さあ、楽しもう
「ユーリ、いいのでしょうか?」
「やっちゃって下さい」
アメリアさんに絵を描いて貰う、絵心が無い僕の絵は何の絵か他の人には分からない。しかし、アメリアさんは優し絵を描ける、特徴を捉えて実物よりも優しい感じに見える。
「では、頑張ってみます」
「お母さん、頑張って」
「はい」
描かれていくところを見ていても真似を出来そうもない。体を動かす真似なら得意だけど絵は描けそうもないな、何であんなに上手いんだ。
「ユーリ、とんでもない事が起きたぞ」
店主さんが慌てて裏庭に現れた。
「どうしたんです、奴隷落ちですか?」
「何で奴隷落ちが出てくるんだよ、酒場に来てくれ」
ミアちゃんと酒場に入るとそこには木箱の山が築かれていた。
「おじさん、入口が見えませんけど、新しい遊びですか?」
「凄い~、沢山あるね」
「お城の使いの人が置いて行ったんだよ、中身は魚だと、手紙を預かってある、ほら」
お城からか、シーラさんだよな。
≪シーラよ、お祭りの準備は順調ですか、ユーリの事だから心配はしていません。お城の厨房に食べないお魚を発見しました、お兄様も私達もお魚は食べません。それなのに、お兄様は食べない食材でも幅広く在庫していました、お魚だけは食べ方が分かりません。ユーリ、差し入れです≫
分かり易い説明がされていた、誰も食べないのであげる。
「おじさん、お魚の料理は出来ますか?」
「料理で見た事がない」
そうだよな、ゴールドルル位までなら魚介類も市場で有りそうだけど、王都だと運ぶのに遠すぎる。
「そうですよね、邪魔になるので裏庭に運びますね」
「ああ、そうしてくれ。あれじゃ、倉庫に見えそうだ」
シーラさんから送られた来たお魚を三枚おろしにするしかない。
焼き魚もいいけど、骨付きだと詰まらせる人がいそうで料理として出しづらい。
基本通りに要らない部分を切り落として、内臓を出してきれいにする。後は三枚おろしするだけだ。
「慣れていると簡単だな・・・・・でも、あんなに三枚おろしをするのか、ハァ~」
ミアちゃんには臭いのでアメリアさんの傍に居て貰った。そのうちアメリアさんの所まで匂う様になるだろう。
1時間位掛かって、100匹位しか出来なかった。
アメリアさんは描き終わると部屋に戻って行った。
「フライにするしかない、パン粉作りだな」
パンを買いに行かないといけないのか、それならパンを沢山買って来るか。
酒場の厨房でチマチマしているとミアちゃんが来て手伝ってくれた。
「ミアちゃん、ありがとう」
「はい、パン粉も沢山出来ました」
ミアちゃんと僕は大樽を挟んで椅子に座ってチマチマしていた。一遍が好きな僕は荷車でパンを運んで来た。
お店の人は『パンを買って、荷車で運んで行く人がいるとは』と言っていた。
僕もそう思ったが、あるだけ買っていいかと聞いたら『次が焼けるから大丈夫だ、古いのも無くなるので助かるよ』と喜ばれた。
「準備が出来た、揚げて行くぞ」
「美味しいのお魚?」
「どうかな、好きな人もいれば嫌いな人もいるからね。不味くはないんだよ、好みの違いかな」
「そうか、楽しみだね」
お魚のフライは揚げ時間が少ないのが助かる、どんどん揚げて行くぞ。
「ユーリ、美味しいね」
「そうだね、これなら皆にも出していいな」
2人で試食していると店主さんが来た。
「どうですか、食べてみませんか?」
「出来たのか、これがあの魚か、見た目はメンチカツと同じなんだな」
食材が違うだけだから、違いは形と味だ。
ソースを掛けた魚のフライを一口食べた店主さん。
「美味しいな、これならお店で出せるな、出してもいいか」
「ありがとうございす、お願いします」
これで少しは減るな、少しは。
お魚のフライをどんどん揚げていると、店主のおじさんは慌てて僕のところに来た。
「ユーリ、どんどん揚げてくれ。追加でお魚のフライがよく頼まれる」
「は~い、どうぞ」
「揚げ続けていたのか、更に揚げてくれ」
「了解です」
お昼と夕食の間にお魚のフライを試食してから、三枚おろしを続けていた。それでもお魚の木箱を減らしている様には感じられなかった。返品不可なのか聞いてみたいが、食べないから、こんなに有るんだと理解した。
少し嬉しいのは酒場で店主さんがお魚のフライを勧めてくれているので、下準備ををしたお魚はどんどん減ってきている。
「働いたな」「意外と面白い」「ああ、しかし大きいなあれ」「皆さんよく頑張りましたわ、明日もその調子でお願いします」「ユーリに任されたのは本当なんだな」「レイは帰って来ないな」「そうね、ユーリに向かいに行って貰おう」
マリアさんは頑張っている様だ、レイさん以外はここに帰って来たのか。
「ユーリ、レイが帰って来ないのよ。諦める様に言ってよ」
諦める?どうしたんだろう。
「行って来ます、料理は出来ているので運んで下さい」
「お願いね」
ワンダーさんに頼まれて向かいに行く事になった。
「レイさん、諦めませんか、下を通れば外に出れる所に行けますよ」
「ダメよ、皆は諦めたかもしれないけど、私は嫌なのよ」
道に迷う様に作ってあるけど、完成してないので出口まで行ける様になっていない、僕のせいで。
「レイさんにお知らせです」
「何よ、面白い事?」
「非常に言いにくいのですが、完成してなくても外には出れますが、僕が座っているここ。台の上に上がって、あちらの方に行かないと外に出れません。ここに上る階段を作るのを忘れていました、さようなら」
これだけ教えればレイさんも諦めて帰るだろう。
「待て~、ユーリ」
おお、危険な形相だぞ。
「すいません~、明日には階段を作ります~」
取り敢えず厨房で、フライをあ揚げる為に帰ろう。
「今すぐ作りなさい~」
「美味しいお魚が待ってますよ~」
もう聞こえない、逃げ足は速いのだ。目的地は一緒だけど。
完成した、マーズはとても大きい、作っている最初は見ている人も多かったが、塀が出来てからは『何だこの長い塀は』『塀の中はどうなっているの』と言う人がいるが関心はなくなった。
入口の建物はお城だ、入口の両側の内側に受付カウンターがある、そこで料金を払うと板が貰える。
お客さんが貰う板は、中に設置した場所に書いてある数字を書くための物だ。6か所の場所の数字を板に書いてゴールを目指す。板の上にはA、B、C、Dのどれかを〇で印を付ける、答えは6個だけど、A~Dまでの答えはそれぞれ違う、数字が書いてある場所は24ヵ所で、見付けた数字の上の文字が自分の選んだ文字じゃないと、その場所の数字は正解の数字ではない、同じ文字を見付けて下の字を板に書いてゴールを探す、答えの数字は6個とも違うので、同じ数字が板に書かれる事がな。
手伝ってくれた皆はお試しでマーズを楽しんでいる。
そう言えば、ブームが過ぎた巨大迷路を友達と行った。友達のお兄さんの運転で、当てもなく行ったドライブは、湖を動物の形をしたボートをペダルを漕いで移動した。その後に巨大迷路の前の道路を通っていたら『行ってみるか、迷路』で行く事になった。
チェックポイントはなかったけど巨大迷路だった。
「レイさんが真剣に説明を聞いていたな」
「ハァ~・・・もう出て来たわよ、ほら6個の数字が書いてある」
中でどんだけ走ったんだ。
「ハァ、一番よ私が」
時間を競うところもあるかも知れないが、時計が無い。
「流石です、もう一度行って来て下さい、今度はCでお願いします」
「直ぐに帰って来るわよ。待っていないよ」
販売機の点検をして酒場に向かう。お祭りまで後2日、全ての準備が終わった、お魚のフライはマーズを作っている時に販売機の横で販売した。そうでもしないとお魚が腐ってしまう。
さあ、今夜は大宴会だ。明日は二日酔いでもいい、こんな大きな迷路が出来たんだから・・・・後半は他の事で忙しかった。第二建築現場が。
シーラさんにお祭りの準備が終わった事を知らせる手紙を出さないと、これから門番さんお願いしに行こう。
≪叔母様ユーデットです、お祭りの準備が出来ました。北東の空き地は、お祭りに馬車で来た人、行商人の馬車などを置ける様にしときました。王都のお祭りは初めてで、どの位の人が集まって来るのか分かりません。後の管理をお願いします、面白い本をダリューンに送って下さい≫
完璧だ、後はお任せしよう。
「確かに預かりました、ユーリ様」
「お願いします、お祭りの為の事が書いてあるので急いで届けて下さい」
「分かりました」
良かった、後は今日の料理を作れば後はお祭りだ。
皆は二日酔いだった。
すぐ忘れる僕だが、毎日干し肉を回収している。
「ユーリ、あれで最後だね」
「そうだね、しかし凄い量の干し肉を作っていたんだな」
「毎日、鬼ごっこしたよね」
そうだな、大森林で約20日位は鬼ごっこと討伐をした。討伐したオーク、ベア系は解体して干し肉になった。ハンバーグに使ったオーク肉は凄く少なかった・・・・干し肉と比べると。
「さあ、街に帰てマーズで遊ぼう」
「出て来れるかな」
「キュ~」
サラちゃんが鳴いている。お腹が空いたのかな。
「サラちゃんも一緒に入るのね」
ミアちゃんはサラちゃんの考えている事が分かるのかな。
「ガラガラガラガラガラ」
後片付けの終わった大森林から街に戻って、マーズで遊ぼう。
「ユーリ、迷子になっぞ」
ベルンさんが何処に向かったらいいのか分からなくなった様だ。
「ユーリ、俺もだ」
ヒューラさんもか、ここからだとロードさん家族が何処を歩いたいるのか分からない。
4か所あるウットデッキを通らないと出口に行けない様になっているので、3か所通ったロードさん達は確実に出口に向かっている。
ウッドデッキには100人以上が乗れる広さがあるので、道を確認してから進む事が出来る、戻って来て見る事も出来る。低い橋を何ヵ所か作ったので、そこでも上から道を見る事が出来る。
「ここから見えないので、お教え出来る事はありません。方向が分からないのら壁の上に案内が書いてある筈です」
「そうか、説明されていたけど忘れていた」
「なるほど、これを見れば方向感覚が悪くても何とかなりそうだ」
そんなに大変なのかな、ロードさん達は出口に早く着きそうだけど。
「ユーリ~」
誰か呼んでいる。
「ユーリお兄様~」
「来たぞ、ユーリ~」
お兄様と呼ばれれば誰が来たのかが分かるな。
「直ぐに行きます」
壁の下を通って入口に向かう、最後の手段、壁の下を通ればどこにでも行けるのだ。チェックポイントの周りは下をくぐれない様になっているけど、どうしてもダメな時はこれしかない。
入口から出ると、王族の皆さんがいた、国王様も。
「あの、おじさんここに来て良いんですか?」
「おじさんは止めてくれ、それならお兄様がいい」
何を言っているんだ、こんな所に国王様がいるのが知られたら・・・どうでもいいか。
「それで、皆さんお揃いでどうされたんですか?」
「騎士団長が、ユーリ達が楽しそうに遊んでいると報告を受けた、シーラが何かあると言い出すので皆で来たのだ」
「お兄様は来なくていいと言ったのに」
「シーラ、仕方ありませんよ。報告を受けたのはお兄様だったんだから」
「公爵様も遊びに来たんですか?」
「うむ、我が家は家族で行動するのだ、だから私も来た」
妹達は頷いている、ユーデット様は入口のお城を見ている。
「それでは、説明します。大事な事は中で走らない事、これは守って下さい。自分も他の人もぶつかると危ないので」
「「「「「「「「は~い」」」」」」」」
遊び方と迷子になった時の事、注意事項を説明して、国王様と騎士団長から入って貰った。
時間を空けて妹達、その後はシーラさん達女性陣、最後が公爵様とユーデット様、最後の最後はメイドさん達だ。何処から湧いて来たんだ。
「湧いて来ていません、最初からいました」
「どうぞ、入って下さい」
心を読まれている、流石だ、シーラさんのメイド。
「私は、アイシャお嬢様のメイドです」
「双子ですか?」
「三つ子です」
「いってらっしゃい」
「行って来ます」
危険だ、僕はどこまで口に出して話しているんだ。意識しないと貴族様の罠に引っかかってしまう恐れがある。
「ユーリ、ただいま」
「お帰り、ミアちゃん達は速かったね」
やけに速いな、迷わなかったのか。
「サラちゃんが同じ所を通ると、ずうっと鳴いているので、鳴いてない所が初めて通る場所です」
「可愛く鳴いてくれるんですよ」
それでサラちゃんはお疲れなのか、ズルぽいけど楽しいのならいいのだ。ズルをしても楽しむ、ズルをしてつまらなくする。楽しいのならズルも話のネタになる。
サラちゃんが鳴かない道を探すのも楽しいかも知れない。
「鳴いてくれなければ、私は帰って来れなかったと思う」
皆は楽しめた様だ、明日のお祭りの為に宿に向かおう。
「皆、先に帰ります~、頑張って出口を見つけて下さい~」
「「「「「「「「「は~い」」」」」」」」」
「ユーリ、ベルン達以外に誰かいるのか?」
「お城の人達が、お祭り中には来れないので」
「・・・・・・ああ、そうだな」




