近道
「来なさい、魔物達よ」
「俺にも着させてくれ」
「次は私だからね」
「俺は着なくてもいい、喉が渇くと飲みたくなる」
馬車は後ろから進んでくる、『魔物が見えるぞ~』とイメケンが言うので、馬車を追い抜いて魔物に向かうと、『待ちなさい、危険よ。その装備を私が着て戦うわ』とレイさんに言われて交代した。
魔導防具の検証だ。来なさいと言っているけど、もうボコられている。
「ガゥ~、ガ~」「ガゥ~、ガ~」「ガゥ~、ガ~」
レイさんから離れて見てい僕達に、魔物は襲ってこない。魔物はやはり考えるとか出来ないようだ。
コボルトの攻撃は魔道具の何かによって無効化されたいるのか、攻撃力が足りないのか分からない。レイさんには傷も付けられないようだ。
「レイ、防具が光ったわよ。気を付けて」
光った防具がその後どうなるのか試した事がない。大会も光った後に攻撃した人はいない、光った人の負けなのでそれ以上続ける必要がない。負けた人なら終了と言われた後にでも攻撃しそうだが、勝った人が攻撃を受けてくれる事もないだろう。
「大丈夫よ、何も感じないから」
防具が光るけど攻撃を防ぐ効果は続いているようだ。魔力切れまで無敵?。
ダメージはないけど凄い力ならどうなるんだ、その場所に立っていられるのかな。
「とりゃ~」
レイさんは渾身の攻撃を受けました。
「ユーリ、レイが飛んで行ったぞ」
「みんな、魔物が襲ってくるぞ」
魔物も一緒に飛んでいったから、違う魔物が来るのか。
「ユーリ、痛くないけど私を蹴ったわ」
「すいません、有効性を確認したくて、餃子とビールをイケメンのボードンさんが奢ってくれると言っているので許して下さい」
「まあ、いいわ。奢りなら思う存分食べるまでよ」
「それなら、私も蹴っていいわよ」
「俺も蹴っていいぞ」
「俺も蹴られれば奢りになるのかユーリ?」
「分かりました、皆を蹴りましょう。それで誰が一番短い距離か競いましょう。短い人の奢りです」
僕が説明している間にもワンダーさんとじいさんがコボルトを倒した。
「それは面白いわね。皆、勝負よ」
「負けない」
「蹴られた瞬間に飛べばいいのか」
「それだと反則だぞ」
「私からよ、もう一度、思いっきり蹴りなさい」
「了解です」
皆を1回づつ蹴った、一番飛ばなかったのはボードンさんだった。
「俺が負けたのか、なんでもっと思いっきり蹴らなかったんだ」
「蹴りましたよ、ただイケメンだからもしかしたら、皆より強くけれていなかったのかもしれません」
「そうか、イケメンだからな、奢るしかない」
「私が一番飛んだわよ、リーダーだからね」
ロードさんが笑いながらこちらに来る。
「皆、魔物は倒せたようだね、進んでもいいかな」
「はい、決着は付きました、私の勝ちです」
検証では、僕の蹴りで飛ぶ、痛くない、光った後も効果が持続している事が分かった。
のんびり進む、僕達の馬車を後ろから抜いて行く馬車や冒険者は今のところいない。
あたり一面が草原で、景色が変わることがない。
ミアちゃんはサラちゃんに乗って馬車の横を進んでいる。
「サラちゃん、疲れない?」
「キュ~」
『キュ~』しか言ってくれないので僕には分からない。
「疲れないと、サラちゃんが言っています」
「キュ~、キュ~」
走るのが遅くなったぞ。
「魔物が出たと言っています」
「皆、魔物よ。馬車は停まって~、じいにワンダーは後ろに魔物がいなければ前に来て」
「了解~」
魔物が多いようだ、レイさんが二人に来るように言っている。
サラちゃんは馬車の横で停まったままだ。魔物が少ないのか、魔物が多いと後退する筈だ。
魔物は何体いるんだ、ここからだと見えない。
「ワームよ、絶対に馬車は動かない様に」
ワームかこんな所にも出てくるのか、仕方ないここで死のう。もう駄目だ。
「さらばローランドのユーリ、今行きます」
「ユーリ、その装備を私に頂戴よ」
「ダメです、こんなに面白いのに。まさか、ここまで凄いとは、どうなっているんだ」
「ワームが噛めなくて、大変そうだな」
そうなのだ、最後の検証を今終えた、最強の装備だった。
「でも、ユーリ。赤く光ってきたぞ」
「へ~赤色ですか、いつもは白色でしょうか。赤色・・・・すいません、ワームを仕留めて下さい。美味しい何かを奢ります」
「皆倒すのよ、今夜のおかずが掛かっているわよ」
「何と、攻撃だ~」
「ユーリ、ハンバーグが食べたい」
「何でも出します、急いで下さい。嫌な予感がします。赤色が濃くなっています」
噛まれたままの状態で、防具の周りの赤色が濃くなっていく。
動かないワームはレイさん達の攻撃で動く事がないワームになった。
「ユーリ、助かった様だな」
「はい、ありがとうございます。白色の後に赤色になる事が分かりました」
まだ、赤色に光っている、これで限界だよな。危ない遊びは止めよう。
今夜の料理は何を作ればいいのだろうか、ワームは食べれるのか、聞いてみたいけどやめとこう、僕が食べたくない食材は出してはいけない。
「あと2.3日でアルジュ村に着きそうだな」
ガーベラを出て西の街道から北西に続いている街道を進んでいる。ロードさんは御者台で村に着くのが2.3日後だと言っている。
「予約している商品はアルジュで最後なんですよね」
「そうだな、ガーベラで買ってきた商品を売って、予約の商品を受け取ればもう予約している街はないよ」
ロードさんの最初の計画だとアルジュからカルテアを目指いて戻ったんだろうが、アメリアさんがいるので、どこに向かうのか、そのまま出産までアルジュにいるのかどちらにするのかな。
「ロードさん、僕別行動をしたいんですけど、大丈夫ですか?」
「別行動、何処に行くつもりなんだ?」
「ライムスーデンの東に行ってみたいと思っています、街道がどの方向に続いているのか見て来たいんです」
「あそこか、私は東門から出た事はあるけど街道を東には進んだ事が無い、足の速い魔物がいて危険だと気付いて街道に戻った。その先がどうなっているのか見てくるつもりなんだな」
「はい、皆がアルジュに着く頃か、少し後までには戻ってくるつもりです」
「レイさん達がいるから大丈夫だから行くのは良いけど、気を付けろよ」
「はい、では行って来ます」
馬車の中から荷物とる、アメリアさんとミアちゃんは寝ていた。
「ユーリが南西の方に走って行くわね」
「道なき道を進むユーリ、何処に向かう」
近くに来たんだから、ライムスーデンの東の街道の先を見たい。
ロードさん達と色々と行った街や村の街道は何処かに続いていた。北側の山脈地帯の方は街が無いらしいので、山を越えて何処かに向かうにしてもカルテアからなら確認に向かう方がそれほど遠くはない。
カルテアからライムスーデンの方が遠いい。それなら近い場所に居る今、確認した方が後々楽だと思った。
これは旅ではなく偵察だ、全力疾走していいのだ。
最初は西に行けば必ず街道に出るのは分かっていたが、分からない所を自分の感覚で近道するのが好きなので感覚だよりで南西に走っている。
たまに見かける魔物の蟻さんは僕に興味が無いのか、追いかける事もなく自分の作業をしていた。
ニトリが飛んで追いかけてきたが、僕の方が速いので諦めてくれたようだ。
「魔物の種類はだいぶ分かったな、魔法を撃てる個体が少ないのであまり気にしなくていい。ボーンさんの居る場所の西だとここには居ない魔物が多くいる」
全力疾走はそんなに長く出来なかったので、今はマラソン位だろうか、異世界の景色は街の近く以外は大自然だ、今も蜘蛛がわさわさしている。
「もう怖くないのだよ、蜘蛛君」
音もだんだん聞こえなくなってきた。
前に気球は作れないのかと考えたけど、飛ぶ方向が決めれないのと降りる時に危ない目に合いそうなので作るのを止めた。
もう夕方だから、どこかで野宿しないといけない。ハンモックで木の上か大岩の上とか、大岩が見えたあそこがいいかも。
「ここはライムスーデンの東にある大岩だな、街道がある。西を見ると遠くに・・・・見えないけど畑がある」
ガーベラから南西の方が確認したかった場所に近かったのかもしれない。
そうか、僕は食べ物を持って来てない。干し肉は販売機で完売したんだ。魔物を倒して食べるより野菜スープを食べよう。目指せ、市場の露店。
「すいません、野菜多めの肉少な目でお願いします。大盛で」
「はいよ、冒険者か、魔物を倒しに来てくれたんだな」
おじさんから野菜スープを受け取り、カードを渡す。
「魔物がこの近くに沢山いるんですか?」
「そうじゃないさ~、この時期位から冒険者が来てくれる。村の周りの農家の人が喜ぶからな、騎士団も見回りしてくれるが、冒険者にも助けられているからな。感謝している」
「もうそんな時期か、僕も魔物を見つけたら討伐します」
「そうか、ありがとうな」
「ありがとう」
おじさんにお礼を言って、空いているテーブルで夕食を食べる。
西はワーム、南は分からない、東はバッファ、北はコボルト、ゴブリン・・・・今美味しい名前があった、違う、最高級のバッファ肉だ、それが僕の確認したい場所の方にいる、お持ち帰りしないといけないな。
リュックを買わないと持って行けない。




