせてくれ」
「あのどうして、シュラさんにお願いするのにお土産を持ってこなかったんですか?ドラコンは頼むと聞いてくれる事になってるんですか?」
「そうですよ、何で手ぶらで来たのよ」
シュラさんがお土産に反応してる。
「そのなんだ、急いで来たのでお土産とか、何かと交換するとか考えなかったんだ」
しょぼんとするヴエルナさん、聞かない方が良かったのかも。
「そうですか、では急ぎましょう。帰りはシュラさんがこの前の様に送ってください。僕もラム酒を樽で持ってきますが、先にどうぞ」
僕は最後のラム酒をシュラさんの口に持っていた。
ラム酒を美味しそうに飲むシュラさん。
「ありがとうユーリ。約束よ、ラム酒を持って来てよ」
「そうだ、急がないと」
復活したヴエルナさんは皆に急ぐぞと号令をかける。
「話してる場合じゃないな」
ドラゴンのシュラさんの上に乗せて貰って入口に向かう。
「シュラさん、遺跡でドラゴンの鱗を集めると何か起きるみたいな壁画があったんですけど、あれ本当なんですか」
「本当よ、でも誰も知らないのよね。何が起こるか」
「ドラゴンのシュラさんでもわからないんですか」
「そうなのよ、言い伝えで何かが起きると聞いた事があるだけなのよ」
「残念、聞けばわかるかと思ったんだけどな」
シュラさんは速いので会話できる時間が少ない。
「シュラさん、本当にありがとうございます。約束を守って早く持って行きます」
「そうね、待ってるわ、みんなさようなら」
みんなはお辞儀して、飛んでいくシュラさんに手を振った。
走り出した僕の襟をつかむレベッカさん。
「一緒に街まで帰りましょうよ、ユーリ」
「そうそう、送って貰ったからユーリは休みが終わるまでに帰れるでしょ」
「そうですね、僕も皆と一緒に帰ります」
話は終わったとリュックを渡される僕。
「僕は行く所があるのでここで別れますね。それとこれ渡しときます」
「ユーリ、いいのか欲しかったんじゃないのか」
「欲しいです、竜薬。だから余分に作れたら下さい。竜薬が足りなかったら使ってもいいですよ」
「その他の材料が高価な物だろうから貰えない可能性の方が高いぞ」
僕は考える、それなら何かあった時の為に依頼主に持っててもらった方がいいかもしれないな。
王族の依頼てどこから来るんだ。もしかして侯爵様だったりするのかな、先祖がドラゴンと友達だと貴族の間では誰でも知っているとか。
だから王族に侯爵様が頼まれて何かとあの大洞窟に潜っているグリュックに極秘依頼がきたと。
「素材は多い方がいいですよね。どうぞ持っていって下さい」
「おいおい、お前は高額な物をよく手放すな」
マシュさんが呆れる
「でも、今の僕が持っていても使い道ないですから」
「そうそう、ユーリなら欲しい時にはシュラさんに頼めば貰えるよ」
分かった。ありがとうと言って急いで走って行った。
僕もお土産を待っている人たちの所に行こう。
通された伯爵家の応接室。旅の服装だからと断ったが通されてしまった。
待つのは、嫌いだ。特にこんな身分違いな場所で一人で待たされるのは落ち着かない。
エミリー嬢が部屋に入ってきた。
「まあ、ユーリ来てくださったのですね」
「はい、お土産をお持ちしました」
「特別もありますの?」
「あります、どうぞ」
僕は、ドラゴンの鱗とオーク肉をテーブルの上に出す。
エミリー嬢は鱗を手に取り裏を見たりといろいろ見て。
「これは何ですか?」
「ドラゴンの鱗です」
「まあ、ドラゴンは実在するのですね。私も見たいです」
自分から地雷を踏んでしまう僕。
そこまで考えてなかった。
もう降参して方がいいのか、悪あがきを続けた方がいいのか考える。
今までのパターンで僕の希望する方に行った事がない。
「その長い休みが無いとお会いするのは無理だと思います。それに危ないので伯爵様が許してくれないと思います」
「大丈夫だと思いますよ。可愛い娘には旅をさせろと言ってますから大丈夫です」
最初から僕が負けるのは分かっていた。しかしこれだけは言っておかないと。
「ドラゴンに会いに行く事、ドラゴンの鱗の保持を秘密にしてください」
「まあ、二人だけの秘密ですか?」
それは無理だろう。この後、あの二人の令嬢にも会いに行くから、それにエミリー嬢は二人には絶対にお話になる。
「いえ、みんなには言ってもいいです。この後、お二人にもお土産を届けますので、ドラゴンの事はバレると思います」
「そうです、二人には話さないといけませんわ」
この後、いつ頃なら学園の休みがあるか、何日ぐらいでシュラさんの所に行けるかなどを話し合った。




