新しい仕事
「ふうちゃん、ハンバーグです」
「ありがとう、ミアちゃん」
昨日の夜には村に帰って来て、ふうちゃんの用のハンバーグの準備をした。大きいハンバーグを作りたいとミアちゃんが言うのでミノス肉を沢山使ってコネコネした。
イレさんにこの村に名前があるのか聞いたら『風の谷よ』と教えて貰った。風がない谷なのか、風ちゃんが吹くので風の谷なのかどたらだろう。
荷車に載せたハンバーグは20枚はある、フライパンの大きさだ。
リュックの半分位のミノス肉を使って20枚だ、肉の量よりもフライパンで焼く方が大変だった。
ドラゴンが生の肉を食べるのか分からないので、ちゃんと焼いた。
「どうですか?」
「美味しいわよ、外側が焦げてパリパリなのがいいわね」
そう言えば、料理をした食べ物を食べたのはふうちゃんが初めてだ、どんどん食べるふうちゃん、喜んでふうちゃんの前にハンバーグを置くミアちゃん。
微笑ましい光景だ、風魔法も教えて貰ってので、師弟関係にあるな。しかし、あんなに簡単に魔法が使えるのら僕に才能があれば使えるんだよな。
ハンバーグが20枚あっても直ぐに食べ終わるよな、あの大きい体だからな。
「美味しかったわ、ありがとう。ミアちゃん、ユーリ」
食事の終わったふうちゃんは、ミアちゃんに魔法の事を教えていた。
「毎日少しでも練習をしてね、慣れて来ると威力も上がるのよ。それと他にも風の魔法はあるんだけど、もっと魔法に慣れたら教えるわね」
「はい、頑張って練習します」
「ふうちゃん先生、質問です?」
いい子のユーリは手をあげて質問をする。
「ユーリ、何かな。変な事じゃないよね」
ふうちゃんが警戒している。
「使えなくても練習していると、魔法の役に立ちますか?」
「凄く難しい質問ね、私の考えでは他の魔法の才能があれば役にたつと思う。でも、それを立証出来ないので、もしユーリが頑張って練習しているのなら、それは効果に現れる筈よ。一番良いのは使える魔法を練習する事よ、今のユーリは回り道をしている事になるわね」
そうだよな、使える魔法を練習した方がどんどん成長するだろう、でも使えない魔法でも練習すると効果が良くなるなら、今までの練習は無駄ではなかった。練習を続けよう、いつか使える日が来る。
「ありがとう、色々聞けて参考になりました」
「良かった。ユーリには感謝しているのよ、風の谷の皆を風邪から治してくれて」
「薬のお陰ですね、ボーンさんに会わなければ効果の良い薬を思い付かなかったと思います」
「ハンバーグが美味しかった。ミアちゃん、ユーリありがとう」
「ふうちゃん、ありがとう」
ふうちゃんを2人で撫でて、お別れをした。
風の谷から南東の山の山頂で風の谷を見下ろす。
「ユーリ、可愛くて優しいかったね」
「体の色が綺麗だったな、風魔法を教えて貰えてよかったね」
「うん、ユーリ、ありがとう」
ミアちゃんが僕にお辞儀をした。
「僕は何もしてないよ」
「ユーリが連れて来てくれなかったら会えなかった」
成長しているミアちゃん、女の子の成長は早い、もう直ぐお姉さんだ。
「僕もね、1人でドラゴンに会いに行くより、友達と一緒に行きたいと思っていたんだよ。だから僕からもお礼を言うよ、ミアちゃん、一緒にドラゴンに会いに行ってくれたありがとう」
「うん、友達っていいね」
「そうさ、サラちゃんだって友達だろ」
「うん、サラちゃんは友達」
風の谷のふうちゃん、シュラさんみたいに人間臭い雰囲気があった。シュラさんはお酒の好きな女性、ふうちゃんはハンバーグの好きな女の子。
「急いで帰ろう、お父さん達が待っている」
「うん、帰ろう」
聞こえるか分からないけど。
「ふうちゃん、元気でね」
「ふうちゃん、元気でね、また来るね」
「お母さん、ふうちゃんは、綺麗で優しくね可愛いんだよ」
「まあ、そうなの」
「それでね、ハンバーグが大好きになったんだよ」
「ミアと一緒なのね」
「一緒なの」
僕とミアちゃんはロード村に戻って来た、レイさん達は風の谷に少しの間は残って魔物を倒して食料を村に運ぶと言っていた。卵ハンターの里帰りだった。
昼過ぎに着いた酒場で、ふうちゃんの事を一生懸命に両親に話して聞かせているミアちゃん。
アメリアさんの体調は良い様だ、ロードさん達ものんびりと過ごしていたのか爽やかな雰囲気だ。
「それとね、風の魔法を教えて貰ったんだよ」
「「「「ええ~」」」」
声が重なるよな、そんな凄い出来事だ。
「それは凄いな」
「魔法か、身近の様で使える人がいないよな」
ベルンさんとヒューラさんは凄く驚いている。
「ユーリ、ミアは魔法が使えるのか?」
「はい、ふうちゃんが教えてくれました。『さあ、唱えてみなさい~』『は~い』と簡単に使える様になりました」
「ミア、楽しくても簡単に使ってはいけませんよ」
「大丈夫だよ、あれから使ってないもん」
アメリアさんに注意されたけど、試しに使ってみようとしないところは偉いな。僕なら直ぐに次の魔法を練習しちゃうな。
「ミアが魔法か、流石父さんの子だ」
感激しているロードさんをほっといて薬師ギルトに向かった。
「すいません、カルテアのマリサさん宛に荷物を送って下さい」
「カルテアに居る会長宛、このリュックでいいのかな?」
受付のおじさんが僕がうカウンターに載せたリュックを手に取る。
「はい、お願いします」
「手紙を預かっているよ、会長からだね」
預かっていた手紙を受け取る。
「ありがとうございます」
≪ユーリ、こんにちは。ドラゴンの血液が必要です、送って下さい。マリサ≫
これを手紙と呼んでいいのだろうか、引き籠りの研究者がこれを送る為に薬師ギルドに行ったのか、何か新しい薬を思いついたんだと思う。
まあ、マリサさんに薬の本を借りて調合を教えて貰わなかったら風の谷の皆の風邪は治っていなかった、感謝しないとな風の谷のレイさん達は。
さて用は済んだ、宿帰ろう。
「ユーリ、これからどするんだ?」
ロード村でする用事が終わって酒場に帰って来た、夕食時なのでロードさん達と一緒に夕飯を食べている。
「そうですね、ガーベラ王国のドラゴンの居そうな場所には全て行った筈です。レッドちゃんの情報は火山が好きだけしかないんです。探すならここより南の方に行く事になると思います。でも、急いでいないのでのんびりと行こうと思っています」
「そうか、私達は予定通りセナに向かうつもりだ。それでユーリも一緒に来てくれないか、護衛をして欲しい、ロード村で探すのも大変なんだ、どうだろうか?」
今は春と呼ばれている時期で夏でもある、一応春だと思う・・・お祭りがあるから。
少し暑いぞ、今の時期は冒険者がお祭りで楽しんでいるか、西の方に向かって旅に出る時期だ。この村に来てもギルドの依頼を見ない、依頼を見ないのは目的があるからだとすると、護衛してくれる人が見つかるのは偶然しかない・・・僕は偶然にロードさん達と一緒にいる。それなら僕も西の方の魔物の討伐でもしてから南に行こう。
「いいでしょう、この薬師ユーリが引き受けましょう」
肩書がカッコよくなったぞ。
「そうか、ありがとう」
誰も薬師には関心がない様だ。
「ユーリ、一緒に行けるね」
「そうだね、旅は道ずれ世わ情け。助けましょう」
「助けましょう」
よく分からない、ことわざだけど、、道ずれて何か不幸な感じだな。不運な旅て感じか、世わ情け・・・僕なりの解釈だと不運な旅も助け合えば何とかなる。
「ユーリ、これからも宜しくね」
「はい、アメリアさんの為にも安全な旅になるよう頑張ります」
ロードさんの馬車はロード村を出発しただろう、僕は先に起きて便利丸を街道沿いに設置して来た。
ロード村の方向に走って、ロードさん達と合流する為だ。
ロード村の周辺の畑が見えて来たけど馬車がまだ見えない。
「あれ、まだ村から出てないのかな」
村まで戻るつもりになったら、こちらに向かって来る馬車が見えた。先頭の馬車のベルンさんが手を振っている。
「ユーリが言っていた通りに食事をして出発したけど、よかったんだよね」
「はい、合っています」
僕が忘れていたんだな、食事に時間が掛る事を。
「ロードさんに挨拶してきます」
ベルンさんと話した後にロードさんの馬車に向かう。
「おはようございます」
「おはよう、今日から宜しく」
「はい、便利丸よを仕掛けて来たので、今日進む位は安全に行けると思います」
「そうか、ご苦労様」
「アメリアさん、ミアちゃん、おはようございます」
「ユーリ、おはよう」
「よはよう、ご苦労様」
荷台に乗るとミアちゃんを抱っこして馬車から降りる。
「サラちゃん、お願いします」
「キュ~」
ミアちゃんを乗せたサラちゃんとベルンさんの馬車を追い抜いて馬車の前を進む。
「さあ、警護を始めるぞ」
次の目的地はハイドの街だ。
「美味しいな」
「そうですね」
「オークと遭遇するなんて、良かったですね」
「それも2体もいましたね」
ロード村を出てから4日目の昼食の後に遭遇した魔物は4体で、そのうちの2体がオークだった。
最初の日に便利丸を仕掛けたけど、次の日からは護衛中に居なくなる事に気が付いて、仕掛けるのを止めた。寝る時だけ仕掛ける事にした、警備が僕だけなので、グリュックの皆と大洞窟の外で拠点をした時のロープを張って魔物が来たら音がなる仕掛けを設置する事にした、これで夜の見張りをしなくても大丈夫になった。
ベルンさんとヒューラさんは戦闘に参加した。最初に3体を僕が倒して1体を2人で戦ったのだ。
ロードさんにはアメリアさんを守るために残って貰った。
「危険は困るけど、オークを倒して食料になるのはありがたいな。安全の為に私も強くなりたいな」
街から出る人は皆、強くなりたい安全の為に。
「それなら、馬車の配置換えをしませんか、ロードさんが先頭になれば、遭遇した魔物が少なければ戦闘に参加できます、アメリアさんは僕がいれば大丈夫です」
「それもいいな、今までだと遭遇したらその場に停車したけど、後ろの馬車が詰めて止まればユーリに警護して貰うのも楽になるな」
ミアちゃんは魔道防具を着ているから、ほぼ魔物の攻撃で怪我をする事が無い。
「ミアちゃん、お代わりは?」
「はい」
オーク肉があればいつもならハンバーグだけど、ロード村でハンバーグ用の肉を買ってあるので一日1回はハンバーグを食べているので、今日は食べてはいないけどシチューにした。野菜と柔らかく煮込んだシチューは絶品だ。
ミアちゃんのお代わりを渡すとアメリアさんには野菜だけのシチューのお代わりを渡す。
「ありがとう」
「俺にもお代わり、お肉多めで」
「俺も、お肉多め」
ベルンさんとヒューラさんはお肉多めだ、戦闘すればお腹も減る。
「おお、雨だぞ」
皆の食事が終わったので食器を片付けているとベルンさんの声に上を見る。
「久しぶりだな」
雨は久しぶりだ、異世界の雨は降りだすと直ぐにやむ事はない。1日位は降るので困る人は多い、でも晴れているか曇っている日が多いので、雨が降って文句を言う人が少ない。
「今日は馬車の中で寝ないとダメだな」
皆は馬車の中だが僕は木の下でハンモックだ。
警護が僕1人なので夜遊びが出来ない、夜に出来る事はロープ作りか、本を読む事だけしかない。
おおお~、静かに矢でも作ろう、20本をキープしているけど2倍位は合ってもいいよな。
毎日、夜には矢を作る事にした、朝は魔法の練習。移動中に走ればいい、努力は続けよう、まだ若いんだから、もう直ぐ16歳だ・・・・矢の材料を明日集めよう。




