さあ、始めよう
「生きていた、お腹が減っても戦えるものだな。だけど戦の前の腹ごしらえは大事だ、あれ・・・・昨日のお昼はシチューをロードさん達と食べた、抜いたのは1食だけだな」
日が昇って少しの時間しか経っていない、そうだ朝抜いても2回食事を抜いただけだ、東に向かいながらワームを倒して、夜までにライムスーデンに行って野菜スープを食べよう。
街道で戦っている冒険者の邪魔になってもいいので、手当たり次第にワームを攻撃する。
「すいません、急いでいるので攻撃に参加します」
「え」
それ以上の会話は必要ない、それだけ言えば分かるだろう、急いで倒したい事が。
ワームの上に乗りどんどん突きさす、2人の冒険者も横から刺しているのでワームを仕留めるのが早い。
「ありがとうございます、急ぎますので」
直ぐに走り出して次のワームを攻撃する、1人でも力任せに切り裂いて仕留めていく。
東に向かいながら邪魔をする様に攻撃に参加して、倒したと思ったら東に走る。野菜スープの為に。
「野菜多めの肉無しにして下さい」
「それでいいのかい?」
「はい、この頃お肉ばかり食べているので野菜が食べたいんです」
「野菜も大事だからな、ほら野菜多めだ」
「ありがとう」
支払いを済ませると、広場の空いてるテーブルで食事を食べ始める。
計算違いをしていた、お昼も抜く予定だったのに2回だと勘違いしていた丸1日食事を抜いたんだ。
干し肉が有ればこんな辛い思いはしなくて済むのに、誰か干し肉の作り方を広めてくれないかな。
「忘れていた、この国の人は作り方を知らないんだ。販売機で干し肉を売った時に箱に作り方を書いとけば良かった、誰かが作って広めてくれたかもしれないのに思いつかなかった」
肉屋さんに干し肉の作り方のレシピを置いて貰おう、そうすればいつか広まる・・・・いや、自分で作れるんだから、無くならない様にすればいいの。いや、作るのを忘れた時の為に広めよう。
突進して来たワームの攻撃を避けて蹴り上げる、力ずで剣で切りつけて地面に落とすが、また蹴り上げて剣で切り落とす、4回も同じ事をすると口の部分と胴体の部分を切り離す事に成功した。
「ワームも何が起きているのか分からないだろう」
良い戦術だと思って次のワームも同じ事をしたら横に動かれたて、吹き飛ばされた。
ワームの討伐を始めて10日目になる、食べないワームを倒すのに飽きてきた。
拠点をライムスーデンの西の畑の近くに生えている木にした、ハンモックで寝ている。魔物が出ないので安心して寝れる。拠点から西に走りワームの討伐を続けている。馬車が通る事が無いのはワームが大量発生しているのを知っているからだろう。
ワームを倒し周りを見るとワームの死骸だらけだ、どの位倒したのか分からないけど、死骸を街道からどかすのが大変だった。最初は蹴りでどかしていたけど意外と時間が掛る、それならと静と動を練習しながら切断して蹴る事にした、ワームが現れなければ暇つぶしになる。
「そのにしても他の人達を見かけないな、西の方がワームが多いのかな。あまり移動したくないな」
もう直ぐ夕方だ、ライムスーデンに戻ろう、明日はもっと西に行こう。
掲示板の前で特別クエの依頼書を探したが無かった。
「おかしいな、はがされちゃたのかな」
セナで依頼書を見ていなかったので確認でもしようと見に来たが貼ってない。
ギルドの職員さんに聞いてみるか。
「すいません、ワーム討伐の特別クエの依頼書を見たいんですけど、有りませんか?」
「依頼書なら一昨日はがしましたよ、セナから騎士団の人が来て、討伐が終わったと報告が有りました」
そうか、討伐が終わったんだな、これでセナに戻れる。
「特別クエの完了処理はしますか?」
「お願いします」
カードを渡して報酬を入れて貰う。
「はい、討伐ご苦労様です、7日前に討伐は終わっていたみたいでが、砂漠からここまで早いお着きですね」
Sランクなのは触れないでくれた様だが、砂漠から早い?7日前?どういう事だ。
「すいません、7日前にワームの特別クエは完了していたんですか?」
「はい、騎士団の人から報告で7日前になっています」
よく分からないが、最初の日から2.3日位までしか皆はワームを討伐していなかった事になる。もしかして騎士団の中にリーダーがいたのかな。その人がワームを沢山倒せたので完了扱いにした、セナの近くだけが討伐区域だった事になる。随分遠くに来たな僕は、セナからロードさんの馬車で約20日の所がライムスーデンだよな。すると、こちら側で頑張っていたのは僕だけで、僕以外の人達は・・・・・・人の話を聞く人達だったんだな。
まあいいか、野菜スープでも食べて今日は早く寝よう。
「手続きありがとうございます」
ギルドカードを渡せれた僕はお礼を言って、ギルドを後にした。屋台に野菜スープを食べに行こう、元気が出る筈だ。
いつもの失敗をしてしまった。僕はやらなければいけない事をすっかり忘れていた、それは、ベルンさんの結婚の食事だ。大量に増えた魔物討伐は南西の大森林でミノスを倒した、これでお手伝いをした事になる筈、その後のワームの特別クエで、頑張っていたけど、大事な事を忘れていたのだ。結婚式の食事を用意すればセナでする事が終わる。
「さあ来なさい、バッファ君」
よく失敗するけど、ライムスーデンに来た事でバッファを倒してバッファ肉を持って帰ればいい、失敗も成功の元になる。まあ、失敗が違う事なので、ことわざの使い方が間違っているだろう。
今までは伝説の弓で倒していたバッファを剣で倒す、突進に負けない様に剣先を眉間部分に向けて構える。凄い衝撃だ、リストバンドで鍛えていなかったら、突進に負けていた。
最初に倒したバッファを解体をする為にナイフを取り出していたら、草原の草を踏む音に気が付いた。草を踏む音が近づいて来るのでこちらに向かっているようだ。
今度は角を押さえて対抗する、上手く角をつかむ事に成功して、力勝負の様になったが。
「足元に隙があるのだよ、とりゃ~」
足を引っかけて転ばす。直ぐに剣を拾っい立ち上がったバッファの首に剣を突き立てると、グイグイと上下に剣を動かして仕留める。
仕留めた2体のバッファを解体する、リュックに一杯になるまでバッファを倒すつもりだ。オークと違って、食べれるところが・・・・・・違うか、高価ので勿体ないから、全てお持ち帰りだ。
「久しぶりにクエも受けてきたし、いい事ばかりだな、角を持て帰ろう」
僕が企画した食事会の始まりだ。
ロードさんに頼んで、宿の食堂を結婚の食事会場にした。2階から上は宿になっている、食事も出す宿屋さんだ。1階の食堂は朝食と夕食の時にしか使わないので、お昼時は空いている。酒場と違うのはカウンターがない事とテーブルとテーブルの間隔が狭い事だ。酒場は酔う人が多いいので、テーブルの間隔が空いている。これは、異世界あるあるだ、現代なら、集客率を上げる為にテーブルとテーブルの間隔が狭い。
今日はテーブルを貴族様の屋敷の食卓の様に一直線に並べた。食堂の奥がベルンさんとオリビアさんの席だ。オリビアさんがベルンさんの結婚相手だ。何故か、当日まで会った事がなかった。
入口のドアから見て、右側がオリビアさんの家族と親戚の皆さん。左側がベルンさんの家族と親戚の皆さんだ。両家の皆さんを合わせると20人が結婚の食事会に出席する。
テーブルにはクロス・・・布を引いて、食事に使う食器とナイフ等を並べた、フランス料理のコースのようにだ。
厨房の中にいる僕は、近所の人達に配る料理と食事会の両家の皆の料理の準備で忙しい。近所の人に配る料理の木箱の中は4つに区切られている。既に出来ているサラダ・煮物・揚げ物が綺麗に盛り付けされていてる、最後の一品が完成して盛り付ければお弁当の出来上がりだ。
その木箱は厨房から料理を出す為のカウンターに4段重ねで横に4個並んでいる、合計16個の弁当箱が最後の一品を待っている。
「こちらは、レモン水です」
この宿兼食堂の夫婦が、レモン水を椅子に座っている人の右側に置いて行く。全ての人にレモン水が配り終わると、この食堂の店主のおじさんの乾杯の挨拶が始まる手はずになっている。
「では、グラスを持って下さい」
おじさんは全員がグラスを手に待っているのを確認する。厨房からおじさんの頭が動くのが見える。
「これより、ベルンさんとオリビアさんの結婚の食事会を始めたいと思います、乾杯」
おじさんの進行で結婚の食事会の始まりだ、後は食事を出すだけ・・・それが大変だけど。
「「「「「「「乾杯~」」」」」」」
それぞれ一口を口に含むと「冷たい」「美味しい」「どうなっているんだ」「井戸水より冷たい」とレモン水の飲んだ感想が聞こえて来た。
「「「ベルン、おめでとう」」」「「「オリビア、おめでとう」」」
レモン水の感想の後は新郎新婦にお祝いの言葉が送られた。
さあ、食事会の始まりだ。
バッファ肉を焼いていく。近所さんに渡す弁当の最後の一品はバッファの焼肉、表面が少し焦げて中に火が通るとキレイなピンク色より火が通っているだろう、最高に美味しい焼け具合だ。
高校2年の夏休みに、レストランのバイトをした。時給がいいのとやった事のないバイトだったので、面接を受けてみたら『いいね、いつから来れる』と聞かれ『明日から働きたいです』『いいね君、帰りに制服を本社に取りに行ってくれないか?』『どこに在るんですか?』『江戸川橋』『家から近いです』『それは良いね』といいねを何回も言われた次の日には働いていた。
和食と洋食のレストランで銀座にあるので高級店だ、テーブルでお客おさんに高級肉を焼いてあげるのが仕事だ。勿論オーダーと飲み物を出すのも仕事だ、その時にお肉の焼き方とコース料理を覚えた。その時初めて電磁調理器を使った。火力を自分なりに調整して、焼いたお肉をお出しするのは、プロになった気分をあわえた。勿論、練習をしたし、その高級なお肉を食べる事も出来た、最高の職場だった。
ベルンさんの近所の人に配る焼肉もその時に覚えた焼き方を焼き肉用にアレンジした。レアとかミリアムレアとかは焼肉では美味しくない、タレが付いているので、表面が少し焦げて中は丁度焼けた位が最高の焼き具合にする。
その焼き具合を全ての肉でしなくてはいけない、プロの世界は、全てが同じようにだ、頑張ろう。最高のバッファ肉の焼肉は記憶に残る、それがおもてなしだ。
「3個、出来ました」
焼けた肉を詰めていけばお弁当の完成だ。
「お待たせしました、どうぞお持ち下さい」
厨房の反対側・・・食堂に居るおじさん達が、弁当箱を渡してくれる。ご飯が無くて残念だが、最高のお弁当を受け取り「ベルン、おめでとう。大事にするんだよ」と近所のおばちゃんはお祝いを言って二人に笑顔を向ける。
「ありがとう、美味しい料理だから早く食べてね」
「嬉しいね、良い匂いがするね」
次から次と弁当を取り来る、近所さんは最初の人のように、受け取るとお祝いの言葉を残して食堂を出て行く。
「オリビア、おめでとう。幸せになるんだよ」
「はい、おじさん」
「ベルン、おめでとう。旅に出たら守るんだぞ」
「はい、守ります」
2人の家は隣同士なので近所さん同士も知り合いだ。
焼肉をどんどん焼いて、お弁当に詰める。後4個配れば、ご近所さんに渡す弁当が終わる。
「ユーリ、僕達まだレモン水しか飲んでないんだけど、どうなっているの?」
食堂にいるベルンさんから、催促されてしまった。
「今はオードブルなんです、弁当が後4個、渡し終わるのを待って下さい」
「分かった、早くしてくれよ」
コース料理なので、最初のレモン水が食前水で、今はオードブルを堪能して貰っている。オードブルは食欲をそそる為の料理だ、焼き肉の煙が僕のオードブルだ。食欲がだいぶそそられた筈だ。
「ユーリ君、お持ち帰りの料理は渡し終わったよ」
「はい、ありがとうございます。次の料理の用意をします」
次の料理はコース料理の3品目だ。




