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遺跡見学

オークを倒しに来てから10日位が経ち、ギルマスがホクホク顔で僕を出迎えてくれる様になっていた。


なんでも、定期的に売りに来る僕のお陰で、買い取った大量のオーク肉をボラジュで売りさばく事に成功したんだそうだ。


その利益はこの村で売りに出すより大幅に出るので、この村のギルドとしては運営にまわせるので、助かっているそうだ。


「ギルマスさん、オークを見つけるのにもっと奥に行きたいんだけど、特別に強い魔物とかいるかな?」


「そうだな、あんなに倒したらオークもいなくなるよな。強い魔物の発見情報はないな。遺跡が森の奥に行くとあるらしいな」


「遺跡があるの?」


「ああ、情報では遺跡があるとなっているが俺は見た事がないな」


遺跡か冒険の匂いがするな。よし遺跡見学に行こう。


「では、森の奥に行ってみますね」


「おい、気を付けろよ、森の奥はあまり情報がないから本当のところはどうなのか知られてない」


「ありがとう、行ってきます~」




「見つけた、遺跡だ」


ギルマスと話した後に遺跡に行く事が決定して大量の食糧を買いだめした。


リュックの1個に詰め込めるだけ詰めて来たのだ。ただ、露店のおじさんにそんなに食えるのかと言われた。


準備はよし、後は遺跡の中に入れば冒険の始まりだ。


「この遺跡を建てるの大変だったろうな、あまり広くない通路、何故か最近誰か来た様な戦闘の跡、そして罠が仕掛けてあったと思われる壁の穴」


危険を覚悟していろいろ試した。穴の前に石をだす、剣、食べ物、どれも何も起こらなかったので、穴の奥を覗く。


ふむ、1回限りの罠と認定してそのまま進む。


通路のから入れる小部屋が何個もあるが何もない。


広い所に出た。奥に階段が見えてその階段前に大きな壁画が描かれていた。


ドラゴンを思わせる絵にシュラさんに見えるも描かれていた。


7体のドラゴンが寝ている?その7体から線を引かれた先に光ってる現象が描かれている。


ドラゴン7体が周りにいてその中心に光。


シュラさん以外にも6体もいるのかな、会う事が出来るのかな。


階段を降りた通路の先は今まで通って来た通路とほとんど変わらない。


横の小部屋を見て回るが、何も無いし上の階と同じで目新しいものは発見できない。


「冒険の匂いがしなくなってきたぞ、罠にかからない前提で走ってみるかな」


いい考えのような気がするな。誰かが来て、罠は解除か作動してるみたいだから、誰も来てなさそうなところまでは走るか。


「よし決定~、その前にご飯と水を飲んで休憩だ」


この遺跡が大きく広い事を願い走ります。


「だ~」


全力を出して走れるのは長く続かず、今はマラソンぐらいの速度で通路を走り、小部屋を確認して下の階に降りるを何回も繰り返していた、小部屋はスルーで、今は通路だけを走っている。


「飽きてきた、それにここ広いのに何もないっておかしいよ、誰か隠れてたら出てきて下さい」


誰か出てきて下さいを大声で言ってしばらく待っても返事はない。


「もう迷路にもなってないから下の階の降りてるだけだよ」




どれ位経ったのかわからないが走るのを止めた、剣を片手に階段を降りてきたが、魔物の骨みたいな物はよく落ちてる。


誰かが焼却したのかもしれないな。肉らしき物はない。


降りて来た階段から横目に小部屋を見る、今は歩いているので何もない部屋の中が見える。


やっぱり何もない。今から帰ったら夜までにマルネ村に着けるかな。


そろそろ帰った方がいいか迷ってきた。どうするかなと考えながら階段に歩いて行くと。


「カチャ、ピュー、ガチャ、ピューピュー」


何か音が聞こえる。下の階からかな。


階段に近づいて、下の階を見るのにかがんで覗き込んだが、見えない。


足音と戦闘の音が聞こえてくる。


階段を慎重に降りて通路を見ると男性が5人いた。


男性たちの周りにはゴブリンの死骸が多数あり、今も戦闘中だ。


最後の1体を倒して。


「なかなか先に進めないな、罠も沢山あるから解除に時間かかるな」


「そうだな、何もないのに小部屋がずらりで、確認して下の階に行けるのまでに戦闘も数回あるからな」


皆がうんうん頷いていいる。


「大変ですね、この先もこんな感じだと思いますか?」


僕は話に割り込み、この先の事を聞いてみた。


「大変だし、こんな感じが続きそうでいやになるよ」


このままなら僕帰ろうかな。この人達の先には罠も戦闘もあるから今までのような速度で先に進めそうにない。


「じゃ僕、帰ります」


僕は来た通路を戻ろうとしたら、肩をつかまれた。


会話に割り込んだ事に気が付かなかったんだから、最後まで気が付かなくてもいいのに。


「おい、お前誰だ」「そうだ、どこから出てきた」「怪しいぞこいつ」


「ええ~怪しいのはおじさん達だよ、誰もいない遺跡でなにしてるのさ~」


「それはこっちが聞きてーよ」


「おいおい、こんな子供相手になに怒ってるんだ」


普通の人もいるな。このおじさん見覚えがあるぞ。


「ボウズ、あの時のボウズだろ」


あの時、どの時?


「ワームで俺と一緒に戦ってくれたボウズだろ、覚えてないか?」


「ああ~、おじさんか、見覚えがある人だなあと思ってたんだよ」


まあ、ほんのちょっとよりもっと少ないけど、見た事ありそうだと思った。


「何してるんだここで」


「村で遺跡があると聞いて見学に来たんだ、ここまで何もないから帰ろうかと思ったら下の階から何か聞こえたから、見に来たんだ」


おじさんと僕の話を聞きながらゴブリンを倒す他のおじさん達。


「俺達は、ボラジュで受けたクエが遺跡探索なんだ。この遺跡の内部調査と遺跡の中の魔物の種類が依頼内容だ」


冒険者ぽいクエでいいな。僕のは討伐だからな。


何か食べて帰るか、焼肉を出して食べ始めると、皆の視線が僕に集まる。


あれ何を見てるのかな。


「おいボウズ、それ、なんだ?」


「村で買った焼肉だけど」


目が変だよみなさん。どこにでも売ってる焼肉なのに。


でも、マシュさんを思い出すな、美味しいの好きだからな。


「他にも食べ物あるのか?」


リュックの口を開けて中を見せて。


「まだあります」


「おお、食べ物だ」


「それも沢山あるぞ」


「やった~」


えっと、何が起きるのかな、僕にはさっぱりわからないんですけど。


「このパーティのリーダーのジェクトだ、君の名前は?」


「ユーリです」


「ユーリ、この食料を分けてくれないか。少しでもいいので、お願いだ」


もういりませんとは言えないので、困るな、帰る事にしたらいつでも村に帰れるし、遺跡の見学にもっと時間がかかると思って大量に買って来ただけだからな。


「わかりました、すべてお譲りします、僕は遺跡見学を止めるので食料がいらなくなりました」


「「「「おお」」」」


向こうのおじさんたちが、喜んでるぞ。手を突き上げて。真似してみたら更に突き上げる速度が速くなったぞ。


「ありがとう、それで幾ら位したんだその食料は?」


「銀貨1枚です」


「だいぶ吹っ掛けられたな」


「そうでもないですよ、僕がこのリュック入るだけで銀貨1枚にしてとお願いしたので」


そうなんだ、自分では安く買えたつもりだけど、ふむ、しょうがないか。


「それでいくらで譲ってくれるんだ?、銀貨1枚だと助かるが」


「それじゃ、銀貨1枚でお願いします」


もとになったぞ、お金が帰ってきた・・・嬉しくないか、邪魔なだけだ。


「そこに出してくれるか」


ジェクトさんに言われてリュックの中の食料を床に敷かれた敷物の上に載せていく。


すべて出し終わるとジェクトさんが驚く。


「ユーリ、この肉は何の肉だ」


「オークの肉でオーク肉です」


あちらのおじさんたちが、またこちらに来て食料を見て涙する。ええ~涙出してるよ。マシュさんの仲間はどこにでもいるんだね。


「いや、銀貨1枚だと安いな」


「おお、僕安く買えてたんだ」


「いや、そこでもあるんだけど、俺が支払うお金の金額が安いと言ってるんだ」


「ああ、別にいいですよ。銀貨1枚で」


銀貨1枚を受け取り帰る事にする。そうだ水もあるから譲っていこう。


「お水、よければ置いていきますよ」


「いいのか、助かる」


それぞれの水袋と小さな樽に持ってきた水を入れてみんなに別れを告げ遺跡を後にした。


外は暗く村には入れそうもないので久しぶりに拠点で野宿をして明日はオークを狩る事にした。


その夜は遺跡の事を考えてから寝た。





遺跡に行った後は、オークの討伐に専念し、カルテドに帰るまでを計算して毎日ギルドと崖の下の森を往復した。


お持ち帰り様に貯め込んでいたオーク肉を荷車に載せる事が出来た。


「ユーリ、もう帰るのか、オークがいなくなったのか?」


「オークはまだいそうですけど、そろそろ帰らないと行けないので、先ずはビラジュに向かいます、荷物も多いので」


「そうか、また来てくれよ、村の周りの魔物も減ったようだし助かったよ」


「僕もオーク肉を買取して貰って、お金が貯まりました、ありがとう」


ギルマスに何度もお礼を言われ、いつかまた来ますと告げた。


ボラジュは近いけど荷車のオーク肉があるので行きよりも重たい、でも体力が付いたのかそんなに疲れないな。


街道から街の城壁が見えてきた。


街道から農家が見えたので荷車を引いて近くまで行く。


こちらに気づいたおじさんが「お~い、帰えって来たのか?」


遠くから話すパターンに「は~い、帰ってきました。お土産です」


「おお、もしかしてオーク肉か?」


「そうですよ。遅くなりました」


やっと目の前に来て、おじさんを見るとやけに嬉しそうに見える。


「あの仕掛けのおかげで被害が少なくなったぞ」


「この近くの農家も同じ様にしてくれれば更に減りますよ」


「実は、すでに教えたんだ。農家は繋がりが大事だから自分だけよければいいと思ってる人は少ないんだ。だから何か作物に関係あれば教え合う、ありがとうな」


「これオーク肉です。どうぞ」


「いいのか、この肉塊大きいぞ」


おじさんに荷車を指さしてまだオーク肉は沢山あると言うと。


「凄えな、この位貰ってもばちは当たらないな」


「そうです、それじゃほかの人に配るので行きます、さようなら」


おじさんは、僕が見えなくなるまで『ありがとう、また来いよ』と言ってくれていた。





ギルドに立ち寄り、討伐クエのオークの耳の入った袋を受付嬢に渡し計算してもらう事に466体の分の耳があった。1体あたり大銅貨2枚で、大銀貨9枚、銀貨3枚、大銅貨2枚になった。


お姉さんは、まだ計算をしてるのか遅い。


お姉さんは、失礼しますと言ってどこかに行った。


奥からお姉さんを伴っておじさんが来て、僕を凝視してから。


「私は、この街のギルマスですが、君がオークを倒したのかな?」


「そうです、こちらの討伐クエを受けまして、オークを倒して来ました」


「オークを466体だぞ、それがどんなにすごい事なのか君にはわかるのか」


「わかりません」


何言ってるんだこのおじさん。


「だから、一人でそんなに倒した人はいないんだよ」


このギルマスは本当に何が言いたいんだろう倒した数が多いだけで、同じ事は他の冒険者でも出来るけどしないだけだと思うけどな。


「すいませんけど急いでるので、会計をお願い出来ませんか?」


ギルマスのおじさんが黙った。


「え~と、ギルドカードを貸して貰えますか、ご入金しますので」


受付のお姉さんの方が話が分かりそうだな。


「あの、ギルマスさん」


「なんだ」


怒ってるのかな。でも怒るところないよな。


「1人で倒した数として多いのかもしませんが、オークが沢山生息していて、そのオークを何十日も倒し続けていただけなので、他の冒険者ならもっと倒せたと思います」


「まあそれもそうなんだが、しかし1人で倒した数にしては多すぎる」


ダメだこの人話が通じないよ。もう説明しても無理。


「お待たせしました。カードに入金しときました。オーク討伐クエ、ありがとうございました」


受付のお姉さんにお礼を言って、お土産のオーク肉をあげる。


「遺跡調査のクエをしてるジェクトさんに遺跡で会いましたよ」


「そうですか、ご報告ありがとうございます。それにオーク肉ありがとう」


お姉さんにお辞儀して宿に向かった。ギルマスとは話しても仕方ない。




「ただいま、ソラちゃん」


カウンターで受付の手伝いをしているソラちゃんに手を振る。


「ユーリ、おかえり」


笑顔で挨拶をしてくれるソラちゃん。


階段から降りて来たテレサさんは、久しぶりに会う僕にこう告げた。


「お帰り、ユーリが帰って来ないからお部屋、貸しちゃったわよ」


「あ、僕、このあと泊まらないからって、言いませんでしたか?」


「言ってないわよ、もう、貸した部屋がユーリの部屋だと思い出して、間違えて貸しちゃったと慌てたんだから、もう」


何故か少し怒られる僕、そしてお金を前払いしてたのに貸し出された僕の部屋。


テレサさんの答えに、急いで帰らないといけない事を思い出した。


「テレサさん、僕急いでいたんだよ、帰らないといけないんだよ」


「そうなのよかったわ」


あれ今よかったわと聞こえたけど。


「お土産のオーク肉を渡しに来たんだよ。厨房に運ぶね」


「オーク肉を、ありがとう」


厨房に行くと旦那さんがいた挨拶しないとな。


「はじめましてユーリです。オーク肉をお土産に持ってきました。何処に置きますか?」


料理の手をとめてこちらに向く旦那さんはイケメンだった。


「お土産ありがとう・・・台に置いてくれ」


無口だ、家の父さんみたいだな。


オーク肉を台の上に載せる。荷車の約半分位を残した全てを載せた。


「テレサさん、さようなら、ソラちゃん、オーク肉食べてね。」


「ありがとうユーリ、また来てね」


「ユーリ、お肉ありがとう、バイバイ」


ソラちゃんにバイバイして猫の宿屋から荷車を貸してくれたおばさんの所に行く。


自分のリュックにオーク肉を詰める。詰め終わり、お客がいなくなったので荷車を引いて店の前に向かった。


「おばさん、ただいま、約束のオーク肉を持って来たよ」


お店の商品の陳列を直してたおばさんが僕に気が付いた。


「お帰り、長く行ってたんだね、怪我とかしなかったかい」


「そういえば、怪我はしなかっよ。吹き飛ばされたり、下敷きになったりはしたな」


「それで、オーク肉は何処にあるんだい」


「この荷車に載ってるのが、おばさんのだよ」


荷車の前に来て木箱の中を見ておばちゃんの顔がさらに笑顔になる。


「この木箱のオーク肉を私にくれるのかね」


僕は6個の木箱を叩いて「ここにある木箱がおばちゃんのだよ」


「嘘だろ、これ全部私のなのかい?」


「僕のは、リュックに詰め込めるだけ詰め込んであるよ」


「荷車貸してくれてありがとう、また遊びに来るから、さようなら」


「ああ、遊びに来ておくれ。ありがとう、干し肉持って行きな」


「ありがとうまたね」


「ありがとう~」


みんなにオーク肉を渡せたし帰るか。


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― 新着の感想 ―
[一言] 「ありがとう、それでいくらぐらいしたんだその食料は?」「銀貨1枚です」 銀貨一枚で買ったという食料を現地で銀貨一枚で譲ってくれと言っていましたが、運び賃を全く考えて無く、厚かましすぎません…
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