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ネズミと罠

ギルドで、報酬を受け取る。銀貨5枚だ、これで野宿しないで済むし干し肉以外の物が食える。


掲示板にどんなクエがあるのか、確認してると肩を叩かれた。


「おい、もう次の依頼をを受けるのか?」


ワームの戦いで、リーダーだった人だ。


「いえ、ボラジュの依頼にはどんな依頼があるか確認してたんです」


「どこもそんなに変わらないよ、ボラジュの近くは魔物が強いくらいの違いしかないよ」


そうか、種類に強さ位しかかわらないのかな。


「そうだ、宿は決まってるのか?」


「これから探そうかと思ってました」


「このギルドから5軒目にある宿が、安くて食事が美味しくて人気があるよ。行ってみるといいぞ」


「ありがとうございます、行ってみます」


お礼を言って、教えて貰った5軒目の宿に向かう。学園に入って文字の勉強をしたので、看板の文字が読める、猫の宿と書いてある。面白いな、これだと猫しか泊めてくれないぞ。


受付に幼女が座っている、何歳だ。5歳ぐらいに見えるけどお手伝いか。


「すみません。泊りたいのですが、お部屋ありますか?」


「ありますけど、君一人?」


聞こえたのは大人の女性の声だけど、目の前にいるのは幼女だ。


そうかエルフなんだな、見た目は幼女で実際の歳は大人の女性なんだな、声は老けるのか。


でも違ったのだ。カウンターの下から女性が出てきた。


「ごめんなさいね、お金拾ってたのよ」


「はい、一人部屋お願いします」


「1泊銅貨5枚だけど、何泊にする?」


うちの宿賃と同じだ、どうするかな銀貨1枚分でいいか。


「20日泊まります。銀貨1枚でいいですか?」


「そんなに泊ってくれるんだ、食事も付くけど食べなくても同じだけどいいかな」


付いてる方がありがたいな。銀貨1枚をカウンターに乗せる。


「はい、お願いします」




「ここでいいかな、もう少し柵に近づけるか」


大樽を柵の近くに置いて汲んできた水を入れる。これぐらいでいいか、樽の口の縁の部分から地面に緩いスロープになる様に細くて長い板を釘で打ち付けて固定する。


スロープを反対側にも付ける。スロープとスロープの間の口の部分にロールを付ける。ロールの部分に自家製のピーナツバターを塗る。


予備の餌をロールの真ん中の空中に浮いてる様にする為に大樽のロールと何中て十字になる様に角棒を取り付けた、高さは30㎝位で紐で餌を吊るすつもりだ。


畑の角に1個づつ設置したので、合計4個を仕掛けた。


「本当にこんなのでいいのか?」


「はい、大丈夫です。明日また来ますのでこのままにしといて下さい」


予備の餌の仕掛けは完成してない、紐と餌を用意してなかった。このままでもいいので、明日にでも取り付けるつもりだ。




「すいません、出来ましたか?」


「出来たけど、これは何なんだ」


工房の親方は不思議そうに木箱を見たいる。


「秘密です。では、貰って行きます」


「ああ、また来てくれ。今のなら作り方も分かったから、次からは簡単に出来るぞ」


「はい、ありがとう」


少し仕掛けがある木箱を木工工房に頼んで作って貰った、自分で作れるけど、道具と材料を用意するよりも頼んだ方が安い、要らない端材で出来る大きさなので尚更だ。





「細くて頑丈な紐を下さい」


「はい、長さはどれ位かな?」


「ここから、ここ位までの長さでいいです」


カウンターの台の上で欲しい長さを手で表して購入する、長さの単位が無いので不便だ。


予備の餌を吊るす紐を4本分と同じ位の紐を3本の合計7本の短い紐を買った。


「本当にそんなに短くていいのか、捨てる紐で悪いな」


「僕が使うのが短くていいの、長い紐が勿体ないです。ありがとうございます」


「こちらこそ、ありがとう」


料金は要らないと言ってくれたけど、どんな物にもお金が掛かる、作った人と売っている人はなるべく利益を出さないとやって行けな、それに物作りはの殆どが手作業なのでお金を払って買わないといけないと思う。





「ただいま、ソラちゃん」


「おかえり、ユーリ」


幼女の名前はソラちゃんでテレサさんの娘さんだ、この異世界では小さい子供が店番をしている事がよくある。ソラちゃんに挨拶してると女将のテレサさんがこっちに来た。


「おかえり、ユーリ。そろそろ出来たかな」


「出来ましたよ。厨房に入っていいですか?」


「どうぞ、本当に効果あるの、その作ったので」


厨房の隅ので確認したが、もう一度確認する。


「この黒い跡がネズミの通ったところで、何回も通らないと付かないんです」


「この黒い線がそうなの」


「はいそうです、今から設置まで、お見せしますから同じ様に仕掛けて下さい」


まず餌を付けた紐を箱の中の穴から通して、後ろの扉を落ちない様にして先ほどの紐と扉に付けた紐を引っかける。準備が出来てネズミの通り道に木箱を置く。


「どうですか簡単だと思うのですが」


テレサさんは、僕と同じ様にして準備がして、僕とは違う黒い線が有る所に置く。


「本当だ、この道具でネズミを捕れれば駆除のお願いしなくていいわね」


「そうですね、僕まだ、旦那さんに会った事ないけど、挨拶しなくていいのかな?」


「いいのよ、うちの旦那無口だから気にしないでね」


「うちの父さんも無口です」


少しでも捕まるといいな。


「ネズミ捕りにぶつからない様にして、扉が閉まってたら開かない様にして処分してください。部屋に戻ります」


「はい、ご苦労様」


厨房に出るネズミの事を相談されたので、餌を食べると入って来た箱の後ろの蓋が閉まってネズミが箱から出れない、ネズミ捕りを厨房に仕掛けた。





見たくないな、でも効果あったか確認しないと。


大樽の中を覗くとネズミの山だ。これ数えるの嫌だ。それも同じ大樽が別の所に三か所あるんだ。


「凄いですね、こんなに簡単な方法があるなんて、これで畑の被害だいぶ減ります」


嬉しそうな農民のおじさん。


「あの、ネズミ1匹で小銅貨2枚だったんですけど、ネズミ数えますか?」


数えないと報酬を払えないのを思い出したおじさんは、樽の中を覗く。


「君が数えてくれるんだよね」


「でも、確認はおじさんがしないといけないと思います」


おじさんまた樽の中を覗く。


僕も数えたくないので、ここで提案する。


「見た感じで、浮いているネズミは50匹以上います、水の中にも沢山いるみたいですが、ここは数えないで、一つの樽に大銅貨1枚で、4樽あるので大銅貨4枚でどうですか?」


ネズミの討伐クエで1匹で小銅貨2枚だった、見た目の50匹で大銅貨1枚になるので、大樽4個分で大銅貨4枚、それをおじさんに提案した。


「そだな、数えたらその金額の倍ではすまないな、数えたくないし大銅貨4枚でお願いします」


良かった、数えなくて済んだ。


「ありがとうございました」


お礼を言って街に戻る。




掲示板に向かい依頼を探すとネズミ討伐又は捕獲が2個あるのでその2枚を持って受付に行く。


「依頼完了しました」


「はい、完了報告ありがとうございます、早く終わりましたね」


「作戦が上手くいったので早かったです。それで、同じ様な依頼があったのでこの依頼受けていいですか?」


僕は掲示板から持ってきた、2枚のクエを受付嬢に渡す。


「完了した依頼と同じ物を2個、お受けして大丈夫なんですか?」


「はい、同じ作戦が使えると思うので、同時に受けたいです」


「わかりました、では、よろしくお願いします」





「なんとか設置終わった。しかしこんなに簡単でいいのかな、まあ誰も受けないだろうなこのクエ」


「おお~い、水入れ終わったぞ」


依頼者に大樽に水を入れて貰った、これでもうする事はない。


「僕の方も終わりました、これで準備終わりです。明日捕獲されてるか見に来ますね」


「こんなに簡単で捕獲できるのか?」


同じ事をみんな思うだろ、そして『こんなに簡単でいいのか』と言う。


「大丈夫です。同じ罠で上手くいきましたので」


「そうか、明日が楽しみだな」


僕は楽しみではない。あの光景を再び見ないといけないからね。




報告した日に、同じ様に2か所の農家にネズミ捕りを設置した。


手伝ってもらえれば、直ぐに設置が終わる。


簡単で誰にでも真似が出きるし、一度設置したら邪魔にならなければ永遠に使える。


このクエの依頼が無くなってしまうかもしれないが、それよりも農家の被害の方が深刻だ。


自然による不作、害虫による被害、他にも農作物が減る要因があるかもしれないが、ネズミによる被害が減るだけでだいぶ違うはずだ。あんなに捕れたしね。


「ただいま、ソラちゃん」


「おかえり、ユーリ」


僕は、買ってきたお菓子の包みカウンターに乗せる。


「お菓子買ってきたよ」


「ありがとう」


「お母さんはいるかな」


「裏庭で水汲んでる」


この時間だと水浴び用に樽に水を汲んでいるのかな。


「こんにちは、帰りました」


テレサさんは樽に水を入れてこちらに歩いて来る。


「お帰りなさい、ネズミ捕れたのよ。それも2匹も」


井戸から水を桶に入れるのを手伝う、僕も使うので当たり前だ。


「良かった成功したんだ」


「これから毎日あそこに仕掛けるわ」


「そうですね、ネズミが捕まらなくなるまで続けないとまた増えるから」


テレサさんの水汲みの手伝いが終わると夕飯の時間になり食堂に行く。



ここの野菜スープがやさしい味なんだよな。パンはうちのパンより固めだが、中がしっとりしていて美味しい。何かの肉の焼肉だ。目新しい食べ物はないが美味しくいただいてる。


この食堂には、他の客も来ていて話しながら食べている。


綺麗な食堂で、落ち着いて食べることが出来る。

「あれ、もしかして」


ここから厨房の中が見える作りになっていて、初旦那さんが料理の下ごしらえをしてるのか、芋の皮むきをしている。


その手に持っている物が、僕考案の皮むき器に見える。


テレサさんが横を通りそうなので声をかける。


「すいません、ちょっといいですか」


「あら、料理の事?」


僕が厨房の旦那さんの手に持ってるものを聞いてみよう。


「厨房にいるのは旦那さんだと思うんですけど、手に持っている物は何ですか?」


「そうよ、私の旦那様。手に持ってるのは芋の皮をむく、皮むき器よ。最近やっと買えたのよ。売れ切れが多くて予約でやっとね。今じゃ、あれがないと皮むきをしたくないわね」


「凄く売れてるて事ですか?」


「そうじゃない?予約でやっと買えるぐらいだからね」


話が終わるとじゃねと言って仕事に戻っていった。


売れてるのか、すごいな。今じゃ、あれなしに皮むきは出来ないと言い切るテレサさん。


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