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決勝戦とグリュックの皆

「では、決勝戦を始めたいと思います。去年の準優勝者で3銀のクラスのビル・ワトソン選手対1銅のユーリ選手です。始め」


開始から全力で行くと決めていたのでフェイントを2回入れてビル子息の攻撃をかわしながら首筋に剣の一撃を加える。


一瞬の出来事に、会場の全員が「え・・・」と言って静かになる。


ビル子息も何が起きたのか分からないみたいな感じで呆けている。


「僕の勝ちでいいですか?」


先生に僕の勝ちか聞いてみる。


「決勝戦の勝者は1銅のユーリ選手です」


やっと歓声が聞こえてきた。


「ユーリ、おめでとう」


僕の勝利に祝福の声が色々なところから聞こえてくる。


「準優勝のビル・ワトソン選手には、去年と同じで申し訳ないのですが、軽減付きの鞄です」


ビル子息が、お辞儀して受け取る。


「優勝のユーリ選手には、ミスリルの剣を贈呈します」


お楽しみの商品はミスリルの剣だった。


嬉しいが、貧乏性の僕はどちらの方がいい物なんだと考えてしまう。


「これにて武術大会は終わります。2日間休みです。お疲れさまでした」


この学園の行事の進行が異常に早い。


既に生徒よりも早く会場を後にする先生方。最後の挨拶をしていた学園長も会場から出るところだ。


クラスの皆が来て祝福の言葉をくれる。


先ほどの試合の事を聞かれて。


「フェイントにビル子息が対応したが、その後にもう一度違うフェイントを入れて、それにも対応した事で姿勢を崩させ、次の攻撃は避けれない様に仕向けた以上で、僕の攻撃がビル子息の首筋を捉えたんです」


「あの一瞬でそんな事が起きていたのか」フレディ子息は、感心してフェイントを取り入れてみるかと言っている。


みんなに試合の後は帰って行きたいところがあると言って急いで家に帰った。




冒険クエのオーク討伐を受け、鍛冶のおじさんの所に行ってこれが本当の名刀だとミスリルを見せて、食料を買い、今は大洞窟に来ている。


大急ぎで走って大洞窟に着いたのが夕方だった。最初に来た時は、歩いて他のメンバーと一緒だったので2日もかかったが、走ってくればそんなに離れた場所とは思えない。馬に乗ってくれば3時間もかからないような気がする。


そんなわけで、今は洞窟の中にいる。誰かが来ているのか魔物が倒された形跡がある。


今のところ魔物に遭遇してない、先行している誰かの戦闘のお陰かもしれない。


分岐が多いこの大洞窟で、同じ方向に進んでるのも変だが、まあいいか。


大洞窟でも疲れない程度のジョギングぐらいの速度で進行してる。


お腹がすいてきたので、持って来た干し肉を食べる。


予定では、オークを倒して焼肉にするつもりだった。


父さんに焼き鳥のタレを改良した、オーク焼肉のタレを作って貰った。


手に持った松明を使い火をおこして、オーク肉を焼くつもりだったが、オークに遭遇できないでいた。


他の魔物にもであっていない。


どうするかな、ここで野宿する方がいいのかな。あまり荷物を用意してこなかった。


もっと大洞窟の移動に時間がかかると思っていたが、だいぶ奥まで来れている。


このまま徹夜して歩いても疲れはそんなに変わらない。


時には寝なくても大丈夫になってきていた。


「行くか、ここからはのんびり歩いて行けばいいか」


「もしかして同じ方に向かってるのかもしれないな」


どうも目的地は同じ様だと判断した。


2時間ぐらい歩いただろうか、前方に見覚えのある警戒用のロープが張られている。


そのロープをまたいで、その先にもあるロープもまたぐ。用心深くなっているのか安全の為に2か所も設置されていた。


焚火の前に見覚えのある体が見える。少しうとうとしているのか体が揺れている。


僕は、小声で「マッシュさん」と声をかける。


声をかけられ寝ぼけているのか、僕の事を無表情で見ている。


だんだん目が覚めて来たのか「ユーリ?」とだけ言った。


「静かにして、みんな起きちゃうから」


「どうしてここにユーリがいるんだ。学園はどうした」


「もう昨日なんだけど、武術大会があって2日間休みになったんだよ。それで急いでここに来たんだ」


「ユーリの足はどれだけ速く走れるんだ」


街から、この自分達のいる所までよく短時間で来れたとあらためて驚くマッシュさん。


「見張りをかわるから寝ていいよ、それとオーク肉あるかな?」


「そうか、あるぞ。美味しいのが食えそうだな」


オーク肉を貰い。マシュさんが寝てる間に作っておくからと僕が言うとすぐに寝た。


「シチューは少なめにして、あのタレで焼肉だ」




最初に起きたメグさんは目をこすりながら。


「何かいい匂いがするけど、どうして」


「おはよう、メグさん朝食の準備は出来てますよ」


「え、ユーリ」


メグさんの大声がこだまして、皆が起きる。


レベッカさんは「久しぶりだね」嬉しそう。


マシュさんは夢ではなかったと鍋の中を見てやっぱり嬉しそう。


「どうしたユーリ、極秘クエか?」ヴエルナさんは渋い顔をして問いかけてきた。


「ヴエルナ、朝食を食いながら話そう」カカルさんがマシュさんを指さして待てない奴がいると。


「まあ、美味しそうな匂いもするし食事にするか」


僕は、皆の皿にシチューをよそって、マシュさんから渡す。


「自家製のタレで焼いたオーク肉焼きです」


みんなに配り自分も食べる。


「ユーリには、言ってもいいかな」


「何、ヴエルナさんが結婚したとかかな」


食べてるシチューがむせて飛んでくる。


「なんでそこで、俺の結婚の話なんだ。それに相手もいないぞ」


「もういい年なんだから、そろそろ落ち着こうよ、ヴエルナさん」


「俺はまだ27歳だ」


「話がそれてるぞ」カカルさんに注意されるヴエルナさんは珍しい。


食べるのに夢中のマシュさんは聞いてもいない。


「俺達は、極秘のクエで、ここに来た。これはギルマス直接の依頼で、まあドラゴンのシュラさんに会いに行く所だ」


「何処かの街でもシュラさんに攻撃でもして貰うの?」


「お前な~、どこからそんな発想が出てくるんだ」ため息をついて続ける。


「全部話すとだな、ドラゴンの血液で作れる薬がどうしても必要になったんだが、その~鱗の事を話してしまったんだ。お酒の勢いでな」


ふむ、酒場にしか行く所がないんじゃいつか話したくなるよな、酒も飲んでるし。


「それで、俺達に話が回ってきたんだが、その迷子になってしまって何処に行けばシュラさんの所に行けるか分からなくなってしまったんだ」


「そうなの、何日ぐらい大洞窟にいるの?」


「15日ぐらいはいるかもしれない」


「ええ、そんなに経ってるの、まずいじゃないですか」


「そうなのよ、迷子になってから5日ぐらい経つてるんだけど、ここ広いでしょ、だから困っているのよ」


レベッカさんが僕の肩を叩いて、ハア~とため息を。つられてメグさんも。


「僕もシュラさんの所に行くので一緒に行きませんか?ここから近いですし」


「「「「ええ~」」」」


マシュさん以外の声が揃う。みんな揃えるの上手いよね。


ヴエルナさんが僕の肩を掴み激しく揺さぶる。


僕は手動うんうん機になって、揺さぶりが終わるのを待つ。


「ユーリ、ここから近いのは本当か?」


「うん、戦闘も入れて2時間もあれば着くぐらいの所にいると思いますよ」


「すぐに行こう。皆準備だ」



僕は、レベッカさんとメグさんの荷物を当然持っている。


「ユーリ、ここの分岐はどちらに行くんだ?」


「ああそうか、僕も分からないんですが、分岐に松明で印をつけてあるんです」


僕が持っている、松明で分岐の横の矢印の説明をした。


「そうか、入口からここまで、この矢印道理にくれば迷う事もなかったんだな」


「ああ、そうか。帰りはシュラさんに送ってもらったから皆に教えてなかったんだ」


カカルさんが僕の頭にアイアンクローをする。


「痛いです、カカルさん」


「なぜそれを今・・・」


え~と、今さら教えるか。


アイアンクローから解放された。


「そんな事は今更いい、急ぐぞ」


「次の戦闘は僕だからね、2代目名刀を試すのだ」


「いいけど気を付けろよ」


「は~い」


お土産発見5体いた。


「では、行きます」


「全力走り全力攻撃」


僕の必殺技、足を使い速攻で最初の1体を倒す。初代名刀はそのまま刺したままで、2代目名刀の切れ味を試すために2体目の足を攻撃。


「凄い切れ味だ」


足が切れて、その場に倒れる。切れ味がいいのが確認できたので、残りの3体を瞬殺する。


武器ってこんなに違うんだ、ミスリルの剣だと戦い方が変わるな。


どんどん切っていけそうなので、魔物に取り囲まれなければ今まで戦った事のある魔物なら、余裕かもしれない。


2体目のオークに止めの突きを入れる。突きも刺さりやすい。


「ふう、終わった、2代目名刀最高だな」


後ろで見ていた皆がこちらに来る。


「すぐ解体します」


「おいおい、強くなりすぎだぞユーリ」


「そうだ、何でそんなに強くなれたんだ」


僕は解体しながら、マルネ村の近くのオーク討伐クエで沢山オークと戦った事を話した。


「それって、謎の少年がマルネ村のギルドにオークの肉を売って凄い利益をだした話だな」


「少年もギルドも凄い利益が出たとそれも倒したオークの数が450体ぐらいだと、あれ本当の事だったんだ」


解体が終わり自分の分のオーク肉を鞄に詰めると他はみんなに譲る。


「さあ、行きましょう。シュラさんの所に」


「そうだ、急がないと」


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